2019年の初め、ちょうどCES2019で幾つかの新作モデルが発表されたタイミングで、当ブログでは現時点で国内で入手できる(国内正規販売)Chromebookについて取り上げました。
常々発信していることではありますが、国内外問わず、Chromebookについての情報を探す際にはそれがいつ書かれたものかをしっかり確認することがとても大切です。なぜなら日々標準となるもの(基準)や新しい機能が増え、また以前は出来なかったことが出来るようになっている、などChromebookを取り巻く状況はどんどん変わっているからです。
実際にこちらで触れた内容も既にOffice関連など状況が変わっています。わずか4ヶ月前の文章でもこれです。なのであくまで前回の文章は「2019年1月版」としてお読みください。
ネットを眺めていると、比較的PCに詳しいと思われる方がChromebookで新しい展開や発表があるたびに色々とコメント、批評されます。もちろんそれ自体は自由なのですが、情報が数年前に触った(しかもその時あまり良い印象を持たなかった)時の印象のままで評価されているのが残念です。2年前、3年前のChromebookを取り巻く状況とは大分変わってきています。その点、情報を探されている方は改めて意識していただけると嬉しいです。
2019年5月現在の日本国内のChromebookの状況
国内発売モデルを取り上げる前に、前回1月に続いて今回も簡単に現時点(2019年5月)での国内のChromebookを取り巻く状況について触れておきたいと思います。といっても、基本的に国内も海外(主に米国)も基本的な方向は変わりがありませんので、全体の流れとして押さえておいて頂ければ、と思います。
現在国内で展開しているメーカーは4社。日本エイサー、ASUS JAPAN、デル、レノボ・ジャパン。
4メーカー状態は現時点でも変わりません。ただ、各社の傾向が少しずつ違いが出てきてはいるかな、と感じます。
日本エイサーは比較的新モデルの発表が早いのですが、そこから発売までの時間が長い(世界共通)。ハイスペックモデルは国内では検討されていない印象です。先日発表されたモデルも同じですが、基本的には「耐衝撃・耐水性に優れた11.6インチ」メインの堅実な展開方法です。
入手方法はネットショップなどでも時々扱いがあります。ただ、オープン価格ということもあり、各店価格に大きな開きがあるのも悩み。少し経つとある程度価格もこなれてはきますし、楽天市場やYahoo!ショッピングなどでも並ぶ可能性があるのはありがたいのですが、その分突然買えなくなる(商品ページが消えている)場合も多々あるので注意が必要です。気になるモデルはある程度チェックを怠らず、欲しいと思ったときが買い時、とも言えます。
https://acerjapan.com/news/2019/529406
ちなみに海外モデルでも基本的に技適マークがほぼ入っているのがエイサーのChromebookの魅力でもあるのですが、海外購入モデルは日本国内では保証、サポートが受けられませんので、その点は注意が必要です(後述のASUS JAPANを除いて基本的に海外モデルはサポートは受けられないと思っておいたほうが無難です)。
続いてASUS JAPAN。個人ユーザーにとっては最も馴染みのあるChromebookメーカーかもしれません。というのも、こちらも基本は文教法人向けであることには代わりはないのですが、東京赤坂にあるASUS Store Akasakaで現行モデルをほぼ展示、また時々Chromebook SESSION(セミナー)なども最近は行うようになりました。修理に関しても海外で購入したモデルでも国際保証があるものであれば修理を受け付けます。また、公式オンラインショップであるASUS Store Onlineでも購入が可能です。
ただ、その分以前は家電量販店等でも比較的見つけることが出来たのですが、最近は量販店からどんどん撤去されているようで、姿を見かけることがほぼ無くなってしまいました。
また非常に分かりやすいモデル展開をしているのが特長。型番が比較的分類しやすいだけでなく、シンプルで低価格なモデルからハイスペックモデルまで幅広く穴を埋めるような形で計画的にリリースしている印象を受けます。
2018年3月に国内参入を発表したレノボ(Lenovo)。海外では精力的に様々なモデルを出していることからも個人ユーザーとしても期待したいところではあるのですが、現時点ではほぼ文教法人オンリーです。参入当初は公式オンラインショップでも販売をしていたのですが、在庫が潤沢ではなかったのか、文教法人に影響が出ると判断したのか、2019モデルでは「販売代理店経由」の購入のみとなってしまいました。また展開しているモデルも非常に絞っており、今年2モデル発表しましたが、昨年のモデルの2019年版です。
https://www.lenovo.com/jp/ja/news/article/2019-02-26
デルに関しては日本では以前から細く長く地味に展開してきた、実は老舗なのですが、個人向けの展開をあまり想定していなかったこともあってか(ほぼ法人)ラインナップもあまりアップデートされず、非常に静かでした。今年新たに3モデルを発表、それぞれに個人ユーザー的にも魅力的で一部で話題になったのですが、弱点としては注文が入ってから態勢に入るためか、発送まで半月から1ヶ月以上かかってしまうのが悩み。法人向けとしては以前から非常に評価の高い同社だけに、法人市場では問題はないのかもしれませんが、個人ユーザーとしては折角魅力的なモデルもあるだけに、この辺りの改善を今後は期待したいところです。
現在の国内の主な流れ(需要)は大きくは変わらず。「耐衝撃性・耐水性」と「シンプルでそこそこのパワー」。今後タブレット型が入ってくるか。
基本的に海外(ほぼ北米)においても教育市場が大半ということもあり、「耐衝撃性・耐水性」が非常に重視されている点は変わりません。普段あまり情報を追っていない方は時々流れてくる刺激的な「Chromebooが〇〇に対応!」といった情報に「迷走している」「そろそろChromebook終わる」「Chromebookの良さはー」といった印象を抱かれると思いますが、全く心配要りません。むしろ教育市場で成熟してきたことで、そこから更に出来ることなどを広げてきている面はあると思いますが、この路線がメインであることに変わりはありませんし、そうしたモデルが無くなることもありません。
よく「なぜ日本にPixel Slateが入ってこないのか」「おま国」という声も聞きます。ただ、要は市場的に成熟している米国ではSlateやその他様々なモデルが出てくる土壌が既に出来ていますが、日本にはまだ前述のように「3年くらい前の知識で停止してしまっている」PCに詳しい層と全く知らないし興味もない大半の一般の方々で占められていますので、今後教育市場でどれだけ普及するか、に結局は因ると思っています。このまま売れずに一部のマニアが海外から個人輸入する程度でしたら動きはない(むしろ撤退もあり得る)でしょうし、学校でChromebookやG Suite的な感覚に慣れた世代が増えてくれば、また状況は変わってくるかもしれませんね。
LTE対応について。「あくまで文教法人市場限定」ながら、今後普及はしてくるかも。
こちら、1月の時点では「あくまで文教法人市場におけるピンポイントでの補助的な役割」と書いたのですが、若干状況が変わってくるかもしれません。ただし、見出しにも書いたとおりあくまで文教法人市場限定です。そもそも個人ユーザー向けモデル自体がないのがChromebookなので「限定」なんて書かなくても大した違いはないのですが。
この辺りは話し始めると長くなる&脱線し始めますので今回は省きます。で、何故今回少し見方を変えたかというと、個人的には「基本的にはWi-Fi環境で、それが厳しい学校では補助的にLTE対応」だと考えていたのですが、教育関係のイベント等に顔を出していると、どうもかなり積極的にLTE普及を目指している節があるからです。
各学校でWi-Fi環境を新たに整えるとなれば、やはりそれなりにまとまったお金が必要ですし、何よりネットワーク管理者が常駐している必要が出てきます。何かあった際にも学校側への負担が大きく、保守管理が楽、という部分からは少し離れてしまいます。それが例えばドコモ(現時点で唯一のLTE対応モデルはドコモ回線)のLTE網を使うのであれば、ネットワークの管理はすべてドコモ側が行うことになります。そして、Chromebookでそこまで大容量、高速な環境が必要なわけではない、と考えると(授業内容的に)LTE回線を台数分契約してしまって、今後の展開によってその後は考えていく、という形が基本になるのかもしれないな、と感じました。
その点では今後エイサーだけでなく他社が出してくる可能性も0ではない。ただ、現時点では世界的にもLTE対応モデル自体が非常に限られていますので、日本以前にChromebook全体としてそういうモデルの選択肢が増えてこないとなかなか難しいのかな、とは思っています。
ということで、以上を踏まえた上で、今回も2019年5月現在の日本における個人ユーザーが入手しやすいモデルを整理していきます。
日本における個人ユーザーが入手出来る国内現行モデル(2019年5月版)
それでは、現時点で個人ユーザーが入手出来る国内現行モデルについて整理していきます。まずはこんな表を作ってみました。
シンプル クラムシェル |
シンプル コンバーチブル |
耐衝撃 クラムシェル |
耐衝撃 コンバーチブル |
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9.7″ |
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10.1″ |
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11.6″ |
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12.5″ |
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13.3″ | ||||
14″ |
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15.6″ |
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本体サイズ毎に縦に、横に前述の項目「シンプル」「耐衝撃」と「クラムシェル」「コンバーチブル」を組み合わせました。前回はその中から絞りましたが、今回は一応「現行」とメーカーが定義しているものをすべて載せています。赤線は前回以降に発表、発売されたモデルです(リンク先はそれぞれのメーカーサイト)。また、当ブログでレビューしたことのあるモデルはブログ内の各モデルカテゴリーへリンクを貼っています。
9.7インチのD651N(Acer Chromebook Tab 10)に関してはタブレットタイプのモデルですが、一応コンバーチブルに、また耐衝撃かどうか意見の分かれる所ではあると思いますが、今回は耐衝撃タイプに入れさせて頂きました。
前回同様ですが、各社11.6インチに非常に力を入れているのが分かります。14インチ以上のモデルが比較的少ないのは教育市場であまり需要がないからなのかもしれませんね。特に15.6インチになると重量が約1.95kgになりますし、学校で保管するのであれば問題はないかもしれませんが、諸々を考えると需要が少ないのかな、と思います。
それでは今回もそれぞれの項目毎に見ていきたいと思います。
シンプルなクラムシェルタイプ。
「クラムシェル」と突然言われても何のことだか分からない方もいらっしゃると思いますが、一般的なノートPCのことです。本体が130度~開いても180度までしか開かない、一般的なモノですね。この後挙げる360度開いて「テントモード」や「スタンドモード」「タブレットモード」などでも使えるタイプのモノをコンバーチブルタイプとさせて頂きました。
一般的にはタッチスクリーン対応だけでなく、各モード時の切替など細かい部分にコストが発生するため、後述のコンバーチブルタイプのほうが一般的に価格が高めになります。ただ、Androidアプリ対応などの流れから、タッチスクリーン対応やタブレットモードなどの需要も見越してか、ここで取り上げるシンプルな(タッチスクリーン非対応)でシンプルなクラムシェルタイプは非常に少なくなっています。
自動更新 ポリシー |
CPU | RAM/eMMC | 解像度 | 重量 | 価格(税込) | ||
11.6″ | C223NA (ASUS) |
2023年 11月 |
Celeron N3350 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 0.99kg | 37,800円 |
14″ | C423NA (ASUS) |
2023年 11月 |
Celeron N3350 |
4GB/32GB | 1,920×1,080 | 1.25kg | 46,224円 |
15.6″ | CB5-532 (Acer) |
2022年 8月 |
Celeron N3060 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.95kg | オープン価格 (37,436円) (Amazon.co.jp) |
このラインは以前から非常にラインナップが少ないのが特徴です。Acerが15.6インチを出してはいましたが、エイサーは型番が非常にわかりにくいので、新モデルなのか旧モデルなのかが非常に分かりにくいのが欠点でした。その中で今回探してみたところ、一応CB5-532がまだ現行として販売しているようなので追加しました。
CB3-532は国内現行モデルとしては唯一の15.6インチChromebookであり、その点では貴重なのですが、オススメ出来るかというと悩ましいところです。確かに自動更新ポリシー自体は2022年8月まではあるのですが、エイサーの場合はほぼ前モデルとスペックを変えずに型番を変えて新たに発売に近い場合が多く、このCB5-532もCPUがBraswell世代と比較的以前のものですし、今敢えて選ぶ必要はないと思っています(もちろん一般的なChromebookの用途では大きなストレスを感じることはありませんが)。15.6インチながら解像度も1,366×768と控えめなので、私のような小さい文字が辛くなってきた人間にはありがたいのですが、14インチのC423NAがFHD(1,920×1,080)で十分に実用的なことを考えると、その辺りも注意が必要です。また、重さも約2kgというのが悩ましいところ。ただ、唯一といってもよい15.6インチですので、今後も後継モデル等を継続して出してほしいな、と願っています。
2018年後半になって、ASUS JAPANがこのカテゴリーに2モデルを出してきました。
- [かぶ] I am glad to see you again in Japan. ASUS Chromebook 12 C223NAが日本でも発売決定。ASUS Shop Onlineでも税込37,800円で予約受付中。
- [かぶ] フルHD搭載のシンプルスタンダードなChromebook、ASUS C423NA-EB0039が12月14日(金)より発売。
このタイプの魅力としては薄く、また軽く作りやすい、ということです。また形状がシンプルなため、比較的価格も控えめなのも特長です。
どちらのモデルも現時点での普及価格帯(標準的な)スペックを備えていますし、14インチのC423NAも狭ベセルを採用したり天板を薄くすることで、全体的にスペック以上に持った時の印象として「軽いな」と感じました。
もちろんどちらもAndroidアプリ等には対応していますが、個人的には最低限必要なモノだけ入れて、Chromebook本来の手軽さ身軽さ気軽さを活かしてシンプルに活用して欲しいな、と思っているモデルです。
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook C223NA (C223NA-GJ0018)
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook C423NA(C423NA-EB0039)
取扱店舗に関してはASUS JAPANということもあり、現在公式オンラインショップであるASUS Store Onlineと東京赤坂にあるASUS Store Akasakaのみとなっています。
文章作成時点で未だ14インチのC423NAは「在庫切れ」が続いています。基本的に各メーカー、文教法人市場に優先的に在庫を割り振ります。C423NAに関しては文教法人の需要とともに、上記ASUS StoreやASUS Store Onlineでも予想以上に売れてしまった結果かもしれないな、と考えています。先日ASUS JAPANよりお借りしてレビューを行いましたが、非常にバランスの良いモデルだと思いますので、是非供給も落ち着いて、また個人でも購入が出来るようになればいいな、と願っています。
シンプルなコンバーチブルタイプ。
シンプルなコンバーチブル。またちょっと混乱しやすいカテゴリー分けで申し訳ないのですが、耐衝撃性や耐水性をそこまで重視していないモデルです。仕上げもアルミを主体としたケースがメインで、見た目にもシャープな印象を与えますし、重量的にもそこまで重くならないのでモバイル用途としても最適です。
自動更新 ポリシー |
CPU | RAM/eMMC | 解像度 | 重量 | 価格(税込) | ||
10.1″ | C101PA (ASUS) |
2023年 8月 |
OP1 (RK3399) |
4GB/16GB (OP1/ENG) |
1,280×800 | 0.9kg | 42,984円 (OP1) 44,799円 (ENG) |
12.5″ | C302CA (ASUS) |
2022年 11月 |
Core m3-6Y30 |
4GB/64GB(F6Y30) 8GB/32GB(GU009) 8GB/32GB(ENG) |
1,920×1080 | 1.2kg | 75,384円 (F6Y30) 86,184円 (GU009) 86,184円 (ENG) |
14″ | C434TA (ASUS) |
2024年 6月 |
Core m3-8100Y |
8GB/32GB(AI0084) | 1,920×1080 | 1.45kg | 91,584円 |
3モデルながら種類(価格帯)が多いのは、ASUS JAPANの製品ということもあって、通常モデルに加えて公式オンラインショップASUS Store及び直営店ASUS Store Akasakaのみではありますが、法人向けの8GB RAMを搭載したモデル、及び英語キーボードモデル(ENG)が存在するためです。
初めの2モデル、C101PAとC302CAは一昨年2017年に国内では発売されたモデルですので、後継が待たれている(そろそろなのでは?)ようですが、現時点では未定です。また出たとしてもすぐに日本で発売されるか、またまったく同じサイズ、同じ雰囲気の後継モデルが出るかは分かりません。
どちらも名モデルとして国内外で評価が高く、既に愛用されている方も多くいらっしゃいます(日本でもユーザーが比較的多いのが特徴)。
C101PAの機動力、C302CAのバランスの取れた手頃な大きさの中に潜むCore mプロセッサを使った快適な操作性は是非一度は試してみて欲しいな、と思っています。ちなみに法人市場ではやはりこのC302CAが非常に人気があるようです。
また今年に入り発表された14インチの新モデル、C434TAは昨年後半から続く各メーカーのハイスペックChromebookの中では後発ながら、既にかなり評判も良いようです。
ある程度ChromebookのUIに慣れていて、ご自身の中で用途もイメージできている方であれば自信を持ってオススメできる名モデルです。法人メインのモデルではありますが、一応ASUS Store Akasakaで展示、販売、公式オンラインショップ ASUS Store Onlineでも購入が可能です。
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook Flip C101PA(C101PA-OP1)
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook Flip C101PA(C101PA-ENG・シルバー)
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook Flip C302CA(C302CA-F6Y30・シルバー)
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook Flip C302CA(C302CA-GU009・シルバー)
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook Flip C302CA(C302CA-ENG・シルバー)
- ASUS Store(エイスース ストア) – ASUS Chromebook C434TA (C434TA-AI0084)
C101PAとC302CAに関してはAmazonや家電量販店等でも一応取扱はあるのですが、残念ながらどんどん店頭から姿を消しています。家電量販店的には「Chromebookの特長が分かる」店員が少ないこと、また説明できたとしても誤解して買われてクレームになったら面倒、付属ソフトや抱き合わせ契約などの旨味がない、等々色々事情があるのかもしれません。実際Chromebookコーナーに近寄ると、近くにいる店員さんが蜘蛛の子を散らすように離れていった、という体験をされた方もそこそこ見かけますし、まだまだ一般への普及は遠い道のりかもしれませんね。
耐衝撃性と耐水性のあるクラムシェルタイプ。
現在比較的ラインナップが少なくなっていますが、732Lのように国内唯一のLTEモジュール搭載モデルなど、コンバーチブル、タッチスクリーン以外の付加価値を付けたモデル等も存在します。
自動更新 ポリシー |
CPU | RAM/eMMC | 解像度 | 重量 | 価格(税込) | ||
11.6″ | C731 (Acer) |
2022年 1月 |
Celeron N3060 |
4GB/16GB | 1,366×768 | 1.35kg | オープン価格 (29,916円) (Amazon.co.jp) |
11.6″ | C732L C732LT (Acer) |
2023年 11月 |
Celeron N3350 |
4GB 16GB/32GB |
1,366×768 | 1.26kg | オープン価格 |
11.6″ | C732 C732T (Acer) |
2023年 11月 |
Celeron N3350 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.26kg | オープン価格 |
11.6″ | 3180 (DELL) |
2022年 2月 |
Celeron N3060 |
4GB/16GB | 1,366×768 | 1.27kg | 49,658円 |
11.6″ | 3100 (DELL) |
2025年 6月 |
Celeron N4000 |
4GB 16GB/32GB |
1,366×768 | 1.29kg | 51,818円 57,218円 |
14″ | 3400 (DELL) |
2025年 6月 |
Celeron N4000/N4100 |
4GB/8GB 32GB/64GB |
1,366×768 1,920×1,080 |
1.56kg | 57,218円 59,378円 70,184円 |
このラインには以前からAcerのC731とDELLの3180くらいしかありませんでした。
この一覧の中では先頭のC731が価格も手頃で悪くなさそうに見えると思います。オープン価格ながらAmazonでは既に3万円を切っていますし、「日本正規販売モデルで、お試しで」買うには良さそうではあるのですが、端末のサポート期間である自動更新ポリシーが2年半程度しかありません(DELL 3180も同様)。
DELLの3180も現時点では上記のようにAmazonでも販売しているのですが、正直なところ勧めにくいのが本音です。それはこの後挙げる後継モデル3100などが出てきたためです。スペック的にも2世代近く前のBraswell世代のN3060と、Chromebookでは新しいGemini Lake世代ではやはり体感的にも違いが出てきます。
この辺りを今選ばれるのであれば、わかった上である程度の割り切りを持って、という前提になります。
そんなこのカテゴリーですが、今年に入りDELLが新モデル3100を出したり、エイサーも従来より発売していたLTEモデルC732のタッチモデル、LTEなしモデル、LTEなしタッチモデルを出したことで、見た目の選択肢は増えています。
最初に取り上げた「シンプルなクラムシェルタイプ」に比べて若干重くはなりますが、その分耐衝撃性と耐水性がありますので、安心感はあるかな、と思っています。
また、前回時点では11.6インチのみだったのですが、DELLが14インチの3400を出してきたことで面白くなってきました。
特に14インチはFHD(1,920×1,080)解像度で選択肢に8GB RAMもあったり、とちょうど前述のシンプルタイプの14インチであるC423NAとC434TA(ともにASUS)の間を埋めるバランスの良いポジションにあります。「シンプル クラムシェル」で手頃な価格のC423NA、「耐衝撃 クラムシェル」で最大8GB RAMも選択可能な3400、そして「シンプル コンバーチブル」でハイスペックのC434TA。ASUSとDELLのおかげで14インチが充実してきたことはありがたいな、と思います。
ただ、Acer、DELLともに個人での入手がなかなか面倒なのが難点です。両社ともにメインが完全に文教法人市場のため、ネットショップ等で探すのが無難かな、と思います。
尚、732Lに関しては文章の前半でも触れましたが、LTE対応に関しては現時点ではドコモのmoperaのみとなっています。その点、注意が必要です。
家電量販店ではタッチスクリーン対応のC732LTにシフトしてきているようですね。
耐衝撃性と耐水性のあるコンバーチブルタイプ。
現在のChromebookの国内外の主流となっている耐衝撃・耐水性のあるコンバーチブルタイプのモデルです。DELLもこのタイプを今回国内でも出してきた(3100 2-in-1)ことで、日本国内ではすべてのメーカーが似たようなモデルを出している状態になりました。基本的に11.6インチ、スペックも似通ったものとなっています。
自動更新 ポリシー |
CPU | RAM/eMMC | 解像度 | 重量 | 価格(税込) | ||
9.7″ | D651N (Acer) |
2023年 8月 |
OP1 (RK3399) |
4GB/32GB | 2,048×1,536 | 0.55kg | 6万前後 |
11.6″ | C213NA (ASUS) |
2023年 11月 |
Celeron N3350 |
4GB/32GB (N3350/BW0045) |
1,366×768 | 1.26kg (N3350) 1.36kg (BW0045) |
53,784円 (N3350) 61,344円 (BW0045) |
11.6″ | CP511 R751T R751TN (Acer) |
2023年 11月 |
Celeron N3350 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.26kg (R751T) 1.4kg (R751TN) |
4.5万前後 (R751T) 5万前後 (R751TN) |
11.6″ | R752T R752TN (Acer) |
2025年 6月 |
Celeron N4000 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.25kg | オープン価格 |
11.6″ | 300e (Lenovo) |
2022年 6月 |
MTK 8173C |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.35kg | 51,840円 |
11.6″ | 500e (Lenovo) |
2023年 11月 |
Celeron N3450 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.35kg | 62,640円 |
11.6″ | 300e 2019 (Lenovo) |
2025年 6月 |
Celeron N4000 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.35kg | 51,840円 |
11.6″ | 500e 2019 (Lenovo) |
2025年 6月 |
Celeron N4100 |
4GB/32GB | 1,366×768 | 1.32kg | 62,640円 |
11.6″ | 3100 2-in-1 (DELL) |
2025年 6月 |
Celeron N4000 |
4GB/8GB 32GB |
1,366×768 | 1.41kg | 62,618円 70,178円 |
うん、非常に分かりにくい。なので、この中から現行モデルのみをサイズに赤線を入れてみました。
一応ASUSはまだ国内ではC214が発表されていませんので現行なのですが、既に後継R752Tが発表されているAcerのCP511、R751Tと同世代のため、敢えて線を引いていません。また、Lenovoは一応1st Genである従来の300e/500eも並行して発売(こちらはオンラインショップでも購入可)しているのですが、2nd Genである2019モデルが発売されたので、こちらも2019のみ線を引いています。
AcerのTとTNの違いはEMRペン対応か非対応かの違いなのですが、9.7インチタブレットであるD651NはNが付いているのでタッチ、EMRペンどちらも対応です。ちょっと分かりにくい。あと、R751と一緒にCP511が入れられていますが、こちらは色違いです。タッチのみ、EMRペン非対応のモデルのみ国内では発売されています。
Lenovoは以前の300eと500eは「ARM系MTK8173C/EMRペン非対応」の300eと「x86系Celeron N3450/EMRペン対応」の500eと違いが分かりやすかったのですが、今回の2nd Gen(2019)ではどちらもGemini Lake世代のN4000/4100になってしまったので、ちょっと分かりにくくなってしまいました。300eがEMR非対応、500eが対応モデルです。
DELLは主に法人向けということもあるのか、前述の14インチ3400同様、この11.6インチモデルでも8GB RAMモデルが選択できるのが面白いな、と思います。
それ以外は各社とも多少のインターフェースの違いはありますが、その他は大きな違いはありません。
エイサーの9.7インチのタブレット型モデルD651Nもこのカテゴリーに加えさせて頂きました。この後(国内で発売されるかはまだ未定ですが、ASUS JAPANもほぼ同スペックのCT100を発表していますので、タブレット型も注目です)。
先程から「EMRペン対応/非対応」と出てきますが、普段馴染みのない方には分かりにくいのではないかと思います。
通常のタッチスクリーン対応のモデルにスタイラスペンを用いて絵や字を書こうと思ってもどうしても反応が悪かったり、細かい描画が出来ません。またEMRペンはEMR対応の液晶パネルでしか使うことが出来ません。(前述のC101PAやC302CAにEMRペンを使おうと思っても使えない、という意味です)。
同様にここにあるモデルで、例えばASUS C213NA-N3350やAcer D751Tに後付けでEMRペンを使おうと思っても使えませんので、注意が必要です。
ちなみに300e(1st Gen)はEMR対応ではありませんが、鉛筆で反応して書けるというのを特長の一つにしていて、それなりに市場では好印象で迎え入れられているようです。
こちらのモデルは教育市場でも需要が高いこともあり、ASUSもC213NAの後継モデルとしてC214MAを海外では発表しています。ちょうど2年のスパンでのモデルチェンジですね。海外ではトップのシェアを誇るAcerもこの後Spin 11のモデルチェンジを控えている可能性も充分にあります。すぐに日本市場でもモデルが廃番になったり切り替わる、ということはないと思いますが、価格やサポート残存期間とのバランスを考えての検討が必要かな、と思います。
悩んだら「シンプル」に。「価格よりも現行モデル」で考えるのがオススメです。
さて。凄い。文字数見てみたらこの時点で1万5千字超えてます。正直ここまで時間かかるとは思わなかったです。ここまでお読みいただいたあなた、お疲れ様でした。そして読んでくれてありがとうございます。
こうして眺めてみて、恐らく多くの方は混乱されただけだと思いますし、「じゃあ何がオススメなの?」という想いを抱かれるのではないか、と思っています。
と同時に、もしかしたら選択肢が少ないと散々言われている日本国内でもこんなに現行モデルがあるのか(今までに発売されたモデルも合わせればもちろん更に増えます)と感じられたかもしれません。案外多いんです。そしてそのペースは最近になって更に上がってきています。
そして、冒頭でもお伝えしましたが、これはあくまで2019年5月時点での国内のChromebook事情です。恐らく数カ月でこのリストも少し古いものとなり、アップデートが必要になるでしょう。
そんな中で、私が伝えたいことは3つ。
- もし悩まれているのであれば「とりあえず買ってみてよ」
- 何が良いか迷ったら、まずは「シンプル」に考えてみて。
- 価格よりも現行モデルかどうかをまずは意識してみて。
1.はここ最近盛んに言い続けていることですね。数カ月でもこれだけ状況が変わります。ネットで溢れている「もっともらしい」Chromebook評が必ずしも現状に即しているとは限らないんです。むしろ前述のようにその大半が数年前のイメージのままで使わずに語っていることが多い。そしてそんなイメージで様々なニュースを判断するから、大きくズレていることが多いんです。正直ここ最近の動きは私のようなChromebook好きでも追いきれません。だから、気になるならとりあえず買って実際に試してみてほしい。
「使いこなせるか」なんて考える必要はないんです。もちろんそれなりの価格はしますが、それでもたかがパソコンなんです。
何をもって「使いこなす」というのかなんて、誰も分かりません。それよりも身近な道具として折角だから方の力抜いて楽しんでみてほしいな、と。過度な期待には答えられないかもしれませんが、それで「クソ」という訳ではないですよね?そうした試行錯誤の中で、その道具の使い方が分かってくる。適材適所です。だから楽しめればOKです。
その上で、2.「迷ったらシンプルに考える」。ブログでもSNSでもなんでも構わないので、見かけて「なんか欲しいな」「使ってみたいな」と思うモデルをまずは選びましょう。ただ、その時にスペックが、コスパが、なんて考えると訳がわからなくなります。そもそも考えてみてください。自分が使ったこともない、やったこともない分野で最初からスペックだコスパだって分かりますか?
最後に3.「迷ったら価格ではなく現行モデル」。ネットで指標もなしに探していると、本当に様々なモデルが出てきます。でも、2.でも触れましたが、予備知識がなく頭で考えても、どれが良いかなんて分かりません。そして、つい「損しても良いや」と価格重視で選びがちなのですが、安いには安いなりの理由があります。
恐らく多くの方は通常のPCと同じ価格感覚で「高い」「安い」と判断されたり、海外の値段と比べたりして価格ばかりを考えがちです。確かに私達の生活を考えれば価格は大切ではありますが、こういうモノって価格で選ぼうとするといつまで経っても選べないし、結局買いません。「○○円になったら即買う」「〇〇円だったら買ったのに」という方が買わないのと同じです。
そして現行モデルで考える理由。1.でも触れたように、Chromebookを取り巻く状況は刻一刻と変わります。いきなり終了になることはありませんが、あなたが価格重視で選んだ数年前のモデルが必ずしも新しい機能に対応しているとは限りません。実際ネット見ていても、間もなく自動更新ポリシーが切れるモデルで今もAndroidアプリ対応を待っている方がいらっしゃいます。もちろん愛用機なのだと思いますが、では対応しても果たして思ったように動くのか、というとまた別の問題になります。
自動更新ポリシーが「2025年6月」までの最新モデルと、(一応現行とはなっていますが)「2022年1月」までのモデルとでは、単純な見た目の価格だけでは評価が出来ないと思うのです。そして最近は昔の「安くてサクサクだけれど〇〇が惜しい」といったハードウェア、インターフェースなどがどんどん改善されています。液晶の質も大分良くなってきたと思います。その辺り考えると、余程使っていない限り、単純な価格だけでは余計に悩むだけだと思っています。
多くの現在使われていない(もしくは実際に使ったことがない)方々がイメージされている日本のChromebook事情に比べると、今回長々とまとめたように、現在は選択肢も豊富です。むしろ豊富になりすぎて選択に困り始めるのではないか、と心配もしています。それくらい似たようなモデルも多いですし。
海外は選択肢が豊富なのにと思われている方は、是非国内にも目を向けてください。その選択肢が豊富な海外のモデルが、あなたにとって本当に必要なモデルですか?
その上で、選択に迷ったらSNSやこのブログの問い合わせフォームからお気軽に相談してください。ただ、漠然と「何が良いですか」と聞かれても答えにくいので、最低限「自分の中での候補なり用途」なりを間違っていても良いので挙げてもらえると、きっと答えやすいと思います。
今回の文章は却って混乱させてしまったかもしれませんが、何かしらあなたの役に立てば嬉しいです。