[かぶ] 教育現場へのPCの導入で大切なことは「特定のPCやOS、場所や時間に縛られない学びの環境」を学生に提供できること。

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[かぶ] 教育現場へのPCの導入で大切なことは「特定のPCやOS、場所や時間に縛られない学びの環境」を学生に提供できること。

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ここ数日、この記事が話題になっています。

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00157/042400061/

埼玉県は2010年から、協調学習を軸にした主体的・対話的で深い学びを目指す「学びの改革」に取り組んでいる。それを効率的に実践する手段の一つとしてICT活用にも着手し、2016年度からASUS JAPANのChromebookを使って2年間の検証事業を実施した。2018年度には県立高校35校に対して、レノボ・ジャパンの「500e Chromebook」を44台ずつ配備し、本格的なICT活用を始めている。

埼玉県教育局県立学校部高校教育指導課 学びの改革担当 指導主事の高井潤さんはここ1~2年、教育関係のイベントなどに参加していると度々お見かけする方でした。埼玉県が積極的にこうした事業を進めていることは感じていましたので、こうして記事になり、話題になっているのは嬉しいですし、こうした取り組みが全国にも広がっていけばいいな、と願っています。

これまでWindowsパソコンに親しんできた教員たちは、Chromebookの導入に抵抗感が無かったのだろうか。この点について高井氏は「検討段階で教員らに意見を求めたところ、意外にもChromebookの方が評価は高かった」と話す。中でも現場で端末管理やトラブル対応を担う教員たちから、Chromebookを支持する声が多く集まった。それに加え、協調学習を軸にICT活用を進めてきた埼玉県では、協同作業や協調的な学びを実現するツールであれば、Windowsに限定しなくともよいとの声も上がったという。

この辺りは意外でした。もちろん地域差もありますし、現場の先生方にとっては簡単な話ではなく、導入自体も苦労されている方も多いと思います。ですので、これを持って簡単に普及が進むとは思ってはいません。ただ、ネットで一般(といってもネットで発信しているような方なので、世間一般に比べればPCには慣れ親しんでいるとは思いますが)の方々の

「ChromebookはまだまだLinux対応が不十分で開発には向かないから使えない」
「Chromebookでは大したプログラミングも出来ないので○○のほうが良い」

といった声を時々目にしていましたので、余程柔軟な考えを持っている方は意外と現場のほうがいらっしゃるのかもしれないな、とも感じました。一体全国の横並び一斉の週何コマかの授業で学力差も興味関心の度合いも違いがある学生相手にどんな専門的な授業をするのだと思っているのでしょうか。

さて、このブログは実際に現場の先生方も読まれていますし、また実際にお付き合いのある方々もいらっしゃるので、今回の文章はそういう方から様々な厳しいご指摘等も頂きそうな気もしますし、大変書きづらいのですが、現場にいない、むしろ完全な部外者に近い立場の私から好き勝手なことを書かせて頂きたいと思います。

特定のPCやOS、時間や場所に縛られなくても知識の共有と学びが出来る、ということ。

現場には様々な問題や悩みがあるかと思います。例えばPCの導入一つとっても「学校である程度の台数を購入して、それを授業ごとに使い回す」という方法と「新たに入学、進級する学生全員に1人1台学校指定のPCを購入させる」という方法に大きく分かれます。

どちらもChromebookに限らず、以前から普通に行われてきた方法だと思いますが、それぞれに悩みはあります。前者であればそもそも学校の予算を考えるととても学校側としてまとめて導入する予算はない、となります。後者であればその負担は減りますが、今度は学生やご家族からの様々な反発や意見もあるでしょうし、家庭によって経済的にも格差がある中ではPC1台買うのも厳しい、という場合もあるでしょう。

もちろんそれ以前に元々学校における通信環境自体が整備されていなければ、そうしたインフラを整備すること自体が大きな障害になっている場合もあります。また、過去にある先生が頑張って導入したものの大した活用が出来ず失敗に終わってしまったことがあり、その負の遺産が残ってしまっているので、新たに導入なんて夢のまた夢、という場合もあります。

ただ、学校内の通信環境の整備は別としても、とりあえず導入に関してはもっと柔軟に考えても良いのではないか、と思うのです。Chromebookは確かにコスト面でも管理面でも安く抑えられます。ただ、とりあえず箱ものの導入がまずありきでは必ずと言っていいほど失敗します。また、導入自体が最終的な目的になってしまっている場合もあるようです。今もWindowsかiPadかChromeobokか、といった話は盛んにネット上でも交わされています。

正直非常に不毛な争いをしているだけだと感じています。好みの押し付け合いのような感じですね。何入れても良いと思うんです。

学校の、その場で無いと、また、そのPCでないと使えないのであれば何の意味もない。

以前から「Googleが普及させたいのはChromebookではなくG Suite」ということを度々発信してきました。ChromebookはあくまでG Suiteを使う上での選択肢の一つに過ぎず、iPadでもWindowsでも問題はありません。ただ、流石にG Suiteに最適化されたOS、端末だけあって、コスト面や操作面での使いやすさ、相性は現状では一歩抜きん出てはいるとは思っています。ただ、それはAppleが推し進めるものであればiPadが最適でしょうし、Microsoftの教育向けのシステムであればWindowsが最適なのと同じです。実際、私の従兄弟の学校ではiPadでG Suite for Educationを使っていました。

2019年2月下旬から3月頭にかけて、LAで暮らす叔父の家を訪問しておりました。叔父には現在16歳の息子がおり、現在El Segundo High Schoolに通っています。滞在中、学校の課題をiPadとG Suite+αを自然に活用しながら取り組んでいる従兄弟の姿を度々目にしました。そこで折角なので彼の学生生活におけるタブレットの活用について訊いてみました。

私はAppleやMicrosoftのプログラムについてはそこまで知識がないので今回はG Suiteで話を進めますが、そう考えると、学校側で40台とか80台とか導入しようが、学生1人1人に指定の端末を買わせようが、それは学校と学生、学生のご家族の間の問題です。経済事情で良いものを選べば良い(ただ、「お金がない」で思考停止されてしまうと困りますが)。ただ、ここ最近私は、ChromebookであろうとiPadであろうとWindows PCであろうと、

学校の、その場で無いと、また、そのPCでないと使えないのであれば何の意味もない

と思っています。

今の学生には学校のPCルームや、PCの授業中ではないと使えない、つまりPCがないと使えないとは思って欲しくないのです。また同様に、学校でiPadを使っていたから、iPadでないと使えない(Chromebookでないと使えない)とも思って欲しくありません。

プログラミング教育だ、1人1台だ、といった話が盛んに交わされてはいますが、ある決まった箱ものがなければ使えないのでは何の意味もありません。幾ら5人に1台、3人に1台が1人1台に変わろうが、意味がないと思っています。そうしたPCありき、PC導入ありきの考え方で各学校で導入を急いでも、結局「導入して満足。終了。」となってしまうのではないでしょうか。

道具は何でも良いんだよ。PCというのは、あくまで君たちが学習をする上での情報や知識、その成果物にアクセスするための道具の一つに過ぎないんだよ

引き続きG Suiteで話を進めますが、Appleが好きな方はAppleのシステムに置き換えて頂いても問題ありませんし、実際どこの何であろうと構いません。ここまでダラダラと書いてきたのは、要は、

学生にはPCの授業中に決められたPCの前に座らないとPCというのは使えない、授業が受けられない、課題や宿題が出来ない、と思って欲しくはない

のです。むしろこれだけスマホが普及して小学生でも10万超えのiPhoneを普通に持っている時代です。自分のスマートフォンでも、学校のChromebookでも、親のiPadでも、自宅のWindowsでも、いつでも学校の課題が出来、休んだときには授業を自宅でも受けられ、休み時間や通学時にもスマホで課題の続きが出来たり、共同作業が出来る。つまり、道具は何でも良いんだよ。PCというのは、あくまで君たちが学習をする上での情報や知識、その成果物にアクセスするためのリモコンやコントローラーのようなもの(表現が古いですが)に過ぎないんだよ、と思ってもらいたいのです。

そして、昔と違って、今はそれが出来るようになってきている。GoogleもAppleもMicrosoftも結局はそこを目指していると思うんですね。特定のPCに縛られる、ということは、そこで出来た学習や学びの成果も、その端末内に制限される。それが今までのPC(Personal Computer=個人のコンピューター=My Computer)としての個人で閉じられた世界でした。それが端末やOS、場所や時間に縛られなくなる学び、というのは、共有を前提としたものになります。学習も研究も交流も、すべてをシェアするところから始まります。

Googleが普及させたいのはChomebookではなくG Suiteというのは、そういう意味です。G SuiteのGoogle DocもSheetsも、全てのものが他者との共有、共同作業を前提として作られている。そして、ChromebookはあくまでG Suiteを普及させるために便利なツール(販促物)の一つに過ぎないのです。

もちろん現実的な話として、Chromebookは学校側、管理者側の都合として導入後の保守管理が非常に楽、という具体的なメリットはあります。導入に際しての理由はそれで充分です。むしろそうした具体的な数値や金額を出した方が通しやすいと思います。

ただ、導入後は(もちろん管理ライセンス等々の問題でいきなり学生個人のスマホや自宅のPCでもすぐ使えるようにするのは様々な課題があるとは思いますが)管理ツールからガチガチに出来ることを制限させるのでは無く、むしろ普段学生が慣れ親しんでいるスマホと同じくらいの身近なものとしてG Suiteに慣れ親しんで欲しい。スマホの持込を制限するのでは無く、むしろスマホのゲームと同じくらい、G SuiteやClassroom、そして諸々のツールを日常のものとして、楽しいコミュニケーションツールであり、学びのツールとして楽しいものだと感じさせて欲しいのです。

言うのは簡単だが現場では様々な事情がある。それは確かにその通りです。ただ、私は以前から「ChromeOSとはGoogleアカウントのみでどこでも身軽に移動、作業が出来るスタイルの提案であり、Chromebookはあくまで仮の入れ物の内の一つ」と言い続けてきました。

ここ最近Chromebookについて続けて書いてきています。このブログでは過去79回(この文章が80回目)色々な形でこの興味深いChromeOSというものについて触れてきていますが、最近は書くたびにあ...

また、最近改めて話題になってきているようですが、以前東急ハンズが「現在導入している社内のWindows PCの約9割を2020年までにChromebookへの置き換える」と発表したことに対しての私の考えも書いたことがあります。

東急ハンズが「現在導入している社内のWindows PCの約9割を2020年までにChromebookへの置き換える」と宣言したことに対して、ネット上では様々な反応を目にします。一般的な反応としては「...

こちらは非常に多くの方に読んで頂けたようです。特定の場所の特定のPCに依存するのではなく、また特定のOSに依存することでもなく、今後世の中の流れがどのように変わっても柔軟に対応出来るフリーな仕組みと思考を持てるようなること。これは企業に限らず、学生でも将来への大きな強みであり財産になると思っています。

PC教育でもプログラミング教育でもなく、本当のデジタルネイティブとは何かを学んで欲しい。

「PC持ってないから」「自宅のPCが壊れまして」「Office(特定のアプリなど)持ってないから」といったことが、出来ないことのハードルや理由になるのではなく、自分のスマホからでも、立ち寄ったカフェに設置してあるPCでも環境がすぐ再現出来て、続きがすぐに始められる。

いきなりそんな将来は難しいと思いますが、2020年のプログラミング教育義務化やICT環境の整備、新しい学びの形、というのは、PCという箱ものを使えるようになるという技術的なものよりも、まずは例えプログラミングなんて出来なくても、とりあえず慣れ親しんだ日常のツールで学びも交流も出来るということ、そうしたものが楽しいものだ、という意識の変化のほうが大切だと思っています。

確かに今の学生や子どもはデジタルネイティブだと言われてはいます。ただ、その実はある特定のツールとサービス(アプリ)に関しては普段から自然に身近にあるものとして慣れ親しんではいても、そこから離れた途端に何も出来なくなったり、また身近にあり過ぎて使い方を誤ってしまうことも多々あるようです。

下手に制限して、却って遠ざけてしまって現代の様々な問題(ネットでの炎上やいじめなど)を起こさせてしまうよりも、むしろスマホもタブレットも学校のPCも自宅のPCも同じように身近でありながら、身近だからこそPCもスマホも同じことが起こりうる(リスクなど)こと、そして新しいものであっても抵抗なく受け入れられるようになること。

ChromebookでもiPadでもWindows PCでも構いません。G Suiteでなくても構いません。ただ、いつでもどこでもどの端末からでも学びが出来、交流が出来、世界に繋がれる世の中になってきている。だからこそ、身近なスマホでも学校のPCでも同じようにリスクも含めて意識して扱わなければならない。

現場の方々にとってはツッコミどころ満載、検討する価値もない机上の空論と感じられたかもしれませんが、実際にこの3年近く実際にChromebookを日々使ってきて、その大きな可能性を感じつつ、図々しくも教育関係のイベント等に参加させてもらっているものの視点から、今回はそんな端末やOS、場所に依存しない教育の形について書かせて頂きました。
https://office-kabu.jp/chromebook/experience-group-work-utilized-cloud-01

先程取り上げましたが、レノボ・ジャパンが5月に国内教育市場向けにChromebookの新モデル2モデルを投入することを発表しました。この発表については各メディアが取り上げていますが、その中で興味深い部...

特定のPCやOS、時間や場所に縛られなくても知識の共有と学びが出来る、ということ。

学校の、その場で無いと、また、そのPCでないと使えないのであれば何の意味もない。

道具は何でも良いんだよ。PCというのは、あくまで君たちが学習をする上での情報や知識、その成果物にアクセスするための道具の一つに過ぎないんだよ

PC教育でもプログラミング教育でもなく、本当のデジタルネイティブとは何かを学んで欲しい。

  • 特定のPCやOS、時間や場所に縛られなくても知識の共有と学びが出来る、ということ。
  • 学校の、その場で無いと、また、そのPCでないと使えないのであれば何の意味もない。
  • 道具は何でも良いんだよ。PCというのは、あくまで君たちが学習をする上での情報や知識、その成果物にアクセスするための道具の一つに過ぎないんだよ
  • PC教育でもプログラミング教育でもなく、本当のデジタルネイティブとは何かを学んで欲しい。