前回、開けることにより「技適マーク」が確認できましたので、今回から実際に使ってみての印象について書いてみたいと思います。
今年は色々と新しい動きが見られそうなChromebookですが、その中でも昨年から話題となっていたモデルがこのC302CAと、あと10日ほどで発売が予定されているSamsungのChromebook Plus(Proは後日発売予定)です。
この2つでどちらにしようか迷われている方、実際にChromebookにこんなスペック(と価格)が必要なのか、と疑問に思っている方など様々だと思います。私自身はメインがChromebookということもあり、半分趣味でもあり、複数台所有していたりと少々特殊な例かもしれませんが、情報の少ない中で何かしら参考になれば嬉しいです。
ASUS Chromebook Flip C302CA
既に何度か触れていますが、今回入手し、ここ数日使っているのは下記のスペックのモデルです。
Model | ASUS Chromebook Flip C302CA |
CPU | Intel Core m3-6Y30 |
Memory | 4GB |
Display | 12.5″ (16:9) LED backlit FHD (1920×1080) 60Hz Glare Panel |
Storage | 64GB EMMC |
Interface | USB 3.1 Type-C x2 |
Dimensions / Weight | 304 x 210 x 13.7mm / 1.2kg |
Price | $499 |
ASUS Chromebook Flip C302CAは、CPU以外は違いのないSamsung Chromebook Pro/Plusとは違い、今後複数バリエーションの展開が予定されているようです(既にCore m3だけでなくPentiumモデルもありますし、この後にはCore m7が控えています。RAMも8GB版が、ストレージも今回の64GBだけでなく32GB版が既に出ています。)
それらの中では今回のモデルが恐らく標準であり、メインに位置づけられると思っています。実際にスペックバランスは非常に良いと思っています。
Core m3は必要にして充分。体感的にも「今までとは違う」心地よさを感じられるはず。
私は既にこれよりも上のCore m5を搭載したChromebookを使ってきましたが、体感上はほとんど違いは感じられません。あれ、m3もm5も大して変わらないな、という印象。ただ、もちろん、今までの一般的なChromebookを使ってきた方にとっては「今まででも充分に快適だと思っていた」としても、充分に違いを感じられると思います。この差はかなり大きいです。非常に心地よい。
もともとが軽いOSと操作感のChromebookに、まだこれだけ余力と可能性が残されていたのか、と新鮮な驚きを感じられるでしょう。すぐに慣れますが、そのあとで以前のChromebookに戻ってみると、軽いことに変わりはなくとも、それでも一つ一つの処理に僅かな間があることに気づかれると思います。
あくまでベンチマークの一つに過ぎないのですが、Chromebookの快適さを図る上では非常にわかりやすいOctane 2.0でのスコアでも2万を超えてきます(一般的なChromebookは7000〜8000)。ただ、今までと全く同じ使い方しかしないのであれば、Celeron 3855Uを搭載し、私の中では今も13.3″では価格の安さも含めてお薦めのモデルであるLenovo ThinkPad 13 Chromebook(Octane 2.0スコアは15,000前後)と比べると、大きな違いは感じられないと思います。
また、3855Uは底面にCPUファン用の吸気口、側面に排気口があり、熱も持ちますし、ファンの音も静かな場所では僅かながらにします。これがCore mではほとんどありません。
CPUにも余力があるからか、一時的には使用率が右端までいくことはあっても、常に高負荷がかかるようなこともなく、低い位置で細かく動いているくらいです。
「今までと全く同じ」使い方であれば不足を感じない4GB RAM。でも欲が出るかも。
先ほど敢えて太字で「今までと全く同じ」使い方しかしないのであれば、と書きました。これがこのFlipという12.5″のconvertibleタイプのモデルの魅力でもあるのですが、悩ましい点でもあります。
起動直後の「私の環境下」でのChromeでタブを1〜2つ開いただけの状態でのメモリ使用率です。自分の中ではそれほど多くのChrome拡張やアプリを使っている意識はないのですが、4GB RAMですと既に使い始めからこの状態です。
ただ、それではタブを複数開くと途端に重くなるか、といえば、全くそういうこともなく、至って快適です。実際、100%になる前に開放されますし、メモリ不足を感じることは恐らくないでしょう。ただ、こうした見た目で使用率が分かるようなものを使っていると、ちょっと気にはなります。
つい先日まではChromebookにおいてはRAMは標準で2GB、ちょっと贅沢に使う場合でも4GBあれば充分だと思っていたのですが、最近では4GBが一般的です。そして、この傾向はまだまだ当分は続くでしょう。恐らく不足や不満を感じることはほとんど無いと思います。
ただ、先ほど「今までと全く同じ」使い方と書きましたが、Core mの快適さと12.5″の機動性の高さは思っていた以上に人を欲張りにさせます。枕元でも出先でも、いつでもどこでも開いてすぐ使える手軽さが非常に活きてくるので、かなりメイン機のような使い方をしたくなってしまう方も多いだろうな、と思います。
実際私も「TweetDeck」と「Google Keep」を開きながら、「ハングアウト」で会話しつつ、「Chrome」を2つ、それぞれに複数のタブを開きつつブログを更新したり、メールを書いたり、と同時並行で行っています。もちろん全くモタツキもありませんし、速度に影響はありません。
ただ、そうなってくると、ちょっと欲しくなってくるんです。8GBが。
同様の使い方をさせつつ、更に裏でちょっと動画の変換(サイト上で)を複数回行っていた時の、前述のCore m5、8GB RAMのHP Chromebook 13 G1です。それでもまだ余裕があります。この状態を知っているだけに、先ほどのようにほぼ4GBを使っている状態だと、少しだけ心配になると同時に、「8GBあると良いなぁ」と思うことも。
とはいえ、実際にはこのFlip C302CAというモデルは、解像度(最良設定でFull HD 1920×1080)、本体サイズ等を考えれば、本来はそうした「特殊な」使い方をするモデルではありません。そういう使い方をするなら、PixelやHP 13 G1の最上位モデルを使えば良いわけですし、何よりChromebookである必要はない気もします。
ということで、少し脱線しましたが、4GBで不満はないものの、Core m3の快適さを考えると、つい上を望みたくなってしまう。まして今後Google Playストア対応でAndroidアプリが使えるようになってくると、用途が広がってきます。その時を考えると、Core m3モデルにも8GB RAMの選択肢があれば良いのになぁ、とちょっとだけ思ってしまうくらい、このモデルが快適で気に入っている、とも言えるかもしれません。
思っていた以上に「快適」で「素晴らしい」キーボード。特にバックライトが秀逸。
続いてキーボードです。出力(液晶パネルの質や解像度)と並んで、使用感に直結するのが入力部分です。キーボードとタッチパッド。ここが安っぽかったり、イマイチ使いづらいだけで全く印象は変わってきてしまいます。
この点は私は非常に気に入っています。これだったら私の中ではメインとして使っても何ら不便を感じません。
タッチパッドの使いやすさはChromebookならではで私も最近ではすっかりマウスを使わなくなってしまったのですが(この変化には自分自身非常に驚いています。)、今回のキーボード、これもまた良い。押した感じが心地良いだけでなく、実用面でも13.3″で私の愛用するLenovo ThinkPad 13 ChromebookやHP Chromebook 13 G1と遜色ありません。いえ、むしろある面ではこれらを上回っています。
それが、非常に実用的なバックライトです。
先日、立ち寄ったカフェで開いた際に気付いたのですが、普段から意識しなくてもバックライトは点灯しているようです。ただ、常時点灯というわけではなく、液晶同様、しばらく操作しないとライト自体弱くなり、一旦消えます。そして、またキーボードやタッチパッドに触れた途端に明るく点灯します。
バックライト付きキーボードという点では、HP Chromebook 13 G1も同じなのですが、こちらは普段は完全に消えていて、Chromebookを起動させるたびに毎回「alt+明るさ調整のキー」を押さないとバックライトは点灯しませんでした。
明るいところで撮ってしまったので分かりづらいのですが、HP Chromebook 13 G1も暗いところでは充分に光ってくれます。ただ、基本的には起動させるたびに押し直さなければいけないので、その点が惜しいな、と思っていました。ただ、それもバッテリーのことを考えると仕方ないのかな、と思っていたのです(同じCore mながら、HP 13 G1はバッテリーの持ちは若干短い。)。ところが、実際バッテリー普通に持つんですよ、C302CA。実際は自動でライトが点いてもそれ程影響はないのかもしれません。
で、この文章、夜中の2時半過ぎに妻が寝ている寝室で書いているのですが、部屋がいつまでも明るいと悪いな、と思い、先ほど電気を消したら、暗闇にフワッと浮かび上がってきたんです。勝手に。感動しましたよ、たかがキーボードのバックライトなんですが。
人間不思議なもので、こんな大したことなさそうなことが、意外と気に入る大きな理由になってしまって、すべてが良く見えてしまう、ということがあるようです。バックライトというのは、実用面だけでなく、こうした時の美しさ、何となく嬉しくなってしまう、という副産物のようなものもあるようです。
前々回、外観のレビューの際にも触れましたが、12.5″というサイズ感は絶妙です。11.6″に近い持ち運びや使い勝手の良さと、13.3″に近い画面表示領域、更にキーボードの使いやすさという「良いところ取り」でもあります。それが破綻せず、うまくまとまっています。特にキーボード。
タッチパッド自体も今まで使ってきたChromebookの中で最も広く、かといって誤って触れてしまうこともなく、使い勝手も悪くありません。
最初滑りが悪いかな、と思っていたのですが、数日使っている内に慣れました。(既にフィルムは剥がしています。)
今回のC302CA、もちろんCore m3やコンバーチブルはじめその他のスペック部分にも確かにコストはかかっているとは思いますが、こうした数値に現れない部分での快適さ(キーボードの使いやすさなど)にも手を抜いていないな、と感じています。
追記:2017年2月2日 15:00 更新
ミヤビックス社がオリジナル商品としてこのC302CA用のトラックバッドと液晶の保護シートを販売していますので、早速注文してみました。
[かぶ] C302CAのタッチパッド用にミヤビックスのOverLay Protector for トラックパッドを購入。 | おふぃすかぶ.jp
ここ数日でC302CAのタッチパッドの指触りにも慣れてきてしまっているので、まだ若干違和感がありますが、もし使い勝手が良かったら手持ちのHP Chromebook 13 G1や、間もなく発売されるSamsung Chromebook Plus用にも作ってもらおうかなぁ、と考えています。
株式会社ミヤビックス – OverLay Protector for トラックパッド ASUS Chromebook Flip C302CA
360度回転。コンバーチブルは実際に使うかどうかよりも、使い勝手の幅を広げてくれる。
その使い勝手以上に、見た目の派手さ、ギミック的な部分が注目されやすい、360度回転、コンバーチブルタイプのモデルですが、実際にこの数日使ってみて、思った以上に使い勝手が良いと感じました。
それは、タブレットモードが使いやすい、ということではありません。むしろ常用は厳しい。使いにくいです。重いし。
ただ、360度、好きな角度で使えるということは、実際に使うかどうか以上に、気持ちと用途を自由にしてくれます。
というのも、どんな場所でも、どんな体勢でも使えてしまいそうな気楽さがあるんです。自分の姿勢に合わせて角度や向きを変えられる気がするので、寝室にも持っていけるし、気軽に持ち歩けるんです。
タブレットとしては1.2kg以上という重さは片手で持ち続けるのは厳しいのですが、一連の作業の中の合間にふとタブレットにして持ち上げて、タッチスクリーンで指で拡大縮小、タップしながら使うことも出来ます。普通にラップトップPCのように使っていて、ふとその姿勢に疲れた時に、ほんの数分タブレットモードやテントモードにするだけで結構楽になったり、気分転換になります。その余裕は大きいです。
常にタブレットモードにする、常にテントモードにする、という使い方ではなくて、その場に応じてそういう使い方も出来るな、という気持ちの余裕が使い勝手の幅を広げてくれる。制限を取り払ってくれる、というのはあるかな、と感じます。
タッチスクリーンだって、普段は指紋付くからわざわざ意識的に使うことはないんですが、それでもカーソル移動させるよりもさっさと指で押しちゃったほうが楽だな、と思う時がありませんか?物理的に押せないのと、押せるけれど敢えて押していないのは全く違います。この辺り、うまく伝わるか自信がないのですが、今使っているラップトップPCがタッチスクリーン対応だったり、そのまま鷲掴みしてタブレットやテントのようにして使える、と思ったら、ちょっと使い勝手が変わってきませんか?
その他、細かい部分だけれど、個人的に気に入っているところを挙げてみます。
MicroSDメモリがしっかり奥まで挿さってくれるので、誤って折れたり抜けてしまう心配がありません。
欲を言えば、ThinkPad 13 Chromebookのように通常のSDメモリであれば、デジカメで撮った画像をそのまま読み込めるのですが、とりあえずこの挿入した状態でほとんどはみ出していないのは本当に助かります。
最近は外部ストレージ(MicroSDメモリ等)をダウンロードフォルダとして画像の編集から一時的なファイルの保管、作業場所として使っているので、こうしたちょっとした部分が意外と大きいのです。
これはThinkPad 13 Chromebookも同じなのですが、以前はこうした使い方を一切してこなかったので、他の方のレビューを読むたびに、なぜこんな細かいことにそこまでこだわるのかが分かりませんでした。でも実際に自分でもSDメモリを使うようになって分かりました。はみ出すか、はみ出さないかはかなり重要です。
この写真では挿さっていないのですが、HP Chromebook 13 G1の惜しいところは、少しはみ出してしまうのです。持ち運びで鞄の中やレザースリーブに入れる時に、ちょっと触れてしまってMicroSDメモリが抜けてしまわないか心配になる時がよくあります。実際には抜けたことはまだないのですが、そうした外観上の小さな心配事って意外と使う上で小さなストレスになったりするので、こうした使い勝手の差というのは馬鹿に出来ないと思っています。
従来型からの正常進化を求めるなら隙なく、また新たな可能性も持ったお薦めの一台です。
非常にバランス良くスペックアップさせ、余力も残しつつも無駄のない、バランスよくまとまった良モデル、というのが私の現時点での印象です。
私のようなスペックだけ考えたら更に上のChromebookを既に使っているようなユーザーでも「ダウングレード」させた感覚はなく、むしろ補って余りあるほどの可能性を持った楽しみなモデルだと思います。今後も考えるともしかしたら使い勝手は上かもしれません。
必要以上に性能を上げ過ぎず、必要なものを手堅くまとめて、かつ大きく変化はさせない。価格は確かに$500近いですが、全体の仕上げを考えたらかなり贅沢です。
とりあえず技適マークに関して、私と認識と解釈が大差ない方であれば、私は薦めたい。しばらくは第一線で使えるモデルになると思います。
では、まもなく発売されるSamsungの新作と比較するとどうなるのでしょうか。
これはまだProが出てきていない段階での評価となりますが、方向性は意外と似ているようで違うのかな、と思いました。
初代Chromebook Flip C100PA(10.1″)が気に入っていて、その軽さと小ささを活かした使い方をしている方には、今回のFlipは代わりにはなり得ないと思います。ただ、従来のChromebookが気に入って、そこで何かしら「惜しい」部分を感じていた方にとっては、今回のC302CAは非常に強力な選択肢になると思います。これは体感で違いを感じやすいという点ではSamsung Chromebook Plusよりもお薦めしたいと思っています。
あとはYouTubeやNetflixなどの映画や映像なども見たいと思っている方には、テントモードなども含めて従来の16:9を踏襲したスタンダードなC302CAのほうが使い勝手が良いはずです。
Samsung Chromebook Plusに関しては、既に手元に何かしらメインの1台があって、サブPCとして少し気軽な使い方をしたい(+αで新鮮さも求めた)方にとっては良いかな、と思っています。3:2の液晶はタブレット的使い方をするにはやはり便利ですし、通常の用途でも縦が広いのは何かと使い勝手も良いはずです。ただ、まだ実際に試してはいないものの、CPUがARM系でOctaneスコアも10,000弱のようなので、使い勝手としては「今まで少し感じていたモッサリとした感じ」が解消されたかな、というくらいの体感差かな、と思います。(この辺りはまた実物が手元に来てから試してみたいと思います。)
それよりも、今までのChromebookとはまた違った、Androidに近い、新しいChromeOSの方向性を楽しみに感じている方にとって、SamsungのProとPlusは魅力的なのではないか、と思います。ペンも使えますしね。
https://youtu.be/cCcKYUtBxJ8
この動画に何かしら惹かれる方には、Samsungを薦めたい。私は結構好きなので、既に12日を楽しみにしています。
今回のこのモデル。もちろん完璧ではありません。けれど、価格を考えればかなり頑張ったと思います。日本で発売されていない以上、日本における評価となると難しい部分はあるとは思いますが、Chromebookとは、みたいな「安くあるべきかどうか」で判断してしまうのは勿体無い、なんかもう心動いたらとりあえず買って試してみたら?と言ってしまいたくなる面白いモデルです。
でなければ、技適マークの有無が分からない内にわざわざ海外から取り寄せて、更に色々な方面に問い合わせた挙句、裏開けて中身確認したり、その上で何回も8,000字超えるようなレビュー書いたりしません。これは粗がないわけではないけれど、素直に面白い。私はとても好きなモデルです。
追記:2017年9月16日 22:30 更新
個人的にも大変お気に入りのこのモデル、ASUS JAPANの頑張りにより、日本でも発売されました。
価格は個人輸入と比べれば確かに高くはなりますが、国際保証ではなく国内保証が付き、日本語キーボード+技適マークの問題もないこのモデルは、一度は試してみて欲しいモデルだと思っています。
このモデルが国内市場でも受け入れられるようになると、Chromebook界隈もまた一段と面白くなるのになぁ・・。