2024年9月4日(水)、ASUS JAPANはコンシューマ向けとして、国内初となるCore Ultra搭載のChromebook Plusモデルを発表、同日より発売開始しました。
当ブログでは発売前に予めサンプル機をお借りする機会を頂いていましたので、今回も使用感をレビューしていきたいと思います。尚、あくまで「発売前のサンプル機」であり、実際に発売されるモデルとは仕様(お借りしたのは256GB SSDでしたが、発売されるのは128GB SSDモデル)や細かい動作の安定感等、異なる場合がありますので、その点はご了承ください。
また、情報解禁日は本日ではあったのですが、ASUS JAPANより事前にライブ配信での情報の発信の許可を頂いておりましたので、毎週金曜日の19時からYouTubeチャンネルにて行っておりますChromebook雑談配信において8月16日の回で、このサンプル機の検証を行っております。
ライブ配信で視聴者からのご質問を頂きながら色々とその場で画面を表示させながら試していったため、1時間47分と非常に長いものとなっておりますので、全てをご覧頂くのは大変だと思いますが、実際に色々なベンチマークを動かしたり、といった状況を画面を通して感じて頂けると思いますので、飛ばし飛ばしや倍速再生等で構いませんので、気になる所を摘まみ見していただけると嬉しいです。
また、こうした雑談ライブ配信を毎週行っておりますので、興味を持たれた方はYouTubeチャンネルのほうもご覧頂くとともに、チャンネル登録、コメント等頂けますと嬉しいです。よろしくお願い致します。
ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403) | ASUS日本
ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403)
Chromebook Plusが国内で発売されて半年、その間にChromebookに限らず、WindowsノートPCでも、その取り巻く状況は大きく変わってきています。
今回このChromebookに初めて搭載されたIntelのCore Ultra。
当初人工知能(AI)処理に特化したNPU(Neural network Processing Unit)を搭載したことで話題になったプロセッサーでしたが、その実まだまだOSやアプリ側での対応が不十分な部分もあり、実際にNPUを活かした作業というのは非常に限られていました。
また画像生成AIなど瞬発力を必要として負荷の高い処理に関してはNPUよりもむしろ従来のGPUのほうが強いこともあります。
NPUはあくまで「Webミーティングなどで背景ぼかしなど負荷は比較的少なめながらも長時間処理が必要なもの(前述の画像生成AI等を短距離走と例えるなら、こちらはマラソンのようなもの)」を使う際に、このプロセッサーに処理を任せることで、従来のGPU等での処理に比べて省電力に抑えられるので、バッテリーの持ちなどにも良い影響を与える、といったものでした。
各社から色々なモデルが出たものの、イマイチその辺りが分かりにくく、そうした中にその後MicrosoftがCopilot+ PCという規格を打ち出してきたことで、続々とそれ対応の、よりNPUも強めであり、特に「現時点では(今後はIntel、AMDも出してきますが)」ARM系のQualcommのSnapdragon搭載のモデルが発表されたことで、アッサリと過去のものになってしまったような印象も受けます。Copliot+ PCの要件を満たすには力不足、かといって単体のNPUとしては使いどころが非常に限られている、OSやアプリの対応もいまいち、ということで少し可哀想なところもある、このCore Ultra搭載PCですが、果たしてChromebookの場合はどうなんでしょうか。
結論から言うと、
「少なくとも現時点では」ChromebookにおいてNPUに対応したアプリはなく、OS自体も特に対応している訳でもないので、実質NPUはほぼ活かされていないので、基本従来のCPUの最新版、といったパフォーマンスでしかない。
というところです。
ただ、勿論最新のCPUというところで細かい部分でのパフォーマンスは若干ではありますが上がってはいます。ただ、反対に一部においては若干弱い部分もあり、その辺りはこの後お馴染みのベンチマーク結果などを参考にしながら触れていきたいと思います。
とここまで書くと「ただ無駄に高いだけ」という印象を持たれる方も多いと思いますが、決してそんなことはありません。
「端末貸出だから」という訳ではなく、個人的にはこのモデルの印象は比較的良好です。
誰に対しても薦められるモデルではないものの、しっかりとターゲットを絞ったスペック構成になっており、現時点での国内個人向け市場においては結構尖った、刺さる人にはしっかり刺さるモデルとなっていますので、その辺りを今回はしっかりお伝え出来ればと考えています。
スペック:既存のPlus機と比べて割高に感じられるが、その分液晶やインターフェース、指紋認証など細かい部分にコストがかかっている。
「Chromebook Plusって何?」といった疑問に関しては、以前国内初のChromebook Plusが発売された際のレビューで触れていますので、そちらをご参照頂けると嬉しいです。この「Plusが従来の機種(無印)とは立ち位置や方向性が違う」ことが理解出来ていないと、そもそもの価格設定などについての不毛な話が続いてしまいますので。
尚、今回スペック比較として用いるのも上記のChromebook Plus(CX3402)となりますので、同じく今年発売されたPlusモデルであり、実売価格もほぼ倍のこのモデルと何が違うのか、意識しながらこれ以降の文章をお読み頂けると分かりやすいかと思います。
ということでまずはスペックから。
品名 | ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus (CX5403) (CX5403CMA-QM0272) |
CPU | Intel Core Ultra 5 115U |
メモリ | 16GB LPDDR5X-6400 |
ストレージ | 128GB SSD(PCI Express 4.0×4接続 NVMe/M.2) |
液晶 | 14.0” 2,560×1,600 IPS ノングレア タッチパネル搭載 120Hz対応 |
ほか | 無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6E) Bluetooth 5.3 指紋認証付き |
バッテリー駆動時間 | 約12.1時間 |
インターフェース | Thunderbolt 4 (Type-C/Power Delivery対応) x2 USB3.2(Type-A/Gen2) x2 HDMI x1 ヘッドホン出力/マイク入力コンボポート microSDXCメモリーカード、microSDHCメモリーカード、microSDメモリーカード |
サイズ | 約313.7mm(幅) x 222.8mm(奥行き) x 16.9mm(高さ) |
質量 | 約1.4kg |
自動更新ポリシー | 2034年6月 |
価格 | 169,800円(税込) |
今回のモデルの特長としては先ほども触れたとおり、確かに「初のCore Ultra搭載」もあるのですが、それ以上に「高解像度(2,560×1,600)」「高リフレッシュレート(120Hz)」「指紋認証付き」など、あくまでPlusの要件を満たすラインに留まっていた従来のPlusモデルと比べてもしっかりと普段使いでの完成度を高めてきた点にあります。
また、「16GBメモリ搭載」に関しても、まだまだ理解は得にくいかもしれませんが、実際にビジネスの現場で使用されている方だけでなく個人ユーザーでも一部では16GBを望む声がそこそこありながらも現状、現行モデルにおいてはほぼ選択肢がない、という状況においては非常に稀少とも言えます。
価格が169,800円であることは確かに割高感を感じても無理はないと思いますが、数年前のChromebookの国内個人向け市場のハイエンドモデルは実際このくらいの価格帯でしたし、最新のCore Ultraプロセッサーを搭載している、と考えると10万超えはやむを得ないのかな、と。
実際にはCore Ultraが真価を発揮しているかどうかは判断が難しいのですが、そうした部分を含めても、全体的に一段上、もう一歩快適性(スペックだけでなく)を求める方、という少し尖った、ニッチな層に刺さるモデルとしてしっかり差別化を図ってきていると感じました。
ベンチマーク結果:NPUがほぼ活かせていない現状では、既存のPlus機とほぼ変わらずか、一部劣る部分もあり。
ということで、ここではChromebookでお馴染みの幾つかのベンチマークの結果を、他のスタンダード、もしくは人気のモデルと比較してみます。尚、今までのレビュー記事で用いていたベンチマークが幾つかバージョンがアップしていましたので、その辺りは新しいバージョンで再計測を行っています。
基本的にはChromebookのパフォーマンスに大きく影響するのは「CPU」と「通信環境」です。後者は各ユーザーごとに環境が異なるため判断が難しいのですが、CPUに関しては一応指標となる定番のベンチマークが幾つか存在しています。ベンチマークがすべての指標になるわけではなく、実際の場面というのはもっと多種多様ではあると思うのですが、ここでは目安として判断材料の一つとお考えください。
今回比較対象として、以下の2モデルを選びました。
- ASUS Chromebook Plus CX34
多くの方が気になるのは、やはり半年前に発売されたChromebook Plusと比べて実際どうなの?というところではないか、と思います。
実際にそちらのモデルは現在実売価格が7万円強となっていますので、今回のモデルは実質倍になりますし、その差を納得出来るだけのパフォーマンスがあるのかは気になる方が多いのではないでしょうか。 - HP Elite Dragonfly Chromebook
現時点での(今回のExpertBookを除いて)国内(法人向けモデルのみ)としては最上位のモデルです。今回ベンチマーク系が軒並みバージョンアップ等していたため、以前計測していたPlus CX34の数値がどうしても一部抜けてしまうため、比較対象として同じ世代のこちらのDragonfly Chromebookを持って来ました。
ただ、グラフィック性能等に関しては海外においてはゲーミングChromebookであるAcer Chromebook 516 GEがCore i5-1240Pを搭載しているため、こちらの方が上になりますが、国内現行モデルということでこちらを選びました。
ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus (CX5403CMA-QM0272) |
ASUS Chromebook Plus CX34 (CX3402CBA-MW0151) |
HP Elite Dragonfly Chromebook |
|
CPU | Intel Core 5 115U | Intel Core i3-1215U | Intel Core i7-1265U |
ブラウザーベンチマーク | |||
Octane 2.0 plus | single : 74,692 multi : 384,771 |
single : 82,844 multi : 未計測 |
single : 88,180 multi : 436,221 |
Speedometer 2.0 | 281 | 276 | 258 |
Speedometer 3.0 | 16.6 | 未計測 | 17.2 |
CrXPRT2 | 184 | 181 | 183 |
Androidアプリ版ベンチマーク | |||
Geekbench 5 | single : 1,329 multi : 5,433 |
single : 1,462 multi : 4,870 |
single : 未計測 multi : 未計測 |
Geekbench 6 | single : 1,617 multi : 5,930 GPU : 5,256 |
single : 未計測 multi : 未計測 GPU : 未計測 |
single : 1,981 multi : 6,874 GPU : 11,476 |
Geekbench AI | CPU : 計測エラー GPU : 487 / 630 / 483 NNAPI : 169 / 169 / 97 |
CPU : 未計測 GPU : 未計測 NNAPI : 未計測 |
CPU : 計測エラー GPU : 758 / 1,090 / 819 NNAPI : 202 / 200 / 104 |
PCMark Work 3.0 | 12,000 | 13,060 | 14,612 |
3DMark – Sling Shot | 8,090 / 8828 – 6259 | Maxed Out ! | Maxed Out ! |
3DMark – Sling Shot Extreme | Maxed Out ! | Maxed Out ! | Maxed Out ! |
3DMark – Wild Life | 8,497 / FPS 50.88 | 7,093 / FPS 42.48 | 8,857 / FPS 53.04 |
3DMark – Wild Life Extreme | 2,486 / FPS 14.89 | 1,696 / FPS 10.16 | 2,451 / FPS 14.68 |
ChromebookではChromeブラウザー上で作業を行うことが多くなります。そのためベンチマークもブラウザーベンチマークを中心に評価されます。上記の表の内、最初の3つがそうしたブラウザーベンチマークです
1番めのOctane 2.0はChromebookではお馴染みのベンチマーク。既に古くなってしまっているのですが、今までずっと使われてきたこともあり、過去のモデルの測定結果なども蓄積されていますし、そうした点でもChromebookのパフォーマンスを比較するのに今でも重宝するベンチマークです。
2番めのSpeedometer 2.0はAppleのWebKit開発チームが公開している、モダンなWebアプリケーションのための応答性ベンチマークになります。
3番めのCrXPRT2は最近使われるようになりました。Chrome拡張機能として使うことが出来、Chrome OSの総合性能を計測できる、HTML 5ベースのベンチマークテストになります。
比較対象のASUS Chromebook Plus CX34に関しては私は発売前のサンプル機をお借りしての検証の際の数値となりますので、市場に出回っているモデルとは若干異なる場合がありますが、ご了承ください(むしろもしお持ちの方は「未計測」の部分のデータ、提供頂けますと助かります)。
今回幾つか新たなベンチマークを追加しました。ベンチマークの数値が全てではないのですが、客観的な視点での比較となると、(実用に即した状況ではないとしても)ベンチマークの結果に頼らざるところが悩ましいところです。
結果に関しては従来より発売されている国内のPlusモデルとそこまで差はありません。一部スコアでは若干低めに出ているものもあり(もちろん高いものもありますが)この辺りは実仕様においてはほぼ違いは感じられないと思います。
ただ、唯一挙げるとすれば、今回のモデルはメモリが16GB搭載ということで、Chromebookにおける主な用途でもあるChromeブラウザーにおいて多くのタブを同時に開きながら、かつGoogle Meetの画面も共有、更にバックグラウンドで他のアプリも起動させながら作業する、といった、個人向け一般用途だけでなくビジネスの現場において多いであろうシチュエーションに関しては充分にその真価を発揮してくれると思います。
実際、ネットでの声を眺めていても「8GBが最近少し辛くなってきた」という声もちらほら目にしますし、私自身も最近は専ら16GBメモリ搭載の2モデル(HP Elite Dragonfly ChromebookとAcer Chromebook 516 GE)を手に取ってしまうことが多いのも、メモリ容量による安心感が大きいと思っています。
実使用感は単なるベンチマーク結果のみで評価出来るものではなく、あくまでキーボードやタッチパッド、液晶や重さ、大きさなど様々な要因が重なって決まるものです。
この数値のみを見て「ExpertBook高いだけで大したことないな」と判断される可能性があるのはもどかしいのですが、ExpertBookの良さはむしろこのベンチマーク以外の部分にある。そうした快適性にコストがかかっている。と考えて頂けたら、と思います(次項から触れていきます)。
液晶:貴重な高解像度・高リフレッシュレートのタッチ対応ノングレア液晶。GeForce NOW Ultimateも快適に遊べる。
個人的にはこのモデルがこの価格帯でも仕方ないのかもな、と思える要因の一つがこの「高解像度、高リフレッシュレート」の液晶を搭載した数少ない(国内唯一の)Chromebookである点です。
そりゃ世の中その程度の条件なら数万円から外部モニター等で中国製をAmazonで買えたりする世の中です。大したことでもないかもしれませんが、以前からChromebookでもう少し高解像度を、と求めていた方はそこそこいたと思うんですね。
14インチで最大解像度2,560×1,600まで上げてしまうと流石に文字はかなり小さくなってしまうのですが、意外や意外、ここ最近「目ガー」「首ガー」と老いを感じ始めていた私にしては珍しく、今回の液晶はこの解像度でも「一応それなりに使える」な、と感じました。
鮮やかさを求める方にはグレア液晶の方が良いのかもしれませんが、個人的にはノングレア液晶で正解。というのも、このモデル、液晶が360度回転してタブレットのようにも使えるコンバーチブルタイプではなく、一般的なノートPCと同じクラムシェルタイプなんですね。液晶自体は180度までは開きませんが、それに近い角度までは開きます。
あと、国内のChromebookとしては初のリフレッシュレートが120Hzとなっています。
これは通常の画面スクロールでも確かに分かる部分ではあるのですが、個人的に惹かれたのが、
「解像度2,560×1,600、120Hzリフレッシュレートということは、GeForce NOWのUltimateプランにも耐えうるってことじゃん」
ということです。
「RTX4080、4K、120FPS」で遊べるクラウドゲームサービスがGeForce NOWのアルティメットプランですが、Chromebookなどブラウザーで遊ぶ場合には2,560×1,440までとなります。ただ、従来この解像度とリフレッシュレートを出せるChromebookは国内にはなく、海外のゲーミングChromebookのごく1部のみに限られていました。でもそれが今回は「ゲーミングChromebook」と謳っていないのに対応している訳です。
実際に私は自分のYouTubeチャンネルで毎週水曜日19時から「CheomebookでPCゲームを遊ぶゲーム配信」を100回以上続けてきていますが、時々このUltimateプランでAAAタイトルを遊んだりします。充分に快適に遊べます。
また、ノングレア液晶が個人的に推しなのは、やはりChromebookでの私の用途が文章作成などがメインだから、というのもあると思います。グレア液晶は確かに鮮やかに見えるとは思うのですが、反射、映り込みが気になることも多々。
液晶がタッチ対応になったことで、約100g程度重量が増えてしまったことは好みが分かれるとは思いますが(このモデル、海外ではタッチ非対応で約1.3kgのモデルも存在します)、ネットの声を聞いてみると意外と「液晶はタッチ対応じゃないと使いづらい」という声も目にするので、そうした需要に合わせた結果でしょうか。
キーボード:悪くないけど、汎用金型はいい加減何とかなりませんか。キーボードバックライトが残念。
はい。ここ言い出すとクドくしつこく長くなるので手短に。
キータッチは悪くありません。いつものASUS JAPANのペチペチキーボードが若干フンワリした感じ(分かりにくくて申し訳ないです)。
気になるとすれば、相変わらずのキーボードバックライトですね。上の写真を見てもらうと若干分かるのですが、グレーにフォントが透明という組み合わせなんです。で、キーボードバックライトをONにすると、透明部分が光ります。
これ、比較的明るい場所でキーボードバックライトが光ってると、フォントが見えなくなるんです。それが非常に見づらい。まぁ暗いところでは使わず常時キーボードバックライトはOFFにして使えば良いのですが、それだったらキーボードバックライトの意味がないわけで、このパターン、ここ数年のASUSのキーボードバックライト付きのモデルのお馴染みの組み合わせなんですが、もう少し何とかならないですかね。
このモデル、169,800円です。Windows PCだったらコスト重視の手頃な価格の汎用モデルかもしれませんが、一応現時点では国内個人向け最上位モデルですし、そうでなくても17万円近くかけてChromebookを買う人ってそういないと思うんです。
でも(主に)台湾メーカーってこのパターン多いんですよね。USや世界のキーボードと汎用の金型を使って流用して、キーだけ変えるパターン。確かにその方が国毎に金型造らなくて良いからコスト削減になるのかもしれませんが、その影響を受けるのが結果としてUSキーボード以外の国になる訳です。
まぁChromebookなんてまだまだ使われている、販売されている国自体限られているわけで、そりゃUS優先になるのは分かりますが、ハイエンドモデルや高価格モデルでこれやられると流石に少し萎えます。まぁASUS、40万とかするハイスペックWindows PCでもこのパターンやるのでそもそもキーボードにはコダワリないんだと思うんですが。
にしても言いたい。これ、AppleがMacBookでやったらどうなりますかね?「斬新なキーボードレイアウト!さすがApple!ジョブズもあの世で涙流してる!」ってベタ褒めしますかね?
色々ロットの問題とかあるとは思うのですが、片や他メーカーでも、またASUS JAPAN自身も過去に専用金型のJIS配列キーボードのChromebookを出していたことがあったのですから、その辺上位モデルくらいは考えて下さい(もう何年同じ事言ってるんだろう‥。)
その他外観等:そこそこ高級感。Thunderbolt端子は今のところまだ用途が限られているけど、全体通して悪くない感じです。
最後に外観を見ていきます。天板は高級感とまではいかないものの、それなりに上位モデルの印象はあります。分かりにくいですが、上部の横に一本入ったラインと、左上の「chromebook plus」のロゴが良い感じです。
Intel Core Ultraプロセッサー搭載ということで、吸排気は底面吸気、
キーボード奥の液晶との間からの排気になります。ある程度負荷がかかるとそれなりにファンと排気の音がしますが、その辺りはハイスペックモデルなので仕方ない部分でもあります。
指紋認証に関しては、サインイン時には使えませんが、スリープからの復帰には重宝するので、やはり無いよりはあったほうが便利なのは確か。
インターフェースに関しては、左側面にはケンジントンロックとThunderbolt 4端子が1つとmicroSDカードリーダー。
右側面にも同じくThunderbolt 4端子が1つとHDMI、USB3.2 Type-A/Gen2が2つ、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャックとなります。
Thunderbolt 4端子が両側面にあって、充電含め左右両方のどちらからでも出来るのは良いのですが、若干その他の端子類が右側面に集まりすぎているのが人によっては気になる所かな、と思いました。まぁ1つ1つのポートが干渉し合うことはないとは思うのですが、例えばUSB3.2 Type-A/Gen2が1つだけでも左側面にあるだけでも少し使い勝手が変わるかなぁ、と。それ以外は気になる所はないです。
まとめ:ここ最近個人向け市場で「ぽっかり空いていた」価格帯で、一部の層のニーズを満たすニッチながらも貴重な一台。
今回貸出機だからと忖度している訳ではなく、むしろこのモデルの特長というか魅力はここからの話にあると思っています。
それが「トータルとしての完成度の高さ、スペックのバランスの良さが、結果として使い勝手を大きく向上させている」という点です。
前半でも触れましたが、実使用感というのは単なるベンチマーク結果のみで評価出来るものではありません。搭載されているキーボードがイマイチ自分にとって使いづらかったり、タッチパッドの反応が悪かったりすれば、それだけでも小さなストレスとなります。正直ベンチマークはある一定の条件下におけるパフォーマンスに過ぎないので、ある一面においての客観的な比較においては有用ですが、実使用となるとやはりそれ以外の部分が大きいと考えています。
その点で今回のモデル、まずは型番から見て頂きたいのですが「CX5403」、つまり現行発売されているPlusのスタンダードモデルであるCX34の「CX3402」と比べると「CX5」と1つ上のラインに位置づけられていることが分かります。
確かに半年前に発売された国内初のChromebook PlusであるCX34及びCM34 Flipは価格とのバランスを考えると「よくこの価格で出せたな」と思えるくらい、(あまりこういう表現をしたくはありませんが)コストパフォーマンスに優れたモデルだと考えています。
実際実売7万円前後でこの辺りのモデルを普通に出されてしまうと、普及価格帯スタンダードモデルを買おうと思っていた方も充分に選択肢に入ってしまいます。でいて、現在Chromebook Plusを購入すると「Gemini Advancedが使える」Google One AIプレミアムプランを12ヶ月無料でお試しも出来ます。これだけでも普通に使おうとすると数万円かかります。でいてパフォーマンスは充分に高い。普段使いをするのであればこれで充分満足出来ると思っています。
ただ、これに満足出来て完結出来る方も多いとは思うのですが、使っていくと細かい部分で「もう少し○○だったら‥」みたいな部分が出てくるんですね。
「折角なら液晶がもう少し高解像度だったら」「指紋認証付いてたらなぁ」「8GBで充分だと思ってたけど、いざ使ってみたらメモリが最近カツカツだ‥」
こうしたちょっとした部分をすべて満たそうとすると結局その分コストが上がってきます。その意味でも、今回のこのモデル、海外では8GBメモリのモデルもあるようなのですが、値段が上がっても敢えて16GBを搭載した上位構成で出してきたのは非常に評価したいと思っています。
万人に受ける、オススメ出来るモデルではないものの、「Chromebookをある程度使ってきて、自分の中の要不要が分かってきた方」「自分にとって求める快適さの基準が上がってきた方」にとっては結構刺さる部分の大きいモデルではないか、と考えています。
国内Chromebook市場においては、この価格帯のモデルは何も初めて、というわけではなく、以前からそこそこ出てはいました。ただ、当時の国内状況を考えると、特に個人向けにおいては受け入れられるような土壌は育っていませんでした。
ただ、Plus発売から半年、CX34をはじめとしたPlusモデルは私の肌感覚としても「思った以上に売れているな」と感じています。こうして実際にスペックの高いChromebookに触れた方が「それだったらWindows PCやMacBookで良くね?」というのではなく「あれ?ハイスペックのChromebook使ってみたら、何かこれはこれでかなりアリなんだけど」と感じた時の次のステップとして。「あくまで必要な条件をギリギリ満たしたPlus機では飽き足らなくなってきた」ユーザーにとって。また以前からガチで使い込んできて、そもそも既に「16GBじゃないとダメな身体」になってしまったのに、後継となれるモデルがなくて困っていた方にとって。
こうしたモデルがまた国内「個人向け」市場に出てきたことは喜ばしいことですし、その最初を踏み出したのがやはりというか、国内個人向けChromebook市場をずっと見捨てず商品展開し続けてきているASUS JAPANだったことが、大変嬉しく思ってます。
ということで、「17万円出すなら」と思っている方は無理して選択肢に入れる必要はありません。そういう人向けのモデルじゃないから。ただ、この辺りを待ち望んでいた人もいるので「個人の感想」に留めておいてください。
私の場合は現時点で16GBメモリ搭載のモデルを既に2モデル愛用しているので、「即購入」とはなりませんが、それはあくまで私の状況が特殊(何せ1台は法人限定モデル、もう1台は海外モデル)なだけですので、以前出ていた16GB搭載モデルの後継を探していた方は是非一度検討してみてください。
あとは、Googleさんの頑張りというか気分次第なのですが、OSベースでないとしても、せめてChromeブラウザーをNPUを活かせるようにアップデートしてくれませんかねぇ。Chromeブラウザーであれば、Chromebookに限らずWindows PCでも愛用者が多いわけで、NPUの恩恵が受けられる、となればそれだけでも大きなアピールポイントになると思うのですが。
ただ、しつこいけど最後に繰り返し言っておきます。
「いい加減、汎用金型のキーボードは普及価格帯スタンダードモデルだけにしてくれ。そこだけは萎えるから。Appleがやったら炎上するでしょ?」
ASUS ExpertBook CX54 Chromebook Plus(CX5403) (CX5403CMA-QM0272)