2023年7月25日、Lenovoが国内で新たに発表、発売した新作Chromebook、IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen8。
国内向けChromebookとしては初めて、Intel製のN100プロセッサー(Alder-Lake N)を搭載したモデルというだけでなく、発売当初から実売価格が4万円強ということもあって、話題になりました。
私はAmazonで発売開始になったタイミングで注文(8月7日)、なかなか発送されない内に他ショップ(楽天市場店等)で購入された方のほうが先に届くなど、到着まで紆余曲折がありましたが、8月19日にようやく到着、そのまま(その日から鎌倉2泊の予定だったため)持ち出して使ってみました。
8月初めから9月にかけて少々バタバタしていたこともあり、レビュー自体すっかり遅れてしまい若干旬を逃してしまった感はあると思いますが、ようやく在庫や価格も安定してきたようですし、まだまだ情報も少ないと感じますので、今回改めてレビューをしてみようと思います。
IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen 8 (Intel) | 外出先で機敏に使える2-in-1 Chromebook | レノボ・ジャパン | レノボ・ ジャパン
ちなみに文章作成時点でAmazonでは3,500円引きのクーポンが発行されているので、39,800円になっています。
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尚、私のレビューの性格上、ただひたすらに全てを取り上げると1万字を超える収拾がつかなくなるパターンが多いことから、「そこまで気にならなかったこと」「私の中で大して重視していなかったこと」などは一部省いていますが、それらは別にメーカーに忖度している訳でも都合の悪いことは触れないようにしたわけでもないことを予め断っておきます。
また、使用感についてもあくまで私の日常の用途において、ですので、お読み頂いているあなたの用途で同様の使用感が得られるかは別となりますので、その点もご理解ください。
Lenovo IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen8 (Intel)
詳細についてはこの後スペックを載せますが、今年の初めからChromebook界隈でも話題になっていたIntel製N100プロセッサーを載せた国内最初のモデルとなります。
このN100、聞き覚えのない方も多いと思いますが、Intelが従来使われていた「Celeron/Pentium」などの名称を廃止し、今後「N100/N200」といった名称に統一していく、と発表していました。(ちなみにPentium、Celeronだけでなく、Coreシリーズも今後iなどの表記を止めていくだけでなく、i3などは一部このNシリーズでも使われていく)。
従来CeleronやPentiumといえばイメージされるような低スペック、産廃、といった印象を払拭するかのように、先行して搭載されていたWindows PCでも4〜5年前のCore i3/i5辺りと良い勝負をする、という噂もあり、その点でも期待されていました。
ただ、Chromebook、今までもそうなのですが、Windows PCに比べるとプロセッサーの採用がワンテンポ遅い。先日Intelの方に聞いたところ、別に「Chromebookだから出し渋っている、という意図は全くなく、むしろあくまでうちはプロセッサーを出しているだけであって、そんなことは出来ない。あくまでメーカーが今この時期にChromebookでどの辺りを載せていくか、で購入して頂いているだけなので、今後またネクストGIGA(2025年)に向けて各社これからN100の採用も増えていくのではないか」とのことでした。
ということで、個人的にはこのN100のパフォーマンスが気になっていただけでなく、これも後述しますが、昨今の11.6″〜12″近辺のChromebookは軒並み最大解像度が1,366×768〜912であったのに対して、このモデルはIPSパネルで1,920×1,200と充分に高解像度の液晶を搭載していることでも話題になっています。
スペック
ということで、まずはスペックをサラッと見ていきます。既にここまでで触れてきた内容もありますが、スペック表の後にポイントをまとめておきます。
品名 | Lenovo IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen8 (Intel) | |
CPU | Intel Celeron N100 | |
メモリ | 4GB LPDDR5 | |
ストレージ | 64GB eMMC | |
液晶 | 12.2” 1,920×1,200 IPS グレア | |
ほか | 無線LAN:Wi-Fi 6対応(IEEE802.11a/b/g/n/ax/ac 準拠) Bluetooth 5.1 |
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バッテリー駆動時間/充電時間 | 約12.0時間 / 約1.8時間 | |
インターフェース | USB3.2(Type-C/Gen2) x1 USB3.2(Type-A/Gen1) x2 HDMI ヘッドホン出力/マイク入力コンボポート microSDXCメモリーカード、microSDHCメモリーカード、microSDメモリーカード |
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サイズ | 約284mm(幅) x 210mm(奥行き) x 18.4mm(高さ) | |
質量 | 約1.25kg | |
自動更新ポリシー | 2031年6月 | |
価格 | 45,870円(税込) |
今回のモデルの特徴としては
良い点
・国内におけるChromebookにおいては初のIntel N100プロセッサーを搭載。予想以上に良好なパフォーマンス(後述)。
・本体とキーボードを切り離すことでタブレット的にも使うことが出来るDetachable端末を除けば、通常のクラムシェルやコンバーチブルタイプ、液晶サイズ13.3インチ未満のモデルとしては貴重な解像度FHD以上(1,920×1,200)。
・液晶サイズ12,2インチ、重さ約1.25kgと比較的コンパクトなモデルでありながら、外部出力端子としてHDMIを標準で搭載。
・このスペックでこの価格(45,870円)は従来のChromebookの普及価格帯スタンダードモデルの基準を大きく変えたと思う。
惜しい点
・メモリ搭載容量が4GB。実際のところ(後述)思ったよりも不便さは感じないものの、せっかく快適に使えるだけに「気持ち的に」なんとなく不安というか気になってしまう。できれば8GB搭載してほしかった(搭載していればほぼ穴はなかった)。
簡単にまとめると、「いや、これの売れ方次第では普及価格帯の基準が大きく変わる(前進する)と思う」という感想です。
ということで、この辺りについてこのあと触れていきますが、まず肝心の処理速度に関してベンチマークから見ていきたいと思います。
ベンチマーク結果
ということで、ここではChromebookでお馴染みの幾つかのベンチマークの結果を、他のスタンダード、もしくは人気のモデルと比較してみます。
基本的にはChromebookのパフォーマンスに大きく影響するのは「CPU」と「通信環境」です。後者は各ユーザーごとに環境が異なるため判断が難しいのですが、CPUに関しては一応指標となる定番のベンチマークが幾つか存在しています。ベンチマークがすべての指標になるわけではなく、実際の場面というのはもっと多種多様ではあると思うのですが、ここでは目安として判断材料の一つとお考えください。
今回比較対象として、ハイスペックモデルと普及価格帯スタンダード、それぞれ2モデルずつと比較することにしました。理由としては、今回のモデルは一応便宜上はN100プロセッサーはCeleron/Pentiumのリネームとはされているものの、発売前から一部サイトから数世代前のCoreプロセッサー搭載モデルとも良い勝負をする、との情報を得ていたからです。
そこでまずはChromebookでも(現行ではありませんが)ひと世代~二世代前の以下の2モデルを選びました。
- 富士通 FMV Chromebook 14F
発売は2021年末ということで、決して最新のモデルではありませんが、2022年一年間を通して、現行モデルとしては恐らく多くの方が一度は興味を持たれたのではないか、と思われる、非常に完成度の高いモデルです。
日本語入力に最適化されたキーボード、Celeron 6305もしくはCore i3-1115G4とバランスの取れたスペックで、昨年の14インチのスタンダードの1つだったと思います。CPUは第11世代のIntel製Core i3。 - HP Chromebook x360 13c(2021)
Intel第10世代Coreプロセッサーということで、今では3世代前のモデルではあるのですが、それでもChromebookにおいては第10世代搭載モデルとしては最後に登場、あらゆる機能を詰め込んだ最上位、ハイエンドモデルとして15万円前後で出たモデルです。最後に半額近くで売り切ったため、その際に購入して今も愛用している方も意外といるのではないか、と思います。
Lenovo IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen8 | 富士通 FMV Chromebook 14F | HP Chromebook x360 13c(2021) | |
CPU | Celeron N100 | Core i3-1115G4 | Core i7-10510U |
ブラウザーベンチマーク | |||
Octane 2.0 | 43,036 | 57,855 | 49,503 |
Speedometer 2.0 | 135 | 174 | 134 |
CrXPRT2 | 124 | 146 | 133 |
Androidアプリ版ベンチマーク | |||
Geekbench 5 | single : 809 multi : 2,110 |
single : 1,143 multi : 2,279 |
single : 1,031 multi : 3,212 |
PCMark Work 3.0 | 9,629 | 11,277 | 10,553 |
3DMark – Sling Shot | 5,003 | Maxed Out! | 5,327 |
続いて、普及価格帯スタンダードの現行モデルより以下の2モデルを選びました。
- ASUS Chromebook Flip CX1102
私自身もこのブログで今年レビューした11.6”のスタンダードモデル。 当時のレビューで思っていた以上に現行スタンダードの基準が上がったことに驚きました。恐らく来年のGIGAスクール構想で導入されるのはこの辺りのスペックになってくるのではないか(N100は流石にまだ厳しい気もしなくはない)とも感じています。 - ASUS Chromebook CM14 Flip
私が今年個人的にIntel製プロセッサー以上に楽しみにしていたMediaTek製Kompanioプロセッサーのエントリー向けである520を搭載したモデル。電池持ちにも優れ、ベンチマークには現われない部分でそれなりに快適な操作性もある、現行スタンダードとしては選択肢の1つに入ってくるモデルだと思います。
Lenovo IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen8 | ASUS Chromebook Flip CX1102 | ASUS Chromebook CM14 Flip | |
CPU | Celeron N100 | Celeron N4500 | Kompanio 520 |
ブラウザーベンチマーク | |||
Octane 2.0 | 43,036 | 28,356 | 22,271 |
Speedometer 2.0 | 135 | 76.7 | 54.7 |
CrXPRT2 | 124 | 81 | 76 |
Androidアプリ版ベンチマーク | |||
Geekbench 5 | single : 809 multi : 2,110 |
single : 610 multi : 1,132 |
single : 506 multi : 1,487 |
PCMark Work 3.0 | 9,629 | 7,181 | 7,266 |
3DMark – Sling Shot | 5,003 | 2,865 | 2,152 |
ChromebookではChromeブラウザー上で作業を行うことが多くなります。そのためベンチマークもブラウザーベンチマークを中心に評価されます。上記の表の内、最初の3つがそうしたブラウザーベンチマークです
1番めのOctane 2.0はChromebookではお馴染みのベンチマーク。既に古くなってしまっているのですが、今までずっと使われてきたこともあり、過去のモデルの測定結果なども蓄積されていますし、そうした点でもChromebookのパフォーマンスを比較するのに今でも重宝するベンチマークです。
2番めのSpeedometer 2.0はAppleのWebKit開発チームが公開している、モダンなWebアプリケーションのための応答性ベンチマークになります。
3番めのCrXPRT2は最近使われるようになりました。Chrome拡張機能として使うことが出来、Chrome OSの総合性能を計測できる、HTML 5ベースのベンチマークテストになります。
数字の羅列で見にくくて申し訳ないのですが、「予想以上に(人によっては予想通り)」かなり頑張っているのではないか、と思います。
もちろんベンチマークの数値が全てではないのですが、それでもこうした客観的な測定値で、数年前のハイエンドモデルであるHPのChromebook x360 13cのCore i7モデルに肉薄しているのを見てしまうと(もちろんハードウェア的な質や機能、メモリやストレージ容量など、コスト差は充分に出てしまうものの)嬉しいような、何か切ないような気持ちにもなります。
そして従来「CeleronとかいうゴミCPU使ってるゴミ」とネタにされていたChromebookが、そんなCeleron/Pentiumのリネームとも言えるN100プロセッサーを搭載させたことで、単なるイメージチェンジだけでなく、実際にスペック的にも充分に(そういうCeleronというだけでゴミ呼ばわりしていた方々にとっても)実用的なレベルになってきているのではないか、と思います。(もちろんChromebook、ChromeOS自体の使い勝手で酷評している方はどんなスペックだろうとダメだと思うので除く)
また、普及価格帯スタンダードモデルでも今年前半に発売されたばかりのCeleron N5100やMediaTek Kompanio 520を載せたモデルと比べても1~2段階上の性能を持っていることが分かるのではないか、と思います。
要はここで何が言いたいか、というと、「これで4万円台?」ってことなんですね。
もちろん旧世代のモデル、型落ちモデルを投げ売りやセールで買うのであれば、確かに従来でもこの価格帯で入手することは「可能ではある」んです。ただ、それってあくまで例外ですよね?今回の場合は「最新モデル」(端末のサポート期間である自動更新ポリシーの期限は「2031年6月」)において、実売価格(キャンペーン価格ではなく)で4.5万円のモデルでこのパフォーマンスが出るようになってしまった、ということです。
それでは細かい部分について少し見ていきます。
外観・キーボード・タッチパッドについて
外観は一般的なLenovoのFlexシリーズの雰囲気を踏襲。特徴としてはWebカメラ部分(プライバシーシャッター付き)が少し盛り上がっているのが印象的。
開く際に指を当てやすいのでここはなかなか面白いな、と思ったのですが、敢えて欲を言えば指一本で開ければ良かったのですが、そこはChromebookのハイエンドモデルでもなかなか無いのでコスト的にも仕方ないところかな、と思います。
キーボードは一般的な日本語配列。これはもう日本語配列である以上(キー数が英語配列より多くなるため)仕方ないのですが、右上端のBackspaceとその隣の「¥」が詰まった感じになって(特に「¥」が通常より小さくなって)しまいます。
こうした英語配列とのキー数の違いによるキーバランスの崩れが起きてしまうのは仕方がないことなのですが、今回のモデルに関しては、それ以外は比較的素直なキーバランスだな、と感じました。
液晶サイズ12.2インチとなるとどうしても13.3インチ以上のモデルに比べると全体的にキーがつまり気味、窮屈な印象を受けることが多いのですが、その点見た目的にもバランスは良いな、と感じます。
人によって気になるとすれば、左altキーを広めに取った分、スペースキー側のキー穴に「英数」「かな」を詰め込んだため、スペースが若干短いことです。ただ、ここは好みで、むしろこの方が使いやすい、という方もいると思います。
あと、個人的に今回このモデルの好印象に繋がったのが「タッチパッド」です。
反応が非常に良い。指触りも悪くない(個人的には好み)んですね。ラップトップPC、特にChromebookだとタッチパッドの使用頻度が非常に高くなるので、ここの反応が悪かったり、悪くないまでもあまり反応が良くない、というだけでも積み重なると大きなストレスになるんですが、このモデルに関しては非常にスムーズに反応してくれるので、このあたりは頑張ったなぁ、と感じました。
12インチ台の液晶サイズモデルとしては貴重なFHD以上の解像度
色味については好みがあるのでなんとも言えませんが(Xでは「青みがかっているのが残念」という意見もありましたので)私的にはそこまで気にはならないかな、と。
それよりもクドいようですが13.3インチ未満のクラムシェル(コンバーチブル)タイプのモデルでFHD以上の解像度を出すことが出来るモデルって非常にレアだからです。
(この部分、つい先程まで「初」だと思い込んでいてネット上でも熱く語っていたんですが、初代Pixelbook(日本未発売)が12.3インチ、また国内発売モデルでも以前発売されていたASUS Chromebook Flip C302CAがFHDだったことに気づきませんでした。ただ、手頃な価格帯のChromebookとして考えると従来は12インチでは1,366×912のパターンだったので、珍しいことは確かです)
最大解像度は1,920×1,200(ネイティブ)ということで、若い方や小さい画面でも高解像度が問題ない方であれば従来の同サイズのモデルに比べて作業領域が広がりますので便利ですし、私のように目がそろそろ厳しくなってきた方でも、ある程度倍率を上げることで十分に実用的になります(私の場合は1,600×1,000で使っていますが、これでも十分に便利です。)
ちなみに表示できる解像度は
1,920×1,200(ネイティブ)
1,714×1,071(70%)
1,600×1,000(75%)
1,500×937(80%)
1,412×882(85%)
1,333×833(90%)
1,200×750(デフォルト)
1,043×652(115%)
923×577(130%)
となっていて、私は1,600×1,000(75%)で常用していますが、もう一段階細かい1,714×1,071(70%)でもいけるかな、と感じました。
ベゼルも比較的細めなので、前述のASUS Chromebook Flip C302CAと比べても新しさを感じると思います(人によっては後継的な立ち位置で考える方も十分にいるのではないか、と感じました。)
気になる点としてのメモリ容量4GBについて
今回のこのモデル、実売価格が4万円台と、従来の普及価格帯スタンダードモデルの基準よりも若干安め(大体基準は5万円強)でありながらも、ここまで触れてきたようにスペック面でもほぼ不満のないどころか魅力的な構成であるだけに、惹かれている方も多かったのですが、反面ネットで多く目にしたのが「メモリが4GBの時点で候補から外れる」「8GBあれば買ったのに」といった意見です。
とても分かります。
私がChromebookを使い始めた7年以上前は、まだまだ国内外でも2GB RAMのモデルも多く、「4GBは欲しい」と言われていました。ただ、そんな時でも8GBメモリは「Chromebookは低スペックでもサクサク動くのが魅力なのに8GBとか無駄w」と馬鹿にされていたのを覚えています。
最近でもChromebookは低スペックでもサクサク動くことだけが唯一の魅力、という意見は根強いのですが、かといって、実はブラウザーベースで出来ることもどんどん増えてきていますし、単純なWeb閲覧一つ取っても実は地味に重くなってきている(とともに通信環境もどんどん高速化していっている)のはお気づきなのではないかと思います。
また、用途によるのですが、この数年のリモートワークなどでZoomやMeetを起動させながら、画面を共有させつつ、更にブラウザーで調べ物をしながらミーティングを行う、といった同時並行作業を行うことも増えてきたのではないか、と思います。あとはChromeブラウザーでタブを5個や10個どころではなく、それ以上開きっぱなしで作業する、という方もいるのではないでしょうか。
そうなると、やはり4GBメモリというのは不安を感じます。一般的なPCの感覚で考えればOS+αで少々簡単なことを行うだけで4GBはいっぱいいっぱいになります。幾ら軽いChromeOSといってもやはりここは8GB、特に今回のように一昔前のハイスペックChromebook並のパフォーマンスを発揮するのであれば、当然出来ること、やりたいことも増えてくるので、8GBは欲しくなりますよね。
その点は私も非常に「惜しい」と感じます。これは理屈以前に「感情」的な部分でも思います。やはりどうしても「4GB大丈夫か・・?」という漠然とした不安を抱えながら作業するのは落ち着かないものです。
と、前置きが長くなりましたが、そうした懸念もありましたので、実際に今回、ある程度負荷をかけた状態での挙動、モタツキ等を試してみました。
簡単に言うと「Google Meetを起動してブラウザーの画面を共有、更に背後でChromeブラウザーでタブを5〜10個開いた状態で切り替えつつ、更にYouTubeで動画を流す」という状態でのモタツキと、実際のChromebook場のメモリの使用率とスワップ(メモリで足りなくなった部分を内部ストレージeMMC上にスワップメモリを一時的に作成して、そこに退避させつつ動作させる)させた状態を調べてみたのですが・・
Lenovo IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen8。試しにChromeでタブ15個ほど開きつつ、XとYouTubeを開き、YouTubeの画面をMeetで画面共有しながらタスクマネージャーやシステムで様子見つつcroshでスワップ状態見た状態がこんな感じ。メモリ4GBはほぼ使ってるけど、Swapはこれでも半分くらいFreeあるみたい pic.twitter.com/EsUDmWMSZg
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) August 20, 2023
この程度であれば、案外普通に動きますし、確かにスワップも使っていますが、だからといってモタツキを感じるようなことはありませんでした。
もちろんだからといって4GBメモリでもどんな作業も大丈夫です!というつもりはありません。今回はGoogle MeetはWebアプリ版でしたが、ここに更にAndroidアプリや、Zoomなどの最適化されているとは言いにくいWebミーティングサービスを併用したり、タブを20個も30個も開いたり、Linuxまで並行して動かしたい、など人によって用途は更に多様化してくるでしょう。それら全てに快適である、という約束は出来ませんが、そういう使い方をする方は素直にもう数万円出して8GBメモリモデルや、更に16GBメモリのモデルを検討しましょう。そういう方であれば、そもそもそこまでChromebookを使いこなせている方であれば、ハイスペックChromebookの価値も充分に理解出来ると思います。そういう方のためにハイスペックChromebookは存在します。
ということで、個人的な感想としては
「思ったよりも4GBメモリでいける。ただ、やっぱり折角ここまで快適に動くのであれば、やっぱり気持ち的に8GBは欲しかったなぁ・・」
というところです。この気持ちの問題は結構大きいので(使っていて目立った不便さはなくても「8GBだったらなぁ」と気になる気持ちが徐々に積み上がっていって、何となく落ち着かない、など)、気になりそうな方は無理にこのモデルにされる必要はないかな、と思います。
バッテリーの持ちについて
バッテリーの減りは今のところ1時間弱で10%というところだな(しっかり計測してないけど、一連のポストし始めたのがほぼ1時間前で、そこから10%しか減ってないので)。だから10時間持つ、とはならないけど、まぁ普通に使う分にはそこそこ持つんじゃないかな、という印象。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) August 20, 2023
バッテリーの持ちについては、以前(もう半年以上前になりますが)ChromebookユーザーにX(旧Twitter)上でアンケートを取ったところ、大体3〜4時間、5〜6時間辺りの持ちが一般的でした。低スペックでサクサク動いてバッテリー持ちも良いと思われがちなChromebookですが、大体ユーザーの使い方次第とはいえ、一般的な使い方だと持って6時間くらい、というところでしょうか。
そう考えると、今回のこのモデルも似たような感じかな、と思います。一応上のポストでは1時間弱で10%の減りでしたので、単純計算であれば8時間前後は持ちそうですが、まぁ一般的な普及価格帯スタンダードモデル並には持つ、というところです。格別もの凄く持つということもありませんが、かといって減りが速い印象もありません。
ただ、ここは難しいところもあって、単純にハイスペックだからバッテリーの減りが速い、ということだけでなく、ハイスペックモデルを使うと、その分出来ること、やることが高負荷化(いろいろやらせたくなる)ために、結果としてバッテリー持ちが悪くなる、というのもあると思います。低スペックのモデルであれば、軽くWeb閲覧と多少動画視聴くらいだったのが、ハイスペックモデルを買うような人だと更にタブ開きまくってMeetだZoomだ画面共有だLinuxだ開発だ、と同時並行で作業を行い始める(そのためにハイスペックモデルを購入している)ところもあるので、悩ましいですね。
その点ではこのN100、価格的にも、また先ほどの「メモリ4GB」というところも含めて、ユーザー側もそこまでハードな使い方をしようとしない(気持ち的なブレーキもかかる)ので、その分バッテリー持ちも悪くない、という状況になる可能性は充分にあると思います。
まとめ:今年の普及価格帯スタンダードモデルの基準を大きく変えた実売4万円前後で買える次世代モデル。普通にオススメ。
ということで、まとめに入ります。
当ブログを以前からお読みの方なら分かると思いますが、私の場合、忖度だ案件だ関係なく、自分が気に入ったモデルの場合にはどう頑張っても文字数が1万字を超えます。今回も既に11,000字です。しかもこれでもなるべく抑えめに書いた「つもり」です。
見出しが大げさに見えるかもしれませんが、「次世代」と書いたのは、従来であればChromebookって「産廃のCeleron載せたゴミ(PCではない)」とか「安さだけが取り柄の」みたいな、いつの時代の話だよ、的な5年〜7年くらい前の情報でアップデートがストップしてしまっている方々のイメージが根強く残っているのが現状でした。
それが今回、Intelが意図したかどうかは別としても、そんな悪評高い「Celeron」の名前を配して「N〜」としたことで、イメージが変わっただけでなく、実際のパフォーマンスも大きく変わりました。
ホント悲しいですよ。第8世代のIntel Core i7載せたハイエンドChromebookとか私30万以上かけて買って今も使ってるんですよ(もちろんトータルの構成で考えれば比較対象では無いのですが、単純にCPUの一部のパフォーマンスにおいては)。
とともに、従来言われていた「液晶がゴミ」といったイメージも、12.2インチでしっかり1,920×1,200まで出せるようになり、途中で触れた過去の名機であるASUS C302CAのような、ミドルハイレベルのモデルのような立ち位置になりました。
でいながら価格は従来の普及価格帯スタンダードの基準である5万円強を下回る、実売4万円前後です。つまり、これからはこのモデルが基準になってくるんです。
もちろん細かい部分のあら探しをしていけば、液晶の色味が〜とか剛性が〜とかメモリ4GBが〜とか色々言いたい人は言いたいと思います。そういう分にあまり触れていないので、これも「客観的ではない」と思う方もいるとは思うのですが、少なくとも「従来のChromebookのイメージとはひと味違う」次世代のモデルに仕上がったのはご理解頂けるのではないか、と思うのです。
これが基準になってくると、これから出てくるネクストGIGA端末や法人向けモデル、更におこぼれで時々出てくる個人向けモデル(特に今回はまさかの個人向けモデルとして出てきたのが驚きでした)の基準が変わってきます。だってこれを実売4万円前後で出されちゃったら、これ以下のモデルを5万円とかで出せなくなってくるでしょ。
来年2024年はネクストGIGA(2025年)に向けて各社また気合いを入れて新モデルを出してくると思いますが、その時の最低基準がこのモデル辺りになってきます。そう考えると面白くなってきませんか?
実際に既にN200搭載のモデルなども続々と発表されてきています。(Windows PCでも最近はN100はそこそこ使えるプロセッサーとして話題になっているようですしね)
また、値段を見てみても「実売」4万円前後と書いたように、私が購入したアマゾンが当時40,727円だったように、先日の楽天市場の買いまわりでもポイント還元含めて実質価格が4万円を切っていたり、またアマゾンでも最近でも4万円強まで下がっていたり、とその辺りの価格が基準になってきています。
ということで、普通にオススメです。つい直近で「Chromebookの自動更新ポリシーが10年に延長」という情報が出てきたことで、「型落ちのミドルハイ辺りのモデルをAmazonのセールで買う」といった方もまた増えてくるかもしれませんが、それでも私としてはN100、ここまで普通にパフォーマンス出るなら、これ買っとけば良いんじゃない?という気がしています。
また、12.2インチが小さい、という方にも、これが売れてくれれば今後14″などでもN200辺りを搭載したモデルが出てくる可能性もあるでしょうし、色々と面白くなってくるのではないでしょうか。
長くなりましたが、個人的には2023年9月時点の4万円台のChromebookとしては充分にお薦め出来るモデルだと思いました。
もちろんこれ以上の予算を出せる方にはより上のモデルも検討して欲しいところですが(当然コストがかかってる分、完成度も使用感もあがるので)、中途半端に価格だけで判断するのであれば、とりあえずこれ買っとけば?的な、現時点での普及価格帯スタンダードモデルだと思っています。
IdeaPad Flex 3i Chromebook Gen 8 (Intel) | 外出先で機敏に使える2-in-1 Chromebook | レノボ・ジャパン | レノボ・ ジャパン
ちなみに文章作成時点でAmazonでは3,500円引きのクーポンが発行されているので、39,800円になっています。
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