先日よりEMRペン対応のChromebookへの興味が上がっているおふぃすかぶです。現時点で市場に出回っているEMRペン対応モデルは海外のみのモデルも含めて5モデル。その内2モデルが日本市場で正式に発売されています。とはいえ、その内の1モデルは法人向けモデルのため、個人で入手するには何かとハードルが高いのも事実です。と考えると、現時点でEMRペン対応のChromebookの国内モデルとなると選択肢がAcer Chromebook Spin 11「R751TN-N14N」のみとなってしまいます。
それは惜しい。
EMRペンは個人ユーザーでも使えれば使用の幅がかなり広がります。であれば、Spin 11「一強」ではなく、昨年夏より日本の個人向け市場にも精力的に展開を始めたASUS JAPANにも選択肢があっても良い。ところが手に入れるのが難しい。そしてネットでは仕方がないというか当然と言うか、この法人向けモデルのレビューはほとんど上がってはいませんでした。
法人モデル欲しい。法人モデル使ってみたい。買えたらいいのに‥。
そんな想いを先日ASUS JAPANのChromebook担当の方にポロッと漏らしたところ、
「あ、かぶさん、それなら使ってみます?」
と大変ありがたい提案を頂きました。そして本日、手元に法人向けモデル「C213NA-BW0045」が届きましたので、これからお借りしている2週間、とりあえず他のモデルのことは忘れてこのモデルを使い込んでみたいと思います。
なお、提供(レンタル)レビューということで、人によってはその時点でダメ、受け付けない、という方もいるかもしれませんが、私もこの法人モデル普通に買えるなら買いたいと思っていたモデルですので、法人及び教育機関のChromebook導入担当者の皆様方にとって、今回のレビューが何かしら機種選定の参考になれば嬉しいです。
なお、借りてはいますが、特に金銭等々何か受け取っている訳では一切ありませんので、この2週間で感じたことや気になったことは(元々のこのモデルへの想いは別として)冷静に、正直に書いていきたいと思っています(その点は了承いただいております)。
ASUS Chromebook Flip C213NA-BW0045(文教・法人向けモデル)
さて、このモデル、通常の個人向けモデルと何が違うのでしょうか。
「EMRペン対応か対応でないかの違い。」
はい、その通りです。ただ、実際に手にとってみて、写真も撮りつつ、今この文章をC213NAで書いているのですが、結構別物だと感じました。スペックについては一覧を並べることはしませんが、対抗モデルでもあるAcerのSpin 11の2モデルと合わせて、違いのある部分を並べてみたいと思います。
C213NA-N3350 | C213NA-BW0045 | R751T-N14N | R751TN-N14N | |
表面仕様 | ノングレア | グレア | グレア | グレア |
Wacom feel EMR | Wacom feel EMR | |||
サイズ(mm) / 質量 |
307×199×20.65 / 約 1.26kg |
307x199x20.9 / 約1.36kg |
296x206x20.6 / 約1.4kg |
296x206x20.9 / 約1.4kg |
販売価格 (実売価格) |
53,784円 (45,800円〜) |
61,344円 (法人モデル) |
オープン (51,500円〜) |
オープン (57,057円〜) |
このように並べてもいまいち違いが分かりにくいのですが、私が面白いな、と感じたのはまずは2段目の液晶。日本エイサーの2モデルはWacom feel EMRの対応の有無に関わらず、どちらもグレアのガラスパネルを用いているという点です。外観上は液晶面の「feel(EMR)」の表記がなければほぼ分からないくらい。ただ、EMR対応モデルは若干厚みが増しますので、その点ではASUSの法人モデル同様、「20.9mm」になっています(非対応モデルはどちらも約20.6mm)。このため、今回のASUSの法人モデルに関しては、個人モデルと比べて見た目の印象が全く変わってきます。
なんとなくイメージしていたC213NAと雰囲気違うと思いませんか?
個人向けモデルはノングレアのタッチスクリーン対応の液晶のため、このベゼル部分がガラスではなくプラスチックで覆われています。法人モデルは下部を除いてCorning社のGorilla Glass 3(硬度 9H)に対応したグレアの液晶で全面覆われています。
AcerのSpin 11を既にお使いの方や、その他のEMRペン対応でなくてもタッチスクリーン対応のモデルを使い慣れた方にとっては「何を今更」な部分ではあるのですが、ASUSの耐衝撃・耐水性に特化させたモデル(例えばC202SAなど)を見慣れている方からすると「あれっ?何となくASUSの耐衝撃タイプのモデルじゃない‥」といった印象を受けるのではないでしょうか。良い意味でちょっと高級感があります。
海外では「C213SA」というモデル名で発売されているのですが、この動画のように「for Education」と謳っていても、基本的にはプラスチックの太ベゼルタイプのモデル(日本の個人向けモデル)のレビューがほとんどです。
グレアの液晶は個人的には映り込みや反射が気になってしまって、文章入力がメインの私は大抵反射軽減の液晶保護フィルムをすぐに貼ってしまうのですが、全面ガラスになったことでデジタルペンを使うときにはベゼルの縁がない分、使い勝手が変わってくるかな、と思います。
私がこのC213NAで気に入った部分。気になった部分。
今回のこのモデルに関しては、もちろん1回限りのレビューで終わらせるつもりは全くありませんので、今回はなるべく暑苦しさが出ないように意識しながら、外観から気に入った部分、気になった部分を挙げていきたいと思います。
気に入った部分:堅牢性のある筐体は持ち運びだけでなく、気軽にペンを使おうという気にさせてくれる。
最近はコンバーチブルタイプのモデルが増えてきていますが、そうなると気になるのが「ヒンジ」部分です。何となく歪んでいたり、そもそも頼りなかったりするものも初期の頃にはありました。ただ、最近の教育市場も想定したこの種の耐衝撃タイプのモデルには共通しているのかもしれませんが、ヒンジ部分に非常に安心感があります。
こちら、アルミやプラスチック等ではなく亜鉛合金を使用することで、実際に4万回に及ぶ回転テストにクリアしたと謳っています。実際に多少無理な態勢で本体を回転させようとしても全く問題なさそうな安心感があります。
個人的に耐衝撃タイプのモデルで好きな部分がこのTPU(Thermoplastic Polyurethane = 熱可塑性ポリウレタン)で各パーツを覆っていることです。TPUってあのスマホの別売りの保護ケース、カバーなどでもよく採用される素材ですね。スポーツシューズの靴底やカートのキャスターなどにも使用されている素材で、柔軟性に優れながらも耐衝撃性を高めることができるのがポイント。
簡単に言えばスマホにSpigenのラギッドアーマー辺りの耐衝撃性のケースを付けたような感じです。
こちらは同社のC202SAですが、C213NAも「120cmからの落下試験後の稼働確認」もしています。
私、今までChromebookに限らずPCを落下させたことはないので、落としたときの心配、というのはほとんどしていないのですが、個人的に今回ここで「気に入った点」として挙げたのは、C202SA以上にコンバーチブルタイプということで気軽に回転させる状況が増えると思っているからです。
コンバーチブルタイプ、更にEMRペンなどデジタルペンに対応したモデルは既に持っているのですが、ペンをなかなか気軽に使うことができなかった理由の一つが、本体自体の頼りなさや手荒に扱ってしまったときに傷が付いてしまうのではないかという不安が先行してしまって、なんとなく扱いに慎重になってしまう、ということでした。
例えばPixelbookにも期待のAES2.a対応のPixelbook Penが使えるのですが、ノート取りなどに使いたい、と思ったとき、タブレットモードなどにしようと回転した拍子にテーブルなど何処かに角をぶつけたり、傷つけてしまうのではないか、という不安が一瞬心をよぎってしまうのです。あとは、回転させた拍子に手が滑って落としてしまうのではないか、という心配も。
けれど、このC213NAだとほぼ皆無。底面の横に伸びるゴム足2本は先程から何度も出しているC202SAと同じく、手に持ったときのホールド感があります。また、天板も底面もABSポリカーボネート素材に「タルク」と呼ばれる滑らかな性質を持つ素材を添加したもの。それに表面に滑りにくく指紋が目立ちにくい表面加工を加えています。
うん、今回なんか妙に説明的だな。今回は借りてるから、適当なことは書けないので、結構真面目にこの辺調べた。
今までね、何となく「お、滑りにくいね」「フィット感がいいね」「このゴム感が落としても安心な気にさせてくれるのがいいね」「なんかかわいい」みたいに感じていた部分に、きちんと素材名だったり、理屈を与えられたような状態を思い浮かべてもらえると助かります。いつもは感覚で書いてるから。
気になった部分:キーボードは‥ねぇ‥特に幅10mmのBackSpaceとEnterは残念。
これは既に個人向けモデルでも指摘のあった部分でもありますが、キーボードが詰めが甘い。
まぁC101PAでもあったので、これも慣れの問題もありますし、日本語キーボードである以上ある程度は仕方ないのかもしれませんが、もう少しなんとかならなかったのかと。その一番のポイントが「BackSpace」と「Enter」です。幅が‥短いよ。特に「BackSpace」。
Enterキー自体は長い部分の幅はその他のキーと近い約15mm程度はあるのですが、要は普通のキーの下に約10mm幅が少し伸びた感じです。そして、その上の「BackSpace」や「¥」キー辺りのとりあえずキーを配置してみたら余白がほとんどなかったので無理やり詰め込んだ感が個人的には残念です。もちろん慣れの問題ではあるんですけどね。でもこの文章、C213NAで作成しているのですが、このEnter周りは初日とは言え誤入力がまだだいぶあるので、ちょっと手強いです。
まぁ、私自身が元々Enterキーは縦に長く、ではなく横に長く欲しいこともあって英語キーボードモデルを選んでいる(他にも理由はありますが)こともあって、余計に気になってしまうのかもしれませんが、11.6インチということを考えると、もう少し左端のキーを詰めてでもこのEnter、BackSpace辺りはもう少し幅が欲しかったです。
左端は妙に余裕あるんですよ。
その他の部分:最近では珍しい充実したインターフェース類。HDMIがないのはちょっと惜しいけど。
長いな、相変わらず。既に6,000字に迫っております。でも許して。今回でこの辺り一気に書いておくと、次から好き勝手に使用感などに集中して書けるので。
続いて気に入った部分がこのインターフェース類。まぁC101PAなどはしっかりUSB-Aを残しておいてくれているので、極端に充実している、というわけではないのですが、左右の配置のバランスが良いんです。
左右にほぼ均等にUSB-CとUSB-Aが配置され、microSDスロットも忘れていないところがありがたいです。欲を言えば個人的にはここはmicroSDではなく通常のSDにしてほしかったところですが、現在の流れを考えるとmicroSDのほうが使い勝手が良いのかな。あとは右側面の「ケンジントンロック」。盗む人間はなかなかいないかもしれませんが、これあると別途ケンジントンロックのワイヤー持ち歩こうかな、という気にさせてくれるので、あるとやはり嬉しいです。格好良くないかもしれないけれど、Pixelbookにもあったら嬉しかったかも。
映像出力がHDMIではなくUSB-Cなのは時代の流れなのかな。個人的には自宅ではUSB-CでEIZOの27インチの液晶モニターに繋いでいますし。学校ではどうなんだろう?変換コネクタ等を使うのかな。
ちなみに、この左右のUSB-Cともにディスプレイ出力に対応しているので、本体画面と合わせて3画面表示に対応しているそうです。でも手元にUSB-C接続のモニター、2台はないんだよなぁ。変換使って使えるなら試してみたいところ。
個人的に結構気に入っているのが、このキーボード上部中心に配置された「アウトカメラ(静止画 503万画素/動画 2,592×1,944/15fps)」。液晶上部にも同様に「インカメラ(静止画 92万画素/動画 1,280×720/30fps)」が搭載されています。
このアウトカメラが面白いな、と思っています。上部端ではなくて中心に配置されているのも嬉しいかな、と。私、Chromebookでカメラを使うことは全くなかったのですが、このアウトカメラはちょっと今回意識して使ってみようと思います。
このカメラ、左右に穴があるのですが、指向性が強く音声認識性能が高いアレイマイクを搭載しているようです。この点もちょっとビデオ通話等で試してみたいところ。今回は初日なので細かい使い勝手には入っていきませんが、先程のカメラと合わせて使ってみたい部分です。
そしてEMRペン。これ、ちょっと今回は詳しくは触れませんが、今回私が試したかった部分です。世のEMRペンももちろん対応しているので、先日触れたSTAEDTLER Noris digitalもこのレンタル期間中に購入予定です。
折角だからEMRペンでも盛り上がろうよ、と密かに思っております。
持つ喜びを感じるよりも、何となく意識していないと無くしてしまいそうなくらい存在感のないペンなので、使う場合にはやはり収納の方法も考えないといけないかな、と思っています。それを楽しめるかどうか。学生さん、無くさないかな。それがちょっと心配。
ちなみに当たり前と言えば当たり前ですが、AES2.aのPixelbook PenはC213NAでは全く反応してくれませんでした。付属のペンはもちろんしっかり使えて、軽く書いた限りではヌルヌルでした。結構気持ち良いかも。アプリは選ぶとは思いますが。
次回から2週間じっくり使い込んでいきたいと思います。
ということで、とりあえず外観から気に入った点、気になる点等を紹介させて頂きました。正直ね、いいよ、これ。キーボードの詰めの甘さは惜しいけど。でも、C202SAとは全く違った魅力があります。
昨年のCOMPUTEX TAIPEIの会場でも感じたことではあるのですが、同じ耐衝撃タイプのモデルでありながら、表情は全く違います。それは単純にコンバーチブルタイプだから、とかそういうことではなくて、やっぱりC202SAってかわいいんですよ。それがまた良い。
それに対して、C213NAはそのまま手に持って歩いていても様になるような落ち着いたグレーの質感が、教育市場向け、とだけ考えては勿体無い良さがある。実際個人向けモデルもあるのですが、更に法人モデルだと液晶周りのプラスチックベゼルがなくなるので、より大人な雰囲気があるんですね。それだけでかなり印象が変わるのが面白いです。
ということで、次回から細かい使い勝手について複数回に渡って書いていきたいと思います。
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追記:2018年3月17日 17:00 更新」
「そりゃ、良いかもしれないけど、でもASUSのこのモデルは法人モデルだから個人ユーザーは買えないじゃん。」と思われる方も多いと思いますが、このモデル、個人でも普通に買うことができます。
量販店の店頭等では販売していないものの、ASUSの法人向けのサイトから10台未満であれば個人でも買えるようです。
興味のある方は是非ご検討下さい。