ASUS JAPANからお借りしているChromebook Flip C213NA-BW0045(法人モデル)のレビューの3回目です。前回までのレビューはこちら。
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- [かぶ] ASUS Chromebook Flip C213NA-BW0045(法人向け)レビュー。このモデルの持つ、C101PAとは違った方向性での「手軽さ」と「気軽さ」。[PR]
今回は個人向けモデルとの一番の違いでもあるEMRペン対応が、この法人向けモデルにどのような魅力をもたらしたのか、という点について書いてみたいと思います。
「特にペン使わないし」「絵描かないから」。私もそう思っていました。
Chromebookにおけるペン対応は何もこのモデルが最初というわけではなく(日本市場での発売は今回のAcer Spin 11とASUS C213NA法人モデルが初です)、実際私も既にSamsung Chromebook PlusとProという2つのEMRペン対応モデルを購入してきました。ただ、どちらも全くと言って良いほどペンを使ってきませんでした。オフ会などでお会いする人でも、これらのモデルは持っているけれどペンはほとんど使わない、という方が多かった気がしています。
「特に絵描かないから」
それが共通する反応でした。私も同じです。私もそう思ってきました。EMRペン対応といっても、イラストとか描く人じゃないと使わない。そもそもChromebookで絵描かないから。
絵を描くということに関しては今回は触れません。まだそこまで踏み込めていないので、魅力と長所短所を正確には分かっていないと思うので。ただ、そもそも
「EMRペンは絵描きだけのモノ」という認識(先入観)が違っていたんですね。
このペンを使いたいから、書く目的を探す。目的と手段が逆転した時、思わぬものが生まれる。
万年筆やガラスペンなど、筆記具好きな方は覚えがあると思うのですが、新しいペンを買った時って、目的もなく何か書きたくなったりしませんか?万年筆の書き味を試したい、ガラスペンを使いたい、ただ書きたい、使いたいという目的を達成するために、特に書くことなんて何もないのだけれど、手元にある紙になんとなく頭のなかに浮かんだ言葉をダラダラと書き連ねたり、意味もなく「あいうえおかきくけこ」や自分の名前書いてしまったり。
手書きって楽しいんです。そして、いざ書いてみると、特に書こうと思っていた内容があるわけでもないのに、意外と色々と言葉って出てきますし、また書き出すと頭がスッキリします。
一日の中でどれだけ「頭の中が空っぽな時間」を作り出せるかが一番のライフハックだ、といったような文章を何処かで目にしたことがありますが、「書く」って基本的な、けれど非常に心地よい行為だと思っています。
EMRペン対応のChromebook、というとつい「具体的な活用例」みたいなものを求めたくなってしまうのですが、そんなもの特に要らないんじゃないかな、と。具体的な、思考のための方法や手段なんて要りません。けれど、「書く」「書ける」ということは、それだけでかなりこのモデルに大きな魅力を与えてくれます。書くという選択肢があるのかないのか、というだけで、思考の自由度がかなり広がるからです。「選択肢があるけど使わない」のと「そもそも選択肢自体がない」というのは全く違ってくるからです。
Chromebookって本体ではなくクラウド上に自分の思考を蓄積、広げていける最良のツール。
私はいつどこで何を思いつき、何を考えても、すべて自分のクラウド上に蓄積、展開していけるのがChromebookの魅力の一つだと思っています。もちろんクラウドを使えるのはChromebookに限った話ではありませんが、基本的にWebサービスを中心に用いることを前提に作られた端末なので、より馴染みやすい、と思っています。
今、私達の周りには自分のPCのインストールをしなくてもネットに繋げれば自由に使うことが出来る様々なツール、サービスが幅広く存在します。Chromebookでもそれらのサービスを有効に活用されている方も多いでしょう。そしてこれらのサービスは、端末には基本的には依存しない、ということも大きな魅力です。
例えば先日も少し取り上げたScrapbox。スマホでもその他のPCからでも使えますが、もちろんChromebookでも使えます。
WorkFlowyはChromeアプリもありますし、またオフラインでも利用が可能で、オフライン時に編集した内容は次回オンラインになった時に同期されます。
これらのサービスは既に愛用されている方も多いと思います。また他にも単純にGoogle Keepやその他スタンダードなアプリ等を有効に活用されている方もいるでしょう。Evernoteなどは今も愛用者の多いサービスですね。
で、それらのサービスには一長一短あり、うまく使い分けている方もいらっしゃるとは思うのですが、ふと感じる時ありませんか?
ここ、手書きできたらもっと楽なのに。
送られてきたPDFの赤入れや、ちょっとしたメモ、また閃いたことを白い画面に自由に書き散らかしたくなるときがあります。マインドマップなどを使われている方は、(専用のアプリ等は今まで散々出てきていますが)手で書くのが一番楽、というときもあると思うのです。また、何もそうしたものでなくても、普通の授業のノート取りでも良いんです。
何かを考える道具、として考えた時、「書くことが出来ない」というのは、意外と大きなネックになってくるのかもしれないな、と、このモデルを使っていて強く感じました。
追記:2018年3月17日 17:00 更新
STAEDTLER Noris digitalを購入しましたので、早速使い勝手について書いてみました。
「別にC213NA法人モデルでなくても良いんじゃないの?」というあなたへ。
ここまで読まれた方は、それなら何もこのモデルでなくても世の中に多く発売されているPCやタブレットで良くない?と思われたかもしれません。もちろんそれらが肌にあっていたり、その端末でしか使えないお気に入りのアプリがあるのであれば、無理にChromebookにする必要なんてないんです。いや、むしろその場合は変えちゃダメでしょ。そのアプリが魅力なんですから。
で、ここで前回書いた内容、このモデルが持つ「手軽さ」と「気軽さ」が活きてきます。
頑丈なんですよ。スマホに耐衝撃カバー付けたような感じですから。それでしっかりしたキーボードと液晶が付いている。4万回回転させようが問題ない。多少ぶつけようが、タブレットモードにしようとして手が滑って120cmの高さから落とそうが全く問題ありません。
これが出来るのって、11,6インチくらいまでかな、と思うんです。更に大きくなると、耐衝撃性を高めればそれなりに重くなってきます(このモデルで約1.36kg)し、価格も上がって(このモデルで6万円前後)きます。また液晶のサイズが上がれば、より高解像度のものが欲しくなってくる。道具として考えた時に気軽に手を出せなくなってきますし、また気軽に使えなくなってきます。
まさに、私が前回このモデルを現場のための道具と表現したのはこのあたりにもあります。気軽に使える重量の限界と実際の使い勝手のバランス。その辺りを考えた時、この11.6インチ、コンバーチブルでタフ仕様、というのは、非常に理にかなった組み合わせなのかな、と思いました。そうした道具であり考具だからこそ、そして、そうした現場(特に教育現場)で用いられることを想定しているからこそ、EMRペンは必須であり、このペン対応がなければ、全く違った耐衝撃タイプのモデルになると思っています。
あ、もちろんだから個人向けモデルがダメ、というわけではないです。誰もが皆このモデルを考える道具として使いたいわけではないと思いますし、そもそも全く手書きは使わない、という人もいるでしょう。
私が伝えたいのは、従来耐衝撃タイプのChromebookが持っていた特徴と魅力が、EMRペンに対応することで、まったく別の形に変わる可能性がある、ということです。
考えたこと、閃いたこと、書きなぐったもの、そのすべてをこの端末を通してクラウドで管理する。どこでも傷も落下も故障も気にせずに広げ、回転させ、ペンで書き加える。そしてキーボードでの文字入力も出来れば、2つのカメラで簡単な写真も撮れる。
ということで、この3日間、ペンに関しては幾つかのアプリで特に目的もなく色々書きなぐったりしていますが、そのあたりのペンも含めての使い勝手もレンタル期間中にしっかりレビューしていきたいと思います。
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追記:2018年3月17日 17:00 更新」
「そりゃ、良いかもしれないけど、でもASUSのこのモデルは法人モデルだから個人ユーザーは買えないじゃん。」と思われる方も多いと思いますが、このモデル、個人でも普通に買うことができます。
量販店の店頭等では販売していないものの、ASUSの法人向けのサイトから10台未満であれば個人でも買えるようです。
興味のある方は是非ご検討下さい。