厳密なことを言えばこれで安心、大丈夫ということではなく、解釈によってはまだグレーな部分もあるのですが、当サイトとしては従来通り、これをもって通常の使用感のレビューに移りたいと思います。
外側に「技適マーク」が無いASUS Chromebook Flip C302CAを日本で使えないか模索してみた。
以前は一部の電波を利用する人たちだけが意識すれば良い部分だったかもしれませんが、今ではスマートフォンなどの普及で一般の人にとっても意識する必要が出てきたものが「技適マーク」です。といっても、普通に生活している分には特に考えなくても特に問題が起きることもないため、気にしたことはないかもしれません。
このサイトでは今までにも技適マークについては何度か触れてきました。また、今回のように海外で購入して「技適マークが表面に付いていない」ラップトップPCやスマートフォンなどもレビューしています。
ですが、決して私はそうした法律を軽視するつもりはありません。軽視しているならわざわざこんな面倒なことしません。むしろ、より多くの方に「技適マーク」について知っていただきたいな、と思っています。
法律と社会事情というのは非常に複雑で難しい側面もあります。だからこそ、面倒ではあっても、ひとまず知ってみることは大切だと思っています。一般的には「技適マークが付いていない=法律違反=犯罪」で片付けてしまいがちです。実際それでも日常生活に不便は感じないからです。けれど、実際になぜそうした法律があり、なぜ技適マークというものがあるのか、というのは知って損はないと思いますし、実際に大変興味深い部分でもあります。
それぞれが自分なりに意識して調べてみたり、知ろうとしてみた中で、曖昧だったりグレーである部分を確認したり、考える中で、自分なりの立ち位置を決めてみても良いのかな、と思っています。(もちろん法律違反を薦めたい訳ではありません。)
私も自分なりに考えた中で、現在こういう形で発信し、またこうしたモデルもレビューをしていますが、意見は色々あると思います。そうした意見は歓迎ですし、私に足りない部分や誤解している部分があれば教えていただきたいとも思っています。ただ、特に何も自分では考えず、調べもせず、何となく法律違反に決まってるから「けしからん」だけで叩く方はご遠慮いただければと思っています。
ということで、前回入手をご報告し、外観とスペックのみのレビューに留めていたASUS C302CAについて、調べた内容をご報告してみたいと思います。
厳密に言えば、電源が入っていなくても「持っているだけで法律的にはアウト」です。
今回も最寄りの総合通信局である関東総合通信局にお世話になりました。お忙しい中、素人の質問に嫌な顔(見えませんが)一つせず丁寧に答えてくださった担当の方には本当に感謝しています。ちなみに昨年11月末に電話した時と同じ方で、話している内に前回話した内容を思い出してくださったようで、おかげで前回をベースにして色々詳しい話をしていただけました。
その中で、特に印象に残っていたのが「厳密なことを言えば、技適マークの付いていない無線機器は、例え電源が入っていなくても、アンテナを外していたとしても、電波を発することが出来ない状態にしていたとしても、持っている時点で法律的にはアウトなんです」ということでした。
そうした点では、技適マークが確認できていない時点で、こうして日本に持ち込んで、サイトに写真とレビューを上げた時点で、いくら「電源入れてませんから」「使ってませんから」と言っても、法律上はアウトなんです。ということで、今回私が「こういう機器を持っているんですが」と電話した時点では自首しているようなものなのですが、そこを取り締まるのか、法律で罰するのか、というとそこは難しい問題。本来の法律というのは、それが目的ではないからです。その辺りの話は前述の前回の関東総合通信局に問い合わせた回でも触れました。
つまり、私、既に法律違反ではあるのです。偉そうなこと書いていますが。その上で、ではそうしたモデルが手元にある私がこのモデルをどうすれば良いのか(個人的には使いたいと思っているのだけれど、その方法はないのか)という点で今回は質問させて頂きました。
「JATEに準拠」しているだけでは不十分です。
ちなみに今回電話で問い合わせた元々の理由は、このC302CAのマニュアルの中に、下記のような記載があったため、それを確認したかったからです。
JATE(一般財団法人 電気通信端末機器審査協会)は「電気通信事業法に基づく技術基準適合認定」を行っていることもあり、素人判断ではここに準拠している、とわざわざメーカーが通信に関する記載で書いている以上、それで問題ないのではないか、と考えたのです。
技術基準適合認定とは、端末機器が電気通信事業法および関連する総務省令によって定められた技術基準に適合していることを認定するもの。
端末機器とは、電話用設備、無線呼出用設備、総合デジタル通信用設備、専用通信回線設備などの機器を指し、具体的には固定電話機、ファクス、ブロードバンド用モデム、携帯電話など、通信回線に接続する機器が該当する。
この認定を行えるのは、総務省の登録を受けた機関のみで、携帯電話の場合、多くのメーカーが財団法人電気通信端末機器審査協会(JATE)の審査を受けている。なお、JATEでは「技術基準適合認定」のほかに「技術基準適合証明」も行っている。後者は無線機器を対象とする審査で、無線で通信する端末機器である携帯電話は、この両方を取得する必要がある。
結論からすると「不十分」とのことでした。JATEの規格に準ずる設計をしていても、それが違法な電波を発することがない証明にはならず、実際に技適マークは別で、そのための審査を通していることの証明にはならないため、マークがない限りやはり法律的にはダメだとのことです。
海外製のモデルの場合にはこうした記載のものも結構多く、FCやCEなどそれぞれの国や地域の基準があるため、それらで相互にある程度補完し合えるようにはなっていて海外で使う分にはそれで問題ない場合も多いのですが、日本で使うとなると、やはり日本の法律に照らした基準を満たしている(そのための審査を通している)必要がある、ということでした。
ということで、少々雲行きが怪しくなってきたので、では今回のような状況ではではどういう方法が考えられるか、訊いてみたところ、2通りが考えられるそうです。
そのうちの一つが、「個人で認証機関に依頼してお金を払って技適認証を通す」というものです。もう1つについては、その後で触れます。結果としてはそちらを選択することになりましたが。
「個人で自分の無線機単体を技適認証に通す」場合を考えて&問い合わせてみた。
総務省には電波利用ホームページというものがあります。
こちらの中ほど「電波利用に関する制度」→「無線局効きに関する基準認証制度」→「概要」の「3.技術基準適合証明及び工事設計認証を行う登録証明機関等」で技術基準適合証明の事業をを行っている機関の一覧が参照できます。
このページから各登録証明機関のサイトに飛べるのですが、今回は一番上の「一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター」に電話をして、この個人で技適認証を通す場合について訊いてみました。
といっても、細かい内容まで書くとそれだけで何回にも渡るでしょうし、そこまで知りたいのであればこんな文章を読むより直接問い合わせたほうが早いし正確だと思いますので、結論だけ書きますと、「個人で通すのは割に合わない」ということです。
LTEや3G通信などのない、Wi-FiとBluetoothのみ使えるChromebookのような機器を通す場合でも金額としても30万くらい、また、個人の場合にはあくまでその通す1台のみ。更にそのための書類作成には結局製造元の工場やメーカーが持っている技術書や設計、配置図などの資料も必要になります。また、審査(テスト)をするさいに必要な特定の電波をその時に必ず出せるように、その手順をメーカーに確認し、実際に私自身がその場で操作しなければならないそうです。要は、メーカー、製造元の全面的な協力が必要なのです。個人で海外から輸入したChromebookを一台だけ認証通すような話ではない、ということです。
ということで、あまりに不毛な相談になってしまってテレコムエンジニアリングセンターの方には貴重な時間を意味不明な質問で無駄にさせてしまって申し訳なかったなぁ、と思っていたところ、お話をしてくれた方が一言。
「でも、それらの書類一式をすべて提供、開示してもらえるくらいメーカーに協力してもらえるのであれば、何も既に市販されている製品であれば、中の通信モジュールの品番を教えてもらえれば、既に技適マークついている可能性もありますよね。技適マークが付いているのであれば、わざわざお持ちのラップトップPC一台のみを本体で認証証明する必要はないですよ。」
長々と書きましたが、結局先日同じく技適マークが外側に印字されていないThinkPad 13 Chromebookを日本で使えるようにするために取った方法が手っ取り早いということです。
[かぶ] 本体表面や外箱に「技適マーク」がないThinkPad 13 Chromebookの技適認証を調べる。 | おふぃすかぶ.jp
販売元のASUSのサポートに問い合わせたら、間違えてASUS JAPANに届いた。
過去、この方法は日本HP(HP Chromebook 13 G1)、Lenovo Japan(ThinkPad 13 Chromebook)で行っています。今回はASUSに問い合わせることになりますが、実はASUS JAPANに関しては以前別の方が同様の問い合わせをした際に結構釣れない対応をされた、という話を伺っていまして、正直あまり期待出来ないなと思っていました。それが、過去の経験からまずはメーカーに最初に確認を取るところ、先に関東総合通信局にJATE方面から当たってみた一番の理由です。
今回も、ASUS JAPANでは日本で販売していないモデルは例え「国際保証の対象となるラップトップPC」であっても答えてはくれないだろうな、と思い、購入国のアメリカのASUSにサポートページの問い合わせフォームから英語で質問をしました。
ところが、「最寄りのサポート国」の欄を自分の住所と勘違いして「Japan」にしてしまったため、結果としてこの問い合わせがASUS JAPANに届いてしまったという結果に。そして回答は予想通り、
「あなたが買ったモデルはシリアル番号を検索しても日本では出てこないから答えられない。アメリカで買ったのであれば、「Japan」ではなく「USA」を選んで、購入したアメリカに自分で直接訊いてください。」(意訳)
といった内容でした。うん、これは「JAPAN」と「USA」を間違えた私のミスです。日本で買ってないのに、同じメーカーだからといって他の国で出している製品の仕様を聞くのはお門違いでした。ということで、改めてUSAに変更して同じ問い合わせを送りました。(まだ返事は来ていません)
で、結局開けた。
結局それかよ、という話になると思いますが、トルクスネジ用のドライバー(T5が適合)を買ってきて、開けてしまいました。ちなみに底面の4つあるゴム足の後ろ2つを剥がしたところに隠れて2つ、通常のプラスネジが隠れていますので、開ける際には注意です。
これ気付かずに強引に開けようとすると傷が付いて精神的にかなり凹みます。あまりに強引にやると中の精密部品破損させる恐れもあります。第一開ける必要性が全くありませんが。
通信モジュールはこの部分ですね。モジュールは「Intel Dual Band Wireless-AC 7265」、Model名は「7265NGW」です。これで総務省の技術基準適合証明等を受けた機器の検索ページで調べてみると、
128件出てきますが、その先頭で今回の番号が出てきます。
実際のところ、冒頭でも書きましたが、「厳密なことを言えばこれで安心、大丈夫ということではなく、解釈によってはまだグレーな部分」も確かにあります。ただ、私自身の前回と今回の関東総合通信局へ問い合わせ、色々とお話を伺った中で考えたことを合わせた上で、あとはASUS USA自体が「問題ない」と考えているのであれば、使う上では問題がないかな、と思っています。
端末全体にそれでも認証を通すべきだ、という意見もあるとは思うのですが、実際に外側の見えるところに印字された技適マークが「端末全体」のものか「通信モジュール単体」のもののコピーかというのは実際に調べてみないと分からないものでもあり、またその辺りに関しては現在厳密に法律で決められている訳ではない、というのが私の認識です。
ということで、当サイトでも通常通りこれからレビューしていきたいと思います。
ということで、これから使い勝手を通常通り書いていきますが、個人的には今ASUS C302CAの購入を検討されている方は、Samsung Chromebook Plusの発売を待ってから検討しても良いのではないかな、と思っています。現時点では、これくらいちょっと面倒でもあり、(解釈の違いはそれぞれにあったとしても)人によっては違法であり、許せない場合もあると思うからです。そうしたスッキリしない感覚が残っている方には、無理をして選ぶモデルではないと思うからです。
また、まだ使い始めではありますが(私の環境のみかもしれませんが)若干気になる部分も出てはいます。まだまだ海外の英語のレビューを除けば使い勝手などの報告も少ないモデルです。Samsungがもしかしたら技適マークをきちんと表に出して日本でも安心して使えるようにして出してくる可能性もありますし、今後Core m7モデルや、Samsung Proの発売日が突然決まるかもしれません。そして、同様のConvertibleタイプとしては先行のAcer Chromebook R13もあります(こちらは技適マークあり)
個人的には手間がかかる分(色々調べたり、開けてみたり)、既にかなり愛着も湧いていますが、そういうことの好きな方を除けば、もう少し待ってみても良いのかな、と思っています。
私の使用環境でのOctane 2.0スコアは22825でした。処理速度自体は流石に2万を超えてくるとChromebookではほぼ不満はないですね。