話題のシンプルでスタンダードなChromebook、ASUS Chromebook 12 C223NAが手元に届きました。今日は早速持ち出して、C223NAからこの文章を書いています。
同時期に購入された方のレビューが少しずつ上がってきていますので、私も入手時点でのこのモデルのレビューを行いたいと思います。
ASUS Chromebook 12 C223NA-DH02-GR
2018年9月18日時点では、日本国内での発売は発表されていませんが、ここ最近のASUS JAPANの戦略を眺めている限りでは、恐らく近々発表されるのではないか、と予想しています。また、実際に発売されれば、それなりに話題となるモデルだと思っています。
現在日本への直送が可能な販売店は上記2店。米Amazonと老舗B&Hですが、どちらも現在入荷待ちの状況です。
価格は$229、個人輸入をする場合にはトータルで約3万円弱、ということを考えると、もし国内で販売される場合には3万5千円前後になるのではないか、と考えています。$をそのまま単純に100倍換算してしまう方には高いと感じられるかもしれませんが、イギリスやフランスなどヨーロッパ圏で販売される際の価格を考えると全体的に日本価格はかなり良心的に設定されています。何より世界共通価格は常識的に考えれば難しいのはお分かりいただけるかと思いますので、それでも本国と同じ価格でなければ高い、という方には是非諸々の手間とリスクを考えた上での海外での購入をオススメしたいと思います。
技適マークについて。
日本国内で使用する際に大切なことの一つに、技適マークの有無の問題があります。利権、自由化、価格や流通の制限など、ユーザー側からすると現代の世の中にそぐわない無駄な法律のように思われるかもしれませんが、私は何度か関東総合通信局の方とも電話でやり取りをさせていただく中で、少なくとも無駄なものではないと考えるようになっています。このあたりの話を書き始めると長くなりますので省きますが、少なくとも「自己責任だから大丈夫」という意味不明な論理を持ち出すのではなく、この点についてはそれぞれにしっかりと意識して考えを持っておきたいものです。
底面全体の写真のため、若干分かりづらいのですが、中央若干上にあるステッカー部分の左下に技適マークのコピーが印字されています。
ASUS Chromebook 12 C223到着しました。 pic.twitter.com/DPKFREimJP
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2018年9月18日
現時点での国内での利用は問題ありません。
外観とスペックについて。
以前にも触れたことがありますが、Chromebookに関しては意外とメーカーサイト等で調べても、まとめてスペックを眺めることができないことが多いので、ここで一度眺めてみたいと思います。
Processor | Intel® Celeron® Dual-Core N3350 Processor, 1.1 GHz (2 M Cache, up to 2.4 GHz) |
Memory | 4GB |
Storage | 32GB eMMC |
Display | 11.6″ (16:9) LED backlit HD (1366×768) 60Hz Anti-Glare Panel with 45% NTSC |
まずはCPU等の使用感にも関わる部分。CPUは普及価格帯の最新Chromebookでは標準となりつつあるIntel® Celeron® Dual-Core N3350。
Chromebookのベンチマークとしては以前からよく用いられるOctane 2.0のスコアは「私の環境では」9,939。ただ、出先でテザリング環境で数回計測した数値ではありますので、個人差はあると思います。大体一般的な平均では10,500前後。これはことChromebookでの一般的な使用においては十分な数値です。
4GB RAM、32GB eMMCも至って標準的なスペックです。贅沢ではありませんが、現状ハイスペックのモデルも含めて大半のモデルは4GB RAMですし、ストレージに関しては現時点では余程Androidアプリ等を本体ストレージに保存する、などの使い方を意識的に行わない限り、ストレージ不足に悩まされることはほぼありません。必要な条件は十分に満たしていますので、当分の間不便を感じることはないでしょう。
液晶サイズは11.6インチ。解像度は1,366×768で反射や映り込みを抑えたAnti-Glare Panelを採用しています。さらっと見た限りではクッキリ感はありませんし、色合い的にもIPSではなさそうですが、個人的には柔らかく目に優しいこの液晶は、特にモバイルで多用することが想定されるこのモデルにおいては最良の組み合わせではないか、と思っています。
続いてインターフェース類や外観、サイズなどを見ていきます。
Card Reader | Multi-format card reader (SD/SDHC/SDXC) |
Interface | 1 x COMBO audio jack 2 x Type C USB3.0 (USB3.1 GEN1) support display & support power delivery 1 x Type A USB3.0 (USB3.1 GEN1) 1 x micro SD card |
Dimensions | 286 x 199 x 17.25 mm (WxDxH) (w/ 2cell battery) |
まずはインターフェース。側面を見ていきます。
右側面には奥(写真右側)にUSB Type Cが1つ(充電も可能)。それ以外には特に何もありません。非常にスッキリした印象です。
左側面は奥(写真左側)からUSB Type C、microSD、COMBO audio jack、USB-Aがあります。比較的各端子毎の間隔が開いている(余裕を持たせている)ので、他端子に繋いだアクセサリー類同士が干渉し合うことは少ないと思います。
USB-A端子もあることで、本体キーボード側の厚みは約8mm程度となっています。最近は薄いのが一つの魅力のようにもなっていますが、ある程度のキー入力の快適さを考えると、このくらいの厚みはあっても良いのではないか、と思っています。
ちなみに天板(液晶)側の厚み。写真では少々分かりづらいですが、約6mm程度です。この天板(液晶)側と本体側の厚みに、底面のゴム足を加えて17.25 mmになります。
なお、これは若干惜しい点ではあるのですが、今回のC223NAは天板(液晶)側が180°は開きません。
ただ、一般的なクラムシェル、ノートPCとしてテーブルで使用する限りでは角度が足りない、もう少し開けば、という印象は特に受けませんでした。文教市場などですと天板(液晶)側に無理な圧力が加わってしまってヒンジに無理がかかったり、破損等の原因にもなりますので、この部分は180°開いてほしいところではありますが、一般的なモバイル用途においてはそこまでは必要ない、と考えたのかもしれません。
Weight | 999 g with Battery |
重さが1kgを切っているのはやはり魅力です。私は基本的にお気に入りのChromebookはレザースリーブに入れて持ち歩いてしまうため、本体重量+レザースリーブの重さで持ち歩くには時々肩や腰が辛いときもあるのですが、C223NAは裸のまま持ち歩いても良いかな、と思える気楽さがやはりありますし、大きさ的にもカバンのタブレットやPC用のポケットにすっとそのまま入ってくれます。そして、あまり重さが気になりません。
なお、充電器もコンパクトな一体型です。文教向けの耐衝撃耐水性のあるタイプ(ASUS C213NAやAcer Spin11など)は結構嵩張る分離型の太いコードタイプの充電器が付属してくることが多いのですが、こちらはC101PAやC302CAなどと同じ非常にスリムでコンパクトなタイプです。これだとカバンの中にちょっと忍ばせておこうかな、という気になれます。この点は好印象でした。
キーボードとタッチパッドについて
PCにおいて最も重要な部分だと私が考えるのが(CPUなどのスペック以上に)常に触れることになる入出力環境です。常に見続ける液晶、常に触り続け入力し続けるキーボードとタッチパッドです。だから世の中にはキーボードだけで何万円もするコダワリのモノを選ぶ(探し求める)方がいるのだと思います。ここがどれだけストレスなく、快適に使えるかはかなり大きいと思っています。
日本語キーボードモデルの場合、何故か若干右端(Enterキー周り)が妙に詰まりすぎて少々惜しいときがあるのですが、今回の英語キーボードモデルに関しては特にそうした印象はありません。やはりスッキリしてきれいにまとまっていて良いですね。
また、Chromebookの場合には日本語入力との切り替えが基本的には「ctrl + space」なので、それに慣れていると日本語キーボードの「半角/全角」はほとんど使うことがないんですね。その他の日本語キーボード独自のキーも私の場合は使用頻度が低い(というよりもよく分かっていない)ため、むしろ無駄なキーがなく、無駄なフォント印字もなくスッキリしている英語キーボードは以前からお気に入りだったりします。
ASUS Chromebook 12 C223のキーボードの感触。格別悪くはないと思うけどなぁ。求めすぎなければ、これでも充分かも。 pic.twitter.com/xb9in1dv5u
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2018年9月18日
キー入力時の音とキーの沈み込みを動画にしてみました。格別素晴らしいキータッチという印象はありませんが、ここまで4,000字近く入力してきて(今この文章はC223NAで作成していますので)特にストレスは感じません。11.6インチですがキー同士の狭さも特に気になりませんし、過度な期待を事前に持たなければ、十分に満足できるのではないか、と思っています。
最近は日本国内でも法人向け市場では英語キーボードの需要も増えてきているようですし、このあたり国内でも選択できるようになるとありがたいですね。
続いてタッチパッドです。
ASUS Chromebook 12 C223のタッチパッドのクリック感。指触りはサラサラした感じ。この後使いながら使用感見ていきます。 pic.twitter.com/BkuspIQG8z
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2018年9月18日
こちらも動画にしてみました。指触りですが、実際引っかかりもなくスムーズに反応、スクロールしてくれていますし、最低限は快適な基準に達していると思います。むしろ結構好き。広さも十分にありますし、ここまで特に不便は感じていません。
恐らく購入を検討される方にとっての懸念は、CPUやRAMなどよりも11.6インチ、1,366×768という解像度が果たしてどの程度実用的か、という部分ではないか、と思っています。重量、厚み、大きさなどが気にならなければ、現時点では特に12.3インチ、12.5インチをはじめとしてFHD(1,920×1,080)に対応したモデルがそこそこ存在します。この液晶と解像度に関しては、どの程度持ち歩いて使うか、どんな用途に使うのか、その際に重さや大きさは気になるかを是非ご自身の用途に照らし合わせて考えてみてほしいな、と思います。ただ、言えるのは、
すべてを一台をまかなう、というのは難しく、大抵どこかに無理が出てくる
ということです。つい「ぼくのかんがえたさいきょうの」何かを求めさすらいたくなるのですが、必ずしもそれがパーフェクトとはなり得ないというのは心に留めておいても良いのかなぁ、と(自分も含めて)改めて思いました。
いつでもどこでも側にいる。気を使わなくていい、そんな古くからの友人のような一台。
今回、このモデルが発表されたときから、少なくとも日本のChromebookユーザー界隈では思っていた以上に好意的に迎えられているような印象を受けています。実際に海外での発売が始まった直後から続々と購入報告が出てきましたし、私も見つけてすぐに注文しています。そして世界的に見ても、現在米Amazon、老舗B&Hともに在庫切れで「TOP SELLER」マークが付いているところからしても、こういうモデルを待っていたという方がメーカーが思っていた以上に多かった、ということなのかもしれません。
ではこのモデルの何がそこまで魅力的なのでしょうか?
格別の高級感があるわけでもありませんし、スペック的にも現行普及価格帯的なスタンダードです。タッチスクリーンも非対応なら、特に360°回転(コンバーチブル)したり、天板部分が外れる(デタッチャブル)訳でもありません。
けれど、とてもChromebookらしいモデルなんですね。特に以前からChromebookを愛用してきた方にとっては原点回帰のような、それでいて、単なる懐古主義ではなく、それを2018年9月の現時点でのスタンダードにしっかりまとめてきた、ということ。でいながら、しっかり価格も手頃な範囲に抑えてきた、ということです。
もちろん最近は耐衝撃モデル、耐水モデルなど文教法人向けのモデルであれば、この種の比較的価格を抑えたモデルは出てきてはいます。ただ、それらはどうしても厚く、重くなりがちです。
また、単純に価格だけを追い求めればセールにかかった数年前の型落ちモデルを探せばそれなりに安く入手することはできます。けれど、当ブログでは散々書いてきましたが、そうした安いモデルには安いだけの理由があるんです。それを分かった上で購入するなら構いませんが、分からずに価格だけで選ぶのはオススメしづらい。けれど、ではそれに変わる、自信を持って勧められそうなスタンダードモデルがなかったんです。
実際に、今この文章を書いている間にもほぼ引っかかりがありません。画面のスクロールもスムーズですし、キータッチでストレスを感じることもない。タッチパッドもサラサラとして私の指には合っている。そして11.6インチというコンパクトさはカバンのポケットにスッと入れられて、1kgを切る軽さは片手でも持てるし、重さをあまり感じません。
液晶に関しては確かに上を見ればFHDやIPS、更に高解像度や鮮やかな液晶もあるでしょう。ただ、このモデルの立ち位置はそんなところにはなくて、まさに気軽に気楽にどこにでも持ち歩いてChromeOSの魅力を活かしたライトな使い方ができる、よりChromebookが身近になる、常に自分の身近に(側に)あるような付き合い方が出来る。そんなモデルだと思っています。
何が特別優れている、とか、何か印象的なものがある、ということではまったくないのだけれど、等身大で付き合えるような親しみやすさと気安さ。それがこのC223NAの魅力かな、と思っています。
日本での発売を切実に希望したいところです。
追記:2018年10月4日 12:30 更新
日本での発売が決定したようです。
ひとまず文教法人向けに10月5日から受注開始とのこと。この流れで個人ユーザーでも購入が出来るようになるといいな、と願っています。