昨年末に書いたこちらの文章が予想外に反響がありまして、賛否諸々たくさんの感想、ご意見を頂きました。
以前から当ブログを読まれている方にとっては、革靴に関して私が似たような書き方をしてきたことが度々あるので久しぶりの印象を受けられたかもしれません。ただ、最近Chromebookの情報を探していて辿り着いた方にとっては少し意外だったかもしれません。
私はこの文章を投げやりで書いた訳でも、ふざけて調子に乗って書いた訳でも、ましてお酒を飲みながら勢いで書いた訳でもありません。むしろかなり真剣に考えて書きました。ただ、当然受け取り方はそれぞれにあって良いと思いますし、それが間違っているとは思いません。人によっては不快に感じられた方もいらっしゃるでしょう。何となく仲間内、身内で盛り上がっている感が出てしまって、それ以外の人を寄せ付けない空気を感じた、というご意見も確かに頂きました。
今月ラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)でも海外では新たに幾つかのChromebookが発表されました。恐らくその内の幾つかは日本にも入ってくるでしょう。それでも、現時点(2019年1月時点)において、国内現行Chromebookの中で一台を選ぶのであれば私は変わらずASUS Chromebook 12 C223NAが最良だと考えています。
今回はもう少し冷静に、この辺りの理由について書いてみたいと思います。
今は時期が悪い?理想の一台を求めていつまでもネットの情報を追い続けているなら「とりあえず買いましょう」
先ほども触れましたが、今月初めにラスベガスで開催されたCESでも魅力的なChromebookが何台も発表されました。特に日本でも積極的に展開しているASUSが5モデルも発表したことで、今年これらの中から何モデルかは新たに日本でも投入されると思います。
となると、必ず出てくるのが「今は時期が悪い」という反応です。
ただ、これ、いつでも言えるんです。昨年も前半にAcerがSpin 13を発表したことで、同様の反応が続きました。
「とりあえずSpin 13が出るまで待ち。」
その間もChromebookにおけるフラッグシップモデルであるPixelbookが何度も安くなりました。またその他の魅力的なモデルの中にはちょうどその時期が旬だったものもあります。けれど、「購入した後でSpin 13が出たら」と考えると動けなかった方も結構いたのでしょう。
Spin 13は確かに良いモデルです。ただ、誰にとってもベストなモデルという訳ではありませんし、実際出た後もそこまで大きな動きはなかったようで、発売直後から年末年始にかけて大幅に値下げもされています。Spin 13を発売直後に買った方にとってはこれすらも「この後に値下げされるのが分かっていたら買わなかったのに」となっていたくらい結局は「時期が悪かった」ことになるかもしれません。
そうした諸々を考えてみると、今回もASUSが5モデル発表した直後、この後日本でも発売されるかもしれないから今買うのは時期が悪い、ということになるのでしょうか。
私は全くそう思いません。
PCには衣服や食べ物と同じく旬があります。確かに数ヶ月後に(もしかしたら来月かもしれませんが)ASUS JAPANが新しいモデルを発表するかもしれません。ただ、あなたがいま折角Chromebookに興味を持っているのであれば、今が買い時だと思うのです。とりあえず買ってしまって、どういうものか試して欲しい。その結果、自分にはChrome OS自体が合わないかもしれません。けれど、そうした諸々を試せる数ヶ月という時間のほうが貴重だと思うのです。買わずにいる間も現行モデルのサポート期間(自動更新ポリシー)の残年数はどんどん減っていきます。また、悩んでいるあなたの貴重な時間も減っていきます。
理想の一台を探し続けて、ただひたすら情報を集め続けている時間があるなら、さっさと買ってしまって使ってみたほうが何倍も分かることが多い。そして悩み続けている時間は他の大切なことに使えます。それが「とりあえず買いましょう」に込めた想いです。
物事というのは結局眺めていても分からない。実際に自分でやってみないと良さも悪さも分かりません。
けれど買い物に限らず、新しいコトを始める際には「でも・・」に続くやらない言い訳を探す方が簡単です。やらない理由なんて幾らだって出てくるんです。
ただ、Chromebookって「とりあえず買いましょう(やってみて)」が比較的ハードルが低いと思っています。とりあえずやってみよう、で会社辞めて独立起業したら諸々リスクどころか周りにもご迷惑をおかけするかもしれません。それは大げさだとしても、私は他のOSのPCでは「とりあえず買っちゃったら?」は躊躇します。ただ、Chromebookはそれが言いやすい。周りにご迷惑をおかけするリスクも低いからです。
初めて買う人にオススメ出来るのは価格の安い低スペックモデル?ある程度の価格のハイスペックモデル?
初めて買う人にどんなPCを薦めるのか。これには様々な意見があると思います。失敗した時にお金が無駄にならないように、安いモデルを薦めたほうが良いのか。けれど安いモデルには安いだけの理由があり、何も分からない内にそんなモデルを買ってしまえば、使いにくさや不満が出てしまって、その方が却って無駄になるリスクが高くなるのではないか。
昨年、私は親戚の叔父叔母のPCの買い換えに付き合って家電量販店に行きました。
正直非常に難しかったです。そして、結局購入したのは13.5万円の15.6インチWindowsラップトップPCでした。
私としては最善を尽くしたつもりですが、それでも13.5万円ポンと出してもらって「とりあえず買いましょう」は言えません(私は使い慣れていない人には安いモデルは薦められないので)。
ところが、Chromebookだとそれが出来るんです。何故なら、他OSでは「価格の安い低スペックモデル」と言われている価格帯のモデルがChromebookでは普及価格帯モデルとして展開されているからです。そこがスタンダードだからです。そしてそれらが現行最新モデルが文教法人市場をメインとして展開されています。なので、一般的な使い勝手もほぼそこが基準になります。
そして現時点でGoogle側が、Chrome OS側が求めている基準となっているスペックを満たしているのが今回挙げたASUS Chromebook 12 C223NAなんです。
C223NAを「とりあえず基準にして」改めて眺めてみると、他のモデルの特長が見えやすくなる。
詳しくは私が昨年9月に書いた(海外発売モデルですが)C223NAのレビューをお読み頂きたいのですが、
ここでスペックを眺めながら、このモデルを「基準として」考えられる視点を横に挙げてみたいと思います。
CPU | Intel® Celeron® N3350 | 間もなく次のGemini Lake世代が出るようですが、現時点で最も多く出ているApollo Lake世代。現時点での文教市場のメインのCPU。もしこれ以上の処理速度的な快適さを求めるのであればCore m搭載のC302CAなどがある。 |
RAM | 4GB | 2019年1月時点でも大半のChromebookが4GB推奨。但し8GB以上は非常に選択肢が限られています。国内で探すのであれば法人モデルのC302CAのみ。海外でもPixelbookなどハイスペックモデルを探す必要がある。 |
Storage | 32GB eMMC | 正直Chromebookの内部ストレージは仮の置き場です。ほぼ考える必要なし。ただAndroidアプリを大量に入れたい、という方であれば64GBのモデルも一応ありますが、それ目的ならChromebookでなくても良いと思います。 |
サイズ 解像度 |
11.6インチ 1,366×768 |
液晶サイズ11.6インチで考えるなら現行妥当だと思います。これ以上あっても文字が小さくなってしまって見づらいと思います。より高解像度を求めるのであればより大きなサイズのモデルを選びましょう。例えばもう1万円出して14インチ、1,920×1,080(FHD)のC423NAがあります。前述のC302CAも12.5インチで同じく1,920×1,080(FHD)です。 |
本体タイプ | クラムシェル | 通常のノートPCタイプです。もし360度回転してタブレットモードでも使いたいのであれば、C101PAやC213NAやC302CAがありますが、その分価格は上がります。クラムシェルタイプで構わないけど180度までは開いて欲しいのであれば、C423NA。 |
耐衝撃性と耐水性 | 特になし。 | 薄さと軽さを重視したモデルです。落下や水を零すなどのリスクを最小限にしたいのであれば、その分本体重量は増えますが、耐衝撃性と耐水性のあるC213NAという選択肢があります。 |
タッチスクリーン | 非対応 | 私はほぼ画面に触れて作業することはないのですが、液晶に指で触れて操作したい方はC101PA、C302CA、C213NAなど。但し、スタイラスペンをしっかり使いたいのであれば、EMR方式対応のC223NA法人モデルになります。 |
本体サイズ | 286 x 199 x 17.25 mm (WxDxH) | よりコンパクトなモデルを求めるのであれば、10.1インチのC101PAを。ただその分液晶やキーボードも狭くなります。 |
重量 | 999g | 現時点で1kgを切るChromebook(現行モデル)はこのC223NAとC101PAのみ。 |
価格 | 37,800円(税込) | 現行モデル最安値。セールや値引きを除いて税込で4万円を切る唯一のモデルです。 |
自動更新ポリシー | 2023年11月 | 残り4年10ヶ月。昨年後半に発売ながら何故か一昨年発売のC213と同じなのは複雑ですが、現時点でほぼ最新モデルと考えて問題ありません。ちなみにC423NAも同じ2023年11月。 |
今回の視点に出てきたモデルがASUS JAPANの現行モデルのみ、ということもあり「いや、○○なら△△」みたいなご意見はあるかと思います。ただ、ひとまず赤線の部分がChromebookの現時点での普及価格帯最新モデルの標準ラインであり、赤字はこのモデルの強みです。
黄線の部分をどうしても外せない、重視したいのであれば、他の選択肢になりますが、この表を眺めて見て頂くと気付かれる方もいるかと思うのですが、最低限必須の部分はしっかり現行の基準を満たしつつ、それ以外のオプションとも呼べるような機能はなるべく省きシンプルにすることで重量や価格などの強みも持った、現行最新モデル(2019年1月時点)です。
私のような複数台Chromebookを持っている者にとってもサブとして、もしくは気軽に持ち歩けるシンプルスタンダードな一台として無駄にならない(どころか気に入っている)モデルですし、実際最初の一台として考えるのであれば、ここから初めて、使っていく中で気になった(もしくは欲が出てきた)部分が分かった時点で、新たな一台を探せば良い。その時には既に基準が自分の中で定まっていて、自分の中でのポイントも分かりやすくなってきていると思うので、少なくとも今何も分からず使ったこともない状態でネット上の雑多な情報を眺めるよりも余程実のある熟考が出来ると思っています。
ASUS JAPANを選んだのは、現時点の国内個人ユーザーにとって最もアクセスしやすいから。
ASUSの製品は品質が悪い、サポートが悪い、という話はよく目に(耳に)します。そうした面も全くないとは言えません。実際私もこのモデルに関しては3度修理に出しています。正直そろそろまともに使いたい、と思っていますし、今この話を聞いて腰が引けた方もいると思っています。
今回、ソトブログを運営されているソトさんにお貸しする際に2回、無事お貸しして正常に動いて戻ってきたと思ったら再度、同様の症状が発生して修理に出しています。
ただ、それでも私がASUSの製品を今回薦めたのは、私のモデルが海外発売モデルであるにも関わらず、国内発売モデルと全く同じサポートをして、修理を受け付けてくれる国内ChromebookメーカーはASUS JAPANのみであり、また現時点で東京の赤坂のみとはいえサポート拠点があり(Chromebookは店頭受付、工場送りになりますが)、実際に店頭で実物を確認出来るからです(もちろん国内で展開している4メーカーは国内販売モデルに関しては通常の保証とサポートを用意しています)。
他のメーカーのサポートに関してはいずれまとめたいと思いますが、現時点では日本では文教法人市場メインで展開していることもあり、文教法人では分かりませんが、各メーカー個人向けに手厚いサポートを用意しているとは言い難いのが現状です。更に言えば、一応国内は現在4つのメーカーが展開していますが、私たち個人ユーザーが実際に手に取れる、となるとASUS JAPANの赤坂、もしくは一部家電量販店に僅かに展開されているASUS JAPANとAcerのモデルのみ、というのが実情です。
商品の当たり外れに関しては、恐らく「私もそうだった」といった反応は出てくると思うのですが、当たり外れがあるのはどのメーカーも同じです。といえば「いや、それでも○○の製品は何回も修理に出さなかった」「○○のサポートは素晴らしかった」といった個別の事例は出てくると思うのです。そしてもちろんそうした差はあるのでしょう。でもそれを考えていると結局動けなくなってしまうんです。基本的に普通に動いている、特に気にせず使っている大半の人は声を上げません。どうしても不具合の起きたときの声が目立ってしまうので、更にそうした印象は強くなってしまうと思います。
今回のこの部分を読まれて「あ、C223NA薦めてるけど、肝心の本人が3回も修理出してるじゃん」と思って「ステマ」だ「ASUS JAPANと仲良いからだ」とか思うのは自由ですが、裏で何か受け取ってる訳でも頼まれて書いている訳でもなく、
諸々含めても現状トータルバランスを考えてみるとC223NAを基準にするのが最良
と考えているからです。それくらい今回のこのモデルはようやく出てくれた価格とスペックのバランスの非常に良い、普及価格帯モデルとして薦められるシンプルスタンダードな良モデルだと感じています。
正直外れるときは外れるし、修理出すときも原因不明で何度も、というのは私自身PCに限らず革靴などの世界でも店頭に立っていて度々起こることはあるので(良いことではないのですが)そんなもの、と思っているのが大きいのかもしれません。海外でスリや盗難、強盗に遭う人って何度も遭いますよね?でも遭わない人はまったく遭わない。それと似てるのかなぁ、と。
長く言葉にすればするほど、却って人は悩んでしまう。選択肢が増えれば人は悩んでしまう。誰でもそんなものだと思うよ。
今回、また8000字近い文章で「ASUS C223NAを「最良」と考える理由。」について書いてきましたが、正直却って混乱させるだけ、悩ませるだけの文章になったかもしれません。
そんなものです。
どんなに美辞麗句を並べ立てても「信用できない」「ステマだ」「参考にならない」となりますし、また反対に欠点弱点をあげつらっても、結局買うかどうかは本人次第なんです。
ただ、既に散々ネット上で情報を集めてきて、それだけで頭がいっぱいになって、頭の中でまだ使ったこともないChromebookの使いこなし方を考えている内に面倒になってきちゃってぐるぐる回っているだけなのであれば、私は既存ユーザーとして伝えたい。
とりあえず買ってみたら?
それは無責任でも投げやりでもふざけているのでもなく、私自身が何かの選択に悩んだときの基準のようなものです。
だって、やってみないと、使ってみないと分からないから。
そして、Chromebookは比較的そのハードルが低い。だって確かに税込37,800円ははした金ではないかもしれないけれど、他の趣味に比べれば決して痛みは大きくはないと思うからです。そして誰かに迷惑をかけるわけでもない。ただ、リボ払いとキャッシングはダメね。
もしかしたら今回の文章でむしろ「信じられないからC223NAは買わない」となってもそれはそれで選択肢が一つ減った訳ですし、良いと思っています。また、「C223NAじゃなさそうだな」というのもあり。
自分の中にある何かその理由が少しでも明確になったのであれば嬉しいですし、最後の一押しが欲しい、という人にとっては、私は2019年1月の時点でも安心してこのモデルをオススメしたいと思っています。