現地時間2019年10月15日(日本時間15日23時)、「Made By Google 2019」において、GoogleはPixel 4をはじめ幾つかの新製品を発表しました。その中で当ブログ的に注目するのはやはりPixelbook Goとなります。
既に速報的に各方面のメディアでも情報は出ておりますので、ここではPixelbook(i5/i7)、Pixel Slate(i7)と昨年、一昨年とPixelシリーズを購入してきた者の視点から、今回のPixelbook Goについて見てみたいと思います。
はじめに。Pixelbookとは。
ここ最近国内でも少しずつChromebookが話題になり始めていますので、今回の発表会で初めてこの「Pixelbook」というものを知った方もいらっしゃると思います。
「Chromebookじゃないの?」「Chromebookなのに高すぎ」「Chromebookは安いことだけが魅力なのに台無し」など様々な反応を目にします。そこで最初にこのPixelbookというものについて触れておきます。
Chromebookのラインナップや価格帯についてあまりご存知ない方は、Androidスマートフォンのラインナップや価格帯を思い浮かべていただければイメージしやすいかな、と思います。Androidスマートフォンは様々な価格帯(最近では20万超えから下は1万、2万まで)があります。そして、その中には今回発表された、GoogleのスマートフォンであるPixel 4/4 XLもあります。Pixelスマートフォンだけを見てAndroidスマートフォンの方向性や価格帯の是非を考えられないように、ChromebookにおいてもPixelbookはあくまで「Chromebookの中でもGoogle自身が出しているPixelシリーズのChromebook」という位置づけになります。
PixelシリーズのChromebookは2013年、Chromebook Pixelというモデルから始まりました。当時の平均価格帯は300ドルから400ドル(Chromebookは昔は安かった、というイメージをお持ちの方もいると思いますが、出始めた当時も現行モデルの平均価格は300ドル程度だったんですね)という中にあって、800ドル近い価格だったこと、またその2年後に発売されたChromebook Pixel(2015)では最上位で1200ドル超えということもあり、当時から「Chromebookなのに」という反応も多々ありました。
ただ、当時「GoogleのChromebook開発陣が自分たちのやりたいこと、やってみたい環境をとりあえず詰め込んでみた」的なスペックとデザイン、質感等は一部ユーザーの間では非常に評価が高く、今でも「憧れの一台」「手元に置いておきたかった一台」と考えている方もいます。私もその一人です。
そして2017年、Googleは従来のChromebook Pixelシリーズではなく、Pixelbookという名で、新しいモデルを発表します。現在国内ユーザーの間でも未だに愛用者の多い、名モデルです。こちらも価格帯は1,000ドル弱から最上位で1,500ドル近かったこともあり、Chromebookをご存知ない方からは、そしてユーザーの間でも、今回のPixelbook Goに対するものと似たような反応が起きています。ただ、国内において当時と今で違うのは、今のほうが各種メディアが様々な形で取り上げるようになったこと、また国内でもPixelスマートフォンが出たことで、Googleの発表に注目が以前より集まりやすくなったこと、Chromebook自体もここ3年連続でPixelシリーズを発表していることもあり、注目されやすかった、ということが背景にあるかな、と思っています。
この「AndroidスマホにおけるPixelシリーズ」と同じ位置づけにある現在のPixelbookシリーズ、どんなモデルなのか更に見ていきます。
Googleがこれからのやりたい、やろうとしている方向性を表現したモデルがPixelbookシリーズ
さて、そんなPixelシリーズ。2017年はPixelbook(コンバーチブル)、2018年はPixel Slate(デタッチャブル)と出してきました。
Googleアシスタントボタンの搭載、指紋認証や、様々な試験的な機能を発売後もアップデートで真っ先に搭載してくるのがPixelbookシリーズでした。
そして今年発表前から各種リークで話題になっていたのが、今年はPixelbookの後継モデル(Pixelbook 2)ではなく、Goという別のモデルである、ということでした。Go、というと一般的にはMicrosoftのSurface Goを思い浮かべる方も多いかと思います。スマートフォンでもASUSがZenFone Goという低価格帯モデルを出していますね。今回のGoも初めてPixelbookを知る方からすれば「高い」と感じられるかもしれませんが、昨年、一昨年のPixelモデルと比べると、「GoogleがこれからChromebookでやっていきたい新しい何か」というメッセージ性がある意味で非常に薄いモデルとなっています。
Pixelbook(Pixel Slate)シリーズは、前述のようにGoogleが「これからChromebookでやっていきたい新しい何か」を載せたコンセプト的なモデルになります(Pixelスマートフォンもそうした傾向がありますね)。
そのため、価格もスペックもそうした要求を満たすため、比較的高めになっています。ある意味ではChromebookの最も新しい形を体感できる、というのがGoogleの出すChromebook(Pixelbook / Pixel Slateシリーズ)の魅力の一つでもあります。そうした視点で今回のPixelbook Goを眺めてみると、どんな姿が見えてくるでしょうか。
一般的なクラムシェル、スペック的には前年のPixel Slateと同じ第8世代Core m(Yシリーズ)、RAM容量もストレージ容量もほぼ変わりありません。画面解像度的にも最上位モデルを除いてFHDと控えめです。敢えて挙げるとすれば、13.3インチ液晶のラップトップPCとしては重さ1kg強という軽量感でしょうか。
実際プロモーション動画でも無重力空間でGoと戯れる女性の姿があります。あらゆる点でLight(スペック、価格、色合いなど含めた質感、そして価格も)というのが今回のコンセプトといえるのかもしれません。
さて、今回のPixelbook Go。私はどう見たか。
楽しいですよね、やっぱり。Googleのお祭り、Chromebookにとっても一つのお祭りみたいなものですから。年に何度か話題になる各社の新製品発表とはまた違った楽しさ、ワクワク感がある。だって、やっぱり本家Googleの出すPixelシリーズですから。
今回のGoシリーズ、過去2モデルと被らないクラムシェルタイプ、更に液晶も16:9のFHDということで、比較的スタンダードなスタイルでまとめてきました。ペン対応でもなければ指紋認証、顔認証などもありませんし、LTE搭載、といったこともありません。そうした意味では従来のモデルを持っている方とも競合はしませんし、それらのモデルを使ってみてPixelシリーズの持つ数値に現れない魅力を感じた方であれば、この重さ(13.3インチ、1kg強)と如何にもPixelらしい色合い、雰囲気などはそれだけでも十分に購入の理由になります。
端末のサポート期間である自動更新ポリシーも最新になるでしょうし、アップデートなどの際に真っ先に新しい機能(例えば今まででいえばAndroidアプリ対応やLinuxサポートなどや、小さな機能の追加など)は対応してくるでしょう。その辺りの安心感と楽しさが魅力の一つです(とはいえ、国内では発売予定は今のところありませんので、ハードウェアとしてのサポート面では日本においては不安はありますが)。
ただ、過去2モデルにおいても同じですが、Pixelbookシリーズに載るCPU(Core m)はChromebookの中では決して最上位、というわけではありません。最近ではCore i(Uシリーズ)を載せたモデルが国内にも入ってきていますし、RAM容量に関しても8GBは少しずつ増えてきています。16GBはまだ非常に少ないですが、最近はDELLのLatitude Chrome Enterpriseシリーズで32GBという選択肢も出てきました。
Pixelbookシリーズに載るCPUは省電力、バッテリーの持ちを重視したCore m(Yシリーズ)です。上位もi5、i7となっていますが、実際には従来のmシリーズです。
価格帯も649ドルからありますが、i7で4K液晶の最上位モデルは1,399ドルです。
ということで、今まで「とりあえず早く使ってみたいから」ひとまず最初に出ているi5モデル等を買いながらも結局最上位のi7モデルを選んでいる私ですが、
今回に関しては現時点では、
Pixelbook Goの魅力を一番楽しめるのは案外649ドルのm3モデルかもしれないな
と思っています。それも色としてはPixel 3でも個人的に好印象だったNot Pinkです。ただ、現時点ではJust Blackのみ受け付けているようなので、Not Pinkのm3モデルが出た時点で、転送もしくは直送という形で海外から購入、というパターンを考えています。なんとなくPixel 3のNot Pinkと合わせて使いたい。
昨年のPixel Slateは当初最下位モデルとしてPentiumモデルがありましたが、Pixel Slateの要求するスペックには満たなかったようで、海外でも発売当初から酷評されてしまい、生産終了となってしまいました。また前回は16GB RAMはi7モデルだけでしたが、今回はi5モデルでも選択できるようになり、そちらが1,000ドルを切っているので悩ましくもあるのですが、そこまで求めるなら結局i7も、となってしまいそうですし、そうなると被ってしまうので。前回もm3モデルは悩んだんですけどね。最近では純正キーボードと合わせて500ドル台で販売したり、と価格的にも結構魅力的なモデルになっていると思っています。
今回は専用アクセサリ類も改めて充実。bellroyが再び参入。
今回注目したいもう一つの点が、専用アクセサリ類の充実です。昨年のPixel SlateではBrydgeのG-Type Wireless Keyboardくらいでしたし、純正キーボードの出来を考えると人によってはむしろこちらが純正、という方も結構いたのではないか、と思います。
ただ、それくらいだったんですね。
一昨年のPixelbookの時にはBellroyがPixelbook Penを本体に挟むことの出来るPen Clipや専用スリーブケースなどを出していたのですが、Pixel Slateではありませんでした。
それが今回、Bellroyが再び参加です。
Laptop Sleeveだけでなく、Slim BackpackやClassic Toteなども合わせて販売するようです。
また3MがPrivacy Filterを、Logitechがこの時期に(Go専用ではありませんが)Chrome OS端末用にWireless KeyboardとMouseを出してきたり、と今回は充実しています。
私はこの辺りのお祭り感が好きです。なんとなく揃えたくなってしまう。ちなみにPixelbookではdbrandが専用Skins & Wrapsを出しましたが、今回のGoではどうなるでしょうか(Slateは完全にスルーされてましたが)。
ということで、繰り返しになりますが、現時点(文章作成時点)での私の場合ですが、
Not Pinkのm3モデルが発売開始になったら、その時点で日本から購入可能な方法で入手。その際にはBellroyの専用アクセサリも合わせて揃えたい。
というところになります。
今回も見送られた日本発売。今後発売はあるのか。
先日まで私自身、ここ最近の国内での盛り上がりを感じながら「案外今回のモデルは日本での発売もあるかも」と考えていました。ただ、発表が近づくにつれて「難しいかな」と思うようになりました。
実際に現時点では発売はひとまず米国とカナダのみ、年明けに英国での販売を予定しているという、従来通りの展開です。
これは単純に技適の問題とか、キーボードの問題、というわけではなく、純粋に国内における知名度と市場の成熟度の問題かな、と思っています。
ようやく今年になり、あれだけ動かないと思われていたHPが国内で展開を始めました。またエイサーも今まで散々「国内では難しいです。なので現時点ではありません。」と言っていたSpin 13や715といったモデルを突然国内でAmazon限定とはいえ販売を始めました。
またご存知の方も多いと思いますが、ビックカメラが全国31店舗でChromebookコーナーを展開、合わせてポイント大幅還元によるキャンペーンも行っています(今月中)。AmazonもChromebookページをリニューアル、精力的にセールや新しいモデルの取り扱いを行い始めました。
それだけ見ると今回のGoの発売もあり得そうに感じてしまうのですが、実際にはまだ一般的には知名度は今年前半までと大した変わりはないと思っています。なぜなら、PCなどに比較的詳しいと思われる、またこうした情報が入ってきやすいと思われる、インターネットの世界においても、眺めている限りではそれほど以前と反応は変わらないからです。それが冒頭で改めて「Pixelbookって何?」という話から始めた理由です。
私たちネットに慣れ親しんだ層でさえ、国内においてはまだまだChromebookはマイナーです。そこでようやく国内にも参入、力を入れ始めてくれているメーカー各社と競合するような、被ってしまうようなモデルを(更にPixelスマートフォンでさえ、国内ではそこまで成功しているわけではありませんし)出すのは色々と難しいと思うんですね。なので様子見。
ただ、今回のビックカメラのキャンペーンでもGoogle自身「はじめてのChromebook」というしっかりした作りの冊子を作成して配布したり、とかなり力を入れてはいますので、この数カ月の売れ行き、反応次第では突然、という可能性も0ではありません。それを期待したいと思っています。
ということで、大変長くなりましたが、今回のPixelbook Goについて書いてみました。このモデルについては私自身非常に興味を持っていますので、引き続き追いかけながら、その都度発信していきたいと思います。