速いです。
というか、速いとかそういうこと既に感じなくなってしまう感じです。このモデルの速さに感動する、というよりも、むしろ自分のタイピング速度やタッチパッドの操作の不慣れや通信環境からくるモタツキのほうが気になってしまう、とも言えます。うん、ちょっと予想外でした。Core i5と大して変わらないから多分「気分的な問題(自己満足)」だと思っていたのですが‥このモデルは良いです。人には薦めないけど。
ということで、昨年末にCore i7版Pixelbookを購入するためにCore i5版PixelbookとCore i7のZenBook 3を手放した話をしましたが、ありがたいことにどちらもお譲りする方が見つかり、年明けに米Amazonでも日本直送可で取扱が始まってくれたこともあり、早速注文し、手元に届きました。
届いた翌日にPixelbook Penとのバンドル版が$99オフで値段が同じという悲劇に見舞われました。昨年末まで単体で$100引きしていて、その後値段が戻ったときに購入、手元に届いたらPenとセットで$99引き、って何ですか、このタイミング。でも既にPixelbook Penは手元にあるので良いことにします。
既にPixelbookに関しては開腹含めてレビューをしていますので、今回は両方使ってみての、このCore i7版の魅力について、一般的なベンチマークの結果も「一応」交えつつ、書き綴ってみたいと思います。
Google Pixelbook (Core i7,16GB RAM,512GB NVMe)
今まで使っていたCore i5モデルからの変更点は以下の部分です(私はCore i5モデルでは256GB SSDを選びましたが、スタンダードな128GB SSDモデルでも大きな違いはないと思います。)。ベンチマークに関しては、Chromebookではお馴染みの2種、またスマホでお馴染みのAnTuTuでの数値を載せていますが、あくまで私の実使用環境(拡張機能その他も入れた状態)での計測結果です。
CPU | Intel Core i5-7Y57 (Intel HD Graphics 615) |
Intel Core i7-7Y75 (Intel HD Graphics 615) |
Benchmark | Octane 2.0 : 30234 speedometer 1.0 : 111 AnTuTu : 170,897 |
Octane 2.0 : 31489 speedometer 1.0 : 121 AnTuTu : 179,995 |
RAM | 8GB LPDDR3 (1,866MHz) | 16GB LPDDR3 (1,866MHz) |
Storage | 256GB SSD | 512GB NVMe |
既に各方面で話題となっていますが、ChromebookでもCPUの脆弱性の問題については影響が出ています(ほぼアップデートで対策済み)。この辺りは既にGoogleもChromebookの各モデルでの対策状況についての情報を上げていますが、
https://www.chromium.org/a/chromium.org/dev/chrome-os-devices-and-kernel-versions
今回のベンチマークでもアップデート前と比べて多少影響を受けているかもしれません(上記ベンチマーク結果のCore i5モデルの数値はアップデート前のもの)。ただ、それでもそれぞれの数値で現時点で5〜10%は上がっています。ただ、この数値だけでは恐らく$650追加して最上位モデルに敢えてされる、という方はあまりいないのではないか、と思います。
私も最初の時点でOctane 2.0の数値が乱れまくって2万を切ったり、ほかもそれほど大きな違いがなかったので、一瞬悲しくなったのですが、このモデルの魅力はやはりベンチマークの数値では測れない使用感にありました。
モタツキが気になった。私の指の。
私、PC歴自体は高校1年の頃からなので、かれこれ25年近くになります。ほとんどゲームではありましたが、その頃からブラインドタッチには(タイピングのゲームにも)ハマっていたので、それなりに苦もなく快適に打てていると思っています。もちろんプロの方に比べれば全く敵わないとは思いますが、少なくとも私の思考のスピードにはある程度ついて行けていると思っていたんです。実際ThinkPad 13 Chromebookなんてキーボードが心地よくて、ほぼ何も考えなくてもとりあえず指だけ走らせてブログや文章書いていることもありますし(思わぬストレス解消、癒やしになる)。
ところが、今回もどかしさを感じました。モタツキを感じたんです。自分の指に。
なんとなく、もっと速く打ちたいんです。軽いんです。速いんです。Pixelbookが。無駄に。
処理に遅れが出るとか、何かに一瞬間がある、とかがないんです(後述の通信速度は除く)。もちろん今までのCore m3モデル(Samsung Chromebook ProやASUS Chromebook Flip C302CA)や、Core i5のThinkPad 13 Chromebookでもストレスを感じたことはなかったと思うんです。処理速度に関しては。
ただ、なんというか、常にアクセル全開で目の前の処理が行われているような、そのくらいの余裕というかちょっと、もう少し落ち着いても良いんだよと思わず声をかけたくなってしまうような、そんな一瞬の間すら存在しないように、いくらアプリやタブを開いていても平然とした顔で変わらず動いてしまう姿に、私自身がもう少し頑張らんといかんような気になってしまうんですね。
うん、表現が難しいな。何というか、「ごめんなさい。もっと精進します。」と私自身が反省したくなるくらいに、自分のタイピング速度や、タッチパッドの操作の(自分の不慣れ感)や、思考の遅さに何となく勝手に反省してしまうような。
もちろんその内慣れてくるとは思うのですが、現時点ではPixelbookのリズムと私のリズムがちょっと合ってない。Pixelbookのほうが軽やかで、滑らかで、それに私がついて行けていないような印象です。
モタツキが気になりそう。その内、外での作業に(通信速度的に)。
このモデルが出たとき、多くの方は「これでSIMスロット内蔵だったら文句なかったのに」と思われたのではないか、と思います(他にも指紋認証等々色々あるとは思いますが、SIM内蔵は多くの方の希望でもあるので)。私ももちろん、SIM内蔵なら良いなぁ、と思っていました。今も思っています。ただ、今は少し印象が変わっています。このPixelbookに限っては。
日本における4G/LTEの速度は決して不満を感じるような遅さではないとは思っています。MVNOのSIMだったとしても、外での作業でそれほど不満を感じることはありません。通信量というよりも、通信速度の面で、ですが。
ただ、もしこのPixelbookにLTEモデム(SIMスロット)が内蔵されたとしたら、何となくその部分だけ力不足感が漂ってしまう気がするんですね。言い方は悪いですが、20万のPCにチープな液晶が載っていたり、キーボードが手抜きだったり、なんでそこだけ落とす、といった感じの。他とのバランスが悪くなってしまう気がするのです。
もちろん、それ以上にどこでも開けば何もしなくてもそのまま繋がっていて使うことが出来る、という魅力が大きいのはわかっています。ただ、来年、再来年、もし日本の通信環境が変わったとき(より高速化、安定化した時)、このSIMスロットの部分だけ変に取り残されてしまうのではないか、と思ってしまうのです。このモデルには高速なWi-Fiや有線LANが似合います。だから、外でモバイルデータ通信で繋ぐのであれば、内蔵ではなくて、テザリングやインスタントテザリング(PixelやNexus系とは自動でテザリングが可能)で十分なのではないか、と。
実際には、今この文章は出先からMVNOのSIM(DMMモバイル)で繋いでいますが、遅さが気になることはありません。ただ、通信時間帯によっては、多少表示に時間がかかることもある。それって、それ以外の作業が全くラグがないだけに、ちょっとしたモタツキ(通信速度からくる)が変に目立ったしまうんです。あとは大容量のファイルのDL時など。もちろんそれは現行の通信環境では全く待たない、ということはないのですが、このモデルにはダウンロード待ちは似合わないなどと考えてしまう自分がいて、ちょっと嫌です。
16GB RAMだ512GB NVMeだと細かいことはこの際どうでもいい。最高が欲しいならこれ。
ちょっと今回は大きく出てごめんなさい。
実際にはAndroidアプリの対応具合とか、そうしたアプリ面での使い勝手においてはPixelbookに限らずChromebook自体がまだまだ未成熟ではあります。でもそんなものはこの後のアップデートに期待すれば良いんです。
もうそれらは、Pixelbook云々ではなく、Chromebook自体の問題。そして相性の部分です。
そして、多くの方にとって、この$1,649(日本円で送料等々合わせて20万強)のPixelbookは不要です。Pixelbookを試してみたい、という方にとっても、多分$999のCore i5モデル買って、差額の$650は何か他の部分に当てたほうが幸せになれる気がします。正直、このモデル、私にとっても果たして真価を発揮させてあげられているか、と言われれば困ります。むしろ申し訳ないくらいにシンプルで平凡な使い方しかしていないので、スペックの無駄遣い感もなくはありません。でもね、16GB RAMだ512GB NVMeとか、その辺はこの際どうでもいいんです。とにかく最高が欲しいならこれです。
このモデルの素晴らしさは、もちろんそうした現行最上位のスペックに依る部分も大きいのですが、それらを支える足回り部分の完成度の高さが、結果としてバランスの良さを生んでいるのだと思っています。液晶の質。全体の質感。キーボードやタッチパッドの使い勝手の良さ。馴染みの良さ。それらは自己満足の部分も多いけれど、そうした数値には現れない部分が、日々使う道具においてはかなり重要なのではないか、と思っています。そして、このモデルは$999どころか、$1,649でも満足できるだけの魅力を持っている、と思っています。ってベタ褒めだな、今回。
正直なところ、これ読んでもし心が動いても買っちゃ駄目です。それは独り占めしたいとか、自慢したいとか、そういうことではなくて、このモデル普通に買う人って、やっぱりちょっと変だと思うんです。そういう人が「最高!」とか「気に入った!」とか書いても、もうそれは一般的な感覚と離れてしまっていると思うんですよね。だから、こういうこと言う人を信じちゃ駄目です(でも良いよ、ほんと)。
ひとまず現時点でのChromebookの出来ることを詰め込んだ、そしてChromebookってこんな世界もあるんだ、と感じさせてくれる、ちょっと特殊な存在。ただ、以前Google Chromebook Pixelが出た頃に比べると、より現実的になってきたのかな、とも思います。この使い勝手を求める、好きな層は確かにいると思います。
ただ、このモデルを例に「Chromebookのくせに高すぎ」とか「高くなった」とか判断しないで欲しいなぁ、と思います。
当ブログのPixelbookに関する文章はこちらからどうぞ。