最近Twitterで日本におけるChromebookを取り巻く空気のようなものを眺めるのが一つの楽しみです。昨年夏頃からこのブログでもChromebookについては積極的に発信し始めてきましたが、当時と比べても興味を持たれている方が増えてきていますし、また実際に購入されている方も見かけるようになりました。
やはり自分が好きなもの、気に入っているものが他の人にとっても好意的に受け止められてもらえると嬉しいですし、それがここ最近の私のChromebook関連の発信量の多さにも影響していると思っています。
ただ、同時に大手ネットメディア等々での取り上げられ方もあるのですが、あまりに期待感や話題だけが先行してしまい、また他製品と比較して煽るような論調も出てきていることもあってか、受け止められ方にも温度差が出てきているかな、と感じています。
もちろんそれは大手に限らず私のように個人で書くブログでも注意しなければいけないことではあるのですが、誰でも自分の気に入っているものを馬鹿にされれば良い気はしませんし、そうした対立を煽るような構造は好きではありません。
また、せっかく興味を持って購入されても、もし思い描いている用途と全く違う方向性のモデルを手に入れてしまえば、Chromebookでなくとも大抵「こんなはずじゃなかった」「思っていたのとは違った」「期待はずれ」「Chromebookはクソ」となるのは当然ともいえます。そうした購入前に避けられるポイントというのはあると思うのです。
そこで、私自身、まだそれ程Chromebookに詳しい訳でもありませんが、この数年使ってきた中で感じたChromebookを選ぶ上で予め押さえておいたほうが良さそうなポイントについて今回書いてみたいと思います。
Chromebookに興味を持たれたあなたへ、購入前にチェックしておいて欲しいポイント。
これに関しては既に昨日少し触れました。
そこでは、次の2点を挙げています。
- Androidアプリ対応に「現時点では」過度の期待をしない。
- 日本国内でも確かに格安の旧モデルが時々出てくるけれど、それらは予めレビュー等をチェック。
当ブログでも昨年後半に選ぶ際のポイントについて何回か書いていますが、それから状況もだいぶ変化してきていますので、そのあたりも含めて取り上げつつ、その上で私の中での選ぶ際のポイントをご紹介したいと思います。
Androidアプリ対応に「現時点では」過度の期待をしない。
売れるためには、また話題になるためには仕方がない部分もあるのですが、ここ最近の少し大げさとも思われるほどの取り上げられ方で、ChromebookにおいてのAndroidアプリの動作に対してかなり期待されている方も多いのではないか、と思っています。「これでAndroidタブレットは要らない」とか「まだ無駄にWindowsラップトップやMacBook使ってるの?」みたいな空気も時々感じます。
ただ、もしそう思われているのであれば、現時点では買わないほうが無難です。恐らくお金と時間の無駄です。現時点ではChromebookはまだそこまで大きな期待に応えられるほどAndroidアプリに対応できていません。あくまでベータ、人によってはベータとして公開することすら如何なものか、と感じられる場合もあるようです。
あくまで補助的な使い方として気楽に、また半分おまけ感覚で使うのであれば十分に楽しめますし、そうした接し方であれば思った以上に使い勝手も悪くはなく、手放せなくなる可能性も十分にあります。
ただ、現時点ではGoogle PlayストアにStableチャンネルで対応しているモデルは非常に限られていますし、それらは比較的Chromebookの中でも価格が高めです。Androidアプリを積極的に活用したい、と思われている方には、価格に見合わない可能性が高いと思います。(C100PAやR11など現時点では比較的手頃なモデルもありますが、それらはある程度の手頃なスペックの上でのライトな付き合い方に向いていると思います。)
そして、意外と忘れられているのですが、Chromebookはアプリが使えない訳ではありません。Chromeウェブストアにて(検索はしづらいのですが)主要どころのChromeアプリが意外と使い勝手良く既に提供されていたりします。
個人的な印象としては、多くのアプリにおいては現時点ではAndroid版よりもこのChromeアプリ版のほうがChromebookとの相性は良く、使いやすいのではないか、と思っています(当然といえば当然ですが)。そしてもちろんこのChromeアプリは前述のPlayストア対応モデルだけでなく、すべてのChromebookで使用が可能です。
Chromebookに何を求めるかはもちろん人によって異なりますが、とにかくAndroidアプリが使いたい、という方は現状では今まで通りのAndroidスマホやタブレットが良いと思いますし、期待しすぎなければそれなりに楽しめるし使える、それが現時点でのChromebookだと思います。ただ、それなりに楽しむにしては価格は上がってしまう点に注意が必要です。
日本国内でも確かに格安の旧モデルが時々出てくるけれど、必ずレビューをチェック。
出来れば日本語キーボードモデル、更に国内で安く買えるのが一番、と探されている方も多いと思います。
ただ、価格だけですぐに飛びつかないでください。国内で販売されたモデルであれば、ちょっと検索するだけでも、日本語のレビューを多く見つけることが出来ると思います。そこで挙げられている感想を自分の用途と照らし合わせてほしいのです。そのレビュアーにとっては大した問題ではなかったために軽く触れる程度だった点が、もしかしたらあなたにとっては快適さに大きく影響する部分になるかもしれません。
Chromebookは日本でも数年前に個人市場向けに、各社それなりのモデルをそれなりに積極的に展開していたのです。にも関わらず、日本の個人市場では受け入れられなかった。それにはそれだけの理由があると思うのです。
- Chromebookなんて、未だに使っている人いるの?
- とっくに終わったOSだと思ってた。あんなの良く使うね。
といった感想は未だによく目にします。そう感じる方の理由はある部分では真っ当でもあり、また当時の印象からアップデートされていないだけの場合もあり、また一側面しか見ていないだけの場合もあります。
ただ、確かにそう感じさせてしまう何かがChromebookにはあったから、結局日本市場に馴染まなかった。その多くはChromeOS自体にあるのかもしれません。
- [かぶ] ChromeOSとはGoogleアカウントのみでどこでも身軽に移動、作業が出来るスタイルの提案であり、Chromebookはあくまで仮の入れ物の内の一つです。
- [かぶ] ChromeOSは他OSを排除するものではなく、新たなスタイルを加えてくれるものの一つ。対応端末はそれを自然にしてくれるツールに過ぎません。
ただ、それ以外の理由もあったと思います。この後、選ぶ際の私なりの視点を挙げたいと思いますが、そうした細かい感覚的な部分もあると思っています。せっかく多くのレビューが既に上がっている日本発売モデルであれば、(既にされているとは思いますが)是非その行間を読んでみてほしいな、と思います。
私が人から訊かれたら、どのポイントを重視するかを挙げてみたいと思います。
さて、こちらも既に昨日おふぃすかぶ.jpで触れているのですが、それでは現時点で私が人にChromebookを薦めるのであれば、どの辺のポイントを重視するか、について書いてみたいと思います。
こちらは今までに10台弱のChromebookを使ってきて、また今もChromebookが好きで毎日情報を追いながら、現状の考慮に入れた中で感じている一つの候補に過ぎません。こちらも、例えば「金に糸目はつけない。Androidアプリもスタイラスペンも、質感も本体の軽さも、また処理速度もとにかく最高のモノが欲しい」という方や、「今ちょっと話題になっている新しいスタイルとしてのChromebookを試してみたい」という方には恐らく向きません。
また、このモデルでなければならない訳でもありません。ただ、このモデルにおいて私が重視している点が、恐らく初めてChromebookを試される方にとっては失敗が少ないのではないかと思われる部分だと思いますので、そのポイントを挙げてみたいと思います。
CPUの処理速度と、液晶やキーボードの質も含めたトータルでの快適さ。
非常に曖昧な書き方で申し訳ないのですが、この点が満たされて初めて+αを考えられると思っています。それが、「CPU処理速度と、液晶やキーボードの質も含めたトータルでの快適さ」です。当たり前だろ、と言われがちですが、これ結構見逃しがちなのです。特にChromebookにおいては。
どうしても最もコスト削減の影響を受けやすい部分なので。こんなものかなぁ、と思ってしまうのです。
Chromebookは軽い、速い、と言われていますが、正直なところ金に糸目をつけなければ、またある程度お金を出す気があれば、WindowsやMacBookの最新モデルも軽くて速いんです。どちらが快適と感じるかはまた別の要素が出てきますが。
そして、そんな軽い、速い、と言われているChromebookですが、最近巷で騒がれているほど衝撃的な軽さと速さを誇る訳ではありません。むしろ数年前、日本に上陸、その後離陸したときとCPU性能自体はほとんど変わっていません。
ChromeOS自体はアップデートを重ねることで当時よりかなり細かい部分での使い勝手は上がっていますし、それにともなって(重くなるどころか)軽くなってきているのですが、それでも現状では要所要所でもたつきを感じることも出てくると思います。
ということは、例えば現時点で普及価格帯に用いられているN3060やN3160、更に2GB RAMなどの旧モデルの場合だと、「あれ、悪くはないけど、思ったほど軽くもなければ速くも快適でもないな」となる場合もあります。期待していた分、「思っていたほどではない」というモヤモヤ感は、その他の部分を否定的に見てしまいがちになります。
否定的に見てしまった時に手強いのが、前半でも触れた「そう感じさせてしまう何か」「細かい感覚的な部分」です。例えば、
- キーボードが安っぽくてたわむ。打ちづらい。
- 液晶が安っぽい。長時間見るには厳しい。
- 本体自体が無駄に大きくて重い。何となくデザインが安っぽくて古い。
もうありとあらゆる部分が気に入らなくなってしまうのです。そりゃそうです。仕方のないことです。そしてそうなった時に、これらの部分の安っぽさが好意的に受け止められなくなってきてしまいます。
ここで挙げたThinkPad 13 Chromebookも、本体だけ見ればこれを安っぽいと見ることは可能です。十分に前述の否定的な見方が可能なんです。ただ、それを普及価格帯に対しベンチマークスコアで1.5倍以上というCPUの処理速度と必要十分な4GB RAM、更にキーボードの使い勝手の良さで、この印象が好意的に180度変わる可能性が高いと思っています。
もっとも重視している点がプラスだと、人は加点方式でモノを評価するようになります。けれど、肝心の部分がマイナスだと、細かい部分まで減点方式で評価してしまいたくなります。
CPUが一段階速い。キーボードが打ちやすくて快適。液晶も悪くないし交換も出来る。
このモデルは私の思考とキー入力のスピード、そしてリズムやテンポについてきてくれる。遅れません。ノートパソコンってこういう基本的な部分が満足できて、初めて+αを考えられると思っています。それをこのモデルは満たしていると思っています。
そうした点ではこのCPUも含めた処理速度と快適さというのは私はまずは重視して欲しいと思っています。
「Chromebookは軽くて速い」から、と普段考えずに済ませている部分こそ重視してほしい。
長々と偉そうに書いている割に「CPUと液晶の質とキーボードの打ちやすさ」なんて当たり前だろ、と思われた方も非常に多い気がしています。
仰るとおりです。
なんの真新しさも衝撃もありません。けれど、Androidアプリ対応!Officeが使える!Adobeが対応!AppleがGoogleに負けた!といった刺激的なフレーズや「話題性」、「Chromebookは軽くて速い」という言葉に隠れてしまって、意外とこのあたりは「軽くて当然」「速くて当然」と思われてしまっているのではないか、と思うのです。
それは快適さも同じで、液晶の質に関しては確かに最近のモデルであればそこまで酷いものはありませんが、数年前のモデルを触ったきり、そこでイメージが止まってしまっている人にとっては「あんないつの時代だよ、と思うような液晶で長時間使えないよ」とか「全体的に安っぽいよね」というイメージがあると思うのです。
もちろんそれらのトータルとしての快適さには人それぞれの用途や目的によって様々な要素が加わってきます。相性もあるでしょう。ASUS Chromebook Flip C302CAとSamsung Chromebook Plus、その倍以上の価格がするHP Chromebook 13 G1、その全てで液晶の質もキーボードの感触も好みも全く違ってきます。どれが良いかは本当に意見が分かれるでしょう。
けれども残念なことに、現時点の日本ではこれらのモデルを実際に触れて確かめることが出来ません。
そして、私も含めた一部のChromebook好きのちょっと愉快でおかしな人たちを除けば、いくらWindowsやMacに比べて安いといっても、そう何台も買わないと思うのです。
であれば、現状はもっとも話題になっている「Androidアプリ対応」よりも、まずはこうした基本的だけれど「Chromebookは軽くて速い」から、とあまり考えずに済ませている部分こそ重視してほしいな、と思っています。もちろんすべての実物を触ることは難しいとは思います。ただ、評価はある程度国内外のレビューでわかります。更に、価格には価格なりの理由があります。
今回文中でLenovo ThinkPad 13 Chromebook(3855U)を挙げましたが、別にほかでも気に入ったものがあればそれで構わないと思います。あくまで一例です。
ただ、現時点においてこのモデルが実売価格$180前後である、というのは大きなアドバンテージかな、と思っています。いくら価格には価格なりの理由があるといっても、なるべく手軽な価格での快適さを試してみたいから、恐らくChromebookを候補として考えられたのだと思うので。
Androidアプリ対応とか、タブレットモードが欲しい、とか本体自体の軽さ(重量)がすべて、という方はやめておいたほうが良いと思います。前回触れましたが、思い描いている用途と全く違う方向性のモデルを手に入れてしまえば、Chromebookでなくとも大抵「こんなはずじゃなかった」「思っていたのとは違った」「期待はずれ」「Chromebookはクソ」となるのは当然ともいえます。
せっかく再び日本でも少し興味を持たれるようになってきたChromebook。持ち上げすぎず、けれど一側面だけを見て必要以上に落とすこともなく、また他と比べてバカにしたりされたりすることもなく、これからも楽しく使っていけたら良いな、と思っています。