「Chromebookって何が良いの?」「Windowsなどの他OSと何が違うの?」といった疑問を結構目にするようになりました。この疑問はChromebookユーザーにとっては悩み(分かりやすく答えるのが難しい)の一つでもあります。
実際ネットで調べてみても、「起動が速い!」とか「低スペックでもサクサク」みたいな表現しか出てこなかったのではありませんか?
今後ユーザーや興味を持つ人が増えることで、それに合わせてしばらく新しいレビューや記事が多く出てくるのではないかと思います。でも特長となるとこの辺りが特長として挙げられてしまうのではないか、という気がしています。
あとは「Androidアプリが動く」とか。反対に短所は「ネットがないと何も出来ない」「アプリが入れられない」など。
前回書いた上記の文章が思った以上に読んでいただけているようです。そこで以前「アカウントを持って街へ出よう」なんて電子書籍も書いた私の目から見たChromebookの魅力(特長)について改めて少し書いてみようと思います。
これでスッキリするとは限りませんが、今までの巷に溢れる説明でいまいち腑に落ちなかった方の中には、もしかしたらちょっと腑に落ちる方もいるのではないか、と願っています。
Chromebookの本体はネット上にあるGoogleアカウントとそれに紐付けられた環境群。ハードウェアはあくまでそれらを「一時的に」下ろしてくる仮の置き場のようなもの。
これ、ちょっと分かりにくい表現ですが、Chromebookを表現するのに分かりやすい例えかな、と思っています。
あなたはネット上のいろいろなサイト(銀行でも旅行でも買い物でも)に自分のアカウントでサインインすると思います。すると、そのサイトのマイページがありますよね?自分の使用履歴に合わせて配置されているショートカットが違ったり、表示されている項目が違ったり、自分の好みに合わせたものが表示されたり。ここから先のページは自分自身にしか見られず、自分自身の好みに合わせて作られたマイページです。
このマイページのコンピューター版がChromebookです。
初めて使うChromebookに自分のGoogleアカウントでサインインすると、あなたのGoogleアカウントに紐付けられた環境からWebアプリ、サービス「群」の一連の情報がChromebookに「一時的に」保存され、それを元に本体の環境が一時的にあなた向けにカスタマイズされます。その時点で目の前のChromebookはあなたの用途と環境に合わせたコンピューターに変わっています。
これらの情報の「一時的な仮の置き場所」が今目の前で使っているChromebookです。
ストレージ(保存領域)が32GB eMMCとか64GB eMMCと聞くと、最近のスマートフォンやPCを使っている方だと「スマホと同じくらいしかない」「Windowsだと512GBや1TBあるのに」私の作業しているあのデータもこのデータも、更にあのアプリもこのアプリも、全部入るのだろうか、と思われるかもしれません。
ただ、Chromebookは何も毎回、あなたの他OSのPCやスマホ本体に入っているのと同じように、本体にすべてのデータを保存している訳ではありません。音楽も、写真も動画も。全て基本的にはあなたのGoogleアカウントに紐付けられた「ネット上にある」Googleドライブの中に入っていて、「必要な時だけ」Chromebookのストレージに一時的に展開されて作業され、それがGoogleドライブ上の元のファイルに反映されます。あくまで一時的な作業空間。
また、Excelファイルは他のPCで作業したくなった時、また他人と共同作業をしたい時、どうしていますか?
最近は最初からOneドライブ上などのクラウドに保存しておいて、それを共有、という使い方をしている人も多いと思いますが、基本的には一つのファイル自体をあるPCからコピーして他のPCにも移します。私の実家の父の場合、クラウドは基本的に使っていないので、デスクトップ上にあるすべてのWord、Excelファイルなどは一度USBメモリにコピーして、移動させています。
これに対して、Chromebookで基本的にこれらの置き換えとなるドキュメントやスプレッドシートは基本的にはGoogleドライブ上に存在します。それを使う度に「一時的に」仮の置き場であるChromebookの中に展開させて、作業しているのです。だから、他人と共有するときにも、基本的にはその作業ファイルを「渡す」のではなく、「そのもの自体(場)を共有する」という考え方です。
クラウド前提?別にWindowsでも、それどころかスマホでもクラウドなんて普通に使っているよ、と思われるかもしれません。確かにそのとおりなのですが、元々の置き場がクラウド(ネット上)で、そこにあるファイルを必要に応じて、その時使っている端末に一時的に下ろしてきて作業する。それを違和感無く、スムーズに行うように作られているのがChromebookです。
でも、もちろんそんなことはないですよね。基本的に多くの人は仮の置き場とはいえ、一台のChromebookをずっと使い続けるでしょう。なので、基本的にはそのChromebookから自分のアカウントを削除しない限り、それらの「設定情報」はPC本体に保存はされています。ただ、写真や動画、音楽ファイルやスプレッドシートなどのファイルは、自分で意識してこの仮の置き場であるChromebookのストレージに保存していない限り、基本的にはGoogleドライブ(クラウド上の)に保存されています。
Chromebook本体には、これらのあなたのGoogleアカウントに紐付けされた様々な情報やファイルの場所についての情報が保存されている、とイメージしてもらえると分かりやすいかな、と思います。
「それぞれのアカウントに紐付けられている、ネット上にある環境情報やファイル群が本体」だと便利になること。
「そんなネットがないと作業が出来ないなんて不便じゃないか」と思われるかもしれませんが、このおかげでとても便利なことがあります。それは、
本体はChromebookの中にない(あくまで仮の置き場)ので、データの消去が簡単。また、全く別の新しいChromebookで作業の続きをしたくなったときにも、そのChromebookでGoogleアカウントで入れば、すぐに(数分で)先程の続きから始められます。
例えば私が自宅でAというChromebookで作業をしていて、その後実家に数日帰るとします。勿論Aを持って帰っても良いですし、別途軽くて持ち歩きやすいBというChromebookがあれば、それを持っていっても良い。帰りの新幹線の中でWi-Fi接続してサインインすれば、先程の続きから始められます。更に、もし実家にCというChromebookがあれば(それが前回帰省した半年前に使ったきり使ってなかったとしても)OSのアップデートに数分かかるかもしれませんが、基本的にはほとんど同じ環境で仕事が出来ます。
これ、最近は他OSでもだいぶ連携するようになってはきましたが、それでも「気軽に切り替えて」というのはまだまだ難しいですよね?何故ならそれらはいくらクラウドを使っていても、基本的には端末ごとに異なる環境で、それぞれにデータを保存して管理するようになっているからです。
この管理の楽さは当然学校などの不特定多数の学生が同じ端末を使うような環境でも生きています。学校が一括で何十台と購入して、それを授業ごとに貸す場合でも、学生一人ひとりが自分のアカウントでサインインすれば一瞬で自分のいつもの環境になります。授業が終了したらサインアウトすれば良いだけ。
同様に、もし一人一台購入させているような学校の場合でも、例えば学生がその日Chromebookを忘れても、学校に置いてある予備のChromebookでサインインすれば、まったく同じ環境が蘇ります。また同様に、学校をその日休んだ学生も、自宅で自分のアカウントでサインインすればその日の授業の課題や予定が確認できますし、学校に忘れてきた場合でも、手元にスマホがあれば、同様に(同じGoogleアカウントなので)Classroomなどのサービスであれば確認が可能です。
そして、管理者側としてもすべての端末のアップデート作業やデータの初期化作業は一台一台行う必要はありません。管理元のアカウントから指定するだけで自動で削除やアップデートが可能です。また、インストール出来るサービスやアプリなどの制限も可能です。
この管理の楽さ(学校の先生は私達が想像している以上に業務が日々大量にあって大変です)というのはかなり大きいことではないか、と思います。
なぜChromebookはAndroidbookではないのか。むしろChrome OSの特長とAndroidアプリ自体は現時点ではまだ相性が悪いかも。
さて。ここまで読んできて感じられたかもしれません。
「あれっ?ChromebookってAndroidタブレットの延長みたいなものじゃないの?」
「Androidタブレットにキーボードが付いたようなものでしょ?」
確かにアプリが使えますし、単純にキーボードが使えるだけのように思えるかもしれませんが、それだけだったらChromebookと呼ばずAndroidbookと呼んでいるはずですよね?
実際にはAndroidアプリというのはChromebookにとっては「おまけ」に過ぎません。基本的にはChromebookの特長であり魅力というのはここまで長々と書いてきたようなことなのです。ただ、まだまだ本体にアプリを入れて動かしたほうが使いやすい(便利なこと)も多々ある。それらを「補う」ために「一応」対応している、というだけです。
ここまで読まれた方ならお気づきかもしれませんが、正直なところAndroidアプリというのはChromebookの性格を考えると、ちょっと扱いづらいものでもあるんです。何故なら、スマートフォンをお使いの方なら機種変をされた際に気づかれると思うのですが、新しい端末のセットアップってそれなりに時間がかかりませんか?
バックアップ取ってあるから、といっても、もしメーカーが違えば対応していないアプリもありますし、設定が違う場合もある。iPhoneの場合でもすべての写真を改めて本体に入れ直す、と考えると数分では済まないですよね?
まだまだ本体にアプリを入れて使う、という使い方をする端末は、気軽に端末をその時々で変えて使う、という使い方には向いていないんですね。実際、Chromebookでも、Androidアプリを色々使えば使うほど、気軽に初期化(powerwash)したり、別の端末と使い分けたり、ということが少し億劫になってきます。(といっても各アプリ毎に再設定をしなおしたり、といった手間だけなのですが=各Androidアプリの設定情報までは同期されていないので)
一番楽なのは、やはりAndroidアプリが何も入っていない状態。これだと一瞬でどの端末でもすぐに自分の環境が再現されます。
今ある環境から完全移行できるか、なんて不確定なことに頭を悩ませず、肩の力を抜いて、まずは気軽に共存して使ってみてほしいな。
さて。長々と「よくわからない」「具体的ではない」話が続きました。もしかしたらあなたは「具体的で明確な」他OSとの違いを知りたかったかもしれません。だとしたらごめんなさい。
ただ、「Chromebookで出来ることは他OSでも普通に出来る」と言われているように、単純な「出来る(○)」か「出来ない(☓)」かの話なのであれば、特別Chromebookにしか出来ない、というようなことはありません。ただ、他OSに比べて「より楽に出来る(◎)」ということが幾つもあります。そこに気づいてしまうと、途端に便利な道具の一つになります。
もしあなたが今手元にあるMacBookやWindows PCの完全な代替を考えているのであれば、オススメはしません。特に「今使ってるのが調子が悪い」という理由での買い替えなのであれば、そのまま新しいMacBook、Windows PCを買うことをオススメします。それが一番何も戸惑うこともなく、楽で便利だからです。
ただ、Chromebookの隠れた魅力の一つとして、他OSとの相性も良い、ということが挙げられます。他OSも使いながら、自分の生活の中の一部分にChromebookを取り入れてみると、意外と自然に馴染んでいるのではないか、と思っています。まずはそうした「既存の環境との共存」から考えてみてはどうでしょうか?
むしろ、今回書いてきたような「仮の置き場」でありいつでもどこでも「端末を選ばない」作業環境を構築出来るという状態は、結果としてOSの束縛からも自由になると思っているからです。何故なら、そのOSでしか出来ないわけでなく、アカウントとネット環境があれば、どんなOSからでも全く同じ作業が共有できる、というのは大きなことだと思っているからです。それに今近いのが、今回挙げたようなChromebook、Chrome OS的な感覚なのかな、と感じている、というだけです。
Chromebookの快適さは、ちょっと今までの他OSのPCで感じてきた快適さとはベクトルが違うかもしれません。それはもしかしたらあなたのメインの使い方ではないかもしれませんが、もしかしたら今までとは違った快適さを感じられるモノとして、意外と手放せないものになっているかもしれません。
Chromebookを今までに20台以上購入してきて、早4年近く使い続けている(Windows PCも使っています)、Chromebookが好きな私としては、あなたにもそんな気軽さ、気楽さ、快適さを感じてもらえたら良いな、と願っています。
最後に。もし興味を持って貰えたら、当ブログのChromebookページもご覧頂けると嬉しいです。700弱の文章があるので、なかなか目的の内容に辿り着きにくいかもしれませんが、この3年ほどの流れが掴めるのではないか、と思っています。
ただ、その際にもその文章がいつ書かれたものなのかは確認することは忘れないでくださいね(追記や修正が間に合っていなくてごめんなさい)。