今回は8回目。今回初めて読まれて興味を持たれた方は、これまでの文章もお読み頂けると嬉しいです。
さて。今回はChromebookにおけるAndroidアプリについて、です。
ただ、これはAndroidアプリ不要論とか是非を問うような話ではありません。中には便利に使っている方もいると思いますし、それ目的で買う方もいると思います。そして、満足している方も。結局は用途次第なので、ご自身の使い方に合っているのであれば、それが一番です。
ただ、ネットを眺めていても、購入前で検討されている方、また最近の全体的な流れもあるのか、少し補足というか情報が必要かな、と思う部分もありましたので、今回改めて書いてみたいと思います。
「PCはアプリを入れないと使えない」「ChromebookはAndroid OSだから」という誤解。
ちなみに私はChromebookにはほとんどAndroidアプリを入れていません。それは、私にとってのChromebookの使い方によるものですが、Androidアプリを使うのであれば(一部を除けば)普通にAndroidスマートフォンなりタブレットに入れてしまったほうが使い勝手が良いからです。
ちなみにネットを眺めていると「Androidタブレット代わりになるかな」「Chromebookはスマホにキーボードが付いたもの」と捉えている方も少なくありません。また、そこから「ChromebookはAndroid OSだから」といった誤解をされている方も結構いるな、と感じます。
ChromebookをPCと捉えるか、スマートフォンやタブレットの延長と捉えるか、は個々人の知識やスキルだけでなく、それまでの使用環境に拠る部分も大きいので、私はどちらで捉えても良いと思います。
実際に現時点でのChromebookはどちらで捉えてもそこまで違和感はないかもしれません。私のようなユーザーからすればPCの一種なのですが、日本のようにPCではなくスマホから使い始める世代が増えてくれば、自然と扱い方、捉え方はスマートフォン的になってくるのかもしれないな、と思っています。
ただ、個人的にはChromebookに関しては、PCであっても、スマートフォンやタブレットであっても、従来の感覚で使おうとすると、どっちつかずで使いにくい部分も多いのではないか、と感じています。その感覚の一つが、
「何かをするには、アプリが必要」
というものです。もちろんWebアプリなどもアプリではあるのですが、ここでは一般的な、PCのアプリケーションやスマートフォンのアプリなどの、本体内にダウンロードしてインストールをして使うアプリケーションのことです。
例えば、スマートフォンを使い慣れている方であれば、ChromeブラウザーやTwitter、Facebook、更にはGoogleドキュメントやスプレッドシートなども、Androidアプリを入れて使う、という感覚の方が結構多い。で、感想を眺めていると「Twitterアプリを入れて使ってみたけど使いにくい」といったものもよく見かけます。
また、PCを使い慣れている方からすると、「自分が使い慣れているアプリがインストール出来るか」が評価基準になっている方も見かけます。そういう人からすれば、Chromebookは専用アプリではなく、あくまでAndroidアプリ(スマートフォン用のアプリ)が使えるだけなので、機能も使い勝手も中途半端になります。なので、「それならWindows PCやMacBookを買ったほうが出来ることが多い」という評価になりがちです。
「ChromebookはAndroidアプリが使えるようになってようやく実用的になってきた」
と言われる方もそこそこ見かけます。
つまり、多くの人にとっては、まだまだ
「PCやスマホで何かをするには、その用途に合わせたアプリケーションをダウンロード、インストールする必要がある」
ということですね。「出来ることが多い、少ない」の判断は、「インストール出来るアプリケーションの数と、そのアプリケーションの使い勝手」ということになります。
ただ、考えてみてほしいのですが、先程も触れたようにChromebookはAndroidではありません。ちょっと極端な話をすれば、ChromebookでiPhone用のアプリを動かしているようなものです。
AndroidアプリはAndroidスマートフォンやタブレットで使う場合に最適化されています。
同様に、
WindowsアプリはWindows PCで使う場合に最適化されています。
でもChromebookでAndroidアプリを動かす、というのは、本来違うOSに最適化されているアプリケーションを無理やり使っているようなものなんですね。使えたとしても、本領を発揮するのは難しいのです。
じゃあなんでAndroidアプリが動くことをウリにしてるの?矛盾してるじゃん。
そう思われる方も多いかもしれません。これはGoogle側がChromebookの良さを、わかりやすい形で表現できていないことに原因があると思っています。Androidアプリが動く、起動が爆速、セキュリティソフトが要らない、といった話のほうが誰にでもメリットが伝わりやすいからですね。でも、これらのどれもが、実際には中途半端だったりします。
さて、私はこのシリーズの2回目で、Chromebookの特長や強みについて書きました。どういう用途に特化した、どういう使い方をしたときに本領を発揮する端末なのか、について書きました。
詳しくは上記をお読み頂けると嬉しいのですが、要するにChromebookって、
自分や他人との共有、及び共同作業(更に言えば同時並行での作業)を行うのに適した、そこに特化させた
端末です。だからネット接続が前提だし、端末本体内になるべくデータを置かないことで活きてくる、とも言えます。
ただ、上記の文章でも触れましたが、まだまだ世の中は、人々の意識も、社会的な環境も、仕事の内容も、ハードウェアやソフトウェア、サービスも、それを活かしきれるほどには変化してきてはいません。つまり、どうしてもまだまだその強みを活かせる使い方が出来る個人や企業は限られている、ということです。
それを補う上で、またそうした環境が整う将来までのフォロー、一時的な代替手段として、馴染みのあるスマートフォンのアプリを動かせるようにした、というのがGoogleの考え方だと思っています。
結構このAndroidアプリ対応とChromebookのコンセプト(この辺りはまた回を改める必要があるかもしれません)が矛盾しているように感じている以前からのユーザーや、PCに詳しい方も多く「GoogleのChromebookは迷走している」と言われることが多くなっています。
また、逆に「Androidアプリがネイティブにスマホやタブレットと遜色なく動くようになる」「ChromebookはAndroidタブレットの後継、代替という方向に舵を切り始めた」と考えている方もいるのですが、私は今後もある程度は使い勝手は良くはなるとは思うものの、Androidタブレットの代わりになる、そういう方向に進んでいく、とは考えていません。
今回の補足とまとめ:
それでは今回の補足とまとめです。冒頭でも触れましたが、今回の内容は、Androidアプリ不要論とか是非を問うような話ではありません。中には便利に使っている方もいると思いますし、それ目的で買う方もいると思います。そして、満足している方も。結局は用途次第なので、ご自身の使い方に合っているのであれば、それが一番です。
なので、Androidアプリが使えるのが便利だから使う、というのもアリですし、最近非常に少なくなってきたAndroidタブレットの代わりに検討されても良いと思います。ただ、個人的には余程今後ニーズがそちらの方向ばかりになってGoogleが方針転換を考えざるを得なくならない限り、基本的には、
- ChromebookがAndroidタブレットのような使い勝手になることも、取って代わることもない
- あくまでChromebookでの作業において、痒いところに手が届くためにAndroidアプリが動く
という方向性はあまり変わらないのじゃないか、と私は考えています。
ではAndroidアプリは不要なのか。私はそうは思いません(私はほとんど入れていませんが)。現時点では、まだまだChromebookが得意とする、本領を発揮するような使い方をするには、時代も環境も追いついていませんし、私達がそれでメリットを感じる部分も多くはありません。むしろ不便に感じる部分も多いでしょう。
そうした部分を補うのに、確かにAndroidアプリが一応動くのは便利ですし、実際にChromebookを長く使っている方も、様々な紆余曲折を経ながら、自分なりの程よいバランスでAndroidアプリを使っているようです。
ちょっと、Chromebookでヨドバシゴールドポイントカードアプリ使ってくるか。
— 伊藤崇/Outliner.jp (@outliner_jp) January 13, 2022
WindowsでAndroidアプリ、MacでiOSアプリも同じ感じ。
パソコンでスマホアプリって
・使う前は万能感に期待
・色々インストール
・実際に使ってみるとつかいづらさを実感
・もう、スマホでよくね?
となり、結局使わなくなる。— タケイマコト (@pcefancom) January 13, 2022
「Windows 11がAndroidアプリに対応」したり「macOSでもiOSのアプリが動くようになった」ことで、「Chromebook死亡のお知らせw」と言っている方も目にします。確かにChromebookの魅力がAndroidアプリが動くことにしか感じられない方にとっては死亡かもしれませんが、そういう方であれば、そもそもChromebookでなくても良いわけですね。
また、実際に使ってみると分かると思うのですが、スマホ用のアプリって、やっぱりスマホやタブレットでの操作感と使い勝手に特化されて作られているので、それを大画面の、特にノートPCやデスクトップPCのようなもので使っても、意外と使いにくかったりするんです。それだったら、それぞれに最適化されたアプリを使うのが一番です。つまり、
- Windows PCならWindows用のアプリ。
- MacBookなどならmacOS用のアプリ。
- そして、Chromebookなら、Webアプリ(やPWAと呼ばれるもの)。
もしかしたら、スマホに馴染んだ世代が増えてくるにつれて、こうした感覚は変わってくるかもしれません。そうしたら、「ChromebookはAndroid OSだから」と言われるのと同じように「Windows PCはAndroid OSだから」「MacBookってiPhoneだから」と言われるような日が来るのかもしれないな、ともふと思ってしまいました。