[かぶ雑感] 全ての仕事や作業がWebサービスで完結はしなくても、従来とは違った視点での仕事や作業の形が生まれてきている。

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[かぶ雑感] 全ての仕事や作業がWebサービスで完結はしなくても、従来とは違った視点での仕事や作業の形が生まれてきている。

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先日、こんなツイートをしました。

今回このツイートを冒頭で貼り付けたのは、元ツイート主の意見がどうこう、という理由ではありません。ちょうどここで引用RTした部分が、私が最近感じていることでもあったので、貼り付けただけで、個人的にはむしろ元ツイート主のツイートに同意する部分が大きいのです。

世の中、もちろん様々な仕事のスタイルがあって、様々な意見があるから面白いのだと思います。ただ、どうしても「Webサービスで大体のことは出来てしまう」派と「所詮Webサービスで出来る程度のことしかやらない仕事なんて大したことない」派にいつの間にか分かれてしまいがちです。

お互いに「そういう働き方、仕事の仕方や種類もあるんだね」と、自分の知らない世界、職種の多様性を認め合える世の中であれば良いのですが、どうもお互いに茶化したり馬鹿にしたり攻撃したりする空気があるのが寂しいですね。

ということで、今回お話しする内容も、「すべての仕事や作業がこれでいける」という話ではありませんので、そういう噛み付き方をされてしまっても「そうですか、あなたの仕事ではそうなんですね」としか言えないのですが、1つの将来的な仕事の形として面白いし、可能性があるよなぁ、と思った話です。

個人完結型ではなく、様々な環境を持つ他人との共同作業において大切な「もう一つの視点」。

先日私のYouTubeチャンネルでの動画でも少し触れた話があります。

[かぶ] Chromebookは本当に出来ることが少ないのか?視点を変えると全く違う世界が見えてくる。

9分54秒辺りからの話になるのですが、この動画自体は

「ChromebookをはじめとしたGoogleの一連のサービスの根底にあるのは、OSフリー、アプリフリーの考え方であり、基本的に各端末本体のストレージ内ではなく、クラウド等でデータやプログラムを管理することで、1つの作業を複数人でシェアして行う(同時並行作業を行う)ことに特化させている、そうした方向性に向いている

といった話です。例えば動画編集であれば、自分一人ですべての作業を、ある1つの端末(ハイスペックの)のみを用いて、端末の馬力を活かしてガンガン行っていくような作業であれば、従来のOS、PCのほうが得意です。本体の中にアプリケーションやデータを全て入れて、そのアプリにしか出来ない専用の機能を駆使しながら、本体の馬力でゴリゴリ作業を行っていく、力業ですね。なので、そうした仕事がメインの方、そうした内容を求められる方であれば、そもそもChromebookなんて選択肢にも入らないわけです。

動画編集に限らず、MicrosoftのOfficeなどの作業でも同じですね。

よく「社会に出たらOffice必須だから」と言われますが、これだって見方を変えれば「Officeでしか使えないスクリプトや機能があって、Officeでしかレイアウトが崩れずに表示出来ない」から「Officeでなければならない」という話です。これも1つの考え方ではありますし、そうした専用のスクリプトや機能がなければ仕事として成立しない現場もあるかもしれません。

でもそれって、時々ネットで叩かれている、茶化されている「未だに学校の一部では一太郎とかいう化石使ってるんだけど(=凄く迷惑)」というのと結局は同じですよね。

一太郎は確かにシェアが圧倒的に少なくなってしまったかもしれませんが、ここで挙げる「Officeでしか使えない、きちんと表示出来ない」と「一太郎でなければ使えない、きちんと表示出来ない」は現時点でのシェアの差こそあれ、結局は同じことです。特定のOSやアプリに完全に依存している訳です。

反対に、どのOSのPCであろうが、更に言えばスマホやタブレットだろうが、ほぼ同じように表示出来る、という汎用性の高さというのも、見落とされがちですが実は結構価値のあることではないか、と思います。

先方の端末の中に、同じアプリ、同じバージョン(アプリによってはバージョンが違うだけでレイアウトが崩れる場合もあるので)がなければ同じように使えない、というのではなく、とりあえずWebブラウザーさえあれば、どの端末であろうが同じ機能が使え、同じレイアウトが実現できる。つまり、双方の環境に左右されずに、その互換性に気を使わずに仕事や作業が出来る、というのも、見落とされがちですが、それはそれで便利な使い方です。

今の日本社会は確かにOfficeが主流かもしれませんが、Office(それもWindows版とmacOS版ですら所々互換性の問題がある)を使っていなければ仕事が出来ない、というのはそれはそれで不便な部分もあるのではないでしょうか。

そんな中で、自分一人や、全く同じ環境を構築している相手だけでなく、様々な環境を持った他人と共同作業を進めることを前提、むしろそうした共同作業を不自由なく行えることを最優先に考えているのであれば、Webアプリ、サービスを用いた、例えば先ほどの動画で言えばGoogle DocumentsやSpreadsheetsといったサービスは、より適しているとも言えます。また、そうしたサービスだからこそ、同時刻に同じ資料にアクセスして同時並行で作業を行っていても問題ない訳です。これが各自のPC内にファイルがある環境であれば、それは難しいですよね?

と長くなりましたが、そんな話を先ほどの動画では話しているわけですが、そこで動画の話に戻ります。動画を撮ったのが約1年前ということもあり、当時思い描いていた「将来の共同作業の1つの形」として挙げた、1つの動画を複数人で同時並行して作業していく姿。少なくともその時点では現実的ではありませんでしたし、本格的なプロの方であればまだまだ夢物語のような話(でも、「共同作業」がこれから重視されていくのであれば、将来的には現実的になるかもね、というレベルだった)が、少しずつではあるものの、現実的になってきているようです。

まだまだ先だと思っていた動画の同時並行編集作業がクラウドの利用で現実的になってきた。

それが、動画編集をされている方であればご存じのBlacmagicdesignのDavinci Resolveです。先日の18へのアップデートでは、主にBlackmagic Cloudを初めとしたクラウドサービスの開始と対応が謳われました。

DaVinci Resolveのコラボレーションでは、各アーティストが同じプロジェクトで、それぞれ専用のページで必要なツールを使って作業できます。Blackmagic Cloudを使用することで、エディター、カラリスト、VFXアーティスト、アニメーター、サウンドエンジニアたちが世界中のどこからでも同時に作業できます。それぞれの変更を互いにチェックできるので、何時間もかかるタイムラインの再コンフォームは不要です。

Blackmagic Cloudでプロジェクトを共有する上で、1つのプロジェクトに割り当てられる人数に制限はありません。複数ユーザーが同じタイムラインで作業できます!他者によって加えられた変更は、ビューアに表示して承認でき、承認した変更のみ適用されます。ファイルの再リンク、タイムラインの更新、変更の表示はワンクリックで実行できます。タイムライン比較ツールでは、変更をマスタータイムラインに統合できるので、他の参加者が編集を続行できます。

現時点ではCloud上に保存するのはプロジェクトファイルのみであり、素材(各動画や音声、エフェクト等)をクラウド上に置いて作業する、ということではありませんが、プロジェクトファイルが各自のPC内に個別にあるのではなく、クラウドに1つだけ存在することで、そのプロジェクトにそれぞれがアクセスして編集する、という作業の形は、この文章の前半で長々と書いてきた「共同作業」を前提とする仕事、作業の形に近いものがあります。

一応現時点では素材ファイルも自動でクラウドストレージサービスに同期、バックアップが出来、それを各自の端末に一時的にダウンロードしてきて作業を行う、ということも可能なようです。現時点ではDropboxのみの対応のようですが、今後Google Drive等にも対応するとのこと。これだと若干手間はかかりますが、ここも新しく発表されたBlackmagic Cloud StoreやBlackmagic Cloud Podを用いれば、これらをNAS的に利用出来るので、そちらに素材ファイルを保存して、そこにそれぞれがアクセスして作業する、という形も実現できるようです。

もちろんこうしたことは今までも普通のNASなどで実現出来なくはなかったのですが、OSが変われば保存先のパスも変わりますし、OSによってファイル管理の仕方が異なる場合もあるので、例えばWindows PCとMacBookで自宅NASに保存してある動画ファイルをどちらからでもシームレスに編集作業が出来るようにするにはなかなか面倒でした。

また、これに関してはアプリによっても(Adobe Premiere Pro、Final Cut Proなど)それぞれに違いがありますし、Davinci Resolveでは今回の18で、こうした複数の端末間でシームレスに作業が出来るような対応を行った、ということですね。

個々人の環境に左右されない、シームレスな共同作業環境が作れるようになったとき。

さて。長々と書いてしまったわけですが、要は何が言いたいのかというと、今後こうした共同作業や場所を問わずに同時並行作業が出来るような仕事や作業の形というのも現実的になってくるのではないか、ということです。もちろんこれも冒頭にあるように、世の中のあらゆる人の作業スタイルがそれに変わる、という訳ではないので、人によっては全く不要な機能でしょう。

「私は自分一人で、自分の最強の編集環境で独自の機能とショートカットをガンガン駆使して黙々と作業をする、一人完結型だから、不要」という方もいて良いと思います。

ただ、例えば友人知人や同僚だけでなく、ネットで見かけたカラグレに非常にセンスのある人にカラグレ部分だけを業務委託する。これも今までも普通に出来たことですが、その為にはその都度ファイルの行き来とその都度のやり取りが必要でしたが、今回のようなクラウド前提の共同作業であれば、リアルタイムで確認、また同時並行して作業が出来る訳です。

「ブラックマジックデザインの岡野さんにBMD新製品のクラウドソリューションについて聞いてみた! – riverside.fm対談」第1675話

この辺り、今日のドリキン(Koichi Aoki(@drikin))さんの動画で話されていましたね。

これってプロの話だけではなく、意外とこれから動画を作ろうかな、と考えている方のハードルも下げると思うんですね。例えば私のような初心者にとって手強いのは、使える機能、よく使い方が分からない機能、また出来ること、出来ないこと、得意なこと、苦手なことや、面倒と感じないこと、面倒くさいことがハッキリ分かれてしまっている、というのがあります。

私であれば、センスのあるモーションエフェクトやテロップ等はまだまだ全然出来ませんし、そういうのをやらないと、と思うと、それだけで億劫になってしまうときがあります。でも、その部分だけ、手間がかからずに、クラウド上でプロジェクトファイルと作業用の素材ファイルを共有出来ることで、私がそれ以外の編集作業をしている間に、その方がそれら諸々をすべて行ってくれるのであれば、非常に助かりますし、それだったら「ちょっと私も動画編集始めてみようかな」と思う人も増えてくるのではないかなぁ、と。

現時点では、あくまでBlackmagic DesignのDavinci Resolveでの話なので、じゃあChromebookで使えるか、といえば使えませんし、Webサービスだけで完結出来る訳ではなく、各自の環境に同じDavinci Resolve 18が必要です。

なので、OSフリー、アプリフリーというわけではありませんが(ただ、OSフリーに関しては、とりあえずDavinci Resolveをインストール出来るOS同士であれば実現出来ますね)クラウドを単なるデータの保存場所というだけでなく、共同作業場所として使うようになることで、こうした仕事の仕方もこれから進んでいくのではないか、と思いました。

今回の話だけだと「それ、別にWebサービスである必要はないじゃん。結局現時点ではWebサービスだけでは大したこと出来ない、ってことだよね?」と思われるかもしれません。確かにまだまだ発展途上な部分は大きいと思います。

ただ、ここで挙げたGoogle Documentsや動画編集の話を含めて、従来であれば、自分の手元にある、カスタマイズを徹底的に施した1つの端末だけで完結させたり、ある特定のアプリでなければまともに使えない資料をやり取りするような形が基本だったとすれば、これからは、もう一つの形として「どこでも誰でも、端末や環境に依存せずに、汎用性もあって、同時並行作業も可能な作業の形」というのも、クラウドやWebサービスといったものが進んでいくことで実現していくのではないか、と思いました。

それには当然、世の中の通信環境が更に安定、更に高速化してくる必要もあります。そうなったとき、Chromebookも単なる「低スペックでも、同価格帯の他OSのPCに比べるとそれなりに、サクサク動く」ことが唯一の魅力と言われている現状から、「そうした共同作業に向いたWebサービスを利用する際にストレスなく使える(そうした作業に最適化されている)OSの端末」として、低スペックだけでなくハイエンドのモデルも「その値段出して買うならWindows PC(MacBook)買うわ」というのとは別のニーズが出てくるんじゃないかなぁ、と妄想しています。

個人完結型ではなく、様々な環境を持つ他人との共同作業において大切な「もう一つの視点」。

まだまだ先だと思っていた動画の同時並行編集作業がクラウドの利用で現実的になってきた。

個々人の環境に左右されない、シームレスな共同作業環境が作れるようになったとき。

  • 個人完結型ではなく、様々な環境を持つ他人との共同作業において大切な「もう一つの視点」。
  • まだまだ先だと思っていた動画の同時並行編集作業がクラウドの利用で現実的になってきた。
  • 個々人の環境に左右されない、シームレスな共同作業環境が作れるようになったとき。