この数年で国内でもChromebookの知名度もだいぶ上がってきたな、と感じます。
一番大きいのは全国の学校での導入だと思うのですが、そうした話題がきっかけで個人でもChromebookを試してみたい、使ってみたい、と思われる方が増えてきたのは、既存のユーザーの一人としてとても嬉しいです。
私はChromebookを使い始めて6年以上になりますが、こうしたブログで情報発信を続けていることもあって、ほぼ毎日ネット上のChromebook、ChromeOS関連の情報を眺めています。そうした中で、私が使い始めた頃に抱いた印象と今とではChromebook自体も大きく変わってきているな、と感じました。
そして、この6年間で(少なくとも)国内で作り上げられてきた、確立されてきたChromebookに対してのイメージについても、ある程度軌道修正が必要なんじゃないかな、とも感じています。
って、いきなり小難しいこと言い始めたので、既に読むのが面倒くさくなってきた方もいるかもしれませんね。
ということで、今回の文章は、多くの「Chromebookをこれから試してみたい、使ってみたい」と思われる方にとって、直接的には役には立たない内容かもしれません。
ただ、ちょっと頭の片隅に入れておいて頂けると、選ぶ際の役に立つのではないか、と思っています。
はじめに:Chromebookは「安くありません」。
価格、価値観は勿論人それぞれですから、もちろん「安い」と感じる方、「安くない」と感じる方、それぞれにいて全然OKだと思います。私がここで触れたいのは、この6年あまり、Chromebookといえば・・の代名詞のように語られてきた、言われてきた、次の言葉です。
- 「Chromebookは低価格・低スペックでもサクサク動くのがウリであり特長」
- 「Chromebookは低価格なのが唯一の強み」
これは決して間違っているわけではなく、もちろんChromebookの特長の一面を表していると言えます。ただ、何のご縁か今この文章を読まれているあなたには、
一度この「安いもの」というイメージを頭から取り払って欲しい
と思います。
あ、これ、別に安くない、って言いたいわけではありません。単純に、一度この「安いもの」「安くなければChromebookではない」という先入観から解放されると、途端に選びやすくなるし、素直に良い部分も悪い部分も評価、冷静に見られると思うからです。
その上で、冷静に機種等を選別した上で、実際に使った上で結果として「あぁ、やっぱりChromebookは安いな」とか「安いモデルの方が使いやすいな、本領を発揮しやすいな」と思うのは全く自由です。ただ、考えてみると、それが普通の思考プロセスだと思うんですね。
また小難しい話になってしまいますが、どうも眺めていると、結果としてではなく、使う前から「Chromebookは安くなければならない」「安くなければChromebookの良さは失われる」「この値段出すのだったら他OSのPCを買う」といった話になってしまっていると感じるのです。
これらの結論は、本当であれば、実際に安いのも高いのも使ってみた上で、初めて気付く、分かる自分なりの結論だと思うのですが、どうもこの考え、先入観ばかりが先行されてしまって(特にPCに詳しい人の間から)発信されてしまうことで、これから初めてChromebookを選ぶ人にとっても、「Chromebookは安いもの」として、とにかく安いモデルを探そう、とされる傾向が見られます。
これってとても勿体ないと思うんです。なので、ちょっとこの辺り、掘り下げてみたいと思います。
「自分にとっての価値」と「存在意義」は分けて考えましょう。
ネット上の意見(意見は勿論自由ですが)を眺めていると、「自分の価値基準」と「こうでなければならないという評価」を混同している方が多いな、と感じます。つまり、
「自分にとってChromebookはこの程度の(価格の)価値しかない」という主観的な評価
と
「Chromebookとは本来こういうコンセプトで作られたもの」という本来の価値基準
です。
これが一緒くたになってしまっているから、「Chromebookは元々低価格低スペックでサクサク動くことをコンセプトとして作られたのに」とか「Chromebookなんて本来は安くなければ価値がないのに」みたいな意見が出てきてしまうのかな、と思うのです(もちろん意見は自由です)。
もちろん主観的な評価は大切ですので、結果として自分にとってChromebookが2万円程度の価値しかない、と判断するのは全然構いませんし、それは良いことだと思うのです。
でも、その主観的な評価は、当然その人自身の評価に過ぎません。
でも何故か、それが「Chromebookは安さをウリにして作られたんだから、2万円程度でなければ価値がないのに、最近のChromebookは高価格かが進んでいて迷走している。」みたいな話になってくるからややこしくなってしまうのかな、と。
「安くないChromebookは本来のコンセプトから外れている」みたいな意見が結構多いのも、この辺りの混同、一緒くたに考えてしまっている人が意外と多いからなのかな、と感じます。
Chromebookは別に2万円で買えることが魅力、それをコンセプトとして作られたPCではありません。
ただ、強みとしている部分が、あまり一般的ではない部分であり、また多くの人にとってChromebookが刺さる部分が、他OSのPCでも実現できてしまう部分でもあるために、主観的な評価としてどうしても「それだったらこの程度の価格(価値)でしょ」となってしまうのかな、と思っています。
「出来ることが限られているから2万円」「その値段出すなら他のPC買う」をポメラを例に考えてみる。
よく目にする評価ですね。
これもChromebookは安くなければならない、価値がない論を支えている部分かな、と思います。そして、その気持ちも分からなくはないんです。私も用途に合わせて他OSのPCも普通に使っていますし、すべての用途にChromebookが合う、とか無理に奨めたいわけではありません。
ただ、ここでちょうど久しぶりに少し話題になった製品がありますので、それを例として挙げてみたいと思います。それが、キングジムが数年ぶりに発表したポメラの新作、DM250です。
かなり以前から「テキスト入力に特化したデバイス」として一部で絶大な支持を得ていたポメラ。その新作が先日発表されました。
お値段は税込60,280円です。
さて。ここでここまでの話に照らしてみて、同じ評価をしてみましょう。
「ポメラは出来ることが限られている(テキスト入力しかできない)から、6万出すなら、出来ることの多い他のPC買うわ」
これは分かります。
人によっては十分に考えられる意見ですね。人それぞれに用途は違いますし、もちろん主観ですし、そう思うのは自由です。無理して買う必要はありません。ただ、だからといって、
「ポメラは低価格が強み」なわけでも、「それがコンセプト」な訳でもありません。
ちなみにポメラの初代(DM10)は26,000円(税別)でした。(→HISTORY 「ポメラ」10年の歴史 | POMERA 10TH ANNIVERSARY | ファイルとテプラのキングジム)
最新のDM250は価格的には2.5倍近くになっています。高価格化してますね?ではやはりポメラも同じく、
「ポメラは出来ることが少ないし、テキスト入力なんて他のPCでも出来る。安さが強みで唯一の特長だったのに、6万円とか高価格化しているのは迷走している」
となるのでしょうか?
でも考えてみて下さい。ポメラに関しては、少なくとも、その特化させた「文字入力デバイスとしての使い勝手や性能」に関しては、初代に比べて最新モデルは遙かに進化しています。
私、今26,000円出して初代DM10を買うなら、6万円出してDM250買います。何故なら、文字入力デバイスとして本気で使いたいのであれば、使いやすい、よりそこに特化させたデバイスを使いたいからです。だから最新のDM250もポメラユーザー界隈で、この10年以上価格が少しずつ上がってきても、受け入れられてきているんだと思うんです。
ただ、もちろん10年以上前のDM10の価格の手頃さとコンパクトさを好む方もいるでしょう。本当はどちらも併売してくれるのが一番なのかもしれませんね。
これと同じことがChromebookにも言えます。
Chromebookの強みや特長について詳しく説明すると、それだけで複数回に渡ってしまうので、私の以前の文章や私のYouTubeチャンネルの動画をご覧頂きたいのですが、Chromebookの魅力を感じる人にも、色々と求めるものが違います。
そして、意外とここは忘れられがちなのですが、そうした様々なニーズに合わせるように、低価格モデルから高価格、ハイスペックモデルまで展開しています。
そして当然、先ほどのポメラDM250のように、よりキーボードや使い勝手、打ち心地や反応の良さなどを上げていけば、他OSのPCと同じように価格も上がっていきます。ただそれだけのことなのです。
「Chromebookは安くなければ価値がない」と言われる方が忘れがちなこと。
そして、Chromebookは安くなければ価値がない、と言われている方が忘れがちなこと。それは、
安ければ安いなりの使い勝手でしか無い
といういことです。Chromebookだからといって、他OSのPCとは違って、安くても使い勝手が変わらず良い、というわけではありません。
Chromebookは確かに低スペック構成のモデルでも「同価格帯の他OSのPCに比べれば」比較的快適には動くかもしれません。
ただ、それはあくまで「同価格帯の他OSのPCに比べれば」であって、別に2万円のChromebookでも10万円超えの他OSのPCと同じようにサクサク快適に動くわけではありません。
また、当然2万円しかコストがかけられなければ、2万円なりの使い勝手になります。それは液晶の見やすさからキーボードの打ちやすさ、デザインや質感、更に重さや大きさまで、です。
よく「Chromebookはベゼルが太くてダサい。いつの時代のPCだよ」とか「もっと1kg切りの薄くて軽いChromebookがあれば買うのに」といわれることがありますが、それが2万円で出来るなら、他OSのPCでも2万円で出来るんです。
だって、ハードウェアの価格(製造コスト)は同じだからです。
なので、例えば巷で大人気のM2 MacBook AirにChromeOSを載せたからといって、2万円になることはありません。価格はほぼ変わらないと思います。いや、むしろ需要を考えると、数作れない分、もう少し上がるかもしれません。
何故「Chromebookは安い」という先入観をまずは一旦忘れて欲しいのか。
さて、長々と書いてしまいましたが、ここで一旦結論です。
何故「Chromebookは安い」という先入観をまずは一旦忘れて欲しいのか。それは、
安くても、どのモデルでも同じようにサクサクで快適だと思って買ってしまって、結果として「使いにくかった」「快適ではなかった」という声を結構目にするから
です。違うんです。先ほども触れたように、安いモデルは、安いなりの理由があって、当然その分様々な部分でコストを削っているんです。
そして、「低スペックでもサクサク動く」も同じで、最近ChromeOS Flexが出たことで、どんな古いPCでもサクサク動くと思われがちですが、低スペックは低スペックなりにしか動かないんです。それは確かに他OSで使う場合に比べれば快適かもしれませんが、あくまでスペックなりでしかありません。
Chromebookで出来ること。それは多くの人にとっては確かに「ウェブ閲覧程度」に過ぎないかもしれません。であれば、どんな低スペックでもサクサク動くように感じられるかもしれませんが、最近は毎年どんどんウェブサービス、クラウドサービスも充実してきました。とともに出来ることも増えてきて、その分「ウェブ閲覧程度」でもそれなりに処理能力が必要になってきています。
そして、最近は(つい数年前までは完全に停滞していたプロセッサー市場も)IntelだけでなくMediaTekやQualcommなどの努力で、毎年どんどん性能が上がってきています。当然、今、同じ作業をするのでも、今年発売されたモデルを使うのと、数年前に発売されたモデルを使うのでは、全然快適さが違うんですね。そして、それは低価格のPC市場、Chromebook市場においても同じです。
現在、国内におけるChromebook市場の現行普及価格帯スタンダードモデルの相場は大体4〜5万円(前後)が基準となっています。
というか、基本的にこの5〜6年、この価格基準は変わっていません。つまり、その時点でのChromebook、ChromeOSのスタンダードな快適さ、使い勝手を求めるのであれば、最新モデル、それも4〜5万円のモデルが基準になっているんですね。
でも、巷に溢れている「Chromebookは低スペックでもサクサク動く」に、更に最近の一部のメーカーの大幅セールによって、何となくChromebookはどんなに安くてもサクサク動く、むしろ安くなければChromebookではない、的な空気が出てきてしまっていることが、少し心配です。
基本的にはChromebookの現行普及価格帯モデル、というより基準となる価格帯は4〜5万円が目安です。
もちろんセールなどをうまく利用すればそれより安く買えることもありますが、それが適正価格、というわけではありません。また、安いには安いなりの理由がありますし、低スペックであれば、低スペックなりの処理速度でしかありませんし、Chromebookだからといって他OSでは高いモデルが安く買える訳でもありません。
反対に、高価格のモデルも同様です。確かに「出来ることが多いこと」を重視する方にとっては理解しづらいかもしれませんが、そんな時は前述のポメラを思い出して下さい。
ある用途に特化したデバイスを求める人にとっては、その用途において快適な環境を求めます。それはキーボード然り、液晶然り、デザイン然り、質感然り、そして重さや大きさ然り、です。
それはそうしたことを重視しない方にとっては理解できない世界かもしれませんが、でもそれはその人の価値観に過ぎません。そういうモデルが出たからと言って迷走している訳でも、本来のコンセプトからズレている訳でも、良さが失われている訳でもありません。
むしろその本来のコンセプトや良さに強く共感している一部の人にとっては、先ほどのより快適な環境を求める上では、幅広い価格帯で展開してくれていることのほうがありがたかったりします。
しつこいですが、ポメラもそうですよね?
文字入力に特化したデバイスが欲しい人にとっては、低価格だけがウリでも何でも無いんです。むしろ低価格になるあまり、キーボードが打ちにくかったり、持ち運びづらかったり、バッテリーの持ちが悪かったり、他との連携が悪かったり、処理速度が遅いのであれば、そもそも要らないと思うんです。
さて。ここまで長々とお読み頂きありがとうございます。ということで、読み始めるまで抱いていた「Chromebookは安いもの」という先入観、そろそろ思い出してもらって構いません。
あとはどの価格帯のどんなモデルを選ぶのかは自由です。
それでも安さを最優先させてそれなりのものを選ぶのも勿論アリですし、現行普及価格帯モデルのモデルを選んで、現時点でのChromebookの標準的な使い勝手を求めるのもありです。また、ある程度ChromeOSが自分に合っているな、と思われた方は、より快適な使い勝手を選んで、ある程度お財布と相談しながらより価格を上げるのもアリです。
とりあえず、最初から「安いもの」「安くなければならない」と思って選ぶよりは、だいぶ自由になるのではないかと思います。
おまけ:なぜChromebookは「昔は安かった」「低価格低スペックでもサクサク動くのがウリ」と思われるようになったのか。
ということで、今回の内容は終わりなのですが、折角なので関連してChromebookといえばお馴染みの「安いもの」「昔は安かったのに」にまつわる歴史について、おまけとして書いてみたいと思います。
お時間のある方、興味を持たれた方は、ちょっとお付き合い頂ければ、と思います。
Chromebookが安いと言われる理由その1:根底にあるのは、10年前の円高だったときの記憶。
- 「Chromebookは元々低価格低スペックでもサクサク動くことをコンセプトとして作られた」
- 「Chromebookは元々お金のない途上国の教育現場向けに低価格でGoogleが提供するために作られた」
的な話が、さも真実かのように、特にPCに多少詳しい人(本当に詳しい人は当然ちゃんと知っている訳なので、こんなことは言わないので)が語るのを目にしたことはありませんでしょうか?
敢えて少し極端な言い方をすれば、これら、正しくありません。特に後者。(これについては後述します。)
元々の(10年以上前の)開発コンセプトは違いますし、「低価格で」という部分も違います。
ちなみにChromebookの初代機、Samsungが2011年に発売したSeries 5の価格は、Wi-Fi版が429ドル、3G版が499ドルです。
よく「海外ではChromebookは100ドル、200ドルで売られているのに」という声を目にしますが、それらは単に数年前の型落ちモデルがBestBuyやAmazonのプライムセールなどで安くなった結果として、また、価格やモデルのバリエーションが増えたことで、廉価モデルからハイプライスモデルまで増えたことで出てきたモデルに過ぎません。
実際は当初の価格は400〜500ドルだったんです。
で、こうした話を未だに語る方が多い理由も勿論あるんです。それが、当時のドル円レートです。最近は急激な円安でAppleが大幅な値上げをしたりと130円台辺りを推移していることで、その辺りのイメージが定着していますが、2011年当時のドル円レートは平均で80円程度でした。
で、日本におけるアーリーアダプターの方々が興味を持って手を出し始める(初期勢)のって、この2011年から2022年辺りなんですね。
となると先ほどの400ドルでも単純計算で32,000円です。もちろんこの後、SamsungやAcerを始め、各社が低価格から高価格(この頃から高価格モデルは存在していました)を出し始めていたこともあり、普通に型落ちモデルであれば300ドル前後のモデルも出てきています。となると、当時のレートなら24,000円当たりになってきますよね。300ドル切ってたら2万円切りもあり得ます。
つまり、まず最初に「Chromebookは昔は安かったのに」といわれる方の内の何割かの方のイメージの前提にあるのは、
2011年当時は急激な円高(ドル円80円前後)だった。
という時代背景があったわけです。その上で、
当時わざわざ米国から個人輸入するような人は、そもそもハイスペックの他OSのPCなども普通に買ってしまうようなPCマニアも多く、そういうPCやガジェット好きの方(アーリーアダプターの方々)の金銭感覚からすれば、300ドル400ドル程度のノートPCを個人輸入するのは、別に高い買い物ではなかったし、新しモノ好きからすれば、当時の他OSのモッサリ感から考えれば、この価格帯で、機能が限られているとはいえ(今より)、少なくともウェブで出来ることに関しては同価格帯の他OSのPCよりも比較的軽快に動く、というのがインパクトがあった、ということです。
これが「Chromebookは低価格・低スペックでもサクサク動く」論の先駆けとなった出来事です。
(ちなみにこの初代Series 5を2022年のドル円レートで計算すると、それぞれ57,162円、66,489円(それぞれ税別価格)になります。米国の価格設定は各地域毎の税が入っていない状態なので、日本の税込価格に合わせるなら、+10%程度、6万〜7万円になります。別に他OSのPCと比べても格別安くはないですよね?)
Chromebookが安いと言われる理由その2:教育現場で急速に広まったことで、その為に開発されたと思われた。
Chromebookがそもそもどういうコンセプトで作られたか、についてはここでは省きます。
これについては、探せば色々出てくると思うのですが、結局10年以上経てば、時代とともに変わっていきますし、当初のコンセプトとは違った部分で注目されてシェアが急速に伸びる、ということもあるからです。
ただ、ここで先ほど触れた、
「Chromebookは元々お金のない途上国の教育現場向けに低価格でGoogleが提供するために作られた」
という誤解について書いてみたいと思います。
これ、結構言われるんですよね。何か数年前の「Googleが途上国の学校向けにChromebookを配布した」というニュースのイメージが残っているのかもしれませんが、別に10年前からそのために作られた訳ではありません。
例えは悪いかもしれませんが、日本のあるお金持ちの起業家があるお金のない学校にMacBookを150台寄付した、という出来事があっただけで「MacBookは元々はお金のない恵まれない学生のために低価格でAppleが提供するために作られた」って言っちゃうようなパターンです。
で、確かにChromebookに関しては、途上国に展開し始めたのはここ数年の話、それも本国米国でのシェアがある程度確保出来たことでの世界展開の一環として他の国に進出してきただけです。
そして、この教育市場で広まった、というのも、元々「Googleが教育市場を取るために低価格で開発した」からではなく、Chromebookの機能面での強みがたまたま教育市場や企業の一部の現場のニーズと合致した、ということです。順番が逆なんですね。
ちなみに私が興味を持ち始めた6年前には海外のChromebook関連のコミュニティを毎日チェックしていたのですが、米国の学校現場で学生向けに採用されていたChromebookが、普通にハイスペックで600ドル、800ドルのモデルだということを知って、非常に羨ましかったのを覚えています(当時そうしたモデルはAmazonなどで一般販売されていなかったので、個人輸入が難しかった)
米国の学校と言っても、お金のあるところからないところまで本当にピンキリです。
日本みたいにGIGAスクールで予算がーみたいな全国統一の基準があるわけでもありません。ただ、その中で、Chromebookの中でも、学校において特に低価格のモデルの需要が高まった、その結果シェアが伸びた、というのが理由です。
ですので、別に低価格・低スペック以外のChromebookも普通にあって、企業等でも(企業全体ではないとしても)普通にハイスペックのモデルも導入されていたし、色々な使われ方がされていた、ということですね。
Chromebookが安いと言われる理由その3:他OSに比べて出来ることが少ないから。
これは本文でも触れたことなのですが、主観による部分が大きいですね。
特に、Chromebookは一度5〜6年前に日本に入ってきて、個人向け市場では一部のPC好きに売れたくらいで、あまり売れずに撤退に近い形になっています。
その頃に試した方々が、「出来ることが限られている」から、これだとこの程度の価値しかないだろ、と思ってしまったのも大きいかな、と。
実際、PCに詳しい、特にこうしたまだまだユーザーの少ないデバイスを敢えて試そうという方の評価というのは厳しい部分もあるので、そうした意見がネット上で出てくることも多くなると「使いものにならない」といった評価になるのもある程度は仕方がないのかな、と。
実際にはそれから5〜6年経ち、Webで出来ることもかなり増えましたし、それ以外にも企業や学校での導入において特に真価を発揮しやすいChromeOSならではの強みのようなものもあるのですが、それが一般の人には分かりにくい、あまり実用的ではない、というのもあると思います。
また、多くの人にとって、使う使わないは別としても、Microsoft Officeや自分の使いたいアプリが使えない、というのはそれだけでマイナス評価にも繋がります。「出来ることが限られているなら、同じ価格を出すのであれば他OSのPCを買う」という気持ちも分からなくはありません。
そこは要は使い分けなのかな、と思います。実際、私もYouTubeチャンネルの動画でも、「完全に移行しようとするのではなく、用途に合わせて併用するととても気持ち良く使えます」と言ってきました。
なので、「限られた用途で割り切って使うのであれば、この辺りの価格までしか出せない」というのは十分にアリだと思いますし、そこを無理してChromebookを買う必要は無いと思っています。
ただ、それと「Chromebookは安くなければならない」「Chromebookは元々安さがウリ」「Chromebookは機能を制限して、その分コストを下げることで安く販売するのが従来のコンセプト」は別の話です。幅広い価格帯、選択肢があるのは良いことだと私は思っています。柔軟な思考で多様性?を持って頂けたら嬉しいな、と思っています。