[1255-201605] 質の良い革を求めようとするあまり、革靴好きの私たちは大切なことを忘れてしまっているのではないか。

[1255-201605] 質の良い革を求めようとするあまり、革靴好きの私たちは大切なことを忘れてしまっているのではないか。

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先日たまたま見つけた記述だったのですが、少々気になったので書いてみたいと思います。尚、特定の誰かやサイトを批判したい訳ではありません。あくまできっかけであり、私の考え方を改めてまとめておくのに良い機会だった、というだけです。

革の「質」って何だろう?

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以前から何度も取り上げているテーマですが、「革質が良い」「質が良い」というのは、どういうことを言うのでしょうか。
私も革靴好き、革製品好き、ということもあり、折角持つならある程度お金を出したとしても良い革を選びたい、と思う気持ちは今もあります。
ただ、この良い革、という基準も大変曖昧です。前述の「革質が良い」とも似ています。

たまたま見かけた質の良い革の見分け方。

あるサイトで、質の良い革の見分け方(ここでは革靴、レザースニーカーの場合)を取り上げていました。「必見」だそうですので、恐らく多くのファッションに興味を持たれた方が必見されたことかと思います。
さて。その質の良い革の見かけ方ですが、店頭で靴を手に取り、

  • つま先部分の革の部分をつまんでも(潰しても)シワが付かないのが良い革。
  • 質の悪い革はつま先を潰してみた時にシワが現れる。

というものでした。このことに関しては色々と突っ込みたい部分もあるのですが、今回は2つの点で私の意見を書きたいと思います。

質を求めるあまり私達が陥りがちな2つのこと。

私たち、特に男性は歳を重ねるにつれて、使えるお金も増えてきます。靴や革製品、更にお洒落に興味を持った時にやりがちなことが、「そのブランドの歴史やストーリー、さらには『上質』に拘る」ということです。
雑誌でも盛んに「上質なモノ」特集が組まれますし、ライフスタイル系の雑誌であれば男女問わず「上質なモノをちょっとだけ」のシンプルな生活が好まれます。
私たちは「質」という言葉に弱い。
けれど、その「質」の基準は曖昧で、何をもって上質とするのか、は意外とバラバラだったりします。そして、「質」を求めるあまり、色々と陥りがちなことが2つあります。

シワと上質は基本的には別です。傷シワ表情一つない綺麗な表面の革が上質な訳ではありません。

革の質の話になりますと、それぞれの分野の専門家の方々なりの意見もあると思いますが、表面から見える美しさなんて、結局幾らでも誤魔化しが効くんです。ガラス革とコードバンの区別だって付かない人が大半ですし、牛革とフェイクレザーや人工皮革の違いもなかなかつきません。むしろ人工皮革のほうが革っぽく見えるかもしれません。
https://lifestyleimage.jp/?p=9460
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そんな中で、私たちが陥りがちなことの一つが「傷シワ一つない」綺麗な表面の革が上質なのだ、という誤解です。

もちろん綺麗な革は素敵です。ただ、それと上質は分けて考えて欲しい。

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もちろん綺麗だなぁ、と思う革は幾らでもあります。私もそうした革を用いた靴や革製品は好きです。
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中には前述のように「押した時に変なシワの入る」質の悪い革というものも存在はします。これ、ちょっと革が可哀想だなぁ、と思ってしまうような革も確かにあります。
ただ、それはシワが入るからではありません。そして、シワというものは決して悪いモノではないのです。


細かいシワが入るから良い(悪い)、複数のシワが入るから良い(悪い)というのは、質の問題ではなく、あくまで好みの問題です。靴であれば、その靴とその人との相性次第でシワの入り方なんて幾らでも変わります。
また、加えるなら、革の表情なんてものは、その後のその革との接し方次第で良くも悪くもなります。折角愛用していた革靴が、シワが入っているから、傷が入っているから質が悪い、なんて考えますか?どんなに世間一般(もしくはメディア、勿論このブログ含む)で良質だと言われようが、たとえそれが稀少だとしても、要保管で触れるのも気を使うのであれば、そんな革よりも、日々愛用されてきた靴の革のほうが余程良い表情をしている、ということを忘れないで欲しいな、と思います。

どれだけ上質を求めたとしても、では残された質の悪い(と思い込まれた)靴はどうなるのでしょうか。

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そして私が今回最も気になったこと。質を求める、という気持ち自体は私もあるので分かるのですが、店頭でつま先を押されて潰されて、(結果買って貰えるならまだマシですが)、質が悪いと勝手に判断されて買われなかった靴はその後どうなってしまうのでしょうか。


以前店頭で働いていた頃、靴のつま先を持って、振ったり叩いたりする方をよく見かけました。基本的に靴のつま先を持つ方の比率は未だにかなり多いと思っています。

世の中には、その方面に興味が無いと気がつかない、意識しないことがたくさんあります。 中でも「気にせず(気付かずに)やっているけれど、実は眉をひそめられている行動」というのは、知っておくだけでも結構お...
まぁそれは今回は良いとしても、その中に時々、革の表面を爪で擦ったり、つま先をぐいぐい押し潰す方がいるんです。つま先をぐいぐい押すのは一部はスニーカー感覚でつま先に余裕(捨て寸)があるか見たい方もいるのかな、と思っていたのですが(勿論困ります)、今回目にした文章で、匂いを嗅いだり、つま先を削ったり、押しつぶしたりするのは「革質のチェック」と称するものをどこかで聞きかじってきてそのまま実践している方もいるのかな、と思いました。
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元ネタは他にあるようですが、日本が世界に誇る時計ジャーナリスト広田雅将(@HIROTA_Masayuki)さんのツイートを見まして、最近靴に関して漠然と思っていたことを文章にしてみようと思いました。 ...
店頭で散々試し履きだけでなく、つま先から革の細かい部分まで削ったり押しつぶしたりした挙げ句に、「新しいの出して」と在庫を全て出させる方も少なからずいます。また、買うに当たって少しでもシワや傷が入っているとそれだけで値切ろうとする方も多い。いま、その人自身が潰したつま先や傷の入った靴は、その後どうなってしまうのでしょうか
そしてそんな人に買われていった「革質の良い」靴というのは、その後本当に大切に履き続けて貰えるのでしょうか。
買って持ち帰った靴を家で深夜に手に取り、磨きながら靴の表面を撫で、愛で、ウットリしながら革質を云々、と浸るのは自由です。ちょっとこじらせてはいますが、周りに迷惑をかけてはいません。
けれど、それを店頭でやってしまったらどうでしょうか。少なくとも靴好きではないですよね。自分が(根拠の薄い)上質な革の靴を求めるために、店頭のその他の靴を全て粗末に扱ってしまっているのですから。

あなたは革が好きなのですか?革質が好きなのですか?そもそも靴は好きですか?

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もちろん革の質がきっかけでも構いません。ストーリーがきっかけでも、雑誌で取り上げられていた「幻の革」だったから、「奇跡の復活」を遂げた革と工房だったから、でも良いんです。
ただ、どんなきっかけでも構わないのですが、折角なら靴を好きになって欲しい。
靴好き、というのは自分の靴だけが好きなわけではありません。そして、高い靴だから好きだ、という訳でもありません。
「この靴、あまり革自体は良くない、と思っていたけれど、履いている内に好きになってきたなぁ、手放せないなぁ。」と言うこともあるでしょう。
毎日マメにクリーム縫って、磨いて、云々と手間をかけることだけが靴好きではありません。
とはいえ、「何もしないのがアジだから」とばかりに放置状態でボロボロにして履き潰す、と言うのが靴好きかと言われれば、私はそうではないと思っています。
自分のペースで構わないので、靴と付き合いながら、毎日自分の足もとを支えてくれる靴に、少しでも愛情を持って、せめて一日の終わりにブラシだけでもかける。
今日は疲れちゃったのでしなかったけれど、翌日きちんと靴の状態を見る。それでも良いんです。
ただ表面の「革質の良さ」や「ブランド名」だけに左右されずに、自分の履いている靴に愛情を持つ。それがきっかけで周りの人の履いている靴や、お店に並んでいる靴にも想像を広げることが出来る。
人の革靴をブランド名やどこの革かで馬鹿にするのではなく、値段で差別するのではなく。
そんな靴好きが増えていったら嬉しいな、といつも思っています。

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「アカウントを持って街へ出よう Chromebookとの365日」

続いて、「Chromebook」に関する文章を一冊の本にまとめました。

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