[0996-201508] インポートレザー信仰に見る革靴と私たちの関係。

[0996-201508] インポートレザー信仰に見る革靴と私たちの関係。

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昨日あるショップブログで一時アップされたものの、その後恐らく諸般の事情により削除された文章。ここではどこのお店だとかそういったことは触れませんが、個人的には非常に共感できる内容も含まれていたので、改めて私なりの感じていることを書いてみたいと思います。

革なら無条件でインポートレザー。作りならMADE IN ASIAよりJAPAN。

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日本人の欧米信仰、インポート信仰は素晴らしいですね。もうアノネイだデュプイだと何かしらの名前が付くだけで無条件で良いものと思ってしまう。+高級ブランドであればとにかく革は良い物だと思い込んでいる。
思い込むのと、実際にそう感じるのは全くの別問題です。
同様に作りであれば、革靴であればMADE IN ENGLANDやITALYなど、やはりヨーロッパが良い。そこでMADE IN JAPANは作りの緻密さや丁寧さといったイメージで押してきた。それでも勝てないのが「センス」という訳の分からないもの。けれど「センス」を謳う人の大半は恐らくそんなセンスなんてわかってないと思うのです。もしタグが反対に付いていても疑いもしないかもしれません。

例えば同じアノネイでもピンキリがあり、また割り振る国によりランクがあり、更にブランドにより格付けがある。

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当然と言えば当然の話で、アノネイだろうがデュプイだろうがホーウィンだろうが全てが良い革ではありません。
ここで言う良い革の定義というのは難しいけれど、ここでは漠然と世間一般に「この靴、良い革使ってるね」と言う時の漠然とした「良い」程度の話です。
また、同じように出来た革をアノネイが割り振るときには、当然ブランドによって割り振りがあるわけです。かなりの量をかなりの価格で常にまとめて買ってくれる大手、更に力のある高級ブランドが大体良い所は持って行ってしまう。良いブランドほど良い部分の革を買い上げられる率は高くなる。
けれどさらに言えばそのブランドの中にも、それを販売する市場によって格付けがされる訳です。まずはビスポークだ特定の限られた層のためにもっとも良い部分の革は使われる訳で、そんな革は大抵出てこない。
更に出荷する国によって革自体も大抵ヨーロッパ市場で上から割り振られていくわけです。日本なんて幾ら靴好きが多くて高い靴を他の国の相場より高く買ってくれても、所詮革のことなんてわからないわけで、全体の中ではランクとしては下なんです。
余り物を私たち日本や中国といった大きな市場はインポートブランド、インポートレザーだといってありがたがって買ってくれるわけですね。

革靴に限らず、革好きが陥りやすい落とし穴の一つが「革質」です。そして、革質至上主義の方が軽視(馬鹿に)しがちなものの一つに、ガラス加工(仕上げ)を施した牛革(通称ガラス革)があります。けれど、あなたは店頭でひと目みただけでコードバンとガラス革の違いが分かりますか?なぜコードバンが「良い革」なのでしょうか?雑誌や靴好きの言葉に惑わされず、自分にとっての「良い革」が何かを一度是非考えてみてください。

けれど、もしあなたの手元にそんな普通で回らない革が届いても、ちゃんとそれを使いこなせますか?

これだけ書くと陰謀論だ、そんなの常識だ、など色々声は出てくるかもしれませんが、今回伝えたいのはそんなことではないのです。
世の中というのはうまいようにできていて、革のことが分かる人のところには、もしくはその革の良さを引き立てられる人のところには、そのランクの革が届くようになっているんです。私たちのように名前でありがたがって、靴のお手入れよりもまずはシワを如何に綺麗に入れるにはペンが必要かどうかのほうが雑誌で特集されてしまうようなところには、革よりも広告費を大量にかけて名前とブランド力で満足してくれる一見見栄えの良い作りの靴と革が来るようにちゃんとできているんです。
それは決して悪いことではありません。だって一般に出回らないような素晴らしい希少な革が普通に私たちの手元に来て、ちゃんとそれを維持できますか?

本当に良い革にするためには、手元に来てからのほうが余程大変です。

どんなに良い革であっても、結局それを生かすも殺すも持ち主次第です。一生モノだ、って20万も30万もする靴を買って、勿体無いから冠婚葬祭しか履かなくて、それ以外は大切に保管しているようであれば、決してその靴の状態なんて20万だ30万だの価値は無いわけです。あると思っているのは自分だけです。

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結局自分にとって普段気負ってしまって履けない靴というのは、自分の器じゃないんです。いつかそれが履けるような時が来るときのために奮発して買って頑張るんだ。よく聞く話ですね。でもそんないつかは来ません。第一、その靴が果たしてそんな何年後、何十年後に履けますか?自分の足の形一つとってもきちんと日々維持メンテナンスしていないとドンドン衰えて形も大きさも変わっていくんですよ。
世の中にはたくさんの適当に履かれた、もしくはほとんど履かれていない高級ブランドの靴が中古市場に半値近くで溢れかえっています。靴好きは結局長く手元に靴を置けないんです。どんどん増えていく靴。いくら買っても満たされない欲求。一生モノや憧れで買った靴が半年後には他の靴を買うための資金になっている。

未だによく覚えている出来事です。もう数年前かな。 ある時当時いたお店に大学生くらいの男性が相談に来ました。 靴を買ったのだけれど、サイズが少し大きいので中敷きが欲しい、ということでした。 紙袋から無造...

奮発して最初から高級靴を買いなさい、と言われますが。

そのほうがお財布にも優しいと言われますが、優しい訳がありません。ここから辿る道は2つです。
結局最初に選ぶ高級靴は、まだ未熟な自分にとって決してベストな靴ではありません。その高い勉強代として消えていきます。この道を歩む人はそもそもそれから先、優しいどころかどんどん靴が増減していきますから、もうお財布じゃなくて消耗品のような趣味と快楽なんですね。
もしくは普段から履けないだけでなく、履こうと思った時には既に履けなくなっているか何となく魅力が感じられないまま、靴から離れていくパターンです。これは確かにお財布には優しいかもしれません。結局この後高い靴を買わないのですから。

結局自分が一番気負わず履けて、マメになれる革がもっとも良い革です。

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インポートレザーが不要だとは思いません。インポートレザーにはインポートレザーの良さがあります。けれど、これだけ世界的に革の価格が上昇している中で、「革質」という自分にとって分からないものが理由なだけで選ぶ必要はないと思うのです。
国内にも良い革は幾らでもありますし、面白い革もあります。何より、靴は革質だけではありません。
あなたが本当に足に合っていると思っている靴は何でしょうか?
一番出番の多い靴は何でしょうか?
それをつい選んでしまう、という靴は何でしょうか?
それがインポートレザーでなければならない理由は何かありますか?
もちろん国産のレザーでなければならない理由もないかもしれません。
けれど、「革が良い」という漠然としすぎている、値段の付けようのない基準を一度外してみると、今までとは全く違った世界がまた見えてくると思います。

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Kindle書籍、というと「Kindle端末」が無いと読めない、と思われている方も多いのですが、お使いのスマートフォンやタブレット端末でも「Kindleアプリ」を入れることでお読みいただけます。スマホに入れて、いつでも気が向いたときに目を通せる、いつも手元に置いておけるものを目指して書きました。

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現在発売している書籍は下記の3冊です。

「靴ブラシで歩き方が変わる。」

まずは「革靴のお手入れ」と「革靴の選び方」に関する内容に加筆、修正してまとめた、こちらの書籍。

「靴磨き」というと、革靴が好きな方が休日に趣味の一つとして時々気合いを入れて磨くモノだと思われがちです。けれど、私は実際には「靴磨き」と「靴のお手入れ」は別のものだと考えています。

革靴が趣味でない方は靴磨きは必要ありません。ただ、帰宅したら「毎日」、その日履いた靴を「1分間」、靴ブラシで埃を落して布や磨き用のグローブでから拭きしてあげてください。それが本書で伝えたい「毎日のお手入れ」です。毎日の歯磨きや洗顔と同じです。靴に余計なケアは不要です。けれど最低限のケアは必要です。

多くの方にとって「靴磨き(お手入れ)って何も特別なものじゃなくて、毎日の歯磨きや洗顔のような日常なんだな」と感じて頂き、より革靴を身近なモノに感じてもらえたら、と願っています。

「アカウントを持って街へ出よう Chromebookとの365日」

続いて、「Chromebook」に関する文章を一冊の本にまとめました。

Chromebookはまだまだ日本では馴染みが薄いですが、Googleが開発したOSであるChrome OSを搭載したPCです。

海外では特に米国の教育市場を中心に急速にシェアを伸ばしてきています。日本ではAppleやMicrosoftが教育市場向けのモデルを出すと、一般的に「iPad対抗」「Surface対抗」といった感じで一騎打ちのようなイメージを持たれがちですが、実際には海外では低価格で半分以上のシェアを獲得している「Chromebook(Google)対抗」を想定した三つ巴の状態となっています。

本書ではこのOSの特長でもあり魅力でもある、

Googleアカウントのみでどこでも身軽に移動、作業が出来るスタイルの提案であり、Chromebookはあくまでそれを実現するための仮の入れ物の内の一つ

という点をベースに、私が感じる魅力について暑苦しく書き綴っています。

「それぞれの365日 Chromebook会報誌」

是非あなたのスマートフォンやタブレット、Kindle端末などに入れて持ち歩き、気が向いた時に読み返して欲しいな、と思っています。