間もなく新年度です。普段家族のため自分のため平和のため、身を粉にして働いているあなた。私はそんなくたびれたあなたが好きです。そんなあなたが4月からもその持てる力のすべてを発揮できるよう、私も靴のお手入れという方法でサポートすることが出来たら、と思っています。
ということで、リマインダーのように定期的にしつこくお伝えしている内容を新年度を前に再びお話したいと思います。それは、普段は気づきにくい革靴のこんなお手入れです。
しつこいくらいに粘着していますので、靴のお手入れについてはご存知かと思います。
余計なことは必要ありません。靴ブラシによるブラッシングとグローブもしくは布による磨き上げ(乾拭き)です。それをやられている時点で靴に関してはほぼ心配はないと思うのですが、せっかく習慣づいたあなたに、忘れがちだけれど、時々思い出して加えてほしいお手入れがあります。
靴クリームやクリーナーではありません。
「紐の交換」「コバ周りの補色」「シューツリーを入れる」
です。
定期的にお伝えしている「靴ひも」。前回はいつ交換しましたか?
この話はちょうど3ヶ月前の昨年末にも書きましたので、その時に交換された方がほとんどでしょう。あの時、靴が蘇ったと感じませんでしたか?靴への愛情が蘇りませんでしたか?そして、思っていた以上に、見た目以上に靴が傷んで力を失っていることに気が付きませんでしたか?
あれから3ヶ月が経ちました。「まだ3ヶ月だよ」「勿体無い」「まだ大丈夫だよ」そう思われるかもしれません。
ほとんど履かれていない靴は必要ありませんが、それでも現在ローテーションして週に1回や2回は履かれているのであれば、是非試してください。今回も騙されたと思って。紐ってそれくらい、日々酷使されています。
靴紐の交換は、気持ちも引き締めてくれます。色を敢えて変える必要はありません。ただ、もしフィット感が多少甘いな、とか、ちょっと痛いな、など感じるようでしたら、形(平紐、丸紐)や通し方を変えてみるだけで全くフィット感が変わってきますので、せっかくなので色々試してみても良いですね。
非常に面白い本なのですが、在庫がほとんど無いのが惜しいです。
コバ周りが綺麗になるだけで靴の印象は大きく変わります。
人間、足元を見られる、という言葉のように、足元というのはとても大切です。同様に、革靴にとっての「足元」も、人間同様ついつい忘れられがちですが見栄えにも大きく影響する大切な部分です。
わかりにくい書き始めでしたが、靴にとっての足元、要はコバ周りです。
雨に濡れたまま、また普段からぶつけていたりすると、気が付くとコバ周りの色が禿げてしまっていることが多いのです。これが思った以上に目立ってしまいます。また、特に忘れがちなものが、雨に降られたまま気づかずにいる踵周りです。
コバ周り、かかと周りの色ハゲは見落としがちですが結構目立ちます。靴の表情を大きく左右します。大体靴でも皆さん、形やデザインを気にされるのですが、形もデザインも時代とともに流行も変われば好みもあるので、実際他人の履いている靴なんぞどーでもいいのです。ただ、コバ周りがハゲていると、一気に老け込みます。急に安っぽくなるんです。
コバインキ(呼び方は色々あります)には「革底用」と「合成底」用がありますので、購入時には注意が必要です。
既にお持ちだとは思いますが、普段のお手入れにプラスして、コバ周りも時々チェックするようにすると良いと思います。
何故今更シューツリー?案外使われていないからです。一番の効果は「かっこいいこと」
「かっこいい」これ、ほんと大切です。
靴の反り返りは見栄えだけでなく、靴の寿命も足への負担へも影響が大きい。
もちろん見栄えがとにかく悪くなるのですが、私が一番気になるのは、一度反りっぱなしで放置してしまった靴って不思議なことにどんどんみすぼらしくなっていくんです。靴に対する関心が薄れるので、ますます注意を払わなくなり、自然に扱いが雑になる。これ、私がこのブログでいつも持っていく結論というか理由、です。
意識されなくなったモノは靴に限らずあっという間に老けます。
どんな高額な靴でも、履いたあと、脱ぎっぱなしで放置していると、型崩れ云々以前に「かっこ悪い」んです。「疲れ切ってるんです」ね。
もちろん、一日の戦いを終えた姿は例え敗れたとしても美しくはあるのですが、それとはまた別問題。だって、単純に放置しているだけですから。せめて労ってあげてください。
シューツリーは靴の足数分用意する必要はありませんが、履いたあとの靴に入れてあげるだけで、何となくそれだけで靴が蘇った気分になります。この「気分が非常に大事」です。
姿勢を正した姿(佇まい)と、何となく背中丸めてくたびれ果てた、消耗し尽くした姿。印象が変わると、それだけで人って薄情なもので愛着の度合いが変わってきます。
「なんかもう靴ボロボロだし、捨てるか」
といってお店で「汚いし捨てといてよ」と言われる靴の大半は、実は今回の3つをした上でお客さんに見せるだけで驚かれます。
えっ?この靴、こんなにかっこよかったっけ?と。
もちろんそれでも「でもボロボロだし新しい靴ほしいから捨てといて」という方もいますが、それくらい気持ちというのは大切だということを改めて記しておきたいと思います。
くたびれ果てたあなたも素敵ですが、ぜひ新年度、また胸を張って戦場に赴いてほしい。
先程も書きましたが、一日の戦いを終え、くたびれ果てた姿は例え敗れたとしても美しいとは思います。そしてそんなあなたの足元を支え続けたその革靴も素敵です。だからこそ、また来月からも万全の体勢で臨んでほしいと思っています。足元が安定していると、気持ちも安定します。
また梅雨明けあたりに、再びリマインダーのようにこの話をさせて頂くと思います。梅雨もあなたや靴にとっての負担が大きいからです。
また新しい年度が始まります。この一年があなたと靴にとって、素晴らしい一年となることを願っています。