ようやく関東も梅雨明けになりました。今年は東京に関してはそれほど激しく雨が降った印象がありませんでしたが、久しぶりに夕立に革靴が濡れたりとそれなりに靴にとっては大変な時期だったかな、と思います。何より靴よりも私自身が気温の変化に体調を崩したりと、靴以上に私自身のお手入れが必要かもしれません。
梅雨明け後のこの時期の週末に是非試して欲しい、革靴のお手入れの3つのこと。
昨年も取り上げましたが、この梅雨時期に革靴もしっかり酷使されていると思います。そこでこれからの暑く、また突然の夕立も多い時期に向けて、この週末にちょっと梅雨明けのお手入れをしてみてほしいな、と思います。今回は3つのポイントを挙げてみました。
雨に濡れて傷み色も落ちてきたコバ周りは思っている以上に目立ちます。
人間、足元を見られる、という言葉のように、足元というのはとても大切です。同様に、革靴にとっての「足元」も、人間同様ついつい忘れられがちですが見栄えにも大きく影響する大切な部分です。
わかりにくい書き始めでしたが、靴にとっての足元、要はコバ周りです。
雨に濡れたまま、また普段からぶつけていたりすると、気が付くとコバ周りの色が禿げてしまっていることが多いのです。これが思った以上に目立ってしまいます。また、特に忘れがちなものが、雨に降られたまま気づかずにいる踵周りです。
革の積み上げタイプの踵の場合には、意外と疎かになりがちです。上の写真は雨ではなく、先日の靴丸洗い直後の状態ですが、踵周りはこれくらい普通に色も剥げてきます。
通常のコバインキタイプのものを用いても良いのですが、今回はこちらを使ってみました。
服などに付かないように気をつけながら、塗りこんで、その後にブラシで伸ばしていきます。乾いたら磨き上げれば完成です。
コバ周り(カカト周りも)は普段甲革に使っているクリームではなかなか色が乗りません。簡単なお手入れで見違えるように靴も蘇りますので、この週末に忘れずにチェックしておきましょう。
一般的なコバインキですが、梅雨時は革底よりも合成底の靴の出番も多かったのではないか、と思います。合成底の場合には通常の革用のコバインキだと弾いてしまったりしてきちんと補色が出来ません。合成底用のコバインキを使いましょう。合成底も意外と色は落ちてきます。
革靴がボロボロ?ボロボロなのは革靴じゃなくて靴ひもです。
靴好きでも意外と後回しにしがちなものが、靴紐です。
勿論普段から脱ぎ履きの際には緩めることは必須ですが、それでも雨に濡れたり日々結んだり緩めたりを繰り返している内に、思った以上にクタクタになっています。
一瞬、それほどボロボロになっていないような気がする靴紐。普段から触れていても、見慣れてしまって「別に傷んでないよ」と思ってしまいます。
けれど、実際に替えてみると驚きます。靴紐を外した途端にため息が漏れると思います。「あ、こんなに酷使していたんだ」と。
そして、新しいハリのある靴紐に交換した革靴を見ると、思っていた以上に靴が蘇るのがわかります。靴紐、数百円です。下手なクリームだクリーナーだ、と考えるよりも余程効果が大きいと思います。
梅雨時は特に雨に濡れる機会が多く、紐も傷みやすいので、まとめて買っておくと良いかな、と思います。
紗乃織靴紐など少し高めの靴紐もあります。
使い始めは固めで若干ベトつきもあり、また締め具合もポイントで強めになるため好みが出ると思います。高いから良い、というわけでもありませんので、幾つか試してみると良いでしょう。
丸紐と平紐を変えるだけでも靴の印象は大きく変わりますし、フィット感も変わります。
特に靴をたくさん持っている人ほど注意が必要です。日光浴させましょう。
梅雨時は玄関先の湿度もかなり高く、また革靴自身も外から内から水分を多く含んでカビも生えやすければ傷みやすい状態にもなっています。
そこで、日光浴させましょう。
革に水、が心配なように、革に日光浴に対しても不安になる方も結構いるのではないか、と思いますが、
革に直射日光は良くないと言われますが。
確かにあまりに暑い日に直射日光に晒し続ければ、人間でも身体に良くないように、革にとっても良くないと思います。また、よく雨の後にやってしまう「乾く前に」いきなり日向に靴を干してしまうこと。これはかなり負担になります。
ただ、思い出してほしいのは、普段私達、炎天下の中、革靴履いて一日歩くこともあるんですよね?あれは革靴がダメになるのでやめましょう、というのは聞いたことがありますか?
多くの方にとってはデメリットよりもメリットのほうが多いと思っています。あとは靴大量に持ってて、普段あまり考えずそのまま箱に入れて保管している方。通気性は悪いわ湿度も埃もてんこ盛りで、酷いことになっている場合もあります。
ようやく天気も良くなってきましたので、週末に2〜3時間(にわか雨に備えて家にいる時にしましょう)、靴を日光浴させてあげてください。
あとはこまめなブラッシングとから拭きです。なるべく靴に触れてあげましょう。
どんなに大切に保管していても、ただ飾っているだけでは靴はどんどん力を失っていきます。なるべく靴は触ってあげましょう。ちょっとの時間でも構いません。履いてあげてください。
そして必要なことは、しつこいとは思いますが、こまめなブラッシングとから拭きです。これだけでもおそらく半日くらい使ってしまうのではないかと思います。
元気になった靴を眺めていると、またちょっとこの靴を履こうかな、と楽しい気持ちになれると思います。あなたの足元を支え続けてきてくれたその革靴は、これからもまだまだあなたとともに歩んでくれることでしょう。