今、この文章を書きながらも、まだ考えがまとまらずにいます。昨夜突然発表されたSamsungの新モデルは名モデルChromebook Plusの改良版だった。それも大きく方向性を変えながら。そこで、私が今まで同社のPlusとProに感じていたことと合わせて、この新しいモデル(V2)について考えてみたいと思います。
まずは従来の2モデルとスペックを並べてみたいと思います。
Samsung Chromebook Plus | Samsung Chromebook Plus V2 | Samsung Chromebook Pro | |
Display | 12.3″ 400nit 3:2 (2400×1600) |
12.2″ 300nit 16:10 (1920×1200) |
12.3″ 400nit 3:2 (2400×1600) |
Dimensions | 280 x 221 x 13.9mm | 288 x 208 x 16.0-17.78mm | 280 x 221 x 13.9mm |
Weight | 1.07kg | 1.32kg | 1.07kg |
Digital Stylus | Wacom feel EMR | Wacom feel EMR | Wacom feel EMR |
CPU | OP1, Made for Chromebooks | Intel Celeron 3965Y (7th Kaby Lake) |
Intel Core m3-6Y30 (6th Skylake) |
RAM | 4GB | 4GB | 4GB |
Storage | 32GB eMMC | 32GB eMMC | 32GB eMMC |
Interface | USB 3.1 Type-C x2 , microSD |
USB 3.1 Type-C x2 , USB 3.0 Type-A x1 , microSD |
USB 3.1 Type-C x2 , microSD |
Camera | Single: 720p (front) | Dual: 1M (front); 13M (on keyboard deck) | Single: 720p (front) |
Power | 30W / 5140mAh / 39Wh / *h | 30W / ****mAh / 39Wh / *h | 30W / 5140mAh / 39Wh / 9h |
価格 | $449 | $499 | $549 |
実際には本体サイズや厚さ、重さなど変わっていまして、その点はASUS Chromebook Flip C100PAとC101PAのような、「従来の弱点を潰してきた」進化版という印象ではなく、別物になった気がしています。そうした点から私の現時点での感想としてはPro V2が出ることが前提でなければ「これを敢えてPlusとする必要はなかったのではないか」という印象を持っています。
ちょっと分かりにくいので、私が以前から感じてきた初代PlusとProに対する印象から、今回のモデルについて少し書いてみます。
私はProが出た時に、モデルとしては非常に魅力的ながら「Proらしさがないところが惜しい」と書いてきました。その気持は最近になっても変わっていません。
であれば、Plusは「Androidアプリとの統合の中での新しいChromebook、OSの形」を提案するモデルとして突き詰めていけば良いのではないか、と思います。その代わり、今後のChromebookのGoogle Playストア対応を牽引するように、どんどん使い勝手を最適化していく。価格は現状の$449でも構わないかな、と思っています。
そして、Proは例えば従来のGoogle Chromebook PixelやHP、Lenovo、Acerが出していたようなハイスペックと高精細液晶を組み合わせた、もう一つのシンクライアントとしての方向性を突き詰めていく。以前幾つか出ていましたが、SIMカードが使えたら更に面白い。Samsungが今回採用してきた3:2の高精細、高解像度液晶パネルは決してAndroidタブレット的用途だけでなく、こうしたパワーモデルや、もしくはより実用的なモデルにとっても非常に魅力的です。
ChromebookにおけるAndroidアプリの対応状況(相性)に関しては、以前に比べれば遥かに良くはなってきているものの、決して現行Androidタブレット愛用者を満足させるほどには達していません。ただ、現時点でごく僅かに存在するARM系SoC(OP1=Rockchip RK3399)を載せたモデルに関しては、今後が期待できるのではないかと思っています。先日取り上げた初のChrome OSのタブレット端末、Acer Chromebook Tab 10がこのOP1を載せてきたことからも分かるように、やはり今の流れから考えるとAndroidアプリとの相性を重視するのであればARM系を選択せざるを得ないからです。
そうした中で、Samsung Chromebook Plusは数少ない、高解像度、キーボード付き、コンバーチブルタイプでEMRペン対応の非常に特徴的なモデルとして存在しています。これは最近発表されて話題になっているHP Chromebook x2も、Acer Chromebook Spin 13も、そしてGoogle PixelbookでさえもARM系ではなくIntel(x86系)CPUを載せることで、処理速度的には非常に快適ながらAndroidアプリに不安を残すのとは非常に対照的です。
私の中では、今回のモデルが発表されるまで、Samsungの次のモデルに関しては次のような予想を立てていました。
- SamsungとASUSの新作に関しては従来のペースから考えると2018年後半から2019年前半。
- 今年初めくらいからQualcommがChromebookにおけるSnapdragon搭載に関してまんざらでもない発言。
- Acerはじめ各社が徐々に第8世代 Intel Coreプロセッサを載せたハイスペックモデルを発表。
- Googleが最近ChromebookにおけるLinuxの対応(動作)を表に出し始めてきた。
- Androidアプリ対応(ARM系)とLinux対応(x86系)で大きくモデルを分けてくるのではないか。
となると、今年後半辺りに「Snapdragonを載せたPlus」と「第8世代 Intel Coreプロセッサを載せたPro」が出て来るのではないか。
はい。見事に外れました。完全な妄想に過ぎませんでした。ごめんなさい。
と考えると、
Androidアプリ対応で層は広がりましたが、海外見てても、まして国内見てても、個人なんて向いてもいないんじゃないかな、と思ってます。Androidアプリ自体、Chromebookで音ゲーや激しい使い方は考えてなくて、教育市場で求められる程度のアプリ対応が最終的に出来れば、くらいではないかと感じてます。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) June 13, 2018
変に期待してしまうようなそぶり見せるからGoogleさんが罪作りな気もしますが、今後も別にハードウェアで天下取る気もなければ、結果としてGoogleアカウントとG Suiteを継続してどこででも使えるような方向を目指してるに過ぎないのかな、とも。Spin 13とか結構個人向けでも面白い端末ではありますが。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) June 13, 2018
今回の動きとしても、あくまでAndroidアプリ対応は補助的に考えつつ、Googleのサービスなどを教育市場や法人市場においてより快適に活用できる(そのための開発環境の構築も含めて)、という方向に進んでいくのかなぁ、と思いました。
そう見ていくと、今回のPlus V2にも別の側面が見えてきて、このPlusをベースにしてよりハイスペックなPro V2を出してくるのではないか、と。今回キーボード等も改善されたようですし、重量や厚みが増したことも考えると、そうした開発環境も含めて快適に構築できるような形でSamsung Chromebook PlusとProは進んでいくのかな、と感じました。
個人的には従来思い描いていた「PlusとProで方向性を明確に分けて、それぞれにしっかり特色を出していく」ということを期待していたのですが、全く型は同じで「基本はPlus、更にハイスペックが欲しければPro」というような棲み分けが続いていくのかな、と感じています。
もちろんこの予想も妄想で終わる可能性もあります。Pro V2が出ない、という可能性もありますし、まったく別物のPro V2が突然私たちの目の前に現れる可能性もあります。その辺り、一昨年の後半(Samsung Chromebook Proのリーク情報が突然出て、妄想が広がっていった時期)同様、しばらく楽しませてくれるのではないか、と思っています。
追記:2018年6月15日 18:00 更新
Chromebook plusは割と挑戦的な仕様だったのに、教育現場では割と不評だったのではないかと推測します。解像度高すぎ、動画コンテンツに合わない、構造的に弱い、電池が持たない、知らんけどそういうのがあって既存のノートPC的に作り直したのかなと。増加分300gが何に使われてるかが鍵でしょう。
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) June 15, 2018
Jiro@Jota+開発(@jiro_aqua)さんのこちらのツイートが今回のPlus V2の視点に対して大変興味深かったので、ご紹介させていただきます。
確かにその通りなんですよね。挑戦的ではあったものの、教育現場と考えると色々と不安要素が多かったのではないか、と感じました。今回発表されたHP Chromebook x2といい、Acer Chromebook Spin 13などの一連のモデルといい、最近までの薄型軽量の流れからは少し外れるように、全体的に増量傾向にあります。今回のPlus V2も文中の動画のように、耐水性等も上げているようですし、従来の「傷つきやすい」「若干耐久性が心配」といった声に応えるといった意味があったのかもしれません。
引き続き興味深く流れを追っていきたいと思います。