これはなかなか面白いモデルだと思います。
富士通クライアントコンピューティング株式会社が2021年11月16日、国内メーカーとしては初の、コンシューマ向けChromebook、FMV Chromebook 14Fを発表、同日より受注を開始(提供開始日は12月10日から)しました。
既に各メディア等でも情報が出ていますので、ここでは私なりに感じたことも加えながら見ていきたいと思います。
FMV Chromebook 14Fの主な仕様とラインナップ
ベースモデル(FCB143FB)の他に、若干スペックが異なるモデル(FCBWF3M13T)やAmazon限定モデル(FCBWF3M111 / FCBWF3M11T)も発売されるようです。
品名 | FMV Chromebook 14F |
FMV Chromebook WM1/F3 |
FMV Chromebook WM1/F3 |
FMV Chromebook WM1/F3 |
型名 | FCB143FB | FCBWF3M13T | FCBWF3M11T | FCBWF3M111 |
Amazon.co.jp限定 | ||||
CPU | Core i3-1115G4 | Celeron 6305 | ||
メモリ | 8GB | 4GB | ||
ストレージ | 128GB SSD | 64GB eMMC | ||
液晶 | 14″ 1920×1080 ノングレア | |||
タッチ | 対応 | 非対応 | ||
microSDカードリーダー USB 3.2(Gen2) Type-C x2 USB 3.2(Gen2) Type-A x2 HDMI ヘッドホン端子 |
||||
自動更新ポリシー | 2029年6月(予想) | |||
価格 | オープン価格 | 79,800円 → 64,800円(12/1迄) |
54,800円 | 49,800円 |
[WEB MART] [ビックカメラ.com] |
[WEB MART] [Amazon.co.jp] |
[Amazon.co.jp] | [Amazon.co.jp] |
単純にスペック表と価格だけを眺めてしまうと、既に出ている各社のハイスペックモデルと同じように見えてしまうのですが、このモデルの魅力は「こうした表や数値に表れにくい部分」にこそあると思っています。
主な特長を挙げると、
- 第11世代(開発コード名 Tiger Lake)のIntel製プロセッサーを搭載。
- キーボードマイスターが監修し、打鍵感に定評ある富士通パソコンのキーボード。
- インターフェース類が充実。USB Type-C、Type-Aともに2ポートあるだけでなく、HDMI端子も備えている。
- 富士通 WEB MARTで購入する場合、標準保証だけでなく、最大で5年のワイド保証も追加可能。
この辺りになるかな、と思います。
ということで、以下、私なりの興味を持った部分についてつらつらと挙げていきたいと思います。(以下長くなりますので、不要な方はここまででOKです。)
また、この後の説明には一部富士通のChromebookのサイトから画像をお借りしています。
こうしたページや、動画まで公開されていることから考えても、今回富士通もそれなりに気合が入っているのかな、と感じました。
キーボードマイスターが監修し、打鍵感に定評ある富士通パソコンのキーボード。
Chromebookというと、出来ることは限られているが、その分低価格が魅力であり、低スペックでもサクサク動くのが特長、という風に一般的には捉えられています。
確かにそうした面もあるのですが、PCの使い勝手というのは、単純に「出来ること・出来ないこと」や「分かりやすいスペックやベンチマークの数値」だけでは判断できないとも感じています。例えばLenovoのThinkPadシリーズやPanasonicのLet’s noteを選ばれる方、というのは、それぞれに今挙げたような視点だけでは選ばれてはいないと思うんですね。
そうした判断基準の一つにキーボードの打ちやすさ、快適さ、というのがあると思っています。何故なら、PCにおいてキーボードというのは最も触れている時間の長い部分であり、この部分が快適かどうか(自分に合うか、打ちやすいか、など)は、一瞬一瞬ではあまり差が無いように見えても、積み重なるとかなり差が出てくると思うからです。
その点では、Chromebookは前述のような特長だけで考えてしまうと、どうしてもキーボードなどの分かりにくい部分でコストを抑えたり、といったことになりがちです。
今回の富士通のこのモデルは(まだ実際に触れていないので分かりませんが)、例えばキーボードを見てみても、
かなりバランス良く、国内向けにしっかり考えられて作られているのがわかります。この部分、海外のメーカーだと、US配列のキーボードバランスのままで強引にJISかな配列のキーを詰め込んだ結果としてバランスが悪くなってしまったモデルも多いのです。
また、
「2段階押下圧」についても、もしかしたら既に他のメーカー製のChromebookでも実際には採用しているかもしれません。ただ、今のところこの辺りを謳ったモデルは見かけません。
この他にも「ステップ型キートップ」や「球面シリンドリカルキートップ」など、キーボードを重視される人にとっては、これが魅力に繋がる場合もあると思うんです。
この辺りをしっかり謳っているのは、従来のChromebookにはなかった傾向ですし、こうしたモデルもありだと思うんですね。
富士通 WEB MARTで購入する場合、標準保証だけでなく、最大で5年のワイド保証も追加可能。
また、国内PCメーカーならではの従来からの手厚い保証やサポートが受けられる、というのも、すべてのユーザーに刺さるわけではないとしても、魅力の一つだと思います。例えば、通常であればメーカー保証は1年間ですが、富士通のWEB MARTで購入する場合には、購入時に追加で、
こうした延長保証も追加できますし、他にも(Windows PC用と共通だと思われますが)設定や移行作業、パソコンレッスンなどが含まれる富士通パソコン出張サービス「PC家庭教師」や「バッテリ交換サービス」などもしっかりと明記されているのも、ならではかな、と思います。
他メーカーにこうしたサポートがまったくないわけではありません。また、却って余計なお世話だから、その分安くして欲しい、という意見もあると思います。ただ、そういう方は他のメーカーを選べば良いだけであって、こうしたこともChromebookが今後更に普及していく上では必要になってくるのかもしれないな、と思いました。
それでいながら、意外と今回のモデル、価格的にはそこまで他メーカー製の同じようなスペックのモデルと比べても高くない(差がない)んです。
価格と販売店
ベースモデルである14F(FCB143FB)はオープン価格ですが、富士通のWEB MARTでは82,800円、ビックカメラ.comでは文章作成時点で76,780円(7,678ポイント還元)となっています。
- [富士通WEB MART] FMV Chromebook 14F : 富士通
- ノートパソコン FMV Chromebook 14F(タッチパネル) ダーククロム FCB143FB [14.0型 /intel Core i3 /メモリ:8GB /SSD:128GB /2021年12月モデル] 富士通 FUJITSU 通販 | ビックカメラ.com
WM1/F3(FCBWF3M13T)は富士通のWEB MART及びAmazon.co.jpでも販売されている模様。現在キャンペーン価格となっており、12月1日14時までは15,000円OFFの64,800円となっています。
Amazon.co.jp限定モデルはCPUがCeleron 6305に、またタッチ対応モデルと非対応モデルの2モデルが販売されています。価格はそれぞれ、
タッチ非対応モデルが
タッチ対応モデルが
となっています。
個人的にはかなり期待しています。
当ブログは結構新作モデルの発表に関しては、Twitter等ではそれなりに反応するものの、結構サラリと流してしまうことが多いのですが、今回は珍しく取り上げてしまいました。
実際、サラッと流しがちなくらいに、人によっては代わり映えのしない、「この価格を出すなら」といった風に感じるモデルかもしれません。実際、第11世代(開発コード名 Tiger Lake)のIntel製プロセッサー搭載のChromebookというのは、国内では既にASUS JAPANがCX5というモデルを発売しています。
ただ、ここでも触れた「若干の物足りなさ」に対して、この後に続くであろう各社のモデルに私は結構期待していた部分がありました。
この物足りなさを何で埋めるか、の答えはもちろん一つではありません。また、その答えが誰にとっても魅力と映るかというと、そこも難しいとは思うのです。ただ、今回、ASUS JAPANに続く2モデルめとしての第11世代プロセッサー搭載モデルとして、富士通はこういうモデルを出してきました。
これも、アリだと思うんですね。もちろん全く刺さらない人がいても良い。ただ、私にはそれなりに刺さりました。冒頭で書いたように、「なかなか面白いモデル」だと思いました。
際立った特長やインパクトはないかもしれませんが、自動更新ポリシーの8年間、ほぼギリギリまでじっくり使い込む、日常の道具、と考えるのであれば、むしろこうした足回りがしっかりした堅実なモデルというのは魅力的だと思っています。
むしろサポート含め、こうした「日常の道具」的方向にしっかり振った、数値に現れにくい部分を重視したモデルがある程度受け入れられるようになっても良いのかもしれないな、とも感じています。
国内メーカーらしい、って今までだとどうしても否定的に捉えられがちだったけど。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) November 16, 2021
Core i3まで要らなければ、Amazon.co.jp限定モデルもありますし、Celeronでも十分に快適に長く使えると思います。
ということで、今回の富士通のこのモデル、個人的にはかなり期待しています。