2018年に入って続々と発表されているChromebookの新モデルについて、既存のモデルから競合モデルと考えられるものを挙げながら、比較しています。その2回目。今回は既に海外では発売され、少しずつレビューも上がってきているHPの新作、HP Chromebook x2です。
前回(Acer Chromebook Tab 10)の文章はこちらから。
デタッチャブルとペンをどう捉えるか、がポイントになりそうなHP Chromebook x2。
いや、困った。このモデルに関してはあまりちゃんと情報見てなかったんです。デタッチャブル自体にそれ程魅力を感じていなかったので、方向性的には似たモデルが既に手元にもいくつもありますし。ただ興味はあったので購入はしたいと思っていたんですが。
思った以上に素敵なモデルじゃないですか。白と黒の色のバランスが良い。
こりゃ、素直に欲しい。買う。
ということで、現行モデルの競合となりそうなものを挙げてみます。今回はポイントとして「ペン対応」「Core m/i並の高スペック」「コンバーチブル薄型」「高解像度」辺りを考えてみました。すると、似たようなモデルが2つ出てきます。
HP Chromebook x2 | Google Pixelbook | Samsung Chromebook Pro | |
Display | 12.3″ (2400×1600) | 12.3″ (2400×1600) | 12.3″ (2400×1600) |
Dimensions | 292.2 x 211.3 x 15.3mm (8.2mm) | 290.4 x 220.8 x 10.3mm | 280 x 221 x 13.9mm |
Weight | 1.39kg (0.73 + 0.66kg) |
1.1kg | 1.07kg |
Digital Stylus | Wacom AES | Wacom AES | Wacom feel EMR |
CPU | Intel Core m3-7Y30 (7th Kaby Lake) |
Intel Core i5-7Y57 (7th Kaby Lake) |
Intel Core m3-6Y30 (6th Skylake) |
RAM | 4GB | 8GB | 4GB |
Storage | 32GB eMMC | 128GB eMMC | 32GB eMMC |
Interface | USB 3.1 Type-C x2 , microSD |
USB 3.1 Type-C x2 | USB 3.1 Type-C x2 , microSD |
価格 | $599 | $999($749) | $549 |
CPUに関しては、HPとGoogleが第7世代Coreプロセッサー(Kaby Lake)の薄型・軽量2in1やタブレットPC向けのYシリーズ(Kaby Lake-Y)。PixelbookはCore iとなっていますが、実質前世代のCore m的位置づけ(Yシリーズはi7、i5、m3)のTDP4.5Wの低消費電力のタイプです。
Samsungは第6世代Coreプロセッサー(Skylake)。こちらも同じTDP4.5Wと低消費電力のタイプです。他にASUS Chromebook Flip C302CAでも使われています。他OSで使うには若干力不足感はあるのかもしれませんが、Chromebookにおいては普及価格帯とはまた違う快適感を提供してくれます。個人的に一度は試してみて欲しいシリーズです。ということで、この3モデルを選んでみました(C302CAと迷ったのですが、後述のデジタルスタイラスペンと解像度の点でSamsung Proを選びました)。
液晶はどれも同じ12.3″、最大解像度2400×1600(3:2)で変わりありません。
違いが出るとすれば、まずはRAM容量。Pixelbookのみ8GB RAMです。HP x2も「最大8GB」と表記されていますが、このブログでは何度か触れていますが「最大」ってたいてい一般向けにはなかなか出てこないんです。最近ではこの「最大8GB」はよく目にするようになりましたが、実際に8GB以上搭載されているモデルが非常に限られていることからも、現時点での標準は4GB、という認識なのかもしれません。
そう考えると、デタッチャブル(HP)かコンバーチブル(GoogleとSamsung)かという部分が一つ目の大きな違いになります。次に、同じデジタルスタイラスペン対応でも、ここで大きく2つに分かれます。AES(HPとGoogle)かEMR(Samsung)かの違いです。現時点におけるChromebookのペンの方式の主流はほぼEMRで、AESはGoogleのPixelbookのみだったのですが、ここでHPがAESにしてきたのが吉と出るか凶と出るか。ここでは違いについては触れませんが、ペンを重視される方にとっては結構大きな違いになってきます。
HP Chromebook x2 | Google Pixelbook | Samsung Chromebook Pro | |
スタイル | デタッチャブル | コンバーチブル | コンバーチブル |
ペン方式 | AES | AES | EMR |
価格 | $599 | $999($749) | $549 |
この上でこの2点で考えた場合に、「デタッチャブル/AES」のHPと「コンバーチブル/EMR」のSamsungが価格的に近くなります。「コンバーチブル/AES」のPixelbookが若干高くなりますが、Core i5、8GB、128GBと全体的に底上げされるので、その分と考えても良いでしょう(あとは新しい機能が真っ先に取り入れられるのはGoogle Pixelbookになると思います)。
AESペンの2モデルは本体にペン自体を収納することは出来ませんが、HPはキーボード横に(あまり高級感はありませんが)ペンループが付属、Pixelbookは別途申込みが必要ですが、貼り付けるタイプの純正ペンループがあります。EMRペンのSamsungは本体に収納可。ただ、このあたり、電池が必要なAESの2モデルは軸もある程度太さがありしっかりしたペン、電池も充電も不要なEMRのSamsungはコンパクトな細くて小さめのペンになります。
HP x2の「デタッチャブル」はChromebookでは初なのですが、個人的にはあまりデタッチャブルに良い思い出がないので敬遠気味だったのですが、冒頭の動画等を見る限りでは悪くありません。どうしても液晶側に中身が詰まる(重くなる)ため、あまり角度を傾けられないのが欠点かな、と思ったのですが(特にラップトップはどうしても目線がデスクトップ以上に下がりやすく、首が疲れやすいため)、それ以外はそれ程不便ではなさそうです。
動画を見るまでは当初「コンバーチブルの360度回転ヒンジを活かしたテントモードやスタンドモードといった使い方がデタッチャブルでは出来ないのではないか」と思っていたのですが、どうやら前後逆に挿すことも出来るようで、となるとかなり柔軟性が出てきます。状況に応じてテントモードやスタンドモードも利用可能。この点は魅力的だな、と思いました。
HP Chromebook x2 | Google Pixelbook | Samsung Chromebook Pro | |
Dimensions | 292.2 x 211.3 x 15.3mm (8.2mm) | 290.4 x 220.8 x 10.3mm | 280 x 221 x 13.9mm |
Weight | 1.39kg (0.73 + 0.66kg) |
1.1kg | 1.07kg |
気になる点としては既に指摘も出ているようですが、HP x2の1.39kgという重さ。タブレットとして持った場合は0.73kgではありますが、キーボードも含めると12.3″としては若干重くなります。
また、AES方式の強みとして、EMRに比べて液晶側を薄くしやすい、という点があります。そうした部分でコストが下げられる、というのもありますが、実際にそこは本体の厚みにも現れています。AES方式のPixelbookは厚さ10.3mm、EMR方式のSamsung Proは13.9mmです。単純にこの方式の違いだけが理由ではないとは思いますが、Pixelbookのこの薄さは一つの魅力です。それに対し、同じAES方式ながらHP x2は15.3mmとSamsung Proと比べても厚くなっています。本体のみであれば8.2mmになりますが、この辺気になるところです。
HP Chromebook x2 | Google Pixelbook | Samsung Chromebook Pro | |
サポート | ? | ✕ | ✕ |
技適マーク | ? | ✕ | ○ |
入手経路 | 現状、米HPもしくはBestBuyのみ。 | 米Amazonが利用可。 | 米Amazonが利用可。 |
最後にサポートについて。GoogleとSamsungに関しては現状日本においては期待できません。HPに関しては「保証があり、技適マークがついたモデルで正式なHP製品取扱店で購入した場合に限り海外でもサポートする」ようです。このあたりがモデルによってまちまちですし、いざ米Amazonで発売されるようなことがあったとしても、そのセラーが正式なHP製品取扱店とは限らないため、現時点では何とも言えません。
また、技適マークに関してはSamsungは開腹して確認済み。Google Pixelbookは見つけられませんでした。HPに関しては現時点では「分からない」としか言えません。また、動画を見た限りでは果たして手に入っても開腹出来るかどうかちょっと不安ではあります。なるべく付いていると良いのですが(HP Chromebook 13 G1に関しては本体には技適マークはなかったものの、同封の紙に技適マークと保証が明記されていました)。
そして入手経路。Google、Samsungは現時点で(時々直送不可になるタイミングがあるとはいえ)米Amazonで購入が可能です。また、現時点でPixelbookは$250引きになっているので、他2モデルとの価格差が少なくなっています。HPは結構難しくて、何故か「米国外への発送は制限している(不可)」場合が多く、なかなか米Amazonに並ばないだけでなく、他の海外のサイトでも並んでも発送が出来ないことが多くなります。また、現時点では米HPもしくはBestBuyのみです。
ということで、HP x2に関しては発売されたことは非常に嬉しいものの、現時点で入手が大変なのが悩ましいところです。ただ、実際冒頭の動画のように、
なんか素敵
なんですよ。妙に格好いい。配色のバランスもたまりません。これは欲しい。ということで、私は買う。あとは時期と手段をどうするか、だ。
ということで、あまり参考にならないかもしれませんが、競合と考えられる2モデルとの比較という形で今回も考えてみました。
一応セラーが出品しているのですが、価格からして$599から考えると高くなっているので‥(しかも直送不可)