ここ最近の私の発信している内容からすると、手のひらを返したように感じられるかもしれません。ごめんなさい。ただ、視点を少し今までと変えてみると、意外と興味深い面が見えてきた気がするので、今回は雑感という形でダラダラと書いてみたいと思います。
それは、数年前まで国内のChromebookの個人向け市場において孤軍奮闘してきたメーカーでもある、ASUS JAPANの最近のChromebookの戦略について、です。
ここ数年のASUS JAPANのChromebook戦略に複雑な想いを抱いていた。
この数年で国内のChromebookの個人向け市場の勢力図は大きく変わってきた気がします(教育市場は別)。世界的な巨大PCメーカーでもあるHPとLenovoが国内でも本格的に参入してきたことで、単純にラインナップが充実しただけでなく、両メーカーお得意の価格戦略により、一気に価格競争、消耗戦(体力勝負)の様相を呈してきました。
それは一般ユーザーにとっては、選択肢も増えれば、今までよりも手頃な価格で購入出来るようになるわけで、ありがたいことではあるのですが、これはやはり体力勝負、消耗戦になります。今はシェアを急激に伸ばしたい時期でもあるので、これで良いかもしれませんが、その過程で付いていけなくなった、力尽きたメーカーはどんどん脱落していきますし、一度下がった価格の印象というのは元には戻りません。
少しでも価格が上がってくれば「最近のChromebookは高価格化してきて迷走している」と言われるようになるでしょうし、次から次へと新しいモデルを出しては、型落ちモデルをどんどん下げて在庫処分していかなければならなくなってきます。
そんな影響を真っ先に(個人向け市場で)受けたのが、冒頭でも触れたASUS JAPANだと思っています。数年前まで赤坂に実店舗も展開し、Chromebookも積極的に展開、実物を手に取って選べる唯一のメーカー直営店舗でもありました。また、ラインナップも結構隙の無い、非常に戦略的な展開を国内でしてきた印象があります。そうした諸々も含めて、私はASUS JAPANをずっと応援してきましたし、その気持ちは今も変わりません。
ただ、赤坂の店舗の閉店、日本法人社長の交代による体制と戦略の転換などによって、ここ最近、私の中では(もちろん応援はしているものの)何となく迷走というか、何とも言えない複雑な想いを持っていたのです。
価格競争、消耗戦になれば厳しい(実際、出るモデルも一部は発売記念キャンペーンで安くはなるものの、それ以外は総じて徐々に厳しくなってくる)、また海外でも前評判の高いモデルはなかなか国内では展開されず、「何故このモデルが・・」とユーザー目線では思ってしまうモデルが意外と展開されることが多い。
そして、個人的に一番残念だったのが、数年前のモデルの外側(ガワ)だけ変えたモデルを「新作モデル」としてしれっと販売しているスタイル(口悪くてごめんなさい)だったのです。
この辺りは以前から何度も取り上げていますし、数日前にも文章にしたばかりです。
そうした中で、本日新たに発売されたモデルが、これまた3〜4年前に一度発売されたモデルのRAM容量違いのモデルである、C425TAです。
私はこのモデル自体は悪いとは思っていません。むしろ全体的なバランスとしてはなかなかうまくまとまった良モデルだとも言えます。ただ、個人的には上の文章のような「型落ちモデルを最新モデル、新発売として、サポート期限も明示せずに販売する」という姿勢に、従来からのユーザーとして、何となく素直に喜べない部分があったのです。モヤッとした感情を抱えていた、とも言えます。
視点を少し今までと変えてみると、意外と興味深い面が見えてきた「気がする」
と、ここまでであれば、ここ最近まで私がこのブログやTwitter等で発信してきた内容と、ほぼ変わりはありません。冒頭で触れた「視点を少し今までと変えてみると、意外と興味深い面が見えてきた気がする」と書いたのは、ここからです。
私はChromebookを使い始めて6年近くになります。そして、このブログでこうして800以上の文章を書きながら、ほぼ毎日情報を追いかけています。今までに20台以上買ってきました。要はマニアです。趣味です。そういう人間の視点というのは、時として一般の視点とズレてしまうことがあります。それはChromebookに限らず、ですね。今回、それを感じたのですが、その時に、「あれっ?」と思ったのです。
というのは、今回のC425TA、私の当初の印象は先ほどの文章の通りです。まぁこれでもだいぶ好意的に書いてはいるのですが、個人的にはやはり「うーん・・」という気持ちの方が大きかったのが事実です。ところが、少なくともTwitterでの反応を眺めている限りでは、今回のこのモデル、
結構好意的に受け止められている
ようなのです。「3.6万円なら欲しいなぁ(実際は8,000円引きとか凄いお得!的なものが多かったですが)」というものが多かった。そこでふと思ったんです。
確かに普通に考えてみれば、このバランス、このくらいのスペックで3.6万円なら、充分にアリじゃないか
と。
ちなみに、もちろん細かく見ていけば、使い勝手、満足度では違いは出てくるのですが、単純な数値で分かる部分のスペックだけで考えるのであれば、後継モデルが長らく待ち望まれているGoogleのPixelbook Goと同じなのです。
Core m3モデルはPixelbook Goも8GB RAM、64GB eMMC。液晶のサイズは違いますが(C425TAのほうが14″と若干広い)同じようにIPS、解像度はFHD(1,920×1,080)です。そして同じクラムシェルタイプのモデルです。当然ハードウェア的にも同じ世代になるので、端末のサポート期間である自動更新ポリシーも「2026年6月」と同じです。
私はPixelbook Goを今でも欲しいと思っています。Not Pinkを縁無く買い逃してしまったことを今でも後悔しているくらいです。で、このASUS C425TA、このPixelbook Goと同じ世代なんです。で、こちらは3.6万円(発売直後の現時点のみ)です。自動更新ポリシーが残り4年と考えたら、1年辺り9,000円という計算です。そう考えると、非常に程良いさじ加減のモデルなんですね。
そうなんですよね。ふと見方変えたら、これPixelbook Goとほぼ同スペックな訳で、キーボードも英語配列、これが年9千円で4年使えるって考えると、何ともまぁ魅力的に見えてくるという・・。つまりC425TAって日本版Pixelbook Goなんです(ちょっと違う)。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) February 10, 2022
決してハイスペックではない。ただ、かと言って遅いわけでもなく、現行普及価格帯モデルくらいの使い勝手はある。また当時はCore m搭載モデルということである程度ミドルより若干上くらいの立ち位置です。それがこの価格で4年使えるんです。
そう考えると急にこのC425TAが、下手な現行普及価格帯モデルよりも無難で手頃な良モデルに見えてきます。
そこで気がついたんです。先ほどまである意味マイナスイメージで捉えていた「数年前のモデルの外側(ガワ)だけ変えたモデルを「新作モデル」としてしれっと販売しているスタイル」について、です。
これも見方によっては、程良い加減で手頃に手に入る、競合のHPやLenovoとの価格競争に正面から挑まずに、けれど市場から脱落するどころか、むしろニーズをうまく捉えた、絶妙なモデル展開なのではないか、と。
「巨人」日本HPとレノボジャパンに真正面ではなく、絶妙な角度から挑んだASUSなりの戦略。
例えば、現在Amazonでセール特価になっている、15.6″のモデルである、CX1(CX1500)。
これもセール特価で3万円を切っていますが、スペックを眺めていくと程良い加減です。そして自動更新ポリシーは「2029年6月」です。これ、個人的には盲点だったのです。何故なら、もともとこのCX1というライン、先ほど挙げた「数年前のモデルの外側(ガワ)だけ変えたモデルを「新作モデル」としてしれっと販売しているスタイル」だからです。特に11.6″で最初に出たCX1100は酷かった(表現が悪くて申し訳ない)。
昨年発売したばかりなのに、中身が完全に昔のモデルなので、自動更新ポリシーも「2024年6月」。つまり現時点であと2年強なのです。にも関わらず、当時は「新発売」だったわけです。知らない人が見れば、安くて手頃な新作モデルだと簡単に騙されます。この15.6″の初代であるCX1(CX1500CNA)も同様です。こちらも同じく過去のモデルのガワ載せ替え。同じく「2024年6月」です。ここに関しては今回私の視点が多少変わろうとも、未だに如何なものかと思っています。
ただ、ここから今度はガワだけでなく、中身を載せ替えてきました。それが現行のCX1101CMA、そして上記のCX1500CKAです。CX1101CMAは「2026年6月」、そしてCX1500CKAに関してはプロセッサーがChromebookとしては最新になるので「2029年6月」になっています。こうしたことが出来たのも、結局はパーツを流用し続けることが出来た(要はガワだけ、もしくはガワ以外の中身だけ換えた)からでもあるんですね。その分1から開発し直さなくて良いから安く済む。
そして、CX1500CKAに関しては最新なので事情は多少異なりますが、こうして「2026年くらいのハードウェア構成」、つまり若干の型落ちモデルを「新登場」として出すことで、多くの人にとっては価格も手頃なモデルという選択肢が出来てくるのです。
私のようなマニアにとっては「自動更新ポリシーが8年ではなく4年」という時点で「うーん・・そこはちゃんと分かった上で選んだ方が良いよ」「中身は4年前のモデルだし・・」といったマニア的視点で見てしまいがちなのですが、良く考えてみたら、別にそんなこと、普通の人は考えませんし、それ程重視してないと思うんですね。実際、この3〜4年前くらいまでであれば、何とか普通に今でも使うことが出来ます(それより前になるとガタッと使用感が落ちてきますが)。
そして、多くの人にとっては、4年持てば充分なんです。実際。バッテリーも4年も経てばだいぶへたってきますし、この価格帯ならそれなりにキーボードやその他もガタがきはじめる頃でもあります。むしろ4年位の間隔で手頃な価格のモデルを次々と乗り換えていった方が、下手に6年、8年と使い続けるよりも快適に使えるかもしれません。そして、そうした気軽に乗り換えが出来るのもChromebookの特長であり魅力でもあるんです。
何故ならChromebookの本体はGoogleアカウントであり、外側のPC自体は「アカウントに紐付けられた自分の環境とデータを一時的に復元して作業するための作業空間、仮の箱」に過ぎないからです。つまり気軽に端末間を行き来出来るのが魅力です。
私のようなマニアが、本当にお気に入りのハイスペックモデルを長く使うのであれば感覚は多少違ってきますが、本来はそうした気軽な使い方に適したのがChromebook、とも言えます。
さて、そうした視点で見てみると、これらの(表現は悪いですが)型落ちモデル。その分価格も手頃で4年程度の使用期限。価格も当然手頃になってきます。そうしたモデルのノウハウは、元々長く国内の個人向け市場で孤軍奮闘してきたASUS JAPANには蓄積されています。どの程度のモデルが最もニーズがあるか、分かってると思うんですね。その上で、この辺りのラインを出してきた、とも考えられます。
そして、むしろ私のようなマニアが「いいね!このモデルありじゃない?」と思うような、例えば最新世代のCore iプロセッサーを載せたモデルがセールで6〜7万円、といったものは、単にマニアにはウケても、実際には市場ではそれ程ウケない可能性もあります。
そして、この辺りの価格帯でキャンペーンやセールを行って展開しているのが、現在の日本HPやレノボジャパンなんですね。
もちろん、実際のところは分かりません。普通にマニアの私が惹かれるように、日本HPやレノボジャパンのこの辺りの価格帯のモデルが人気があって売れている可能性も高いです。
ただ、もしかしたら、それはあくまでPCにある程度詳しいユーザーの間だけであって、実は今回ダラダラと書いてきたように、ASUS JAPANが本日「新登場」させたC425TAのような「型落ちだけど程良いバランス」のモデルが最も受け入れられている可能性も充分にあるのです。
ということで、「なんだ、結局分からないのか」「もしかして結論なし?」と思われたかもしれません。
ただ、そういう視点で現行のラインナップを眺め直してみると、実はASUS JAPANの現行のラインナップも今まで気付かなかっただけで、実は魅力的なモデルが緻密に展開されているのではないか、という気がしてくるから不思議です。そう考えると、今まで応援してきただけに、何となく嬉しくなってくるのですね。
今回は私の妄想ではありますが、それだけで5,000字以上も書いてしまうほどに個人的には勝手に興奮してしまった内容について話してみました。もちろんこれが正解かどうかは分かりませんが、読まれたあなたの、Chromebookライフのネタの1つになれば嬉しいです。