巷では大企業による「パクってきたつぎはぎ記事を大量に投入した」だけの情報サイトが問題になりましたが、こうしたネットでの情報というのはきちんと裏付けがとれているものでないと却って混乱を招くだけで信憑性に乏しく却って害になる、ということもあります。
では発信している人物で信頼すれば良いか、となるのですが、例えばあのサイトを仕切っていた責任者の方だって、数年前には「一番ホットな起業家」とか持て囃されて、褒め称えられ、ご本人も素晴らしい仕事論を語ってご著書まで出していた訳ですから、必ずしも有名だからと言って信頼できるとは言えません。
刺激的なものほど、既存の常識を打破するようなものほど持て囃されがちですが、根拠の無い個人的な感想に過ぎない場合も多々あるということですね。危うくなったら雲隠れすれば良いのです。
そう考えると、当ブログも同様で、たまたまキーワードでたどり着いて誰が書いたのか、根拠があるのかを考えずにそのまま信じてしまえば場合によっては害になることもあるわけで、私が幾ら鼻の穴を膨らませて
「靴のお手入れにクリームやクリーナーは不要です。むしろ害になることもあります。」
「靴のお手入れに必要なこと(モノ)は2つだけ。ブラッシングと乾拭き(磨き)です。」
とか語っていても、数年後に「クリーナー使ってたじゃないか」と大炎上する可能性もあります。情報の選択には充分に注意したいものです。でも都の健康安全部から呼び出しかかるくらい大物になってみたい気もします。
実際私なんて、幾ら以前靴屋で働いていたからといっても、現状は何の責任もない単なる靴好きに過ぎません。靴好きなんて掃いて捨てるほどいますし、それぞれに一家言お持ちだと思います。にも関わらず、ここ最近は靴のお手入れ用品だけでも月に1000以上購入いただいている訳で、となるといい加減なことを発信できないな、と思っています。
所詮靴なんです。
こんなことを書くとガッカリされる方もいるとは思うのですが、今年を通して言い続けてきたように、所詮靴なんです。
ただ、多くの方にとっては、所詮靴です。それで良いと思うのです。何も私のようなこじらせちゃった人になる必要もありませんし、趣味にする必要もありません。
革靴の選び方から、革靴の細かいルールや、私なりのそれぞれの靴に対する想い、更にお手入れの仕方まで。
「でなければならない」事は一つもありません。気負う必要も、考えすぎる必要も、色々ありすぎて面倒くさくなる必要もありません。けれど、無関心になる必要もありません。所詮靴なんです。
だから、下手に考えすぎて面倒になるくらいなら、何も覚える必要なんてありません。覚えなければならない事なんて一つもありません。履いていて自分が楽しくなる靴を選べば良いと思います。こじらせちゃった人のように、巨大な棚に靴を並べて夜中に一足一足手に取りながら磨いたり眺めたりしながらウットリして昇天する必要もまったくないんです。
何履いたって大して影響ありません。ただ、「履きたい靴」という基準は大切にして下さい。
私がストチを薦めようが、スワールトウを叩こうが、履きたい靴履けば良いんです。今の世の中、大半の人の革靴なんてボロボロで汚れと意味不明な皺と変なもの大量に踏んだ靴底でいっぱいなんですから、何履こうが大して影響ありません。
ただ、履きたい靴という基準は大切にして欲しいと思っています。履きたい、という気持ちは、その靴への関心を持続させてくれます。常に靴に意識を向けられるようになれば、不必要な皺や傷が気になり始めますし、なんでこの靴が合わないんだろう、と考えるようになります。好きな靴なら、長く履き続けたい、と思うようになる。それがお手入れの必要性に気づくようになります。
「とりあえず知っている」「今まで誤解していたことが分かった」
その上で、どうするか。興味を持って貰えれば嬉しいし、お手入れしてもらえれば嬉しい。ただ、それでも分からないことや情報が多すぎるからといって深刻になる必要はありません。所詮靴なんです。とりあえず、気付いて貰えれば、あとは自分の好きなように楽しんで欲しいと思います。
裏を返せば、靴に大して興味が無いし、今後も作業靴で良い、という方には、それなら興味ない分野で変に色気出そうとして失敗するくらいなら、黒ストチにしておきましょう、とも思います。
靴に関する大半の情報は「趣味」でなければ不要です。
実際、靴に興味のない人からすれば、小難しい用語や約束事、「べき」「ねばならない」ことばかりと感じられると思うのですが、実際に大半の人にとって必要なことって大してありません。いや、ほとんどない。
靴好きのブログ(当ブログ含む)やサイト、雑誌や書籍を眺めていると、この「趣味」の部分と「暮らしの基本」に当たる部分が一緒に語られていることに気づきます。大半は「趣味」です。
この「趣味」に当たる部分は、靴に興味のない方にとっては不要な知識です。それどころか混乱させてしまう原因になっているかもしれません。
反面、靴好きであろうが靴に全く興味がなかろうが、覚えておいてほしいこと、というのも存在します。それが「暮らしの基本」的なことです。「箸の持ち方」「きちんと挨拶をする」「肘ついて食事をしない」といったことと同じです。多くは子どもの頃に親から教わります。もしくは一人暮らしを初めて自炊をしたり、掃除洗濯をしたりする中で意識して身につけていくものです。
靴にもそうしたことが少しですが存在します。
覚えるのに30分も要りません。いや、敢えて意識して覚えようとする必要があることなんて一つも無いかもしれません。けれど、知っておいて損はないことでもあります。なら、どうせこれからまだまだ人生長いわけですから、早めに知っておいたほうが良いと思いませんか?これだけでも靴の寿命も、また自分自身の身体への影響も大きく変わります。
何より、こんな簡単なことで足元が整うんですから。幾ら高い服をセンスという曖昧な基準のもとに買い漁っても、足元ダメな人多いんです。けれどとりあえず足元が整うと雰囲気がガラリと変わります。一度知った上で、あとはそれをするかしないかは、好きにすれば良いんです。
「お手入れ」も同じです。あなたが靴に意識を向けた結果導き出した答えが正解です。
靴のお手入れに関しても同じです。私は基本的に「ブラシ」と「乾拭き、磨き用のグローブ」だけで充分、と考えています。実際にこの考えは決して特殊ではありませんし、靴職人や靴屋さんでも同じように考えている方はいます。
結論。ブラシだけ買いましょう。クリーナーやクリームは、ひとまずブラシに慣れてからで充分です。
その代わり、毎日です。その日履いた靴を必ずブラシをかけてから寝る。それが革靴のお手入れです。
それが出来ないうちに色々手を出そうとするから、汚れが落ちなかったり、クリームを厚塗りしてしまったり、以前使ったクリームが変質してこびりついてしまうんです。まずは常に埃を落とす習慣をつけましょう。
面倒ですか?それなら習慣づける良い方法があります。簡単です。玄関のすぐ手に取れる場所にブラシを置いておくんです。
実際、毎日と書いていますが、そんな偉そうな私でも時々面倒になる時があります。疲れて夜遅く帰ってきて、それすらやる気力が起きない時があります。その場合は私はやりません。けれど、とりあえず靴底の汚れだけシュムッツブラシで落として玄関先に紙敷いてその上に置いておきます。ブラシと乾拭きを翌日にするんです。私だって完全には出来ません。
追記:2017年1月6日 15:00更新
当ブログでは靴底用のブラシとして長らく「シュムッツブラシ」をお薦めしてきているのですが、最近になって品薄になってきたのか、ネットで探しても見つからなくなってきてしまいました。
個人的に非常に気に入っている商品でもあるため惜しいのですが、今後の在庫状況も分かりませんので、代用となりそうなブラシを挙げておきたいと思います。
定番コロニルの製品でもありますので、継続して販売し続けてくれることと思います。出来ればタピールもシュムッツブラシを今後も継続して販売し続けて欲しいな、と願っています。
追記:2017年2月18日 21:00更新
当ブログをお読み頂いている方から「シュムッツブラシが復活してますよ」と教えて頂きました。一時的に品切れが続いていただけだったようですね。良かったです。教えて下さり、本当にありがとうございます。
これからも長く継続して出し続けて欲しい商品です。
お手入れに必要なものはセンスではありません。大切なことは二つの「K」のバランスです。
それは、「効果(K)」と「継続(K)」です。
革靴に興味のない方、お手入れに慣れていない方はこのバランスが崩れています。大抵「効果(K)」ばかりを求めて「継続(K)」を疎かにしてしまいます。時々思い出した時に突然張り切って色々やって力尽きます。これはお手入れではありません。一般的に「効果:継続」が「9:1」から「7:3」くらいの人が多いと思います。
このバランスを逆転させましょう。理想は「3:7」です。毎回の効果(K)もある程度(けれど最低限で非常に効果的)見込みながらも、大切なことは毎日の継続(K)です。継続させるためには、目に見えやすい効果とともに、手軽さが大切です。それが今回のマストバイです。これであなたも明日から「キレイな人」の仲間入りです。
でも、靴に興味を持ったら、そして自分の革靴の細かな変化に気づくようになったのなら、別にこれに固執する必要なんてありません。
「ちょっと最近この黒靴、色あせてきたな、艶が無くなってきたな。」
凄いじゃないですか、そんな変化に気づくようになったんです。しっかり靴に意識が向くようになったんです。
その結果もしあなたが「いつもは乾拭きだけだけれど、この靴にはちょっと黒のクリームを入れると良いかもしれない」と思うのであれば、それが正解です。
靴の変化に気づくようになること。それは別に徹底的に時間をかけてこだわりぬくことではありません。今までスレキズがついても気づかなかったのが、気づくようになる。これだけで歩き方が変わります。皺の入り方が変なことに気づけば、自分の履き方、靴の選び方に意識が向く。もしかしたら、今まで何の疑問も抱かず思い込んでいた自分の靴のサイズは、違うのかもしれない。ちょっと考えてみよう。
素晴らしい変化です。
そこに、私のような薀蓄好きの教えたがりのマニアの出る幕はありません。でも、その中で「こう思うんだけど、どう思いますか?」という交流が生まれるのであれば、それは非常に嬉しいです。素敵じゃないですか、そんな話が出来る相手がいるって。
変に難しく考えたり気負ったりする必要はないけれど、ちょっとでも知ると楽しいよ。
ということで、靴に興味を持たれた方が気負わずいつでも覗けるような場所を作りたいな、と考えて作ったのがGoogle+上のコミュニティ「靴好きもそうでない人も、革靴について話そう。」です。
ごめんなさい、既にオーナーとは呼べないほど参加出来ていませんが、チェックはしています。気がつけば240人を超えましたが、こちらも参加される方が無理して投稿される必要はないと思っています。ものすごく投稿したい時、コメントしたい時、というのが誰にもあります。そんな時に、そうした人たちがその時は盛り上げて貰えれば嬉しい。240人もいれば、常に誰かはアクティブに参加してくれています。(とはいえ、私はオーナーとしては常にアクティブでいたいな、とは思っています。)
また、当ブログも最近多くの靴関連のメッセージを頂くのですが、全てに返事がし切れていなくて、それも申し訳ない気持ちです。ただ、少しずつお返事していきたいと思っていますので、これからもお付き合いいただけると嬉しいです。
自由に引用して発信して下さい。でも、迷惑かかるやり方はやめてね。
なお、冒頭の「パクってきたつぎはぎ記事を大量に投入した」だけの情報サイトの話。実際私のこのブログのような文章でも「使える」と考えたライターさんがいるのだと思うのですが、時々切り貼りされて一部だけ使われていることがあります。
実害は今のところ大してありませんので何かアクションを起こすつもりはありませんが、先方が何故か「うちがオリジナル」とこちらに削除を求め法的措置を取ろうとしてきたり、明らかに誤解を生むような切り方をされないのであれば、基本的にどんどん引用して欲しいな、と思っています。誰が発信したって良いんです。それで「あ、お手入れって別に難しいことじゃないんだな」とハードルが下がってくれるのは嬉しいので。
ただ、私には私なりの、長いなりにも文章全体を通して伝えたい考え方や想いというのはあるので、出来ればわざわざ事前に連絡頂く必要は全くありませんが、<blockquote>で囲むなり、引用元として当ブログにたどり着けるようにはして欲しいな、と思います。
ということで、今年後半は靴関連の話が少なかった気がしますが、今後も変わらず発信していきたいと思っています。