今年のCES 2020では魅力的なChromebookが色々と発表されました。既に各所で記事になっていますので、既にご覧になった方も多いでしょうし、とっくに情報収集を終え、あとは購入検討に移られている方もいるのではないでしょうか。
ということで、当ブログでは改めてそれぞれのモデルについて眺めつつ、私なりの視点でまとめてみたいと思います。
今回は日本でもお馴染み、ASUS Chromebook Flip C436FAです。
ASUS Chromebook Flip C436FA
昨年のC434TAに続いて、というか一気に飛んでC436FAが発表。前モデルから1年も経っていませんし、その間にもC425など派生モデルも出しているだけに、一時期の同社のスマートフォン、ZenFoneの展開の仕方を彷彿とさせて、少しだけ不安になります。出しすぎて力尽きなければ良いのですが。
Finish / Color | Aerogel White, Transparent Silver |
Processor | Intel® Core™ i7-10510U Intel® Core™ i5-10210U Intel® Core™ i3-10110U |
Memory | 16GB / 8GB 2133MHz LPDDR3 |
Display | 14” LED-backlit Full HD (1920 x 1080) 16:9 Wide 100% sRGB color gamut |
Storage | 512GB / 256GB / 128GB PCIe® NVMe 3.0x 2 M.2 SSD |
Interfaces | 2 x USB 3.2 Gen 1 Type-C™ (Up to 5Gbps, supporting display and power delivery) 1 x Audio combo jack 1 x MicroSD card slot |
Keyboard | Full-size backlit with 1.2mm key travel Integrated fingerprint sensor |
Wireless Connectivity | Intel Wi-Fi 6 (802.11ax) Bluetooth V5.0 |
Weight and Dimensions | 319.5 x 205.3 x 13.7mm / 1.1kg |
「第10世代Comet Lake−UのCore i3〜i7搭載」「8GBもしくは16GB RAM」「14インチFHD」「128GB〜512GBのNVMeストレージ」「USB端子はType-Cが2つのみ」「指紋センサー付き」「USIスタイラスペン対応」「Wi-Fi 6とBluetooth 5.0に対応」「1.1kg」で価格は未定、発売時期は「Q1/Q2 2020」とのこと。一部では3月という話もありますので、その辺りなのかな。
以下、製品仕様について少し細かく見ていきます(面倒な方は飛ばして次にお進みください)。
まずはFinish / Color。というのも、今回さり気なくAerogel Whiteが追加されてるんですね。
紹介動画などで天板が白っぽく見えて、「あれっ?HPっぽい」と思わず感じてしまったのですが、実際に白採用のようです。
CPUはIntelの第10世代Coreプロセッサー、14nmプロセス製造のモデル(開発コードネーム:Comet Lake)。第10世代Coreプロセッサーには10nmプロセス製造のIce Lakeがありますが、そちらは内蔵GPUにIrisクラスのものがあったりとグラフィック性能に振っているのに対して、このComet Lake-UはすべてIntel UHD graphicsでTDPも15Wとなっています。
今回はそのComet Lake−Uから3種類、i7、i5、i3が採用されています。Intelによれば前世代と比べて総合性能で最大16%、Office 365の生産性で41%以上の向上を果たしているそうですが、Chromebookにおいてはどこまで本領が発揮できるか気になるところです。(参照記事:ASCII.jp:Intel、第10世代Coreに最大6コアで14nmのComet Lakeを追加)
従来のASUS Chromebook FlipシリーズはU/Yシリーズでは省電力タイプのYシリーズを採用してきました。これはGoogle PixelbookやPixel Slateなどと同じです。それが今回は従来で言えばAcer Spin 13やHP x360 14などと同じ、よりパワーのあるUシリーズを採用しています。それもあり、恐らく底面には給排気口がある可能性が考えられます。実際、同じくCESで発表されたSamsung Galaxy Chromebookの動画を見ていると(あちらはProcessorの詳しい記載はないのですが)底面に広めの給排気口らしき穴が見えます(スピーカーかもしれませんが)。
こちらのASUSの動画でも26秒付近でテントモードの状態の際にちらりと底面が見えますが、やはり同様に大きめの給排気口らしきものが映りますね。
CPUファン付きなのか、発熱はどうなのか、など多少気になるところではありますが、今回これだけ薄く(13.7mm)軽く(1.1kg)作れていることを考えると、そこまで心配する必要はないのかもしれませんね。純粋な性能向上に期待したいところです。
尚、ASUSに限らず、発表時にはCore i3〜i7まで出ていて「お!i7も出るのか!」と思わせてくれるのですが、Pixelbook系を除くとChromebookでは最上位のi7モデルは最初からは基本的に出ません。しかもその後も出たのか出なかったのか分からないまま半年、一年経つ場合もあります。一部のハイスペックを求める法人向けに「一応うちではi7も選べますよ」というアピールとして入れているような感じです。
なので、だいたい各メーカーの各国の導入担当者の判断次第なのですが、「i7までは求めてないだろうし、i7だと高くなるから」ということで大体i3、一部の国でi5が発売されるパターンが主となります。今回も日本ではi3とi5のどちらを採用するのか。楽しみです。
ちょっと分かりにくいのがInterfaces。
今回はUSB 3.2 Gen 1 Type-C™が2つとなっています。Type-AだType-CだUSB3.0だ3.1だと表記がサイトによって異なるので混乱しやすいのですが、私も今回分からなかったので少し調べてみたところ(参照記事:USB 3.2は3種類。スペックや違いを表でわかりやすく説明! | ライフハッカー[日本版])
2月25~28日に開かれた「Mobile World Congress 2019」で、USBインプリメンターズ・フォーラムは、USBのワイルドでクレイジーな世界をさらに加速させることを決めました。
「USB 3.2」(最新・最速のUSB規格で、年内登場の見込み)と「USB 3.0」「USB 3.1」の名称を変更し、「わかりやすく」するために、どれも「USB 3.2」と呼ぶことにするというのです。
USB 3.2 Gen 1は一般に「USB3.0」と呼ばれている規格で、転送速度は最高5Gb/秒とのことです。Original NameがUSB 3.0でOld NameがUSB 3.1 Gen 1でNew NameではUSB 3.2 Gen 1って何かの嫌がらせのようです。
Keyboardに関しては今回話題となっているのがIntegrated fingerprint sensor搭載ということ。指紋センサーですね。ただ、こちらについては別途文章にしていますが、現時点ではG Suiteアカウントでは使えず、また使える場面も起動時のサインインは不可で、あくまでスリープからの復帰時のロック解除に限られます。
あとはスタイラスペンとしてUSIに対応したことが挙げられます。
従来のC434TAではタッチスクリーン対応ではあったものの、スタイラスペンには対応していなかったので、この対応は人によっては嬉しいところ(結構通常のタッチスクリーン対応モデルで絵を描こうとスタイラスペン探しに苦慮されている方もちらほらと見かけるので)。
従来のスタンダードはEMRペンだったのですが、先日のHPの12bなどに続いてのUSIペン対応ということで、今後Chromebookにおける主流はUSIペンとEMRペンのどちらになるのか、気になるところです(Pixelbook、Pixel Slate、HP x2で使われたAESペンは既に忘れ去られている気も)。
法人の需要が結構高いこのラインは国内でも恐らく発売。i3かi5、8GBか16GB RAMで128GBストレージ。13万円程度かな。
気になるモデルではありますよね。私自身、昨年発売されたC434TAは大変気に入りましたし、今でももちろんオススメしたいモデルの1つです。
発売からまだ1年経っていませんので、この辺りの共存をどうしていくのか、という点はあるとは思いますが、C436FAに関しては日本でもほぼ同時期に発売されるのではないか、と思っています。というのも、C302CA、C434TAと続くこのタイプのモデルは法人の需要が結構高いからです。その中で、今回のモデルは似ているようでいてC434TAとは意外と異なるので、価格帯をズラしつつ、棲み分けが出来るのではないか、と思っています。
- Amber Lake-Yで4〜8GB RAM、32〜64GBストレージ、USB Type-AのあるC434TA。
- Comet Lake-Uで8〜16GB RAM、128〜512GBストレージ、1.1kgでUSIペン対応のC436FA。
C434TAはASUS Storeだけでなく、最近はビックカメラ等でも扱いが始まりましたし、最近はプロモーション価格も設定されて価格も下がりましたので、個人ユーザーでも手を出しやすい、次の1台として。
C436FAはより軽くなりながらも性能も単に世代が上がっただけでなくYからUへと変更されたことでより高い処理能力が発揮できます。敢えて価格的には被らせずに、法人メインで想定されたスペックで少し価格を上に設定して販売、というのは考えられるかな、と。
従来の国内での採用モデルの傾向を眺めていると、CPUとRAMは余裕を持たせて、ストレージは最小限に、という感じですので、Core i5、8GBか16GB RAMに128GBストレージで10万超え、というところかな、と思います。Samsung Galaxy Chromebookでも最小構成で$999ということを考えると、ASUS C436FAの場合、4Kではないので、その分を差し引いても上記スペックで国内だと13万くらいになるのかな、と思っています。
そして、結構話を聞いてみると企業での導入だと10万超えってChromebookでも普通にされているようなので、充分にあり得ると。
なんだかんだ言いつつ(みんな「日本で出たら買う」とか言いつつ)も、実際のところ個人で高価格帯のChromebookってほとんど売れてない現状があるので、もう少し個人向け市場に関しては成熟するまでは今の状態が続くかな、と思っています。
ただ、ASUS JAPAN自体は結構個人ユーザー向けにもこの数年別途展開してきた貴重なメーカーですので、敢えてi3/8GB/128GBで10万切り、みたいなモデルも出してくる可能性(希望)も無くはないのですが‥。
ということで、私は買うか、という話ですが、現時点では様子見です。自分の用途と手持ちのChromebookの構成を考えると完全に被るので。ただ、店頭等で実物をもし手に取ってしまうとコロリと変わる可能性は(今まで通り)充分にあると思っています。
https://www.asus.com/us/2-in-1-PCs/ASUS-Chromebook-Flip-C436FA/