もう二年以上前になりますか。私が初めて使ったChromebookは一部では神機とも言われたAcerのC720というモデルでした。このモデル、大変気に入っておりまして、このモデルとの出会いがその後の私のChromebookへの想いへ繋がっております。ただ、もちろん今回はそんなC720の話ではありません。
ちょうどC720にも慣れ親しんでいた頃、私はC100PAというモデルと出逢いました。これはもう新鮮でした。衝撃でした。何このコンパクトさ。しかも液晶綺麗だし(C720は少し眠たげな液晶が悩みでもありました)。これなら鞄に気軽に入れていつでも使えるよ!と静かに興奮したのを今でも覚えております。
ところが、実際に手元に来たC100PAをその後使っていくにつれて、なんとなく違和感を感じる自分に気付きました。
「あれっ?なんかこのモデル、少し遅くない?自分の環境が何か悪さしてるのかな‥」
当時はCPUの違いなんて特に考えてもいませんでしたので、最新モデルのほうが快適とばかり思っておりました。でもそんなことなかったんですね。実際、C720とC100PAではお馴染みOctane 2.0のスコアでは倍近い差が開いていることを後々知りました。というか、その後買ったAcerのR11というモデルもC720よりは全体的に少しもたつきがあったのですが、それでもC100PAよりは速かったという‥。要はC100PAって、CPU的には処理は遅め(だいぶ控えめな表現)だったんです。
それって単に搭載RAM容量の違いじゃない?と思われるかもしれません(C100PAの日本における個人市場向けモデルは海外と違い2GBだったので)。でも安心してください。C720もR11も、私が購入したモデルは同じ2GB RAMでしたから。
前回触れたように、ASUS Chromebook Flip C101PAというモデルは、その前身であるC100PAの時点で、
- ChromeOSの魅力の中でも、特に「身軽さ」「手軽さ」「気軽さ」といった軽さの部分を体現した
- いつでもどこでもどんな姿勢でも360度あらゆるスタイルで使える自由度の高さ
といった一番の魅力は既に持っていたのです。
ただ、それらを実現させるためにモバイル性を重視したためか、搭載しているCPU(Rockchip 3288)が当時としても若干力が足りなかった。
つまり何が言いたいのかというと、C100PA、今使うとなると「たぶん遅さが気になるよ」ということです。そして、それをしっかり解消してきたのが、今回のモデル、C101PAです。
C101PAになり、体感速度もベンチマーク結果も現行普及価格帯モデルの標準レベルまで上がった。
いきなり「力不足」「遅い」と書きましたが、ではC100PAがダメだったのかというと、全くそういう訳ではありません。そもそもダメなら私ここまで思い入れ暑く書こうとは思いませんし、Twitterで頼まれてもいないのに勝手な持論を展開したりしません。Chromebook、特に前回から今回にかけて触れてきているようなC100PA(C101PA)が想定しているような「手軽な」使い方をする限りにおいては何ら不自由はないのです。ただ、それでも最近はウェブ(サイト)自体も重くなってきていますし、メモリも使うようになってきました。
そうした中で、Chromebookにおいても例えば先程少し触れたOctane 2.0のスコアでいえば8,000前後は欲しい。欲を言えば10,000前後出してくると良いかな、という状況になってきました。RAMも今までであれば2GBあれば十分だったものが、ここ一年くらいで4GBは必須になってきた感はあります。
で、今回のC101PAです。
CPU | OP1, Made for Chromebooks Hexa-core(Dual ARM® Cortex®-A72, Quad Cortex®-A53 big.LITTLE™ configuration)(Octane 2.0 : 8006 / speedometer 1.0 : 36.4) |
RAM / Storage | 4GB LPDDR3 (1,866MHz) / 16GB eMMC |
CPUには昨年末のリーク情報以来今年の初めにかけてChromebookユーザー以外の層にも話題になったSamsung Chromebook Plusと同じOP1, Made for Chromebooksを載せてきました。
Octane 2.0のスコアは我が家の環境では8,006。端末自体の素の能力を計測するのであればゲストアカウント上で走らせるのが理想なのですが、結局使うのは拡張もアプリも何も入れていない素のままのC101PAではないので、あくまで自分の環境で測りました(先日のPixelbookも同様です)。ちなみに幾つかのサイトのレビューを見てみるとだいたい8,500〜9,000弱は出ているようです。
Octane 2.0が終了したことで、最近少しずつ使われ始めているChromebookにおける新しいブラウザーベンチマークの一つ、Speedometer 1.0での数値は36.4。こちらも普及価格帯モデルとしては悪くありません。このモデルでの用途を考えれば、これだけ出ていればストレスを感じることもあまりなく(アプリの種類によっては分かりませんが)使うことが出来るでしょう。
私の中では一番の進化はCPUが「OP1 “Made for Chromebooks”」になったこと。
今回のC101PAは、前モデルC100PAの中で「とても気に入っているんだけれど、ここがもう少し◯◯だったら」といった痒いところに手が届くようにしてきました。USB-C充電や4GB RAMももちろんそうですし、前述のようなCPUの変更もその一つです。そして、私はこの「CPUをOP1 “Made for Chromebooks”にした」ことが一番の進化(魅力)だと思っています。
このOP1、聞きなれない名前ですが、Made for Chromebooksとあるように、
Samsung Chromebook Plusのウリの一つが、実は液晶以上にGoogleがこれから前面に押し出していきたいChromebookに最適化されたCPU(SoC)でもあるOP1だと思います。これはAppleでいうA9やA9X、A10などと同様に、何処が作ったのかではなく、Googleが設計したSoCであるということを今後明示していく第一歩ではないか、と考えられています。
従来のように「Intelの◯◯」や「MediaTekの◯◯」「Rockchipの◯◯」といった形ではなく、敢えて「OP+数字」と付けたように、「Google期待のCPU(SoC)」だと思っています。
何というか、OP1って「何かしてくれそうなワクワク感」があるんです。OP1は「OP~」な時点でAppleでいう「A~」みたいな存在なんです。まだ「明日から本気出す」感が強くて、例えばOP1のくせになんでこんなにAndroidアプリの相性出るの?みたいなとこありますが。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) November 3, 2017
なんとなくワクワクしません?これがChromebook基準のSoCとなる可能性を秘めているわけです(1だけで後は「無かったこと」にされる可能性もありますが)。それを今回、私にとっても思い入れのある名モデルC100PAの後継モデル、C101PAでは使える、というのがまたたまらないんです。
未だ「明日から本気出す」感満載のMade for Chromebooksではあるものの。
追記:2017年11月23日 12:00 更新
11月22日の一斉アップデートで各種OfficeアプリがChromebookに対応となりました。
そうしたこともあり、この項目の記載(Androidアプリの対応具合など)に関しては、文章作成当時と現在では状況が(良い意味で)変わってきています。今後のさらなるアップデートに期待したいと思います。
以下、本文に戻ります。
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ということで私一人盛り上がっているこのOP1ですが、実際現時点では「明日から本気出す」感満載の未完の大器です。
体感速度的には確かにこのC101PA的用途で用いる分には特に不満もない使い勝手(これはかなり大きいことですが)ではあるのですが、ベンチマーク的には他の一般的なChromebookに載せられているIntel製等のCPUと大差ありません。むしろ最近はIntel製はN3350とか載せてきてるので、そちらのほうが数値的には良い。MediaTekも相変わらず健闘していますし。
ではARM系であることも活かし、更に天下のOP1, Made for Chromebooksです。さぞ噂のAndroidアプリ等にも最適化されていることだろう、と思いきや、
MicrosoftのOfficeアプリ(Word、Excel、PowerPoint)はすべてインストール不可。こちらは先行のレビューでは「使える」と書かれているところも多いのですが、今週に入って使えなくなっているようです(私が購入した1日の時点では既にインストール出来ず)。
また、
他のCPUのデバイスでも表示されることがある(Pixelbookでも)ので、これは何もこれはOP1だから、という訳でもないのですが、私の愛用する(したい)アプリで意外とこの表記「最適化されていません」が出ているんです。普通のChromebookなら構わないのですが、一応ARM系、天下のOP1, Made for Chromebooksです。もう少し本気出してもらいたい。
更に、多くのChromebookが既にver.61になり、UIも変わっている中で、
C101PAは「Ver. 60.0.3112.114 (Official Build) (32-bit)」です(文章作成時 2017年11月3日時点)。元々C100PAの頃からAndroidアプリにStableで対応していたモデルは他のChromebookに比べてOSのアップデートが遅い(除外されて後日遅れてアップデートされることが多い)ということもあったので、今に始まったことではありませんが、今回のC101PAは日本でもユーザーがこれから増えてくることも考えると、少し他のモデルとUIやバージョン、アップデートのタイミングが違う、というのは気になる方もいるかもしれません。
立ちながらでも、寝転がりながらでも、片手で持って気軽に使えるChromebookです。
手元にあるGoogle PixelbookやLenovo ThinkPad 13 Chromebookが、比較的「さあ、Chromebookに向かうぞ」「ブログ書くぞ」と姿勢を正して向かうようなタイプだとすれば、このASUS Chromebook Flip C101PAはとりあえず手元に置いておいて、ゴロゴロぐだぐだしながら適当に使えるモデルだと思います。って、なんか表現悪いですが、それくらい気負わず使える。どこでもどんな姿勢でも、姿勢を正さなくても、トイレでも。膝の上でも安定しますし。より日用品、普段使いの道具に近いような印象です。気軽に使えるボールペンみたいな感じですね。
まとめると、立ちながらでも、寝転がりながらでも、片手で持って気軽に使えるChromebookというところでしょうか。こんな楽なChromebook、こんな便利なChromebook、なかなかありません。
今回も思い入れと主観たっぷりの内容になってしまいましたが、“Made for Chromebooks”の夢と希望、そして可能性を感じながら、今日も手元に置いて使い込みたいと思います。良いですよ、C101PA。