前回のStableチャンネルアップデートからまだ4週間(アップデート頻度はだいたい4週間に1度)も経っていない昨日11月22日、突然手元のChromebookに一斉にアップデートがありました。
突然のアップデートは今までに無かったわけではないので、それ程珍しいことではありません。また今回は大型アップデートという様子もなかったので、サラリと流される(特に大きな違いはなさそう)ものだったのですが、今回かなり大きな変化があり、昨日からTwitter上ではそこそこ話題になっています。それが、
画像のC101PAに限らず、多くのモデルで従来インストール出来なくなっていたOfficeアプリがインストール可能になりました。これは驚きました。なぜなら以前文章にしたように、
私の中では、「Chromebook対抗を打ち出し、Windows 10Sも出してきたMicrosoftが意図的に新しいAndroid対応モデルが出る度にアプリ対応リストから除外しているのではないか」と考えていたからです。今回も「Jota+(Text Editor)」を開発されているAquamarine Networks.のJiro(@jiro_aqua)さんがアプリ開発社の視点から見た過去のツイートを使わせて頂きます(現在Jiro(@jiro_aqua)さんは「Microsoft陰謀説」は撤回されています)。
ここに載ったデバイスについては、開発者は名指しで配信除外を設定することができます。Google Play Developer Console の基本機能です。
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) November 11, 2017
今までChromebookの新しいモデルが発売され、例え使えていたとしても、ここに載るとOfficeアプリがインストール出来なくなってる節があったんですね。実際、ここに唯一載っていないPixelbookは使えていましたし、先日のアップデートでThinkPad 13 Chromebook等が使えるようになったものの、少し不自然な対応具合だったのは、やはりこのリストとも関係があるかな、とも思っていたからです。
ところが今回、一斉にOfficeアプリが使えるようになったようです。Twitter上でも歓喜の声が各方面から上がっています。となると、私も採っていた「Microsoft陰謀説」は今のところ陰謀論で終わってしまったわけで、混乱を招きまして大変申し訳ないな、と思っているのですが、ではなぜ今までMicrosoftはOfficeアプリをChromebookに「一旦使えるようにした直後にすぐ削除」のような真似をしてきたのかな、という部分を考えてみたところ、新たな妄想が生まれましたので、お暇な方は「またおふぃすかぶ野郎が妄想し始めた」と思って気楽にお付き合いいたけますと幸いです。
Microsoft的にはAndroidアプリ版はそもそも10.1インチを超える大きさの端末を想定していなかった。
ちょっと分かりにくい&既にどの程度の方が覚えているか分かりませんので(私もほぼ忘れていました)ここは突っ込まれると弱いのですが、従来のOffice 365シリーズには通常の「PC版」とは別に「モバイル版」が存在しました。今も一応あります。で、この「モバイル版」、「10.1インチ以下のPC、端末に関しては無料」という扱いだったんですね。主に10.1インチ以下のPCにバンドルという形で用意されていたので、覚えている方も多いかと思います。10.1インチを超える大きさのPCの場合にはサブスクリプションを購入(契約)しなければ「閲覧」のみで「編集」は出来ないということになっておりました。
これだけならスッキリ解決だったのですが、ここにAndroid版、iOS版が出てきたことで、少し状況が面倒になってきます。
少なくともスマホや一般的なタブレットであれば、10.1インチを超えることって滅多になかったんです。なので、そのつもりでMicrosoftも開発が出来ました。まぁ最近は12.6インチのiPad Proとか大きいのが出てきましたので、多少複雑にはなりましたが、そのくらいであればMicrosoftも対応できたと思うんです。基本スマホアプリの範疇から出なくて良かった。
ところが、そこにChromebookがAndroidアプリに対応し始めて面倒になってきたんですね。基本的にChromebookは(C100PA、C101PAを除いて)すべて11.6インチ以上です。であれば、簡単です。「サブスクリプション購入(契約)してね」ということになる。ただ、Chromebookって、タブレット的に小さい解像度でも使えるし、サイズも自由に変えられる。Androidアプリなのに、ちょっと特殊な動き方をする。「解像度を変えれば11.6インチ以上でも編集保存が出来る」といった情報も出るくらい、これ、色々と面倒になってきちゃったのではないか、と思います。
Chromebookのofficeアプリ。C202SA(11.6')でも標準解像度なら編集が出来てしまうあたり、単にDisplay Metricsの解像度・densityなどのスペックから画面解像度を見積もってるだけの気がする。 pic.twitter.com/WRCgq1m4V2
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) November 23, 2017
本来Androidアプリ用として「10.1インチ以下」といった縛りもほとんど考えず(ほぼ10.1インチ以下なので)提供してきたOfficeアプリが、Chromebookで使えるようになり、それぞれのモデル、サイズや解像度に合わせて対応が必要になってきた。かと思えばC100PAやC101PAのように10.1インチのモデルも存在する。そもそもそこまで考えてAndroidアプリ版開発してないと思うんです。であれば、とりあえず
「Chromebookは基本的に11.6インチ以上しかないし対応も面倒だから、
リストに載ったモデルは全部除外しちゃおう。」
という風に考えてもおかしくはないかなぁ、と思いました。なので、発売当初は対応していたのに、途中で一旦対応されたのに、突然消えたという自体が起きたのではないか、と。「もう面倒だから全部除外ね。」と。リストに出たら削除です。
それが、今回何かしら方針が変わったのか、今後新しい形での対応の仕方を決めたのか、Googleとの間で何かあったのかは分かりませんが、ひとまずある程度定まってきたので、急遽その除外を外したのかな、と思います。実際に今回のアップデートから急に復活した方も多いので、今回のアップデート自体に何かそういう理由があったのではないか、と妄想しています。
Officeアプリ対応で、今後新しい動きが出てくるのかなぁ、と思っています。
今回のOfficeアプリの対応は結構面白い動きになるかもなぁ、と感じていて、「Officeも使えるようになった!便利!」と感じる層と、「むしろAndroidアプリ削除した。入れてみたら案外今までの方が快適だった」と従来の魅力に気づく、再認識する層とに分かれそうな予感。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) November 23, 2017
今回のOfficeの対応で、意外と面白い動きが出てきているな、と感じています。というのも、祭り状態になっている反面、意外と
C101PA、オフィスアプリが復活してますね。
またいつ消えるのかわかったものではありませんがw
入れては見たもののストレージを圧迫するので結局はアンインストール。
どうしてもなら家の母艦にRDPで対応することとしました。— タケイマコト (@pcefancom) November 22, 2017
ChromebookへのMS Office系のアプリインストールは見送り。
ストレージ節約が一番の理由だが、ChromebookでExcelとかで作業することがあるかなと思ってしまう。
使う時はWindowsPCがあるからそっちでやることにする。— たまちゃん (@tamachan0824) November 22, 2017
ChromebookにAndroidアプリいれたら
定常的に通信が入って、電池持ち悪くなった。
結果:アプリ削除。Chromeベースで必要サイトにアクセスしたほうが便利。— 鳥取から米子ドライブは一直線 (@zoo_goemon) November 23, 2017
意外と「使えるようになった」ことで改めてAndroidアプリというものについて意識したり、「自分に必要なのかな」といった視点で発信される方が目に入ってくるようになった、ということです。
実際私自身、今までさんざんOfficeアプリの対応非対応に関しては「Microsoftめ」的なことも書いてきましたが、では実際使っているか、というとChromebookでは全く使っていなかったんですね。今回対応されて一応入れてはいるのですが、実際のところGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートのほうがChromebookとの相性は良いな、と改めて感じています。スタンドアローンで運用するなら別ですが、そうでなければ本当にOfficeが必要なときはアプリが対応していなくても案外なんとかなってしまうような気もしています。
もちろん、どんな使い方をしたって良いんです。Chromebookはこうあるべき、こう使うべき、みたいなものは全くありません。あくまで道具に過ぎません。だから、Androidアプリをどんどん取り入れて活用していくのもあり。むしろPlayストア自体を設定からオフにしてしまって一切使わないほうが気軽、気楽、というのもありだと思っています。好きに使えば良いと思います。
ただ、今回Officeアプリという、今まで「Chromebookで出来ないことの代表例」みたいな例で挙げられることの多かったアプリが「今のところ」対応することになって、より幅広い層に届くようになるとともに、Androidアプリや使い方について今までよりも意識する方も出てくるかもしれないなぁ、とふと思いました。
それはそれとして、「解像度変えれば編集できるよ」とか言ってる奴らは、Office 365を買え。Microsoftが正式に配布を始めた以上、金を出すのがユーザーの義務だ。
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) November 23, 2017
これはほんとその通り。元々「Officeが無料で使える」から魅力だったのではないはず。それにOfficeのヘビーユーザーなら複数台で使うこと考えるなら365買ってると思うんですよね。正式に対応するなら、ユーザーがお金出さなければ改善も出来ないと思う。 https://t.co/IVB5n8b19l
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) November 23, 2017
「Microsoft陰謀説」を流布していたお前(おふぃすかぶ)が言うな、と思われるかもしれませんが、以前の文章でも書きましたが、正式に対応するのであれば、ユーザーはしっかりお金を出していくことが大切かな、と思います。でなければ開発も改善もできません。私も既にOffice 365(for Business)月額課金ユーザーですが、もしChromebookもしっかりこれから対応していくのであれば、十分に有料に値すると思っています。