追記:2017年11月23日 15:00 更新
昨日のアップデートで多くのAndroidアプリ対応モデルでOfficeアプリが復活しました。こちらの文章では個人的に「Chromebook対抗を打ち出したMicrosoftがChromebookを排除しているのではないか」といった想像を文章にしてみましたが、どうやら現時点での流れを見る限りでは考えすぎだったようです。混乱を招きまして申し訳ありません。
今後の流れは不明ですが、Microsoftとしては是非今後別課金という形をとっても構いませんので、Chromebookという選択肢も継続していってほしいな、開発頑張ってほしいな、と願っています。
以下、本文に戻ります。
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「Officeアプリ使えますか?」
これはChromebookにおいて、大型アップデートがかかったり、新しくAndroidアプリに対応した際に訊かれるごく一般的な質問です。また、最近発売されたモデルを購入した際にもまずはチェックするのはこの「MicrosoftのOfficeアプリに対応しているか」という点ではないかと思っています。
また他OSを使っている方がChromebook(ChromeOS)を敬遠する大きな理由が「Office使えないでしょ」というもの。もちろんそれぞれの人にとって必要なその他様々なアプリが使えない、ということも大きいとは思えますが、その象徴的なアプリがこのMicrosoft Officeだと思っています。
それくらい、OfficeアプリというのはChromebookにおいてもポイントの一つになっていて、かついつまでもこのOfficeアプリの呪縛から逃れられずにいる、とも言えます。
先日私が入手した(ばかりの)新作Chromebook、Google PixelbookとASUS Chromebook Flip C101PAでもこの点は話題になりました。現時点ではPixelbookは問題なくインストール出来ますが、C101PAに関しては発売直後はインストール出来たものの、数日後から突然インストールが出来なくなりました。
C101PAのオフィスアプリは先週の土曜日の時点で外されたっぽいな。
先週金曜日の時点ではダウンロードOKだったのに、アンインストールしてみたら再インストールできなくなっていた。
意図的にマイクロソフトが外したか。— タケイマコト (@pcefancom) November 3, 2017
この「インストールも出来て、特に何か不具合があったわけでもないのに突然使えなくなる」という状況は今回が初めてではありません。過去においてもこのC101PAの前モデルであるC100PAでも同様の状況が起き、その後復活した、という話も聞きません。また、先日、妻の愛用モデルであるASUS Chromebook C202SAもStableチャンネルでAndroidアプリに対応したのですが、当初は「WordとExcelは入れられるが、PowerPointとOneNoteは使えない」という不思議な状態でした。
- [かぶ] 私たち夫婦お気に入りのChromebook、ASUS C202SAがStableチャンネルで待望のPlayストア対応。Officeなど主要アプリで対応に少し動きあり。 | おふぃすかぶ.jp
こちらも(ほぼ妻専用機となっているので、アップデート等あまり勝手に出来ないので)調べられずにいたところ、調べて下さった方がいらっしゃいまして(ありがとうございます)
C202SA、WordもExcelも現在Playストアにありませんね。パワポはインストールできない。OneNoteもないです。
— TSUMORI, Soto (@t_soto) November 6, 2017
やはり出来なくなっているようです。
私はアプリ開発の経験が全くありませんので、アプリの対応に関しては細かいことは分かりません。ただ、ここまで次々と新しいモデルが出るたびに既に非対応か、すぐにインストール出来なくなる状況が続くと、
- ChromebookにおけるAndroidアプリ版のMicrosoft Officeには致命的な問題がある。
- ChromebookにおけるAndroidアプリ版の利用はMicrosoftにとっては好ましくない。
といったところしか考えられません。実際AndroidスマホやiPhone、iPad等において「あまり使い勝手は良くない」「PC版に比べるとあまり力入れてない」といった意見はあったとしても、先ほどのような「致命的な問題があるので使えなくなった(削除された)」といった話は私は聞いたことがありません。余程Chromebookにおいては致命的な何かが起こる可能性があるのでしょうか。
となると、もちろんMicrosoftとしては公式には言うはずもありませんし、あくまで憶測に過ぎないのですが(もしMicrosoftから抗議があるようであれば、公式見解があれば訂正致します)、単に教育市場において脅威となっているChromebookではOfficeは使わせたくない(だから、Windows 10S買ってね)、としか思えなくなってくるのです。
まぁこうした話は何も新しいものではないのですが、今回Androidアプリとして私も非常にお世話になっている、またChromebookにも是非入れて欲しいアプリの一つでもある「Jota+(Text Editor)」を開発されているAquamarine Networks.のJiro(@jiro_aqua)さんも、アプリ開発者の視点からこんな見方をされています。
「MicrosoftがChromebookを恐れてofficeの配信を止めてる」説を採っています。
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) November 4, 2017
この説について、Twitter上で先日その理由を呟かれていましたが、一部を引用させて頂くと、
Google Play Developer Consoleの端末カタログでIntel core i/m で絞り込んだところ、Pixelbookが出て来ない。ここに載ったら、Microsoftはofficeを配信除外するんじゃないかな。 pic.twitter.com/XjAJFordxF
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) November 4, 2017
"Chromebook"で絞り込むとこんな感じ。StableでGoogle Playサポートの入ったモデルしか載ってない気がする。betaサポートのChromebookでofficeがインストールできるのはこの辺に原因がありそう。 pic.twitter.com/gUDqdjDKj5
— Jiro@Jota+開発 (@jiro_aqua) November 4, 2017
もちろん今もMicrosoftは全くそんなつもりはなく、「ChromebookにおけるAndroidアプリ版の致命的な問題に対処すべくフル稼働で頑張っている」可能性もあります。ただ、やはり私もJiro(@jiro_aqua)さんと同じ思いを抱かずにはおりません。
これ、メーカーとしては大切な戦略の一つなのかもしれませんが、方向性としては非常に勿体ないと思うのです。なぜなら、私のようなChromebookを愛用しながらも、普段WindowsなどではOfficeを使うために月額課金(Office 365など)をしているユーザーにとっては、「Chromebookでこれからもこういう状況が続いたり、今後も使えないのであれば、(Chromebookを使うのを止めてWindowsを使う、のではなく)この機会にOffice使うのやめようかな」と思ってしまう可能性も充分にあるからです。
例えば私であれば、AdobeのLightroomに関しては現状使えなくなるのは厳しいのですが、こちらはAdobeの英断により、今ではクラウドを介してCCという形でOSを越えた使い方が可能になり始めています。なので、私は今まで全く使っていなかったCreative Cloudのストレージを使い始め、そのために今回プランを変更(CCも使えるより高いプランへ)しました。
同じことはMicrosoftにも言えます。もし私はChromebookでもネイティブに使えるOfficeシリーズをもしMicrosoftが開発したら、もしくは単に今のような壁を取り払うだけでも、私は現状のプランに追加料金を払っても全く構わないとすら思っています。けれど、現状ではひとまず「Chromebookで使えない以上、今のOfficeにそれ以上の価値はないだけでなく、むしろ他のOffice的サービスに変えようかな」とすら思い始めています。実際、私のような使い方だと、別にOfficeでなくても良いんです。
私にとってはWord的な立ち位置であれば既に(電子書籍作成用にも重宝している)「一太郎2017」がありますし、ChromebookにおけるAndroidアプリであれば前述の「Jota+(Text Editor)」のような素晴らしいアプリが既にあります。
そして、普段の用途を考えると、むしろOSを選ばないGoogleの「ドキュメント」や「スプレッドシート」といったサービスの方が楽なんですね。これらで私が不便を感じるとすれば、他の方からのOfficeファイルとの互換性程度です。でも大した問題じゃありません。であれば、今の内から更にこうしたGoogleのサービスに慣れておいたほうが自分の用途を考えると後々楽だし便利だとも言えます。
私は「Chromebookだけで充分」と思っている訳でも、言っている訳でもありません。Windowsも好きですし、3.0の頃からのユーザーです。今も普通に使っていますし、時々自作熱が再燃します。なので今後もWindowsは使うでしょうし、もしかしたらMacにも興味を持つ(買う)こともあるかもしれません。
けれど、Chromebookも変わらず使い続けると思うのです。そうしたときに特定のOSでは意識的に排除されて使えないサービス、アプリというのはなるべく使いたくないんですね(Chromeアプリも同じじゃないか、という意見はあるとは思いますが)。なるべく「OSフリー」「端末フリー」に近い形が理想だと思っています。
最近になってMicrosoftはようやく苦戦しているEdgeブラウザを「iPhone、Androidにも対応」し始めました。
少し遅きに失した感はありますが、今は「固有のOSでないと使えない」という囲い込みは逆効果だと思うんです。
今も新しいChromebookを入手すると習慣のようにAndroidアプリの対応状況を調べてしまっているのですが、個人的には
ChromebookもそろそろOfficeアプリの呪縛から解き放たれても良いのかもしれないな
と思っています。現状Officeオンラインは一応使えますが、今後は「使えるかどうか」に関しては
「折角Chromebookを使ってるんだから、より相性の良いGoogleドキュメントとかも試してみたら?」
と答えていこうかな、と思い始めています。