「低解像度」という表現に違和感を感じられる方もいるかもしれませんが、ここではひとまずサラリと流して読んでいただければと思っています。
Chromebookにおいて唯一の10.1インチという特殊なサイズのモデルでもある、ASUS Chromebook Flip C101PA。
その使い方は様々だとは思いますが、時々目にするのが、
「スマホでさえFHD(1,920 x 1,080)以上が一般的なのに、今時WXGA(1,280 x 800)とかw」
といったものです。もちろん高解像度が魅力であることはわかります。ただ、ちょっと待ってほしいなぁ、と思うのです。
スマホやタブレットとノートPCって全く別物です。同じインチであっても、そもそも用途も違いますし、何より目からの距離がまったく違います。スマホやタブレットをノートPCと同じ距離、角度で置いて見てほしいのです。文字、見やすいですか?それで長時間何かしようと思いますか?ものには目的、用途があります。
用途ということで考えれば、同じノートPCでもまったく人によって異なります。文章入力が主の人、画像編集や加工が主の人、Web閲覧が主な人、それらを同時並行的に行いたい人。それぞれに適した画面サイズと解像度があると思っています。それは何も高解像度であればすべて解決する、ということでもありません。
私はブログの文章作成においては、ほぼ頭に浮かんだことをそのまま勢い良く目の前のWeb版のWordPressの編集画面に直接打ち込みます。ある程度誤字や脱字は修正しますし、画像やリンクは貼りますが、それ以外は結構そのまま投稿してしまうことが多いのです。そして、そうした私の使い方においては、意外とこのC101PAの10.1インチ、WXGA(1,280 x 800)という画面が非常にやりやすく、集中しやすい、と感じることが多々あります。
なぜなら、目の前の文章のみに集中できるからです。
ちょうど昨日は仕事終わりの妻と待ち合わせるため、駅構内のベンチに座って待っていたのですが、その時何気なく広げたのがこのC101PAでした。そして、私はこのC101PAでは、基本的にChromeブラウザをフルスクリーン(最大化)で使用します。他に余計なものが一切入ってこない、目の前の一画面のみに集中できるこの環境は、まさにこの10.1インチ程度の手頃なサイズでこそ適していると思っています。
これ以上のサイズになり、更に解像度も例えばFHD(1,920 x 1,080)などになってくると、いろいろ欲が出てきてしまうのです。例えば2つのウィンドウを左右に同時展開させたり、他に下の方にTwitterアプリを起動させてしまったり。色々広げられる分、目の前の物事に集中できなくなる。
その点、10.1インチ、WXGA(1,280 x 800)という画面は、下手に欲張るよりも、ブラウザもWebアプリも、基本的に1画面に1つだけの状態で向き合ったほうが相性が良い。これ、いちいち切り替えなければいけないので一見すると不便なように見えるのですが、目的(用途)がシンプルなので、余計なことを考えなくて良い分、かなり集中できるな、と思っています。
まさに私のように、今頭のなかに浮かんだことをなるべくそのままのスピード、リズムで目の前の画面に文章として入力しようとする際には最適です(実際には私はローマ字入力なので、入力速度のほうが遅いのですが、それでも複数の画面を意識しなくて良い、文章入力だけに意識を向けられるのは非常に楽です)。
これ、今も根強い人気を誇る文章入力のみに特化した端末、キングジムのポメラに通ずる部分があるのではないか、とふと思いました。
あれ、ポメラが大画面、高解像度になっても、「何か違う」と思うのです。例えばネットに繋げるようになって、ウィンドウを2つ左右に開けて、左で何かを調べながら右で文字を入力するようなものになったら、ポメラではなくなってしまうと私は思っています。そして、ポメラはあの液晶サイズ、解像度だから良いとも思っています(もちろんそのことによる本体サイズと軽さが大きな魅力であることは変わりませんが)。
もちろんC101PAはポメラとは違います。そして、何も文章入力に特化させた端末、という訳ではありません。いろいろな使い方があって良いと思うのです。タブレット的に使う方もいれば、出先で映画鑑賞や読書に使う方もいるでしょう。また、枕元の手軽に使える一台として、またサブPCとして、様々な使い方が可能です。そのどれもがその人にとっての使いやすい使い方だと思います。それで良いと思うのです。
ただ、このモデルの「弱点」とも思われている画面の解像度の低さやベゼルの太さ。これが魅力だと思っている人もいる、ということも是非知ってほしいなぁ、と思って今回の文章を書きました。確かに高解像度は魅力ですが、時には高解像度が様々な雑念を生んでしまうこともある。集中力を削いでしまうこともある。
もちろん次のモデルが例えばC102PAとして数年後に出た時に、まったく同じである必要はありませんが、C101PAのこうした魅力も、私の中では大切にしていきたいなぁ、と感じています。