Chromeデバイス(Chromebook、Chromebox、ほかChrome OS端末)には、端末毎にサポート期間が設定されています。「自動更新ポリシー(Auto Update policy)」と呼ばれるものなのですが、これは従来「新しい各ハードウェアプラットフォームに対して6.5年間」という期間を定めていました(その前は5年)。この「新しい各ハードウエアプラットフォーム」という定義が少し悩ましいのですが、それは後述するとして、ひとまず各モデル毎に発売された時点で「アップデートを保証してくれる期間が決まっている」と思っていただけると分かりやすいと思います。
そんな「自動更新ポリシー」、以前は国内ではあまり知られることもなく、またネット上のレビューでも触れられることがほとんどなかったため、あまり知られていなかったのですが、最近になってようやく知られるようになってきたのか、意識する方が増えてきました(その分、少し心配し過ぎなのではないか、気にし過ぎではないか、と心配になってしまう部分もあるのですが)。各モデルのレビューにこの自動更新ポリシーの期限を載せる方も増えてきたので、そのモデルがあと何年、アップデートが保証されているかがわかりやすくなったのは良い傾向かな、と思っています。
https://blog.google/outreach-initiatives/education/2020-chromebooks/
現時点では教育市場向けのモデルとなっていますし、また現行発売予定のモデルで8年に設定されているモデルが非常に限られているため、昨年までに発売されたモデルがどうなるかは分かりませんが、その辺りは各自チェックが必要です。
尚、現在Chromebookでは「設定」→「Chrome OSについて」→「詳細」より、今自分が使っているChromebookの自動更新ポリシー期間が確認できるようになっています。
そんな自動更新ポリシー、ユーザー側には大変ありがたいことではあるのですが、ここ最近になって、急にアップデートされました。要は「一部のモデルで期間が延長された」んですね。これは嬉しいのですが、過去20モデル近くこのブログでレビューしてきたり、新しいモデルを紹介する度に「自動更新ポリシー」を載せていた私にはリライト作業がちょっと面倒です。そこで、とりあえず書き換えをする前に、こちらで主なモデルの自動更新ポリシーについて改めて載せてみたいと思います。
主要メーカー各モデルの自動更新ポリシーと基本ポリシー。
基本的にはGoogle Chrome Enterpriseの自動更新ポリシーに関するヘルプページをご覧頂くのが早いのですが、今回悩ましいのが、この日本語版のページの自動更新ポリシーが文章作成時点(2019年11月12日現在)ではまだ更新されていないのです。そうしたこともあり、基本的には本国(英語版)のページを参照されることをオススメします。
https://support.google.com/chrome/a/answer/6220366
というのも、従来のページでは触れられていた前述の期限に関する記載、
Google は新しい各ハードウェア プラットフォームに対して 6.5 年間の自動更新をサポートしており、複数のデバイスで同じハードウェア プラットフォームを共有することができます。6.5 年という期間は、そのプラットフォーム上で最初のデバイスがリリースされた日から計算されます(1)。メーカーの皆さまには、製造するデバイスで自動更新のサポートを長期間受けられるように、最新のプラットフォームを選択することをおすすめします。
この「新しい各ハードウェア プラットフォームに対して 6.5 年間の自動更新をサポート」という部分が原文ではごっそり削除されているんですね。
そこで、以下、国内でも比較的入手しやすい、また入手している方の多いモデルをメーカー毎に取り上げてまとめてみたいと思います。すべてを網羅できている訳ではありませんので、ここにないモデルをお持ちの方は、改めて上記の原文のページをご確認いただけたら、と思います。
日本では発売されていませんが、一応ご本家、ということで、最初に載せておきたいと思います。なお、以下の「変更前」は日本語版から、「変更後」は原文から参照させて頂きました。
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
Chromebook Pixel | 2018年6月 | 期限切れ |
Chromebook Pixel(2015) | 2020年6月 | 2021年6月 |
Google Pixelbook | 2024年6月 | 2024年6月 |
Google Pixel Slate | 2024年6月 | 2026年6月 |
Google Pixelbook Go | 2026年6月 |
あと1年を切っていたChromebook Pixel(2015)がさり気なく1年(2021年6月)延びています。スペック的にもまだ数年は十分に現役、しかも第一線で動けるだけのものを持っているだけに、2021年で切れてしまうのは寂しくもあるのですが、既に入手自体難しくなってきていますし、また使われている方であれば、そろそろ液晶もバッテリーも寿命が近づいてきている(液晶は徐々に明るさが落ちてきますし)頃でもあると思いますので、パーツ交換が前提ではないことを考えると仕方がないのかもしれませんね。
そしてもう一つ。昨年発売され、一部では「Googleが開発をやめた」を「Chromebookとして開発をやめた」と勘違いして終わったモデルと誤解されているデタッチャブルモデル、Pixel Slateが、先日発売されたばかりの新モデル、Pixelbook Goと同じ2026年6月へと2年延長されています。これ、恐らく前述の「同一ハードウェアプラットフォーム」の関係もあるのかな、と思っています。Pixelbook Goで使われているCPUってPixel Slateと同じ第8世代Core m/iなんですね。基本的なプラットフォームが同じ、ということを考えると、Slateに合わせて最新モデルのGoまで2024年と短く設定するのか、それともGoに合わせてSlateを延長させるのか、で後者を選択肢したのではないか、と思います。
Acer
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
Chromebook Tab 10 | 2023年8月 | 2023年8月 |
Chromebook 11(C740) | 2020年6月 | 2021年6月 |
Chromebook 11(CB3-111E) | 2019年8月 | 2021年9月 |
Chromebook 11(CB3-131) | 2021年1月 | 2021年9月 |
Chromebook 14 for Work(CP5-471) | 2022年11月 | 2023年6月 |
Chromebook 15(CB315-1H、CB315-1HT) | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook 15(CB515-1H、CB515-1HT) | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook 715(CB715-1W / CB715-1WT) | 2024年6月 | 2025年6月 |
Chromebook R11(CB5-132T、C738T) | 2021年6月 | 2022年6月 |
Chromebook Spin 11(R751T、CP311-H1、CP311-1HN) | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook Spin 511(R752T、R752TN) | 2025年6月 | 2026年6月 |
Chromebook R13(CB5-312T) | 2021年9月 | 2024年6月 |
Chromebook Spin 13(CP713-1WN) | 2024年6月 | 2025年6月 |
Acerは同一モデル名で型番(品番)違いが結構あるので面倒くさいのが欠点です。正直日本でどの辺りのモデルを使われている方が多いのか、話題になったモデル以外は分かりにくいので、気になったモデルをとりあえず抜き出しておきました。この中で特に気になったのが、太字で表したCB3-111です。文章作成時点で既に期限切れになっていたのですが、後継のCB3-131とともに2021年9月に延長されています。
ということは、ネットで大量に出てくる「とりあえず安いから」と数年前に量産されたCB3-111推し、CB3-131推しの記事が、一応期限切れ、期限間近のモデルなのに、触れずに未だに薦めている、という状況では少しだけなくなったということですね。ただ、スペック的にも、また価格的にもここ最近はより新しいモデルが近い価格帯でより長い更新期限で国内でも発売されるようになりましたので、敢えて「並行輸入」と称したものなどを、昔のブログの「オススメ」を信じて今から選ぶ必要はないかな、と思います。
全体的に自動更新ポリシー自体が1〜2年延びていますね。特にChromebook R13(CB5-312T)は従来の2021年9月から2024年6月と完全に息を吹き返したような感すらあります。これは使われているMediaTek製のCPUのモデルが他社でも延長されていることと関係があるかもしれません。
ASUS
続いて国内でも現行で展開しているモデルの多いASUS。ほぼ延長されていますが、だいたい半年から1年くらい延長されたモデルが多いですね。その中で目立ったのが幾つかありました。
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
Chromebook Tablet CT100 | 2023年8月 | 2023年8月 |
Chromebook C200 | 2019年6月 | 期限切れ |
Chromebook C201PA | 2020年6月 | 2020年6月 |
Chromebook C202SA | 2021年6月 | 2022年6月 |
Chromebook C204 | 2025年6月 | 2026年6月 |
Chromebook C223 | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook C300 | 2019年8月 | 期限切れ |
Chromebook C403 | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook C423 | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook C523 | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook Flip C100PA | 2020年7月 | 2020年7月 |
Chromebook Flip C101PA | 2023年8月 | 2023年8月 |
Chromebook Flip C213 | 2023年11月 | 2024年6月 |
Chromebook Flip C214 | 2025年6月 | 2026年6月 |
Chromebook Flip C302 | 2022年11月 | 2023年6月 |
Chromebook Flip C434 | 2024年6月 | 2026年6月 |
今年出たばかりの最新モデルC434TA。こちら、最新でありながら2024年6月と若干控えめだったのが惜しかったのですが(それでも十分ありますが)こちらも最新の2026年6月に伸びています。その後海外でC425やC433などの派生モデルが続々と出たことも良い影響になったのかもしれません。
また、国内でも愛用者の多い、Chromebook C202SA。元々国内未発売モデルだったのですが、価格の手頃さと独特の雰囲気で人気があったモデルだけに(最近は日本のAmazonでも非常に手頃な価格で販売されるようになりましたが)こちらも1年延長(2022年6月)されて、まだもう少し頑張れそうです。
そして気になったのが、Rockchip社のCPUを載せている名モデルC100PAとC101PA、そしてChromebook TabletのCT100です。こちらは同じOP1を載せているAcerのChromebook Tab 10と合わせて、今回の延長の対象にはなっていません(2023年8月)。特にFlip C101PAは発売から2年以上が経ち、そろそろ後継モデルも望まれている時期なだけに、後継モデルが未定であればせめて自動更新ポリシーだけでも延長してくれれば嬉しかったのですが。この辺り残念です。
DELL
意外と知られていないのですが、Chromebookの日本上陸当初からEnterprise特化とはいえ、地味にコンスタントに国内でもモデルを出し続けてきたのがDELLです。数年前、各メーカーが撤退していく中でASUS JAPANだけが気を吐いているような書き方を以前してしまったこともありますが、ごめんなさい、DELLも法人向けに結構頑張ってきてたんです。
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
Chromebook 11(3180) | 2022年5月 | 2022年6月 |
Chromebook 3100 | 2025年6月 | 2026年6月 |
Chromebook 3100 2-in-1 | 2025年6月 | 2026年6月 |
Chromebook 3400 | 2025年6月 | 2026年6月 |
Inspiron Chromebook 14 2-in-1 | 2024年6月 | 2025年6月 |
Latitude 5300 2-in-1 Chromebook Enterprise | 2026年8月 | |
Latitude 5400 Chromebook Enterprise | 2026年8月 |
私もメーカーからお借りしてレビューしたこともあるChromebook 11(3180)がさり気なく延長されているのですが、1ヶ月しか延長してもらえてない(2022年5月→2022年6月)のが何となく可哀想でもあり、また何となく楽しくもあります。
日本の自動更新ポリシーにはまだ掲載されていませんでしたが、Latitude 5300/5400 Enterpriseは日本でも発売され、かなり反響もあるようです。個人ユーザーが入手するのは非常に難しいので、なかなか馴染みのないモデルではありますが、今後も独自のスタンスで国内市場にしっかり存在感を発揮していってほしいと思っています(5400に関しては近日レビュー予定です)。
Lenovo
昨年、日本国内への参入を発表したLenovo。当初は教育市場に注力していたこともあり、なかなか個人での入手が難しい状況が続いていましたが(今も300e/500eはその状況が続いています)、Amazonが専売モデルを幾つか出し、更にセールで大幅値下げするなど、米国市場に似た展開のさせ方をしたことで、意外と個人でもユーザーは多いのではないか、と思われます。
また、数年前に発売されたThinkPad 13 Chromebookは私自身も非常に好きなモデルでして、当時は米Amazonで非常に手頃な価格で入手できたことから、個人輸入をされた方も多く、当ブログ経由でも3桁に上りました。って、今考えると凄いな、当時の勢い。
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
300e Chromebook(2018) | 2025年6月 | 2025年6月 |
300e Chromebook 2nd Gen(2019) | 2025年6月 | 2026年6月 |
500e Chromebook(2018) | 2023年11月 | 2024年6月 |
500e Chromebook 2nd Gen(2019) | 2025年6月 | 2026年6月 |
Ideapad S330 Chromebook | 2022年6月 | 2025年6月 |
Yoga C630 Chromebook | 2024年6月 | 2025年6月 |
ThinkPad 13 | 2022年11月 | 2023年6月 |
そんなThinkPad 13も地味に少しだけ延びている(2023年6月)のが嬉しいです。また最近Amazonでセールにかかることの多いS330も従来であれば自動更新ポリシーが2022年6月とそこまで長くないことから価格を考えると妥当、的な立ち位置だったのですが、2025年6月まで延びてしまうと、もう最新モデルと大して変わらなくなってしまいます。とはいえ、価格には価格なりの理由があり、その部分は基本的にキーボードや液晶の質、全体的なコスト面に出てきますので、その点は「単に延びた」からといっても注意は必要です。
HP
続いて今年に入り突然の日本参入したHP。従来の国内参入メーカーの定番でもある「教育現場向け耐衝撃耐水性重視の11.6インチコンバーチブルモデル」といった傾向から大きく外れた、ある意味では個人ユーザーが欲しいのに海外でしか販売されなくて個人輸入せざるを得なかったタイプのモデルを続々と出してきています。
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
HP Chromebook x360 14(14 G1) | 2024年6月 | 2025年6月 |
Chromebook x2 | 2024年6月 | 2024年6月 |
Chromebook x360 12b-ca0xxx | 2026年6月 | |
Chromebook 13 G1 | 2022年11月 | 2023年6月 |
元々日本からは入手しづらかったメーカーでもありますので、ここはシンプルに国内販売モデル3モデルと、私自身お気に入りでわざわざ個人輸入してでも入手したかったモデルである13 G1のみ挙げてみました。
にしても日本版の自動更新ポリシー、酷いな。12bなんて日本が世界に先駆けて発売した節もあるモデルであるにも関わらず、原文サイトでは載っているのに、日本版では載ってすらいない。もう少し更新頑張ってほしいです。これなら原文サイトのみにしてGoogle自動翻訳でもしてくれたほうがよほど混乱が生まれないのではないか、と思うくらいです。
ここまで眺めてみて気づくのは、基本的に従来は自動更新ポリシーの月に関しては結構バラバラだったものを、今回「6月」に統一したのかな、ということです。非常に分かりやすくなりました。これで以前のような6.5年という縛りがあるとモデルによっては期間が短くなってしまう可能性もあるのですが、縛りもなくなり、また全体的に後に延ばしているようなので、これからはより流動的になってくるのかもしれませんね。
Samsung
国内販売がされないだけでなく、北米事業部独自のプロジェクトのため基本的に米国及びメキシコのみの展開、更にサポートも同地域に限定されているSamsungのChromebook。ただ、意外とAmazonなどで購入できるモデルも多かったことから、日本でも愛用者が結構多かったりします。特にChromebook Plusは発表当時、日本でも話題になりましたし、購入された方も多かったですね。
プロダクト | 自動更新の有効期限(変更前) | 自動更新の有効期限(変更後) |
Chromebook 3 | 2021年6月 | 2022年6月 |
Chromebook Plus | 2023年8月 | 2023年8月 |
Chromebook Plus(V2) | 2024年6月 | 2024年6月 |
Chromebook Pro | 2022年11月 | 2023年6月 |
Chromebook 4/4+ | 2026年6月 |
こちらも6.5年間という縛りはなくなったものの、「新しい各ハードウェアプラットフォーム」という部分は踏襲されていますね。Chromebook Plusは同じRockchip製OP1を載せたASUS C101PAやCT100PA、Chromebook Tab 10などと同じく変更なし。また、Chromebook Proは基本的なCPU等はASUS C302と同じこともあってか、同じ2023年6月に延長されています。V2が変更なかったり、とSamsungはあまり大きな動きはない印象です。
自動更新ポリシーの大幅な変更に伴って起こる今後の変化に期待。
今回の文章も、あくまで文章作成時点(2019年11月12日現在)でのものです。そのため、今後これらの自動更新ポリシーは更に変更になる可能性は非常に大きいと思います。その点はご了承ください。
今回感じたのは、従来のChromebook、Chrome OS端末における自動更新ポリシー、アップデートに関する捉え方が、かなり大きく変わってきているのかな、ということです。これだけ旧モデルもサポートが継続される(モデルによっては数カ月から半年程度の延長ではありますが)ものが増えてくると、より長く市場に出回り、また企業や学校などの現場でも長く使えるものが増えてくる、ということです。基本的にデータはクラウドにアカウントに紐付けられて保存されているのであって、端末はそこにアクセスするための仮の箱、アクセスツール、という基本的な考え方は変わらないとしても、よりこれらの現場では導入がしやすくなってきたのかな、とも思います。
また、冒頭でも少し触れたのですが、自動更新ポリシーが少しずつ知られるようになってきたことは良いことだと思っているのですが、ただ「最初から寿命が決まっている」「数年しか使えない」というマイナスのイメージで捉える方が比較的多いな、とここ最近感じてきました。もちろん使い方は人それぞれと言ってしまえばそれまでなのですが、自動更新ポリシーが知られるようになってきて、今度はこの辺りの認識をどう発信していこうか、と考えていたタイミングでもありましたので、今回の動きは意外でもあり、また面白いな、とも感じています。
Chromebookを使う上で、自動更新ポリシーに関しては、気にしすぎず、けれど頭の片隅には置いておいて欲しい、そんな存在だと思っています。
https://support.google.com/chrome/a/answer/6220366