前回は使い始めて数時間の印象を書きましたが、最初期の米Amazonレビューを除けば、その後は総じて好評価で、徐々に☆5つが多くなってきているのを眺めていると少しずつ不安になってきます。
もしかして私のモデル(と環境)固有の症状であって、単なる初期不良や相性が悪いだけだったのではないか、と。ただ、この辺りはこれからしばらく使い続けてみないと現時点では何とも言えないと思いますので、今回は改めて外装等一般的なレビューをしてみたいと思います。
Samsung Chromebook Plus (XE513C24-K01US)
尚、言い訳をしているようですが、私の現時点でのSamsung Chromebook Plusに対する評価は悪くはありません。私、それ程現状のAndroidアプリには期待していないので、むしろ今まで通りのChromebookとしての使い方をしたときに快適かどうかのほうが大きいのです。それは、液晶の見やすさであったり、持ち運びのしやすさや処理の軽さ、あとは「使いたい」と思える満足出来る質感かどうか、など。その点ではSamsung Chromebook Plusは非常に良好です。
まずは大まかなスペックです。詳しくはSamsungの製品ページをご覧下さい。
Model | Samsung Chromebook Plus (XE513C24-K01US) |
CPU | OP1, Made for Chromebooks (Hexa-core 2GHz , 1MB l2 Cache) |
Memory | 4GB |
Display | 12.3″ (3:2) LED (2400×1600) 400nit Glare Panel |
Storage | 32GB eMMC |
Wireless | Marvell 88W8997 (802.11 ac/a/b/g/n) |
Power | 30W AC Adapter 2cell/Li-Ion 5140mAh |
Interface | USB 3.1 Type-C x2 |
Dimensions / Weight | 280 x 221 x 13.9mm / 1.07kg |
Price | $449 |
CPUのOP1については前回触れました。液晶についても同様、ただ、400nitという輝度はChromebookの液晶としては非常に明るいです。もちろん輝度だけで液晶の質は測れませんが、液晶の印象は非常に良好です。
12.3インチにも関わらず2400×1600でも「使えるかな」と思わず思いたくなる滲みの少なさとフォントの見やすさがあります。私は現時点では1800×1200で常用。この解像度ですと、競合でもある12.5インチのASUS C302CAが1920×1080が最良設定ということもあり、横幅を取るか、縦を取るかで好みは分かれるかな、と思います。16:9と3:2、このChromebookをどういう使い方をするかにもよります。
Wirelessの「Marvell 88W8997」に関しては、2017年2月16日時点では日本における技適認証を通っていない(技適マークがない)ため、日本での使用は本来違法です。この技適マークに関してはこのブログでも今まで色々書いてきまして、このモデルにおいて前回のように使用感をレビューしたことについては自分の中でも矛盾もあるため少し難しいのですが、今回の文章では触れません。(厳しいことを言えば、電源が入っていなくても、アンテナ部分を抜いていたとしても、技適マークのない通信機器は所有しているだけで法律的にはアウトです。外装だけでも日本においては違法。)
バッテリー容量は5140mAh、充電は30W USB-C-ACアダプター。
バッテリー容量は5140mAh、これはChromebookでは大きめで、CPUのOP1とも絡めて非常に長いバッテリー持続時間を持っている、というのが一つの魅力。ただ、昨日使った限りでは、液晶の設定を明るめにした状態で使っているとかなりバッテリー自体減ります。現実的には明るさ最大で使い続けることはないかもしれませんが、個人的には出来るだけクッキリハッキリ、明るめでストレスなく(眼に眩しくない程度で)使いたいので、この辺りはこれから見ていきたいところです。
ACアダプターが先ほどになって気付いたのですが、表記のように30W(15V-2A/9V-3A/5V-3A)です。本体との接続はUSB Type-Cです。
ちなみにASUSのC302CAでは45WのACアダプターが付属します。
30Wでも充分に充電が可能、ということを考えると、Intel製のCore m3を載せているASUS C302CAよりも消費電力も少ないとも言えますが、個人的な印象としてはASUS C302CA自体もほぼ半日使えているので、あまり減りが速い印象はありません。
[かぶ] ASUS C302CAは明るさ「最大」の私の使い方で約5時間で残量26%。充分に満足な使い心地です。 | おふぃすかぶ.jp
サイズ感について、12.5″のASUS Chromebook Flip C302CAと比較してみます。
簡単に全体を眺めてみます。
まず最初に感じるのは、16:9などの従来のラップトップPCに慣れているとこの縦横のバランスがとても新鮮です。折角ですので手元にある12.5″のASUS Chromebook Flip C302CAと並べて見ていきたいと思います。
12.5インチのASUS C302CA(左)よりも12.3インチのSamsung Chromebook Plusのほうが縦に長い分、高く、当然キーボード部分も手前も出ています。
縦の長さは12mm程度Samsungの方が長くなります。これは、手元のモデルでは13.3インチのHP Chromebook 13 G1よりも6mm程度長いことになります。
縦はSamsungのほうが12mm長いのですが、横は当然ASUSのC302CAのほうが長くなります。実寸で23mm程度。12.3インチながら3:2という比率になるだけで、これだけ外観にも実寸にも違いが出てくるのですね。
前回評価したASUS C302CAのキーボードです。12.5″でありながら、13.3″のHP Chromebook 13 G1とほぼ変わらない19mmのキーピッチ。各キーの大きさも特に変則的ではなく、個人的には非常に好みのキーボードです。ちなみにキーボードバックライトが付いていて、キーに触れるとフワッと淡くライトが点き、ある程度入力しないでいると自動で消えます。
Samsung Chromebook Plusのキーボードです。各キーは若干中央が窪んでいます。キーピッチは同様に19mmを確保してはいるのですが、流石に12.3インチということもあって、その影響が左右端のキーに出てしまっています。例えば上の画像のように、右端のBackspaceキーやEnterキー、Shiftキーなどが短くなっています。これは好みと相性が少し出てしまうかな、と感じました。
また、キーボードのバックライトはありません。実際にはそれ程必要ないのかもしれません。私も今までそう思っていました。ただ、実際にHP 13 G1やASUS C302CAで使ってみると、単純に暗いところだけでなく、普段使いでもふとした拍子にフワッと浮かび上がるキーボードが結構クセになります。特に前述のようにC302CAはキー入力時だけ自動でフワッと光るので、これがまた良い。この点はSamsung Chromebook Plusは個人的にはちょっとだけ残念でした。
液晶を縦に大きくした分、キーボード側も同様に縦が長くなりますので、上下が余裕のある配置になっています。これはメリットでもあり、手前のタッチパッドとその左右の、手を置く(添える)部分がゆったりしている分、キー入力は楽です。
文章作成やウェブ閲覧などが主な用途の場合にはやはり3:2という組み合わせは出力(液晶)だけでなく、入力(キーボードとタッチパッド)にとっても便利なのだな、と感じます。ただ、流石に12.3インチということもあって、左右端のキーの大きさが影響を受けてしまっているので、多少の違和感はあるかもしれません。
その他、インターフェース周りなど外装を眺めてみたいと思います。
全体的に形が正方形に近いだけでなく、縁周りが丸みをおびていることもあって、少し大きめのタブレットを手にしているような感覚です。重量も1.07kg。以前触れたことがありますが、このサイズ感と重さはApple iPad Pro 12.9インチに純正Smart Keyboardを付けた状態に近いです。
Samsung Chromebook Plus : 280 x 221 x 13.9mm / 1070g
Apple iPad Pro 12.9インチ : 305 x 220 x 6.9mm / 713-723g
(+ Apple Smart Keyboard : 12.7mm / 340g)
確かに幅はiPad Proのほうが25mm長いのですが、Samsung Chromebook Pro(当時はPlusの情報はなかった)の寸法を眺めた時、iPad Pro 12.9インチにSmart Keyboardを加えると重さは1053~1063g。Chromebook Plusとほぼ同じです。厚みはSamsung Plusのほうが薄くなります。
先ほどのASUS C302CAと並べてみた感じでは、厚みは若干Samsung Plusのほうが薄いかな、という程度。
液晶面もそれ程大きくは変わりません。ただ、縁周りが丸い分、印象は意外と変わってきます。先ほども少し触れましたが、寸法も合わせると少し大きめのタブレット感覚です。
左側面は非常にシンプルです。MicroSDスロットが蓋が付いているのは好みが分かれそうですが、頻繁に抜き挿ししないのであれば不意に外れてしまうことがない分、安心です。
ASUS C302CAでは左側面に付いていた「Power」「Volume」キーがSamsung Chromebook Plusでは右側面に付いています。今回も触れずで申し訳ないのですが、右奥がPEN用のスロット。軽く押すとペンが出てきます。
ASUS Chromebook Plusでは左右側面に付いていたスピーカーですが、Samsung Chromebook Plusは底面にあります。膝の上等に載せて使う場合にはスピーカーを塞いでしまう可能性もありますし、個人的には側面の方がありがたいのですが、360度回転ヒンジタイプのコンバーチブルモデルと考えると、スピーカーの音の出方はこれから見てみないといけないな、と思っています。
一点気になったのが、この底面4隅についている丸い足。通常ですとゴム足になっていて、テーブルなどに置いた際の滑り止めの役目も果たすと思うのですが、Samsung Chromebook Plusの足表面は比較的ツルツルしていて、テーブルの材質によっては滑ります。グリップ力はあまりない感じでした。
前述のように底面にスピーカーがありますし、また底面を擦ってしまわないように少し持ち上げるだけの目的として付けられているのかな、という気がします。ただ、これは私の手元のモデルがたまたまそうだっただけの可能性もなくはありませんので、これから出てくるレビューを見てみたいと思っています。
最後に付属品について。CEマークもなく、現時点では米国のみを想定か。
付属品は5つ。「Quick Start Guide(英語とスペイン語のみ)」「Warranty Information」の二つはサイトからもダウンロード可能。右上が前述の30WのACアダプターです。右下の2つがこのモデルならでは。PEN用の替え芯(PEN nib)と交換用の工具(Tweezers)です。
Warranty Informationや本体、外箱を眺める限り、現時点ではまだ米国国内Onlyで考えているのかな、という印象です。EU加盟国へ輸出する際に、安全基準条件(使用者・消費者の健康と安全および共通利益の確保を守るための条件)を満たすことを証明するためのCEマークも付いていませんし、米国FCCマークくらいです。もちろん日本の技適マークもありません。
今回、届いた時に外側に技適マークが見つけられなかったため、いつものように底面を開けました。
この際に見つけられたのは「日本サムスン株式会社」の表記のみ(PSEマーク)でした。現時点では当面は日本市場への展開は考えていないだろうな、と思います。実際流通量自体果たしてどのくらいあるのか分からないくらいです。Samsungとしては想定内の量だったのか、試験的にPlusを出してみたら思った以上に売れてしまったのか。4月に発売が予定されているProがどうなるのか気になるところでもあります。
このモデルに何をどの程度求めるかによって評価は大きく変わってくると思います。
冒頭でも触れましたが、海外でもレビューが少しずつ増えてきまして、好意的な評価が多くなってきました。間もなく日本でも他の購入された方のレビューが出てくることでしょう。
前回の使用感だけを読まれると、少々期待外れな印象を受けるかもしれません。実際私も昨夜触り始めた当初は「うーん・・」と悩んでしまったのも確かです。
ただ、このモデルに何をどの程度求めるかによっても評価はかなり変わってくるだろうな、とは思います。先ほども書きましたが「それ程現状のAndroidアプリには期待しておらず」、むしろ「今まで通りのChromebookとしての使い方をしたときに快適かどうかのほうが大きい」方にとっては、このモデルは悪くありません。むしろ、非常に魅力的だと思います。液晶も非常に見やすく美しいですし、1kgは超えますが、大きさと重量のバランスが良いのか、非常に持ちやすい。処理に関しては私は既にChromebookでCore m3やm5を常用してしまっているのでモタツキを感じますが、決して悪くはありません。質感に関しては丸みを帯びたフォルムが好きな方には今までにない印象的なモデルだと思います。
Androidアプリへの対応に関しては、現行Chromebookの中では頑張っているほう(現時点でStableでは5モデルしか対応していませんし)です。だいたいこんなものかな、というくらい。ただ、これは既にChromebookに慣れた方ならそう感じるだけであって、一般的には「思ったほどでもないじゃん」と感じられるかもしれません。
今回は期待度がかなり大きく、また興味を持たれた層も通常より幅広いため、純粋な判断、評価が難しくもあります。実際に使ってみたら、「えっ?快適じゃん。あのブログ、ちゃんと使ってるの?」となる可能性も充分にあります。いや、むしろそうなるくらいにアップデートが重ねられてより素晴らしいモデルになって欲しいと思っています。
その可能性は充分にあるな、と思います。CPUに関しては未知数ですが、モデルとしては非常に面白い、魅力的な要素を持っていると感じています。
これからのアップデートにも期待したいと思います。
最後に。
個人的にふと思ったのは、現時点でAndroid アプリに対応している数少ないモデルの一つであるASUS Chromebook Flip C100PAで最近になってMicrosoft Officeアプリが突然消えた、ということがありました。あのモデルもCPUがRockchip社(RK3288C)なんです。Samsung Chromebook PlusはOP1となっていますが、これは同じくRockchip社製のRK3399です。何かChromebookとRockchip社のCPU、Officeアプリとの相性があるのかな、と一瞬思いました。