日本国内においては未だに数年前の第一次撤退期の投げ売り時の価格のイメージと、その後の空白の期間を経て完全に型落ち、自動更新ポリシー(モデル毎に定められているサポート期間)の残年数が2年前後になってしまったモデルのセール価格のイメージから、「Chromebookは2〜3万円」という印象が未だに残っているな、と感じます。
もちろん割り切って購入するのであれば構わないのですが、多くの方にとっての「2〜3万円」という先入観が「日本発売モデルは種類が少なくて高い」という誤解に繋がり、現行モデル購入へのハードルを上げているのであれば非常に残念だな、と感じていました。
けれどそれも今月で終わりです。そんな新作モデルが発売されました。結論から言えば、
「2〜3万円」に拘ってると、この大きな時代の変化に乗り遅れてしまうので勿体無いよ。
ということです。それくらい今回のこの税込46,244円のモデルは衝撃的でした。大げさだと思うかもしれませんが、この従来の価値観をガラリと変えてくれる可能性を持った2019年6月発売の新作モデルをレビューしたいと思います。
- 今回の文章は13,000字程度です。
- この文章は 『Chromebook』の記事です。
- 主に【新作モデルの主観のしっかり入ったレビューを読みたい方】向けに書かれています。
- また今回は旧モデルとの比較を行っていますので【C202SAユーザー】にもオススメです。
- 今回のモデルは発売直後にも関わらずASUS JAPANにお願いしてお借りしたものです。
そうした事情から一般的には【PR記事】扱いとなりますので、ご理解の上お読みください。
ASUS Chromebook C204MA-BU0030(2019年6月7日発売)
今回はASUS JAPANのご厚意により発売直後である2019年6月11日の時点で端末をお借りしています。
ここ最近の文章及びツイート等でこのモデルについてかなり推してきましたが、それはお借りすることが分かっていたから、ということではありません。発売日及び翌日の店頭でのハンズオン及び当ブログ等においてこのモデルについてじっくり検討していった結果、「このモデル、かなり危険なんじゃないか」と感じてしまい、そうなるといても立ってもいられなくなってASUS JAPANの担当者にレンタルをお願いしてしまった、という経緯です。つまり順番が逆です。気に入ったから借りた。そして借りてみたらやっぱり良いモデルだった。
とはいえ、世間一般的にはこうしたレビューは「PR記事」の括りになります。このモデルのレンタル以外は金銭的なものその他受け取ってはおりませんが、その点ご理解の上、この後の文章をお読みください。
既にここ数日何度も触れていますが、このモデルのスペックについて改めて触れておきます。
C204MA | |
CPU | Intel® Celeron® N4000 |
メモリ | 4GB |
ストレージ容量 | 32GB eMMC |
液晶のサイズと解像度 | 11.6″ (16:9) HD+ (1366×768) |
インターフェース | 2 x Type-A USB 3.1 2 x Type-C USB 3.1 1 x micro SD card 1 x Audio Combo jack |
本体サイズ | 299 x 199 x 19.5 ~20.1 mm |
質量 | 1.2kg |
価格 | \42,800(46,244) |
自動更新ポリシー | 2025年6月 |
以下、スペック面、外観面など使い勝手を一つ一つ眺めていきたいと思います。
今年に入り各社が採用し始めたGemini Lake世代のCeleron N4000(N4100)は普及価格帯の認識を変えてくれる。
少し大げさかもしれませんが、敢えてそう書かせていただきます。
CPUは国内では今年に入り各社がChromebookにも続々と採用し始めたGemini Lake世代のIntel Celeron N4000です。
既にハンズオン等でも触れていますが、Chromebookにおいて従来より性能の一つの目安とされていたベンチマークであるOctane 2.0 JavaScript Benchmarkにおいて、普及価格帯のスタンダードモデルとして、遂に15,000を超えるようになりました。ちなみに従来スタンダードモデルで採用されてきたApollo Lake世代のN3350などでは数値は11,000前後。
もちろん約1.5倍弱という数値がそのまま直接体感速度に影響するわけではありません。ただ、以前の「安くて低スペックなのにサクサク」の象徴的なモデル(Braswell世代以前。平均8,000前後。)を使われていた方はもちろん、これら直近まで採用例のあったこれらApollo Lake世代のモデルを使われている方にとっても「より安定したサクサク感」「もたつきの軽減」を実感できるのではないか、と思います。
何度か触れてきましたが、ChromebookにおけるハイスペックモデルではIntelのCore mなどのプロセッサー(CPU)を使っています。これらは明らかに体感的に違う快適さをもたらしてくれますが、先日まで国内ハイスペックの代表的モデルであった同社のC302CA(Octane 2.0スコアは2万以上)や先日発売された国内フラッグシップモデルC434TA(Octane 2.0スコアは3万以上)は7〜9万円とどうしても購入へのハードルが高かったのも事実です。
「快適は分かるけどそこまでは要らない」「手軽に買える低価格が魅力であって、高いモデルを買うなら他OSのPCを買う」という方にはなかなかこの感覚は届きにくいものでした。それが、そこまではいかなくても、それなりにハッキリと「一段階上の快適さ」を体感できるモデルが普及価格帯スタンダードモデルに下りてきたことは大変喜ばしいことだと思います。
これより更に快適なモデルは幾らでもあります。ただ、国内価格で税込46,244円のモデルがこの体感速度になってくると、今から敢えて価格だけを見て数年前の型落ち(更に自動更新ポリシーも残り2〜3年)のモデルに「安くて低スペックでもサクサク」だけを理由に拘り続ける必要はそれほどないのではないか、と思います。2〜3万円にこだわらずに、国内モデルは3万円台後半〜4万円台、という認識でこれから出てくるであろうこれらの普及価格帯モデルを買われたほうが結果として長く快適に安心して使えると思います。
って既に結論言っちゃってる気がしますが、次いきます。
その前に注意点。新しいCPUはAndroidアプリへの対応等で若干注意が必要。
新しい世代のCPUが採用された直後は、アプリ側がまだ対応が間に合っていない場合があります。上記のCyberLink社の動画編集アプリであるPowerDirectorのように「対応していません」となってインストールできないものから、一応インストールは出来るものの動作しなかったり、動作が不安定だったりするものもあります。この文章作成時点で例えばAnTuTu Benchmarkはインストール、起動は出来るものの、テストで0%から先に進まないなど(詳しくは検証できていませんが)様々な相性が出てくる可能性があります。
もちろん普及してくるにつれて各社、開発者の方々も対応してくださる可能性も高いとは思うのですが、出始めはどうしてもこうしたことが起こりやすい点は注意が必要です。
ちなみにKindleはインストール可能です。タッチスクリーン対応か非対応かで区別しているのかと思っていたのですが(C204MAは対応)、同じタッチスクリーン対応のC434TAなどはインストールが出来ませんので、この辺りは未だ謎です。
耐衝撃、耐水モデルでありながら、今回のC204MAは「G-SHOCK」感をあまり感じさせない。
何だよ、G-SHOCK感って、と思われた方もいるかもしれませんが、一番分かりやすいかな、と思ったので。耐衝撃・耐水性に優れたモデルって何かタフ感、バンパーを身に纏ってます感があると思うのです。その分サイズも若干大きめに、また厚さも出てくる。
それが今回のC204MA、実際に手に取って、また掴んで鞄に入れたり、出先で取り出したりするときに気づくのですが、耐衝撃モデル感がだいぶ薄まっています(もちろんMIL-STD-810Gの耐久性基準をクリアしつつ、1.2mからの落下も問題ありません)。それが、前回同じ耐衝撃モデルであるC213NA(今回同時に発売されたC214MAの旧モデル)と比べてみるととても分かりやすいな、と思います。
こちらがC213NA。こちらもそこまでゴツくはないのですが、それなりに本体を覆うライトグレーの縁周りのラバー部分が印象として厚みをどうしても感じさせていました。
今回はこの縁周りのラバー(バンバー)部分の色の部分が非常に短く、かつ縁に沿って丸みを帯びながら薄くなっているので、全体的にスッキリした印象を与えてくれます。またサイズ自体もコンパクトになっているのは先日のハンズオン時にも触れた通りです。今回実際にサイズを見るためにA4用紙を下に敷いてみたところ
分かりにくいですが、A4の紙を下に敷いてます。
ちょうど周囲このくらい下の白い紙が見えるくらいの大きさ。A4とほぼ同じ、若干小さいくらいのサイズ感です。
キーボードはキーピッチ19mmのフルサイズながら、ASUS JAPANお馴染みのEnterキー周りが詰まっているのは健在。
ASUS JAPANの一つのこだわりでもあると思うのですが、たとえ11.6”モデルであっても、キーボードは左右縁周りを狭めても主なキー周りはフルサイズキーボード(ASUSの場合はキーピッチ19mm)を確保しようとしています。そのため、それほど「キー入力がしにくい」という印象はありません。これは14″モデルとほぼ同じです。
ただ、もちろん本体サイズが小さく(幅が短く)なれば、どこかに影響は出てきます。ASUS JAPANの日本語配列キーボード採用の11.6″モデルの場合はそれが特に右端Enterキー周りに顕著に出ます。
このためEnterやBackSpace(←)、右Shiftなどが狭くなってしまうため、若干打ちづらさはあります。全体的にキーを詰めるのか、それとも中央メインのキーボードには手を加えず、端で帳尻を合わせるのか。難しいところですが、一つの傾向として覚えておいても良いかもしれません。
ちなみにキーの深さはそこまでありませんが、それでも耐衝撃モデルということで剛性を上げたことで、土台がしっかりしているので、打ったときの打鍵感はしっかりあります。
(メーカー用のテストモデルのため底面はスッキリしています。販売モデルは技適マーク等記載はもちろんあります。)底面後方には左右にそれなりの厚みを持ったゴム足もついていて、厚み分若干(ごく僅かですが)傾斜がつくとともに、滑り止め、またキー入力時には衝撃を受け止めてくれます。
これがシンプルで軽量なタイプのC223NAやC423NAなどではどうしてもキーを強く押し込むと本体が若干たわんだり、タッチパッドがかなり沈んだりするのですが、今回のC204MAはそうしたこともなく安心して入力が出来ます。ここは日々使い込む道具であることからしても安心感に繋がるのではないでしょうか。
左右のインターフェース。外部モニター出力可のUSB-C端子は右側面側。
続いてインターフェースを見ていきたいと思います。
インターフェース | 2 x Type-A USB 3.1 2 x Type-C USB 3.1 Gen 1 1 x micro SD card 1 x Audio Combo jack |
薄さを重視していない(それでも前述のようにそれほど極端な厚みも感じませんが)こともあり、USB Type-A端子を左右に1つずつ残しているのは非常に好印象です。ちなみに同日発売のコンバーチブルタイプのC214MAはType-A端子は1つに減っています。
左側面は奥(画面左)からUSB Type-C、micro SD cardスロット、Audio Combo jack、USB Type-Aです。USBはどちらも3.1(Gen 1)。
右側面は奥(画面右)からKensington Lock、電源LED、USB Type-C、USB Type-A。USB端子が左右均等に分かれているのは個人的には好印象。また流石に教育市場向けモデルです。11.6″でもしっかりKensington Lockが付いています。なお、外部液晶モニターと接続(出力)して高解像度で使う場合には、こちらの右側のUSB Type-C端子が対応しています(我が家では左のUSB Type-C端子では反応しませんでした)。
少し補足。高解像度の外部モニターとの接続で真価を発揮するC204MA。要は使い分け。
補足なので、気力のある方だけお付き合いください。それ以外の方はスルーで全く問題ないよ。
ちなみに液晶についてはこの後触れますが、一般的な反応として多い「今更解像度1,366×768とかウ○コ」と言ったご意見。でも液晶サイズ11.6″のラップトップ(クラムシェル型PC)でそれ以上の高解像度で使うには、フォントサイズ上げたり、いつもより顔近づけたり、若さで乗り切ったりとそれなりの対策が必要です。
私は申し訳ないけれどこれ以上の解像度は11.6″では長時間は無理。なので1,366×768で十分です。11.6″には11.6″の、12.5″や13.3″、更には14″や15.6″にはそれぞれの用途や役割があると思っています。なんでも高解像度であれば良いとは私は思いません。スマホやタブレットは小さいのにもっと高解像度じゃないか、って?だって液晶と目との距離、もっと近いじゃないですか。
何か見事に脱線、というかこの後の液晶の項目で書けば良かった気もしますが、なぜここで書いたかというと、もしこのモデルで高解像度で使いたければ、自宅や職場などでより解像度の高い外部液晶モニター繋げれば良いと思うんです。
写真は自宅の31.5″の4KモニターにUSB-C接続して使っていますが、
しっかり4K出力できますし、その状態でも余程の高負荷作業(私、あまり思い浮かばないのですが)でもさせない限り、モタツキもなくサクサク動いてくれます。これ、便利。恐らく前述のGemini Lake世代のCeleron N4000になったことも大きいと思っています。まぁ4KでなくてFHD(1,920×1,080)であれば今までのモデルでも普通に動いてくれたと思いますが、一応4Kいけたよ、ということで。
で、何が言いたいか、というと、要は使い分けだと思うのです。出先のカフェで高解像度でウィンドウいくつも開いて同時並行で様々な作業を行いながら、画像の加工など液晶自体の質も影響するような作業をする頻度が高い、というなら、そもそも11.6″なんて買わずにもっと大きい液晶サイズのPC使ったほうが効率も良いと思うんです。
あなたは出先で11.6″モデルにどんな用途を考えていますか?
モバイル性を重視させて、気軽に持ち歩いて、傷や落下に気を使わず鞄から出し入れして気楽に使う。せいぜい一つのウィンドウで文章入力等に集中する。時々ウィンドウを切り替えて(タッチパッドを3本指で上から下にスライドさせると切り替えが出来ます)使うのであれば、11.6″の耐衝撃モデルって非常に相性が良いと思うんですね。で、複数ウィンドウやアプリを組み合わせて本格的な作業を行うのなら、自宅に大きめの液晶モニター買って、繋いで落ち着いて作業すれば良い。
なのに人は何故か「家でも出先でもどこででも」あらゆることがハイスペックで出来る(実際は滅多にやらないのに)ことを求めたくなる生き物のようです。そこに幾らでもお金を出せるのであれば好きにすれば良いと思いますが、「低価格こそがChromebookの魅力」なのであれば、尚更こうした使い分け、割り切りってとても大切だと思っています。そこが気楽さに繋がるので。
液晶はIPSではないものの、かなり見やすくなりました。というか、比べてみて気づいた。
さて、上の補足も読まれた方は、また液晶の話かよ、と思われるかもしれませんが、ここでは液晶について。だいぶ見やすくなりました。今までは11.6″のChromebook(普及価格帯の)について触れる際には、ごく一部のモデルを除いて「液晶は好みが分かれるかもしれませんが」とか何かしら言い訳っぽい補足が必要でした。悪くはないけど、満足できない人もいるんじゃないか、みたいな感じだったんですね。
IPSこそ至高とか思ってるわけではないのですが、なんとなく普及価格帯のノングレア液晶って、見やすい「けど」みたいな部分が少しありました。で、今回も店頭でのハンズオンなどでそんな感じでお茶を濁していたのですが(液晶の質の話は個人の好みもあるので難しいですし)、今回後述する、前モデルであるC202SAの液晶と並べてみて気づきました。
あれっ?これ、結構ありなんじゃないか‥。というか、十分見やすいぞ。
私の中の11.6″の基準になっていたのはいつの間にかお気に入りの前モデルC202SAの液晶だったのですが、4年も経つとやはり諸々進化しているようです。だから何度も書いてますが「2〜3万円」云々を一回取り払って、最新モデル使わない?と。
だいぶ視野角も広がっていますし、ノングレアは反射を気にする必要もありません。更に今回はタッチスクリーン対応です。これ、十分にありなんじゃないかなぁ。
ということで、前モデル、C202SAの話が出てきたので、ここで前モデルとの比較をしてみたいと思います。
前モデルC202SAと比較してみると・・。
C204MAの前モデルといえば、国内販売はされなかったものの、国内でも愛用者の多いC202SAです。C204MAは同じ新作のコンバーチブルタイプのC214MAとサイズが同じということはハンズオン時に触れましたが、実際に比較するとしたらこちらのC202SAからどう変わったのか、が気になる方も多いと思います。
C204MA | C202SA | |
CPU | Intel® Celeron® N4000 Octane 2.0:15835 |
Intel® Celeron® N3060 Octane 2.0:9201 |
メモリ | 4GB | 4GB |
ストレージ容量 | 32GB eMMC | 16GB eMMC |
液晶のサイズと解像度 | 11.6″ (16:9) HD+ (1366×768) |
11.6″ (16:9) HD+ (1366×768) |
インターフェース | 2 x Type-A USB 3.1 2 x Type-C USB 3.1 Gen 1 1 x micro SD card 1 x Audio Combo jack |
2 x Type-A USB 3.0 1 x HDMI 1 x SD card 1 x Audio Combo jack 1 x AC adapter plug |
本体サイズ | 299 x 199 x 19.5 ~20.1 mm | 293 x 199 x 22.6 mm |
質量 | 1.2kg | 1.2kg |
自動更新ポリシー | 2025年6月 | 2021年6月 |
私もお気に入りの「耐衝撃クラムシェル」のスタンダードChromebook、C202SA。
このブログでも散々語ってきましたし、愛用されている方も多いと思います。上記のスペック表にもあるように「自動更新ポリシー」が2021年6月。遂にあと2年となりました。
まだ2年ある、とも言えますが、そろそろ次をどうしようか考えられている方もいると思います。買い替えはしない(最後まで使う)までも、今回の後継モデル、実際どうなんだ、と。
4年経つとAC充電からUSB Type-C充電に変わっていたり、HDMIが無くなっていたり、SDカードからmicro SDカードに変わっていたり、と時代の流れを感じます。ただ、個人的に一番大きな進化を感じたのが、実は前述の液晶なんです。
C202SAから4年、C204MAの液晶は正常進化を遂げていた。
2つを並べて見ると分かりやすいのですが、C202SAの液晶は結構青みがかっているんですね。それだけなら好みもあるのですが、もう一点。結構視野角が狭いんです。例えば液晶を180度倒して「みんなで囲んで一つの画面を見ましょう」という場面(教育市場ではこれを想定)。
この角度でも既に右のC202SAは画面が非常に見にくくなっています。左右についても結構影響を受けやすく、視野角の狭さが(考えてみれば)確かに多少気になったよなぁ、と今更ながら思い出しました。
ASUS Chromebook C204MA(左)と、その前モデルであるC202SA(右)の液晶比較。比較的「青みがかった感じ」が印象的で、視野角もそこまで広くなかったC202SAに比べると、C204MAは大分色味含めて変わっていますね。個人的には好印象です。 pic.twitter.com/v7SIFsV0qH
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2019年6月11日
以前C202SAの液晶を「若干眠たげ」と表現しましたが、今回のC204MAではそうした印象はありません。この液晶、多分コンバーチブルのEMR非対応タイプのC214MAと同じなんじゃないか、と勝手に予想しています。ということは、C213NAのEMR非対応モデル使っている方はあまり変化は感じられないかもしれませんが、そうした5万円、6万円台のモデルと同じ印象を持っています。C423NAのFHD液晶もIPSではないもののそれなりに綺麗に感じられたので、この辺りは近いのかもしれませんね。
Celeron N3060からN4000へ。Octane 2.0はどの程度変わったのか。
続いて前半で評価したGemini Lake世代のCPU、Celeron N4000について。前モデルとどの程度変わったのでしょうか。再び先程のOctane 2.0 JavaScript Benchmarkの様子を撮ってみました。
ASUS Chromebook C204MA(左)と、その前モデルであるC202SA(右)で同時にOctane 2.0を起動したところ。前半はほぼ同じながら、後半で一気に差が開きます。数値ほどの開きはないですが、分かりやすい例かな、と思います。 pic.twitter.com/tn7vwEqEOb
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2019年6月11日
前半はそこまで速度に差は出ないのですが、後半、特に最後のZlibとTypescriptで大きく差が付きました。全体として数値通りの2倍の体感差があるわけではありませんが、体感速度ではちょっとした間のようなものがほぼ解消されています。
ベンチマークはある特定の条件における測定値に過ぎません。またOctaneに関しては現時点ではブラウザーベンチとして多様化する現状に対応しきれていない部分もあります。ただ、長く定番として使われてきたこともあり、今までのChromebookの大半の測定結果が残っているので、そうした点で比較しやすいのが利点です。
そして、Chromebookを4年近く使ってきた方ならご存知だと思うのですが、以前はChromebookのCPU、結構パワー重視のものもあったんですね。例えば日本でも「このモデルから使い始めた」という方が多いAcerの名モデルC720などは当時既にOctaneのスコアは1万を軽く超えていました。
https://zipso.net/chromebook-specs-comparison-table/
その後現在に至るまで、Chromebookでは省電力性等が重視されるようになり、その結果Octaneの数値的にも6,000〜7,500が平均的な数値になりました。そこから現在まで少しずつ平均が上がってきた、という流れがあります。
今回の15,000、例えば昨年発売されたお馴染みGoogleのPixel Slateの最下位モデル(現在販売終了)やSamsung Chromebook Plus V2に使われているIntel Celeron 3965Yで14,000です。それらのモデルより今回の普及価格帯、スタンダードモデルであるC204MAのほうが高いんです。
また、私の大好きなモデルであるLenovo ThinkPad 13 Chromebookのスタンダードモデルで使われていたCeleron 3855Uが当時15,000強でした。もちろんサイズやキーボード等々使い勝手は異なりますが、極端な表現をすれば、ThinkPad 13 Chromebookが11.6″になったような体感速度です。
この辺り、今回しつこいくらいに繰り返している
国内価格で税込46,244円のモデルがこの体感速度になってくると、今から敢えて価格だけを見て数年前の型落ち(更に自動更新ポリシーも残り2〜3年)のモデルに「安くて低スペックでもサクサク」だけを理由に拘り続ける必要はそれほどないのではないか。
と考える大きな理由の一つです(インターフェースや液晶周り、全体的にコンパクトに無駄なくまとめてきた外観なども理由です)。
C202SAとC204MA、サイズはほぼ同じです。
本体のサイズですが、スペック上はC202SAのほうが若干幅が短いくらい。その他はほぼ同じです。
C204MA | C202SA | |
本体サイズ | 299 x 199 x 19.5 ~20.1 mm | 293 x 199 x 22.6 mm |
質量 | 1.2kg | 1.2kg |
厚さも2〜3mm程度の違いなんですけどね。ただ、C202SAは底面後部の横に長いゴム足が特徴でもありますので、そこを除けばほぼ同じと考えて良いかもしれません(質量も同じ)。
現行ラインナップをうまく繋げてまとめる役割を果たす、非常にバランスの良いモデル。
以前から国内でも耐衝撃クラムシェルタイプのChromebookがなかったわけではありません(エイサーが出していました)。ただ、スペック的には大きな目立った部分があったわけではなかったため、どうしても印象が薄かったのも確かです。
そのため私自身今回C204MAが発表された時点では、それらと似たような印象を持っていましたし、「中には合う人もいるだろうな」くらいに考えていました。
ただ、実際に発売され、店頭で触ってみて、その印象が変わりました。CPUが上がったことで、全体的なバランスが非常に良くなりました。ちょっとした印象の変化で使い勝手も変わります。そして今では思います。
このGemini Lake世代でC223NAとC423NAを、それぞれC224NA、C424NAとして出してほしい。
そうなると、ASUS JAPANの現行ラインナップはほぼ隙がなくなります。
また、今回このC204MAがラインナップに加わることで、C214MAまでうまく繋がるようになりました。
先日のこちらの文章でも上げた表を改めて載せておきます。(赤字は減ったもの)
C204MA(BU0030) | C214MA(BU0029) | C214MA(BW0028) | |
追加項目 | コンバーチブル USB Type-Aが1つ |
コンバーチブル EMRペン対応 グレア液晶(Gorilla Glass) USB Type-Aが1つ |
|
価格 | \42,800(46,244) | \48,800(52,704) | \58,800(63,504) |
価格差(C204MA比) | \6,000(6,460) | \16,000(17,260) | |
ストア特典 | ストアギフト券 3000円分 |
ストアギフト券 3000円分 |
延長保証1年 |
自動更新ポリシー | 2025年6月 | 2025年6月 | 2025年6月 |
発売日 | 6月7日 | 7月下旬 | 6月7日 |
今まで耐衝撃コンバーチブルモデル、って少し特殊な立ち位置だったんですね。価格的にもそれなりに上がるため、普及価格帯と言うにはちょっと難しい部分がありました。
ところが今回C204MAがC224MAとほぼ同スペック、同サイズで同時に展開されたことで、上記の表のように用途に応じてクラムシェルからEMR対応コンバーチブルモデルまで3つが綺麗に繋がるようになりました。ユーザーの用途に合わせて選びやすくなったんですね。
この部分が強化されたことで、耐衝撃タイプはほぼ盤石となりました。となると、C〇〇3シリーズであるC223NAとC423NAに対しても少し欲が出てしまうのです。N4000載ってたら‥。
それくらい今回のモデルは良い意味でASUS JAPAN現行ラインナップをうまく繋げてまとめる役割を果たす、非常にバランスの良いモデルだと感じます。
これで税込46,244円なんですよ。Chromebookは2〜3万円というイメージにいつまでも囚われていると勿体無いです、ほんと。もちろんそこ1、2万の差は大きいのは分かりますが、冒頭でも触れたように、たまたま
「数年前の第一次撤退期の投げ売り時の価格のイメージと、その後の空白の期間を経て完全に型落ち、自動更新ポリシー(モデル毎に定められているサポート期間)の残年数が2年前後になってしまったモデルのセール価格」
によって根付いてしまった特殊な価格に過ぎないんです。そんな印象をガラリと変えてくれるだけの可能性を持ったこのモデル、安心してオススメ出来る1台だと思っています。
販売店舗は従来通り、公式オンラインショップであるASUS Store Onlineと、東京赤坂にあるASUS Store Akasakaのみではありますが、他メーカーに比べて全国からいつでも(在庫があれば)どこでも確実に注文が出来るお店がある、というのは大きいと思っています。直営店舗があるので、近い方は店頭で触ることが出来るのも大きいですね。
赤坂店頭では発売日翌日に早速初回入荷分が一旦すべて売れてしまいましたが、追加発注済とのことで、この文章の翌日、6月12日(水)もしくは13日(木)には再入荷予定とのことです。
これからのスタンダード、定番の名モデルとなり得るだけの魅力を持った今回の新モデル、是非選択肢の一つとして検討してほしいな、と思っています。