[0333-201409] 「成功している男の服選びの秘訣40」のベースは、靴選びにも通ずると思う。

[0333-201409] 「成功している男の服選びの秘訣40」のベースは、靴選びにも通ずると思う。

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時々読み返すことのある、松屋銀座紳士服バイヤーの宮崎俊一さんのこちらの本。「9割の人が間違った買い物をしている 成功している男の服選びの秘訣40」(講談社)。今日改めて読みながら、自分が靴を販売していた時のことを思い出していました。この本に出てくることって、靴にも当てはまると思うのです。

靴選びを見ていて思うこと。

皆さんは意外に自覚がないようですが、「ファッションにあまり予算はかけられない」とおっしゃる割に、私から見ると、結構、無駄遣いをされています。

靴に興味がない、どーでもいい、と言っている人ほど、使い回しの効きにくい靴だけ何足も持っている。そして1足履き潰したらまた1足買って履き潰す、という勿体ないことをしています。
高級紳士靴売り場は別としても、一般的な革靴売り場で買う大半の人は、「靴に興味はない」人がほとんどです。勿論「どーでもいい」人から、「ファッションには興味はある」と言う人まで様々ですが、こと革靴選びに関しては「何となく」の見た目の好みで選んでいる人が多いな、と感じます。
紳士靴のデザインには、それぞれ出自というか、意味があります。「何となく変だなぁ」と感じる時、それはそのデザインがスーツの素材感であったり、スーツのデザインと合っていないから、ということが多いです。

男性の中には、「夏物と冬物の区別もつかない」方が、案外大勢いらっしゃるようです。その方々に、いきなり素材感の話をしても難しいとは思いますが、素材感は経験で少しずつ身につくもの。そして素材感の違いを理解してコーディネイトできるようになると、印象が驚くほど垢抜けます。

以前「靴屋だった」シリーズを幾つか書きましたが、その中で比較的手頃な価格の(あまり革靴に興味がない人が買う価格帯の)革靴に「スワールトゥ」が多いことから、こんなことを書きました。
靴屋だった私が人気のスワールトゥをビジネスに薦めない理由。
私は「スワールトゥ」が嫌いな訳ではありません。スワールトゥは、靴にあまり興味のない方が「何となく格好いい」「何となく若者っぽい」といった「何となく」で最も選びやすいデザインだと思っています。それくらい分かりやすいデザインの一つ。そもそもスワールトゥはファッションシューズとも言われる、ビジネス向けというよりも、むしろファッションで履く靴の一種です。分かっていて履けばこれほど効果的で、使える靴はないのですが、興味のない人が適当に選ぶととても見ていて楽しいコーディネートになります。
また、見映えの関係で、余程ドレスコードに厳しい仕事で無い限り、特にクールビズの季節になると茶靴を選ぶ人が増えてきます。でも、既に持っている革靴の足数や種類を実際聞いてみると1~2足で廻していたり、あまり考えずにデザインを選んでいることが多いです。
街を歩いていると、何故その服装、その組み合わせでその明るい茶のトンガリ靴を選ぶ?という方も結構目にします。

ストレートチップって、そんなに駄目ですか?

私は店頭に立つとき、お客さんから靴の相談をされると、お持ちの靴の種類と足数をまずは聞きます。で、大抵はストレートチップを勧めることになります。けれど、ストレートチップはあまり受けが良くありません。
靴屋だった以前に靴好きの私が新社会人のあなたにそれでもストレートチップを二足目として薦める理由。 | Life Style Image
「冠婚葬祭の靴」「就活用の靴」というイメージが先行してしまって、普段履くのは面白くない、格好悪いと言う方が多いです。何故かストレートチップは恥ずかしい、という漠然としたイメージが強いようです。デザイン上、シンプルなので、何となく物足りないのと、堅いイメージを与えてしまうのが何となくイヤ、という気持ちが表情から伝わってきます。

あえて”苦手”と表現させていただきましたが、どうも多くの男性は、”ベーシック”で”シンプルな”スタイルをすることに抵抗があるようです。
私自身を例に挙げれば、「休日のリラックス感を表現するなら、白のドレスシャツをノーアイロン・ノータイで着て、腕まくりでもすれば充分」と考えるのですが、多くの人は「せっかくだから、もっとわかりやすく、チェックのシャツでも着ようか」とか、「せっかくだから、デニムシャツでも」と思われるようなのです。

なので、40を過ぎた方でも、いや、定年間近の方でも、ストレートチップを一足も持っていない、と言う人が結構多い。特に年を重ねれば重ねるほど、脱ぎ履きが面倒、と紐靴自体敬遠される人が多くなってくるので、益々見かけなくなってきます。
ストレートチップって、ベーシックでシンプル、スタンダードな靴でありながら、実はかなりの人が持ってすらいない靴でもあります。

人はシンプルに憧れながらも、シンプルに不安を感じる。

これは靴に限らずですが、シンプルライフをはじめ「シンプル」という言葉に人は漠然とした憧れを感じるのではないか、と思っています。けれどなかなか難しい。これだけ「シンプル」だ「片付け」だ「断捨離」だ、と言われるのは、それだけ潜在的にそうしたものに憧れを持ちながらも、実現させるのが難しいことだからかもしれません。
そして、シンプル、というのは不安を感じるものでもあると思うのです。余程そのスタイルに自信が無い限り、理由を自分の中で持てない限り、素の状態というのは落ち着かないのかもしれません。
革靴でも同じで、興味がない分、何もない、シンプルなデザインは何となく不安で、面白さを感じないのかもしれません。
けれど、こうして15年以上靴を見てきていると、ストレートチップ一足取ってみても、その形からデザインまで奥が深く、シンプルである分、お手入れや履き方で、見る人が見るとすぐに分かるくらいに違いが出やすい靴は他にないかもしれません。
私も15年以上経っても、未だにちゃんと履きこなせているか、と言われれば自信がありません。
そして、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、だからこそ、靴に興味がない人にとって最も間違いが少なく、合わせやすい靴だと思うのです。
靴屋だった以前に靴好きの私が新社会人のあなたにそれでもストレートチップを二足目として薦める理由。 | Life Style Image

革靴に興味のない人が革靴に一番無駄な出費をしている。

ファッションに詳しい人、センスがよいと言われている人ほど、実際にヘビーユースしているアイテムは、ベーシックなものが多いのです。一方で、「ファッション好きでトレンドに敏感」な人が好感度の高い着こなしをしている例は、百貨店の現場で見聞きしてきた経験からも、あまり多くないように思います。
用途が明確でなく、しかも着こなしにセンスが要求されるアイテムを複数購入するくらいならば、その予算すべてを白いシャツとジャケットに充てるほうがずっと賢明な選択です。

革靴に興味がない人ほど革靴に無駄なお金の使い方をしていると思います。早々と履き潰す、使い回しが効かない、その上見る人が見たらすぐ分かる「ちぐはぐ感」。無駄に使えない靴が増えていく。けれど必要だから、嫌々(渋々)また適当に買ってしまう。
カジュアルスタイルもスーツスタイルも、興味も無いのに下手に自分の(興味がない=知識も経験もない)感覚とその日の気分で「何となく」選んでしまう。これほどお金の無駄で、身にも付かず、ただモノだけが増えていくのにどれを合わせてもいまいちになってしまうことはないと思います。
ベーシックって、つまらないと思われがちです。だから知らない、興味がないのに、変にデザインに走りたくなる。けれどデザインのあるものほど、分かっていないと組み合わせが難しくて、そしてそれだけワードローブも充実していないと使い回しが効きません。
興味のない人でもぱっと見で「靴単体でも」格好いいと思える靴ほど、組み合わせるのは難しいです。靴単体で目立っているくらいですから。そして、靴だけが目立たないようにするのは興味のない人には面倒だからやらないと思うのです。
よく格好悪い、とかつまらない、と言われますが、誰にとってつまらないのか、考えてみると良いかもしれません。周りの「靴だけで無く服装に全く興味がない」人たちに「お、その靴いいね」と思われることが格好良くて、それが目的なら良いのかもしれませんが、そういう組み合わせって、見る人が見ると変なんです。
興味がないのなら、尚更、奥さんに適当に選んで買ってきてもらったり、見た目のデザインで選んだりするのはやめませんか。興味がなくて労力を使いたくないのであれば、尚更、適当に選ぶのではなく、もうベーシックだけにまとめる。ベーシックって誰でも同じように見えますが、そもそも多くの人がベーシックを嫌ってベーシックな着こなしをしないので、かえって新鮮です。そして、そんなベーシックな着こなし、履きこなしに慣れるほど強くて、労力が要らないことはないと思います。
そんな点でも、面倒な人ほど意識してベーシックを考えるための一助として、この本は結構参考になるんじゃないかな、と思います。

合わせて読んで欲しい、知って欲しい靴のこんなこと。

靴磨きと靴のお手入れは違うと思った土曜日の午後。
私は靴に興味のない人は、靴磨きなんてしなくていいと思っています。けれど、お手入れはして欲しい。お手入れというのは、毎日脱いだときに埃を払って乾拭きしてあげること。スーツに例えるなら、靴磨きはクリーニングに出すこと、お手入れは帰ってきたら軽くブラシして、ハンガーにかけてあげること。シャツだったらちゃんと洗うこと。スーツやシャツだとこのお手入れはみんなするのに、靴になった途端に全くしなくなってしまうのは、靴磨きというのが何か特別で手間がかかって面倒なこと、難しいこと、というイメージが先行してしまっているからだと思うのです。
ここ最近の私の場合の革靴の日々のお手入れを書いてみる。だいたい一日帰宅後1分くらい。
靴好き、靴マニアだった私だって、靴磨きなんて月一回するかしないか、です。靴にクリームを塗ることが大切なのではなく、常日頃自分の使っているモノをいい加減に扱っていないか。よく仕事が忙しいから、を理由にする人が多いけれど、仕事が忙しいなら尚更その仕事道具をいい加減に扱っている人と仕事したくないと思うのですが。これって、お金がかからないけれど、下手なビジネス本読んで仕事した気になるより余程費用対効果も高いと思うのです。