[かぶ] ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001) au版4G/LTE対応モデルレビュー。タブレットライクなChrome OS端末を現状求めるならこれ一択。

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[かぶ] ASUS Chromebook CM30 Detachable (CM3001) au版4G/LTE対応モデルレビュー。タブレットライクなChrome OS端末を現状求めるならこれ一択。

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2023年12月22日、ASUS JAPANは4G/LTE対応のChromebook、CM30 Detachable (CM3001)を発表、同日より全国のKDDI直営店、au Online Shop、KDDIおよび沖縄セルラーで順次発売しました。

2023年12月22日、ASUS JAPANは4G/LTE対応のChromebook、CM30 Detachable (CM3001)を発表、同日より全国のKDDI直営店、au Online Shop...

人気モデルDetachable CM3の正統な後継とも言えるモデルであるだけでなく、待望の4G/LTE対応モデルということで、1kg以下という軽さと液晶サイズ10.5インチという大きさで携帯性にも優れているだけでなく、その携帯性を活かしてどこでも場所を選ばずすぐにネットに繋ぐことが出来る手軽さは非常に魅力的です。

今回ASUS JAPANより同端末をお借りすることが出来ましたので、実際の使用感をいつも通りレビューしていきます。

ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)

本体とキーボード、スタンドカバーを取り外すことが出来、タブレット単体としても使うことが出来ます。

本体からキーボード部分が取り外せてタブレット的にも使うことが出来るデタッチャブルタイプのモデルはChromebookにおいても最も人気のある、というよりもむしろ「このタイプがスタンダード」と思われているのではないか、と思うほどに、一般的なモデルより認知され、また売れています。

実際私のYouTubeチャンネルのレビュー動画の中でも未だに最も再生されているのが今回レビューするこのモデルの旧モデルであるDetachable CM3ですし、またネットを眺めていても未だにLenovoの初代DuetやCM3が話題になる、今もなお購入している人がいることからも分かります。

[端末レビュー] ASUS Chromebook Detachable CM3(CM3000) – 先行する競合人気モデル、Lenovo Duetと比較しながら使用感を語る

ただ、個人的な相性と好みを抜きにしても、私的には流石に2024年の現時点ではこれらのモデルは正直オススメはしづらいところがありました。一番の理由はプロセッサーの貧弱さです。

発売された当時であれば「まぁ何とか(発売された当時から数えて)2年くらい前のスタンダードなChromebookと同じくらいの体感処理速度」ではあったものの、それから更に数年です。

「Chromebookは低スペックでもサクサク動く」と思われがちですが、実際に使ってみれば「低スペックでもサクサク動く」のは本当に限られた用途で使う場合に限られる(その場合でも、一度現行のモデルをある程度使ってしまうと、改めて使うとモタツキを感じる)ことがおわかり頂けるのではないか、と思うのです。

デタッチャブルタイプのこの手のモデルを好まれる方がどういった用途を想定されているかにも拠るのですが、であったとしても流石に非力さが目立ってきたこれらの旧モデルをこれから購入するのは幾ら「価格が手頃」であったとしても難しい、というのが正直な印象です。

とはいえ元々この手のデタッチャブルタイプのモデルは液晶側にプロセッサー等主要なパーツを載せた上で軽量化も図る、ということを考えると、一般的なラップトップ、クラムシェルのようなパワーのあるプロセッサーを載せるのは厳しくなってきますし、またバッテリーの持ちの問題もあります。結果どうしても省電力、バッテリーの持ちを優先させたプロセッサーを搭載せざるを得なくなります

そうした中、今回登場したCM30 Detachableでは昨年半ばにコンバーチブルタイプなどでも搭載されて評価の高かったMediaTek製のエントリープロセッサー、Kompanio 520を搭載することで、そうした従来抱えていた悩みをある程度解決することができたと思っています。

ASUS JAPANは2023年5月17日にChromebookの新モデル、14”コンバーチブルタイプのCM14 Flip(CM1402F)、同クラムシェルタイプのCM14(CM1402C)、11.6...

そしてChromebookでは数少ない4G/LTE対応となり、また販売をau ShopのみとすることでSIMの契約も合わせて行う事が出来ることでハードルを下げ(その分一般家電量販店やネットショップで買えなくなったのは悩ましいですが)どこでも繋がる、使える端末になりました。

今回のモデルの大きな目玉はその2点。

  • 「必要充分な体感処理速度を持つプロセッサーを搭載」
  • 「4G/LTE対応となることで、いつでもどこでも繋がる、使える」

だと思っています。以下見ていきます。

スペック

まずはスペックから。

品名 ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)
CPU MediaTek Kompanio 520 (MT8186)
メモリ 4GB LPDDR4X-3600
ストレージ 64GB eMMC
液晶 10.5” 1920×1200 IPS グレア
通信(国内)搭載周波数帯 FDD LTE: B1/B3/B8/B18/B19/B26/B28
TD LTE: B39/B41/B42
キャリアアグリゲーション: 2CA
W-CDMA: B1/B6/B8/B19
Webカメラ インカメラ:503万画素 / アウトカメラ:503万画素(オートフォーカス対応)
ほか 無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (Wi-Fi 6)
Bluetooth 5.2
バッテリー駆動時間/充電時間 約12時間
インターフェース USB3.2(Type-C/Gen1) x1
マイクロホン/ヘッドホンコンボジャック x1
nanoSIMスロットx1
サイズ / 質量 タブレット:約259.5mm(幅) x 169.2mm(奥行き) x 8.95mm(高さ) / 約614g
タブレット+スタンドカバー:
約259.5mm(幅) x 169.2mm(奥行き) x 11.35mm(高さ) / 約743g
タブレット+デタッチャブルキーボード+スタンドカバー:
約259.5mm(幅) x 178.6mm(奥行き) x 17.1mm(高さ) / 約993g
自動更新ポリシー 2033年6月
価格 69,800円(税込)

良い点としては、

  • MediaTek Kompanio 520搭載により従来モデルよりも大幅に体感処理速度が上がった
  • キーボードとスタンドカバー付きでも1kgを切る軽さ
  • 4G/LTE対応で比較的場所を選ばず(但しある程度の奥行のあるテーブルは必要)使える。

惜しい点としては、

  • 4GBメモリ・64GBストレージは人によっては物足りなさ、不安を感じるかも。
    また、従来モデルよりも体感処理速度が上がったとはいえ、既存のSnapdragon搭載機と大して変わりはない
  • 入出力端子がUSB3.2(Type-C/Gen1) が1つのみ
  • 69,800円という価格設定と販路が限定されている点。また値下げが期待出来ない点。

が挙げられます。
勿論この辺りの良い点、惜しい点は人により用途により異なりますが、気に留めて頂きたい点です。

ということで、以下これらの点を中心にこのモデルについて見ていきます。

ベンチマーク結果:MediaTek Kompanio 520搭載により旧モデルよりも体感処理速度が大きく上がった。

ということで、ここではChromebookでお馴染みの幾つかのベンチマークの結果を、他のスタンダード、もしくは人気のモデルと比較してみます。

基本的にはChromebookのパフォーマンスに大きく影響するのは「CPU」と「通信環境」です。後者は各ユーザーごとに環境が異なるため判断が難しいのですが、CPUに関しては一応指標となる定番のベンチマークが幾つか存在しています。ベンチマークがすべての指標になるわけではなく、実際の場面というのはもっと多種多様ではあると思うのですが、ここでは目安として判断材料の一つとお考えください。

今回比較対象として、以下の2モデルを選びました。

  • Lenovo IdeaPad Duet Chromebook
    本当はこのモデルの旧機種ともいえるDetachable CM3を選びたかったのですが、手元にベンチマーク結果が残っていなかったため、性能的にはほぼ同じであり、また未だに2-in-1デタッチャブルとしては(後継のDuet 370が出たにも関わらず)売れ続けている、国内で最も有名なChromebookともいえるこちらを選びました。
  • Lenovo 14e Chromebook Gen3
    Chromebookの現行普及価格帯スタンダードモデルとして、Intel N100プロセッサーを搭載したこちらを選択しました。
    発売日も同じ、というだけでなく、今回のような2-in-1デタッチャブルタイプを求めないのであれば、2024年における1つの基準となるスペックを持ったモデルだと思います。
ASUS Chromebook CM30 Detachable Lenovo IdeaPad Duet Chromebook Lenovo 14e Chromebook Gen3
CPU MediaTek Kompanio 520 MediaTek Helio P60T Intel N100
ブラウザーベンチマーク
Octane 2.0 23,009 9,703 40,287
Speedometer 2.0 53.68 25.8 120.0
CrXPRT2 77 134
Androidアプリ版ベンチマーク
Geekbench 5 single : 495
multi : 1,347
single : 262
multi : 909
single : 862
multi : 1,586
PCMark Work 3.0 7,231 6,768 9,634
3DMark – Sling Shot Extreme 1,430 1,131 3,266
3DMark – Wild Life 725 : FPS 4.35 2,204 : FPS 13.20

ChromebookではChromeブラウザー上で作業を行うことが多くなります。そのためベンチマークもブラウザーベンチマークを中心に評価されます。上記の表の内、最初の3つがそうしたブラウザーベンチマークです

1番めのOctane 2.0はChromebookではお馴染みのベンチマーク。既に古くなってしまっているのですが、今までずっと使われてきたこともあり、過去のモデルの測定結果なども蓄積されていますし、そうした点でもChromebookのパフォーマンスを比較するのに今でも重宝するベンチマークです。

2番めのSpeedometer 2.0はAppleのWebKit開発チームが公開している、モダンなWebアプリケーションのための応答性ベンチマークになります。

3番めのCrXPRT2は最近使われるようになりました。Chrome拡張機能として使うことが出来、Chrome OSの総合性能を計測できる、HTML 5ベースのベンチマークテストになります。

簡単に考察するのであれば、Chromebookの現行普及価格帯スタンダードなスペックから考えると、2年くらい前の性能ではあるものの、これがコンパクトさと持ち運びやすさを最優先に考える省電力タイプの2-in-1デタッチャブルタイプのモデルと考えるのであれば、Duetなどの旧モデルと比べても(Androidアプリの動作においてはそこまで差はないものの)Chromeブラウザーでの作業においてはスコア的には2倍の数値である点は注目に値すると思います。

とはいえ、この数値は2年近く前に同じ2-in-1デタッチャブルタイプのモデルとして発売されたHP Chromebook x2 11や、Duetの後継であるDuet 370に搭載されていたQualcommのSnapdragon 7c Gen2と比較すると若干劣るか、同等くらいと考えると、評価が難しいところでもあります。

つまり、既にDuet 370やHP x2 11を愛用されている方にとっては、今回敢えて買い換える必要性はない、とも考えられるからです。

どちらかといえば、初代DuetやDetachable CM3を購入していて、ご自身の使い方にとてもマッチしている、と感じていながらも、現時点ではそろそろ要所要所でのモタツキなどが気になり始めた、という方の乗り換え先として、前述のSnapdragon搭載機が市場からはだいぶ姿を消してしまっている現状としては良いのではないか、という印象です。

スペック:現行主流ではなく数年前のエントリーの後継ながら、デタッチャブルタイプであれば順当な進化。

搭載されているプロセッサーはMediaTekのエントリーラインの後継プロセッサーとして一昨年の末に発表、昨年のモデルから出てきたKompanio 520(MT8186)です。昨年、と書いたように、Chromebookでも昨年半ばに出てきた普及価格帯モデルに採用されています。

MediaTek Kompanio 520: Performance Benchmarking Comparison

Kompanio自体はベンチマークスコアも含め単純な体感処理速度では現時点のChromebookのスタンダードとなるIntel製プロセッサー(N100など)に比べると劣りますが、反面バッテリーの持ちの良さなどのメリットがあります。

(以前はIntel製に比べてArm系プロセッサーであるMediaTek製プロセッサーはAndroidアプリとの相性が良い、という部分もあったのですが、最近はどうもそうとは言えなくなってきている状況があるため、その点は省きます。)

そんなMediaTek製のプロセッサーには3つのラインがあり、今回採用されているKompanio 520はメインストリームである800番台ではなく、エントリーラインの500番台の後継となります。とはいえ、一応エントリーラインの最新ということもあり、メインストリームの現行820に近いスコアは出せているのが特徴です。

決して現行普及価格帯スタンダードモデル並の性能は出ないとしても、普段使いではそこまでモタツキや不自由は感じにくい、その辺りのラインのプロセッサーです。それが今回デタッチャブルタイプのモデルに採用されたのは大きいと思います。

通信:4G/LTE対応は非常に便利。但し付属SIMはこの端末でのみ利用可能。

今回大きいのはやはりこの部分ですね。実質この価格設定(69,800円)と、4GBメモリ/64GBストレージという控えめのスペックになったのは、単純に4G/LTE対応にコストがかかってしまうから(他OSのPCでもそうですが、この部分だけで2~3万円(場合によってはそれ以上)値段が変わる)というのがあると思っています。

先日レビューしたSoftBank版Lenovo 14e Chromebook同様、SIMカードスロットにSIMを挿すだけで再起動等必要なくすぐ認識してくれますし、普段も起動、スリープからの復帰後それ程時間もかからず電波を掴んでくれるのはありがたいです。

SIMカードを挿せば特に再起動等必要なく、即電波を掴んでくれます。
ちなみに一応eSIMにも対応か(表示はあるものの未確認)。

Chromebookが初めて4G/LTEに対応した頃は、本当にSIMの相性から設定の難しさまで一般には到底オススメしづらいほど面倒、厄介で、時々機嫌が悪くなって認識しなかったり、といったこともあったのに比べれば雲泥の差です。

で、この常時接続状態って、頭だけで考えると「別にWi-Fi繋がるところとか、もしくはインスタントテザリングやモバイルルーターとか別途持ち歩けば良いじゃん」となるのですが、実際に使ってみるとやはり「楽」「ひと手間の面倒さがなくなる」というのは使い方を大きく変えてくれるな、と思います。

道具ってどんなに便利だったり、凄い機能を持っていても、使い始めの頃は刺激や新鮮さが勝るので使うのですが、ちょっとした面倒さがあるだけで自然に使わなくなってしまう(使うのが面倒くさくなってしまう)んです。

前述の例で言えば、確かにインスタントテザリングやモバイルルーターがあれば同じではあるんですが、「あ、繋がなきゃ」「モバイルルーターのスリープ解除しなきゃ」というひと手間を考えると「じゃあ今使わなくてもいいや」ってなってしまいがち

使用頻度が減ると、ますます触れる機会が減るので触るのが面倒になってくるんです。そう考えると、開けば常に繋がっているのはやはりそれだけで使うハードルを下げてくれるな、と感じました。

ちなみに一応対応バンド的には他キャリアも使えるはずなので、手元にあるSIMを幾つか挿してみましたが、

docomoのデータ通信専用SIMは挿してすぐ認識してくれました。

基本的には対応バンドも多いので、例えば上のようにdocomoのデータ通信専用SIMを挿せば、同様に接続されます

ただ、先日購入しレビューしたLenovo 14e Chromebook Gen3の際に契約したSoftBankのデータシェアプラスの専用SIMは認識しませんでした

Lenovo 14e Chromebook購入時に契約したSoftBankのSIMは認識せず。

ちなみに今回のASUS Chromebook CM30 Detachableで使用しているauのデータSIMをLenovo 14e Chromebook Gen3に挿した際にも同様に認識しなかったので(その際も前述のdocomoのデータSIMは普通に通信出来た)、これら2キャリアの今回のモデル購入時に契約するSIMはこの端末専用なのかもしれません(同じSIMフリーのChrome OS端末でも認識しないので)。

外観とキーボード:自分がどういう用途、状況で使いたいのかは予めイメージが必要。

Chromebookに限らす、この手の2-in-1デタッチャブルタイプのモデルは人気です。コンパクトであること、タブレットとしても使えそう、など外観から使い方がイメージしやすいのも大きいと思っています。

ただ、だからこそ「本当に自分がそういう用途で使いたいのか」「使うのか」を具体的にイメージするのが必要なのがこのタイプのモデルだと思っています。

コンパクトさは確かに場所は取らなさそうに見えますが、反面液晶裏にモニタースタンドが付く分、通常のラップトップ型PCに比べて、設置場所の奥行が必要です。

通常のラップトップPCと違い、液晶背面側にスタンド分の奥行が必要になります。

また、キーボードは磁石で本体とくっついているだけなので、例えばカフェで少し作業したい、と思っても、きちんとテーブルのある安定して置ける場所(しかも一人用の小さなテーブルだと奥行も必要)である必要があります。

つまり、ソファ席で膝や腿の上に載せて(だから一般的なノートPCは「ラップトップ」と言われるわけですが)作業することは出来ません

キーボードのサイズ自体は一応フルサイズとなっているので、入力上はそこまで違和感はないかもしれません。ただ、キーストローク(キーを押した時の深さ)は1.5mmと一般的なキーボードに比べて浅くなります。

薄いもののキータッチは悪くないキーボード。
また、全体的なキーバランスも比較的取れていて、Enterキーも従来より幅が広めになっています。

当然持ち運びを重視して軽く、薄く作られていますので仕方ないのですが、ご自身のキーボードの好みと合うか(まぁ慣れればどんなキーボードでも問題ないのですが)もいつも以上に考える必要があるかな、と思います。

また、今回のモデルは、全体的なカラーイメージが「ライトグレー」になっています。これは実際のユーザーのニーズに応えての細かい調整の上で、こちらの色を選択したそうで、確かに見た目は個人的にも好みなのですが、気になる点もあります。

それが、キーボードのキーフォント。

ライトグレーのキーボードに白のキーフォントのため、明るい場所では一瞬認識しづらいです。

最近のASUSのモデルで、シルバーのキーに透明のキーフォントのために、キーボードバックライトを付けると明るいところでは却って見づらい、という悩みが出てしまったモデルが幾つかあります。今回のモデルもそれに近く、ライトグレーのキーボードにキーフォントが白のため、ある程度落ち着いた光の下であれば問題ないものの、明るい部屋や日射しのある場所ですと、白のフォントが非常に見づらくなっています。

世の中には敢えて何もキーが印字されていない無地のキーボードを好む方もいますし、デザイン的にはキーフォントが目立たない方がシンプルでお洒落な印象を与える、というのもあるかもしれませんが、使い始めで慣れなかったり、完全にはタッチタイピングが出来る訳ではなく、何気なくキーをチラッと見てしまう方にとっては、若干打ちづらいかな、と感じました。

それらのデメリット(条件)を考慮に入れても余りあるほどのメリットを自分に感じられないと、結局使わず終わってしまう可能性があります。

例えば「基本的にはタブレットとして使いつつも、落ち着いて作業が出来る場所ではキーボードを繋げて少し作業する」といったことになるのですが、ではタブレットとしてどういう使い方をするのか。こうした「使い方」をイメージする部分は何もデタッチャブルタイプに限らず通常のラップトップPCでも何でも同様なのですが、私的にはそうした点で「使う人を選ぶ(ハマる人にはガッツリハマる)」タイプだと思っています。

純粋にほぼタブレットとして使うのであれば、当然タブレット専用アプリとの相性が良いiPadやAndroidタブレットの方が当然使いやすい訳です。というのは、ChromebookはAndroidアプリが確かに使えますが、日本語入力等は純粋なタブレットほど洗練されてはいませんし、フリック入力等にも対応していません

とここまで書くととてもネガティブに感じられてしまうかもしれませんが、「人気のある」タイプであり、モデルの後継でもあるだけに、飛びつく前にまずはその辺りいつも以上に念入りにイメージをして欲しい(出来れば実物も確認した上で)な、と思います。

手触りもサラサラして良いものの、ライトグレーのため、使っている内に縁周りなどが黒ずんで汚らしくなってこないか、が気になりました。

最後に、先ほども触れましたが、今回のCM30 Detachableではライトグレーのスタンドカバーとキーボードが付属します。こちらの色味は個人的にはかなり好みなのですが、常に手にして持ち歩いた場合、また使っている内に、縁周りが黒ずんでこないか、そうした汚れが目立たないか、が気になるな、と感じました。

実際に長期レビューが出来ている訳ではないので憶測に過ぎないのですが、その辺り使い込んできた時の変化は少し気になっています。

こちらは以前からスマホなどのように「サードパーティー製のキーボードやスタンドカバー」などがAmazonなどで発売されるようになれば良いのになぁ、と思っているのですが、Chromebookの中ではよく売れるタイプとはいえ、全体の販売台数自体を考えると期待薄なのかな、と思っています(実際外付けキーボードもELECOM製くらいしか販売がありませんし)

インターフェース:USB-C端子が左側面に1つだけなので、外部接続時には工夫が必要。また外部液晶出力はFHDまで。

左側面にUSB-C端子が1つのみ。

インターフェースはSIMカードスロットとオーディオ端子を除けば、USB-C端子が1つのみです。このモデルを使う方は基本持ち運んで、いつでもどこでも、みたいな使い方をするでしょうから、充電しながら、みたいな使い方は少ないかもしれませんが、充電が片側面からのみ、という点、また外部液晶出力やUSBメモリ(今モデルはmicroSDスロットはなし)、USBドングル等を使いたい場合にはハブ等が必要になる可能性が出てきます。

本体左側面。端子類はSIMスロット含めてこちらに集中しています。

右側面。スピーカー部分以外は特に端子類はありません。

まぁ基本的に無線(Bluetooth)で繋ぐから問題ない、というのであれば良いのですが、その点注意が必要。

また、外部液晶に出力する際には、USB-C端子のあるモニターに繋ぐか、もしくはUSB-C to HDMIの変換アダプター等が必要です。また、その際にこのモデルに搭載されているKompanio 520は解像度がFHDまでしか対応していないので、その点は注意が必要です。

付属のWebカメラは2つ。一般的なWebミーティングに使うインカメラと、タブレットということで、モノなどを撮る際に使えるアウトカメラが1つです。どちらも503万画素です。

503万画素といってもイメージしづらいと思うのですが、動画の場合で1080pで撮ることが可能です。

Webカメラ(動画)としては1080pまで対応。
夕方の室内でもこれくらいには撮れます。

実際に撮ってみると、それなりに悪くない感じ。最近はChromebookでもWebカメラで1080p撮れるモデルが普通に出てきているのは嬉しいですね。

とはいえ、例えば試しに良く使うGoogle Meetの場合ですと

室内とはいえ、一応外からの光が結構強く入ってくる窓際なのですが、全体的に暗め。

画質自体は悪くはないのですが、まぁ一応実用には耐えられる感じかな、という印象です。

Google Meetで設定出来る画質は720pまで。

これはWorkspaceアカウントでない通常のGoogleアカウントの場合、Google Meetで設定出来る画質は720pまでだったのも影響しているかもしれません(相手から受信できる画質は1080p)。

付属品(収納型USIペン):プッシュ式で取り出しが簡単になったのは好印象。ただ、互換性はほぼなく、また対応アプリや使い勝手は微妙。

旧モデルで「不評」だった収納型USIペン。爪で引っかけてもなかなか取り出せず、不良品かと思った、取り出し方が分からなかった、という意見も結構目にしました。それが今回は押し出し式になっていて、一回押し込むだけでペンが飛び出してきます。この辺りきちんと声を拾い上げて改善してきたのは非常に好印象ですね。

ペンの規格は既にChromebookではお馴染みとなったUSI。最近はサードパーティー製でもようやく対応のペンが出てきたので、ある程度選択肢もあって助かります。

ということで、このペン対応(のタブレットとして)目当てで購入を検討されている方もいると思います。

実際ネットを眺めていると、Chromebookでも素敵なイラストを書かれている方もいますので、その辺りはアプリとご自身の腕次第の部分が大きいのは確かなのですが、iPadとApple Pencilや、SamsungのSペンと対応アプリのような書き心地を求めると厳しいと思います。

試しに付属のメモ(ペンを抜くと標準設定で起動する)で文章を書いてみたところ

私の場合、タブレットでペンを使う用途はイラストではなく、ノート代わりなのですが、パームリジェクション(書く際に手の一部が画面に当たっても、それは認識せずにペン先のみを認識する機能)も対応しているアプリはあるものの、細かい字を書く際に反応が遅れたり鈍かったり、といったことがどうしても発生してしまうのが悩ましいところ。

最上段に書こうとすると、Chromebookの画面分割機能などのメニューが勝手に飛び出してきたりして使いにくかったりします。

これは一部の使い方に限られるとは思うのですが、上の方で文字を書いていると、突然画面分割のメニューが飛び出してきたり、と結構使っていてストレスを感じました。

これはChromebookがあくまでChrome OS上でAndroidのアプリを動かしている、という事情もあると思っています。純粋なAndroidタブレットとも違う、という点ですね。

とはいえ、以前に比べるとアプリ側の対応も(アプリによりますが)進んできてはいますので、ペンの利用にどの程度重きを置いているかで判断してください

尚、収納前提のため、どうしても薄く、細めのペンではあるので、長時間の利用はなかなか難しいところはあります(収納すれば自動で充電してくれるのは○)。

ということで、別途ペンの購入を考える方もいると思うのですが、その際には「USI」ペンであること(ネットを眺めていると、単に「Chromebook対応」という文字で判断して、普通のタッチペン=スマホペンを買ってきてしまった方も結構見かけるので)をチェックしてください。

試しに手元の他社製のUSIペンを2本ほど使えるか試してみたのですが‥

あと、USIペン、規格として統一されているはずなのに、一部のペンが対応していなかったり、とそれはそれで手強いので、そこが悩ましいところです。

実際、私の手元にあるUSIペン2種類が使えるか試してみたのですが、どちらも対応しておらず、反応すらしませんでした。これは流石に痛い。USIペンは元々共通規格として新たに設定された新しい規格の筈ですが、現時点ではちょっとしたバージョンの違いや製品によって全く使えなかったり、と対応が甘いのが非常に残念です。

すべてのUSIペンで試した訳ではありませんが、基本は付属のペンを使う、という前提で考えた方が良いと思います。

Androidアプリ:電子書籍や雑誌を読むには悪くない。ただ、ゲーム等は結構厳しいかも‥。

私は元々あまりデタッチャブルタイプのモデルを使いません。理由を話すと長くなる(既に充分に長いですが)ので省きますが、そのため、タブレットは別途持っています。そして、主な用途はほぼ「電子書籍や雑誌を読む」「メモやノート代わり」です。

メモ、ノートに関しては先ほど書いたのでここでは電子書籍や雑誌について触れると、これについては使い勝手は良好です。

ひとまずKindleや楽天マガジン等を使って見た限りでは、雑誌は横なら見開き、縦なら1ページをしっかり表示してくれ、拡大縮小も可能です。

縦にすれば1ページ表示に切り替わってくれます。

固定サイズの雑誌や写真がメインの書籍などを読む際にも、この大きさであれば充分に実用的なので、そうした目的で持つには良いと思います。あとは自炊したPDF(書籍)などでしょうか。

ただ、そうしたPDFを読み込むAndroidアプリ(電子書籍ビューワー)などの場合、特定の場所(フォルダー)にファイルがないと読み込まなかったりすると、Chromebookの場合はファイル管理がChrome OS側とAndroid側で保存している場所が異なるので、若干ファイル管理が面倒になると思います。この辺りはクラウドを活用するなり、多少自分なりの工夫が必要です。

よく言われるAmazon Prime VideoのAndroidアプリはHD画質まで。

映画などの視聴で良く例に出てくるAmazon Prime Videoの解像度は高画質でもHDまで。またアプリを視聴しながら並行作業などをする場合は再生が止まってしまう、などの状況もアプリによっては出ますので注意が必要です。私はAmazon Prime Videoに関しては、AndroidアプリではなくAmazonのPrime Videoのサイト(ページ)をショートカット化してブラウザーで見る、という使い方を以前からしています。この場合、動画を予め保存しておいて、という使い方は出来ませんが、あくまでブラウザー視聴なので、使い勝手は悪くありません。

あとは、多くの方が考えるであろう「ゲーム」での利用ですが、これに関しては、前半でベンチマーク結果について触れましたが、正直「なかなか厳しいと言わざるを得ない」というところです。

以前はIntelプロセッサーのモデルよりもArm系のMediaTek製やQualcommのSnapdragonのほうがAndroidアプリとの相性が良い、と言われていましたが、そもそもの処理速度、パワーの差が最近はかなり出てしまっているので、そもそもの動作がなかなか重くなってしまうんですね。

ASUS Chromebook CM30 Detachable Lenovo IdeaPad Duet Chromebook Lenovo 14e Chromebook Gen3
CPU MediaTek Kompanio 520 MediaTek Helio P60T Intel N100
Androidアプリ版ベンチマーク
Geekbench 5 single : 495
multi : 1,347
single : 262
multi : 909
single : 862
multi : 1,586
PCMark Work 3.0 7,231 6,768 9,634
3DMark – Sling Shot Extreme 1,430 1,131 3,266
3DMark – Wild Life 725 : FPS 4.35 2,204 : FPS 13.20

あくまでベンチマークの結果に過ぎませんが、「低スペック」というイメージが強いChromebookの現行普及価格帯スタンダードモデルの基準であるN100搭載の14e Chromebookと比べても半分以下のスコアになってしまっていますし、実際に3DMarkなどはベンチによってはかなりカクカクしていました。

それを考えると、余程ライトなゲームでもない限り(それすらも対応、非対応があるのですが)それ目的での購入はお勧めしにくいかな、と思います。

まとめ:Duetや初代Detachable CM3がとても肌に合って「そろそろ後継を」と考えているのであれば‥。

まとめです。

といっても、既にここまでの文中で伝えたいことはほぼ伝えてしまっているので、重複してしまうのですが、個人的な感想としては

Lenovo IdeaPad Duet ChromebookやASUS Chromebook Detachable CM3がとても肌に合っていて、毎日とても愛用している。もしくはサブPCとしてとても重宝している。

という方が、そろそろ力不足を感じてきて買い換えを考えているのであれば、現状お勧めがしやすいモデルだと思っています。

そうした使い方をする方にとっては、4G対応で常時接続でもあるこのモデルは、au限定で販路が非常に限られているとはいえ、それさえ除けば非常に期待に応えてくれると思うからです。

ただ、HP Chromebook x2 11Lenovo IdeaPad Duet 370 ChromebookなどのSnapdragon搭載のモデルをお持ちの方、特に前者でLTE対応モデルを既にお持ちの方であれば、敢えて買い換える必要はないかな、というのが正直なところです。

ほぼ性能に差がないので。

また、こうしたモデルを今まで使ったことはないけど、一台持っていたら便利だろうな、と思われている方に関しては、今回文中で長々と脱線したような「用途」などのイメージが具体的に出来ているのであれば、選択肢として考えるのはアリだと思います。

現時点で2-in-1デタッチャブルを選ぶとなると、現行モデルはこのモデルほぼ一択(Duet 370はありますが、少し以前のモデルですし)になります。

メモリ4GBに関しては文中で「気分的に不安になるかも」と書きました。

この辺りは私、最近Xなどで発信しているのですが「この手のモデルであれば、そこまでハードな使い方をしないと思うので、充分なのではないか」と思っています。64GB eMMCについても同じ。iPadやAndroidタブレットの感覚で考えると「え、少なすぎない?」と不安になるかもしれませんが、

このモデルは「タブレットではない」んです。

「タブレットライクにも使える、タブレットライトな端末」に過ぎません。

実際本体ストレージに色々ファイルを入れるにはファイル管理が面倒になりますし、それだったらChromebookでなくても良い訳です。実際日本語入力のような細かいシステム周りはそれら既存のiOSやAndroidほど弄れませんし、親切でもありません。

ということで、若干手厳しいレビューとなってしまいましたが、逆に言えばここまで私が触れてきたようなことが「全く気にならない」のであれば、現行のChromebookにおける2-in-1デタッチャブルモデルとしては、ほぼこれ一択になるのかな、という気もしています。

あとは4GB RAM/64GB eMMCがどうしても気になるのであれば、そして別に4G/LTE対応でなくても構わないから、もう少し買いやすくして欲しい、という部分が最後に引っかかっている方であれば‥その辺りASUS JAPANさんに是非要望を出して、国内での販売がされることを願いましょう。

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2023年12月22日、ASUS JAPANは4G/LTE対応のChromebook、CM30 Detachable (CM3001)を発表、同日より全国のKDDI直営店、au Online Shop...

ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)

スペック

ベンチマーク結果:MediaTek Kompanio 520搭載により旧モデルよりも体感処理速度が大きく上がった。

スペック:現行主流ではなく数年前のエントリーの後継ながら、デタッチャブルタイプであれば順当な進化。

通信:4G/LTE対応は非常に便利。但し付属SIMはこの端末でのみ利用可能。

外観とキーボード:自分がどういう用途、状況で使いたいのかは予めイメージが必要。

インターフェース:USB-C端子が左側面に1つだけなので、外部接続時には工夫が必要。また外部液晶出力はFHDまで。

付属品(収納型USIペン):プッシュ式で取り出しが簡単になったのは好印象。ただ、互換性はほぼなく、また対応アプリや使い勝手は微妙。

Androidアプリ:電子書籍や雑誌を読むには悪くない。ただ、ゲーム等は結構厳しいかも‥。

まとめ:Duetや初代Detachable CM3がとても肌に合って「そろそろ後継を」と考えているのであれば‥。

  • ASUS Chromebook CM30 Detachable(CM3001)
  • スペック
  • ベンチマーク結果:MediaTek Kompanio 520搭載により旧モデルよりも体感処理速度が大きく上がった。
  • スペック:現行主流ではなく数年前のエントリーの後継ながら、デタッチャブルタイプであれば順当な進化。
  • 通信:4G/LTE対応は非常に便利。但し付属SIMはこの端末でのみ利用可能。
  • 外観とキーボード:自分がどういう用途、状況で使いたいのかは予めイメージが必要。
  • インターフェース:USB-C端子が左側面に1つだけなので、外部接続時には工夫が必要。また外部液晶出力はFHDまで。
  • 付属品(収納型USIペン):プッシュ式で取り出しが簡単になったのは好印象。ただ、互換性はほぼなく、また対応アプリや使い勝手は微妙。
  • Androidアプリ:電子書籍や雑誌を読むには悪くない。ただ、ゲーム等は結構厳しいかも‥。
  • まとめ:Duetや初代Detachable CM3がとても肌に合って「そろそろ後継を」と考えているのであれば‥。