ASUS JAPANは2023年5月17日にChromebookの新モデル、14”コンバーチブルタイプのCM14 Flip(CM1402F)、同クラムシェルタイプのCM14(CM1402C)、11.6”クラムシェルタイプのCX1 (CX1102)を発表、翌18日より発売を開始しました。
CM14は私自身が以前より注目しているプロセッサーであるMediaTekのKompanioシリーズの最新版(2022年11月発表)であるKompanio 520を搭載ということで、気になっていました。
今回ASUS JAPANよりサンプル機を借りることが出来ましたので、使ってみての感想、またどういう方にオススメか、という部分についてレビューをしていきます。
ASUS Chromebook CM14 Flip(CM1402F)
今回お借りしたモデルはコンバーチブルタイプのCM14 Flipです。同社のモデルは製品名にある程度法則があります。それに準じると今回は「Flip CM14」となるはずなのですが、「CM14 Flip」と逆になっているのが若干の謎。
さて。今回のモデル、最近の同社の定番でもあるMIL-STD 810準拠の14インチのコンバーチブルタイプ(クラムシェルタイプも同時発売)。コンバーチブルタイプのFlipはペン対応モデルもあり、現時点でのASUSのChromebookの標準的なタイプだと思います。
最近は14”以上のモデルが比較的ハイスペックモデル、11.6”〜12”以下のモデルが普及価格帯のモデル、というパターンが多かったのですが、その中で今回のCM14は珍しくMediaTekのKompanio 520シリーズというエントリー向けChromebook用のプロセッサーを搭載した、スタンダードモデルとなっています。
立ち位置としては同社(ASUS)における現時点での普及価格帯スタンダード Chromebookに近いと思われます。
一番の特長はプロセッサーにMediaTekのエントリープロセッサー、Kompanio 520を搭載したこと
ただ、ここでIntel製のCeleron やPentium(今後N100等に移行)、Coreシリーズではなく、MediaTekのKompanioシリーズを載せてきたのが一番のポイントとなります。
MediaTekはスマートフォンやタブレットが好きな方ならある程度馴染みのあるメーカーですが、Chromebookでも実はかなり前から専用プロセッサーを提供し続けているメーカーでもあります。
今まではIntelと性能で張り合うというよりもArm系プロセッサーである強みを活かしたAndroidアプリとの相性面であったり、スマートフォンやタブレット同様にバッテリーの持ちといった部分に大きな強みがありました。
ただ最近はプレミアムChromebook用に、IntelのCoreシリーズと競合するようなKompanio 1200、1380といった上位プロセッサーも精力的に出してきている注目のメーカーでもあります。
そんなMediaTek社が昨年11月に新たに出したエントリー向けのプロセッサーが今回搭載されているKompanio 520となります。
MediaTek | MediaTek Kompanio 520
最新プロセッサーということで、性能面に大きな期待をしたいところなのですが、この520、500番台ということで、あくまで「エントリーChromebook向け」のプロセッサーとなります。
MediaTek製プロセッサーの現行主流のラインではなく、数年前のエントリーラインの後継プロセッサー
現在国内外のKompanio搭載Chromebookは大きく3種類に分かれます。「プレミアム」の1000番台、「メインストリーム」の800番台、そして今回の「エントリー」の500番台となります。
MediaTek | MediaTek | Chromebooks | MediaTek Kompanio
今日本で主に出ている「現行」Kompanioは「メインストリーム」の820(MT8192)で、最近ではASUS Chromebook Flip CM3(マイナーチェンジ版)に採用されています。
あとは今回紹介する520の前世代である500(MT8183)。これは数年前のデタッチャブルモデル等に数多く採用されて、現在「2〜3万円で買える」と思われがちなChromebookは大体この辺りのモデルになっています。
と、今回のASUSの新作モデルの説明ではなく、いきなりKompanioの説明から入ったのは、この辺りを頭に何となく入れておいていただけると、この後のCM14のレビューにおいて、このモデルの大体の立ち位置が分かりやすいかな、と思ったからです。
つまり、今回のモデルは新型プロセッサーモデルではあるものの、現行主流の820の後継ではなく、数年前に主流となっていた500の後継、つまりメインストリームラインでは無く、エントリーモデルの後継プロセッサーである、という点です。
長くなりましたが、この前提を頭の片隅に置きながら、このモデルを見ていきたいと思います。
スペック:新プロセッサーながら、あくまで「エントリーモデルのパフォーマンスを大幅に向上させた」もの
予め今回のレビューで私がポイントと考えている点を挙げておくと
- あくまでエントリー向けなので、あくまで比較対象はKompanio 500(MT8183)。となると性能的には現行主流のKompanio 820(MT8192)に近い程度。
- 但し、従来小型モデル向けだったKompanioとしては珍しく、今回は14”で解像度FHD以上のモデルで搭載している
- Kompanioシリーズの大きな強みはバッテリーの持ち
- スタンダードモデルとして8GB RAM搭載は安心感がある。
- FHD以上の解像度でバッテリーの持ちを最重視したいユーザー向け。但しその分軽くはない。
というところです。
ということで、まずはスペック面から。
品名 | ASUS Chromebook CM14 Flip (CM1402FM2A-EC0046) |
ASUS Chromebook CM14 Flip (CM1402FM2A-EC0038) |
CPU | MediaTek Kompanio 520 | |
メモリ | 8GB LPDDR4X-3600 | |
ストレージ | 64GB eMMC | |
液晶 | 14.0” 1920×1080 IPS グレア | |
ほか | 無線LAN:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6) Bluetooth 5.1 |
|
バッテリー駆動時間/充電時間 | 約12.1時間 / 約1.7時間 | |
インターフェース | USB3.2(Type-C/Gen1) x2 USB3.2(Type-A/Gen1) x1 ヘッドホン出力/マイク入力コンボポート microSDXCメモリーカード、microSDHCメモリーカード、microSDメモリーカード |
|
サイズ | 約324.6mm(幅) x 226.7mm(奥行き) x 18.3〜20.8mm(高さ) | |
ASUS USIペン | 付属 | なし |
質量 | 約1.56kg | |
自動更新ポリシー | 2032年6月 | |
価格 | 69,800円(税込) |
まずは注意点として、同価格、型番違いの2製品が展開されていますが、違いは単純に「ASUS USIペンの有無」だけです。何故2モデルを展開したのか分からないのですが、間違えてUSIペンが付属しないCM1402FM2A-EC0038のほうを購入しないようにしましょう。
Kompanio搭載モデルとして今回分かりやすく変わった点としては、従来のKompanio 500(MT8183)や820(MT8192)ではWi-Fi 5対応だったものが、ようやくWi-Fi 6に対応したこと。
あとはメモリが8GB RAMになっただけでなく、従来の2,133MHzから3,733MHzまで(このCM14は3,600MHz)対応されたことくらいです。体感速度にどの程度差が出るかは別としても、Chromebookは普及価格帯スタンダードモデルも徐々に8GB RAM搭載へと移行してきていますので、実使用上でも安心感はだいぶ違うと思います。
外部液晶出力は相変わらずのFHD(1,920×1,080)まで、というのは若干残念です。これは同じArm端末であるSnapdragon搭載モデルが4Kまで出力出来ることを考えると惜しくはありますが、14”という液晶サイズを考えると、敢えて外部4Kモニターに出力して作業する、という方も少ない気もしますので、妥当なところかもしれません。
重さ(約1.56kg)はコンバーチブルタイプと考えれば仕方ないのですが、ちょっと惜しいかな、と。Kompanio搭載のモデルは「バッテリー持ちの良さ」が1つの強みです。そう考えると、据え置きというよりも、持ち歩いてどこでも広げて作業が出来る、というのが魅力だと思うんですね。
別途充電器を持ち歩かなくて良いと考えれば、この重さでも充分なのかもしれませんが、機動性を重視するなら同じCM14のクラムシェルタイプ(約1.45kg)のほうが良いと思います。
この重さの14”モデルをコンバーチブルを活かしてタブレット的に使いたい、という方であれば良いのですが、そこが悩ましい点ですね。
価格に関しては現実的な視点で考えれば「妥当」。ここに疑問を感じる方も結構いるかもしれませんが(特に「Chromebookは2〜3万円」と考えている方にとっては)、基本的にはChromebookの基準価格は5万円強と考えていますので、この辺りの価格帯がハードウェア面を考えても仕方ないかな、と思います。(この価格の妥当性の部分は長くなるので省きます)
とはいえ、競合モデル(Chromebook)との関係を考えると「厳しい」と言わざるを得ません。ここは後述します。
ベンチマーク:Kompanio 820に近い性能。IntelのN5100と比べると若干弱いが、充分か。
ということで、ここではChromebookでお馴染みの幾つかのベンチマークの結果を、他のスタンダード、もしくは人気のモデルと比較してみます。
基本的にはChromebookのパフォーマンスに大きく影響するのは「CPU」と「通信環境」です。後者は各ユーザーごとに環境が異なるため判断が難しいのですが、CPUに関しては一応指標となる定番のベンチマークが幾つか存在しています。ベンチマークがすべての指標になるわけではなく、実際の場面というのはもっと多種多様ではあると思うのですが、ここでは目安として判断材料の一つとお考えください。
今回比較対象として、以下の2モデルを選びました。
- ASUS Chromebook Flip CM3
MediaTek Kompanio搭載モデルの比較対象として現行のメインストリームライン、820搭載のモデルを選びました。 - ASUS Chromebook CX1102
現行普及価格帯スタンダードモデルとして、今回同時に発表、発売された同社の11.6”モデルであるCX1102を選びました。こちらは今話題のIntel N100ではなく、Celeron N5100ではありますが、Intel製スタンダードとの比較として選びました。
尚、こちらのベンチマーク結果は私自身の手元になかったため、同じChromebookブロガーであるHelenTech.net(へれん氏)からお借りしました。
→「ASUS Chromebook CX1 (CX1102)」の Celeron N5100 モデルを実機レビュー | HelenTech
ただ、比較対象の2モデルはどちらも4GB RAMモデルとなります。今回のレビュー端末であるCM14 Flipは8GB RAMモデルとなりますので、その点はご了承ください。
ASUS Chromebook CM14 Flip | ASUS Chromebook Flip CM3 | ASUS Chromebook CX1102 | |
CPU | Kompanio 520 | Kompanio 820(MT8192) | Celeron N5100 |
ブラウザーベンチマーク | |||
Octane 2.0 | 22,271 | 22,116 | 30,864 |
Speedometer 2.0 | 54.7 | 57.1 | 90 |
CrXPRT2 | 76 | 71 | 107 |
Androidアプリ版ベンチマーク | |||
Geekbench 5 | single : 506 multi : 1,487 |
single : 570 multi : 2,274 |
single : 470 multi : 900 |
PCMark Work 3.0 | 7,266 | 9284 | 7,812 |
3DMark – Sling Shot | 2152 | 5,467 |
ChromebookではChromeブラウザー上で作業を行うことが多くなります。そのためベンチマークもブラウザーベンチマークを中心に評価されます。上記の表の内、最初の3つがそうしたブラウザーベンチマークです
1番めのOctane 2.0はChromebookではお馴染みのベンチマーク。既に古くなってしまっているのですが、今までずっと使われてきたこともあり、過去のモデルの測定結果なども蓄積されていますし、そうした点でもChromebookのパフォーマンスを比較するのに今でも重宝するベンチマークです。
2番めのSpeedometer 2.0はAppleのWebKit開発チームが公開している、モダンなWebアプリケーションのための応答性ベンチマークになります。
3番めのCrXPRT2は最近使われるようになりました。Chrome拡張機能として使うことが出来、Chrome OSの総合性能を計測できる、HTML 5ベースのベンチマークテストになります。
触れた通り、ベンチマークテストの結果だけでは快適さは判断出来ないところはあります。ただ、全体的なパフォーマンスとしては、既に昨年発売されているKompanio 820搭載のFlip CM3と大きな差はありませんでした。むしろ若干数値的には低めに出ているので(特にGeekbenchでのマルチコア等、あとはAndroidアプリのパフォーマンスにおいて)その辺りは惜しかったかな、と感じます。
見方を変えれば「エントリー向け」が1年以上前の「メインストリーム向け」に肉薄している、とも考えられます。
現行のIntel製プロセッサー搭載モデルに比べるとブラウザーパフォーマンス等ではどうしても見劣りしてしまいます。この辺りは今に始まったことでは無く、MediaTek製に限らずSnapdragonなども出てきたことでようやく「ひと世代くらい前のIntel製プロセッサー並」になってきていますので、実用面ではそこまで影響は無いと思います。
というと、Intel製プロセッサーがベターなように思われるかもしれませんが、その分の強みと言えるのが「Androidアプリの相性」と「マルチコアによるマルチタスクの処理速度」、更に「バッテリーの持ち」になります。この辺りはMediaTekも強みとしてアピールしています。
バッテリー持ちは1時間で10%前後といった感覚で、実際に8時間前後は(もちろん使い方次第ではありますが)持つ場合もあり、その辺りは大きな強みだと思っています(以前Twitterでアンケートを取ったことがあるのですが、Chromebookユーザーのバッテリーの持ちの平均は4〜5時間だった(この辺りはそろそろ記事にします))
それでは、ハードウェア面についてそれぞれ見ていきます。
キーボード:お馴染みの最近のASUSキーボード。ハイエンドではないので、この辺りは仕方ないかな。
まずはキーボード。ASUSお馴染みのキータッチです。なのでASUSのこの価格帯のラップトップPCに慣れている方なら使いやすいと思います。
以前のChromebookでは日本語配列キーボードも専用の金型でバランス良くキーが配置されていて、各キーサイズに無理がなく、見た目も「流用してコスト下げました」感がなかったところが個人的には好印象だったのですが、ここは最近のASUSのポリシー通り、「各国流用の金型で作られたキーボード」のため、一部キーサイズ等のバランスが悪くなっています。特にBackspace周り等にその傾向が見られます。
先日ASUS台湾本社ツアーに招待頂いたときに「以前は台湾でも英語キーボードを併売していたけれど、最近は各国の言語キーボードのみの販売に方針転換した」「各国の言語を尊重している」と言われていたのですが、尊重している割には金型が「英語配列キーボードの金型流用でそこに無理矢理当てはめただけ」のキーボードなのはどうかと思いますが・・
そこはこの価格ですから。価格相応です。そこまで求めちゃいけません。どこにコストをかけて、どこのコストを削るか、です。
ということで、この辺りは以前は毎回口うるさく指摘していたのですが、今回は「まぁそんなもんだよね」という印象です。だって7万だもん。そんなもの。
ただ、15万、20万、更には50万近くするハイエンドモデルでも同じようなコスト削減金型流用キーボードデザインにしてるのは、申し訳ありませんがこれからもネチネチと指摘させていただきます。Appleがそれやったら「ジョブスが生きてたら」って散々に言われるよ、きっと。
インターフェース:必要充分。ただ、個人的にはHDMI端子も欲しかったところ(ここは意見が分かれるところかな)
左右にUSB-C端子があるのは好印象です。どちらからでも充電出来るのはありがたいです。またUSB-A端子も1つあるのはありがたいですね。Chromebook自体、そこまで周辺機器、アクセサリー類を繋げることはないのですが、それでもBluetoothの関係でワイヤレスマウスと相性が悪いことがあるので、USBドングルを挿して使いたいこともあるからです。あとはクラウドゲームサービスを使う際に有線のコントローラーを私は使うので、その点でもありがたいです。
このモデルがどういう用途を想定しているか、にもよるのでここは意見が分かれると思うのですが、1.5kgオーバーの14”のモデル、と考えると欲をいえばHDMI端子も欲しかったところですが(プロジェクターや外部液晶、キャプチャーデバイスに繋ぐ際に)、ここはUSB-Cハブ等で対応しろ、ということかもしれません。
あとは、外部出力がFHDまでなので、MediaTekのプロセッサー的な制限もあるかもしれませんが、その辺りは分からず、です。
その他:エルゴリフトヒンジとプライバシーシャッターについて。指紋認証センサーがないのは若干残念。
その他、気になる点を挙げてみると、
まずはASUSのラップトップPCではお馴染みのエルゴリフトヒンジ。
開くと本体後部が持ち上がることで、底面に隙間が出来、排熱がしやすくなるとともに、キーボードに若干角度が生まれることで入力しやすくなる、というのが特長ですが、個人的に最近このエルゴリフトヒンジで魅力を感じているのが、例えば膝を立てて、その上にラップトップPCを置いて作業したくなったとき。
あまりこうした使い方はしないかもしれませんが、ヒンジ部分が膝に引っかかってくれるので、滑り落ちてこないんです。これが意外と便利。
あとはこの価格帯としてはありがたい、Webカメラ部分にプライバシーシャッター(手動)が付いていること。
最近ではお馴染みの機能ではありますが、こうしたスタンダードモデルにも採用されるようになったのはありがたいですね。
指紋認証センサーが付いていれば更に良かったのですが、ここはコスト的に難しいと思うので、仕方ないところ。
価格設定のジレンマ
これについては書き始めると長くなる(特に適正価格的な話になると)ので軽く触れますが、このモデル、単体で見た場合の価格設定は「妥当」です。
ただ、ここ数年の国内個人向け市場における各メーカーの価格戦略の影響もあって、全体的な相場のイメージが(製品的に妥当かどうかではなく)下がってしまったこともあり、実際に「この価格を出すと買えてしまう競合モデルが存在」してしまいます。
それが、HP Chromebook x360 13bです。
HP Chromebook x360 13b 製品詳細 – ノートパソコン | 日本HP
こちら、搭載しているのがプレミアムラインであるKompanio 1200なんですね。でありながら、現時点でHP本家サイトでほぼ同価格帯(69,880円(文章作成時点))で販売しています。
となると、どうしてもそちらに傾いてしまうのです。余程今回のエントリーラインのKompanio 520がプレミアムラインの1200に勝るインパクトのある魅力があれば別なのですが、そこが見出しにくいのが現状です。
ただ、これは今回のCM14の価格設定が高い、という訳ではなく、本来はこの辺りの価格帯が妥当なんですね。むしろHPのほうが一時期個人向け市場でも認知度を上げるためにかなり頑張って値段を下げた結果に過ぎないので、それを基準にしてしまうのは酷というものです。実際現時点でのHPの現行モデルのラインナップを見ると、そのフェーズは終了して、今はそこまで個人向け市場には力を入れていないことが分かります。
今後のChromebookに関しては、数年前の型落ちモデルの投げ売りを除けば、基本的には全体としてのラインナップも減ってきますし、価格もメーカーが採算的にも妥当と考えられる価格帯に落ち着いてくると考えられますので、あまり一時期のHPの価格設定を基準にすると今後購入が難しくなると思います。
とはいえ現時点ではこのx360 13bがあることは事実ではあるので、その点では現状では若干厳しい戦いになるかな、と思います。
まとめ:バッテリー持ちを重視しつつ、14インチFHDモデルを探されている方に適したモデル。
まとめに入ります。今回のこのモデル、個人的には以下の条件に当てはまる方には数少ない貴重な選択肢としてオススメ出来ると思います。それが、
Chromebookの中でも特にバッテリー持ちを重視しつつ、14インチで解像度FHDのモデルを探している方
特に今回は普及価格帯スタンダードながら8GB RAM搭載なのでその点の安心感もあり
です。文中で「メインストリームラインのKompanio 820(MT8192)とパフォーマンスに大差ない(むしろ若干劣る)」と書きましたが、かといって820搭載の国内現行モデルってASUS Chromebook Flip CM3(CM3200)しかないんです。
このモデル、重さは1.1kg強と手頃なのですが、12インチ、解像度1,366×912なんですね。携帯性には優れていても、ある程度広めの画面と解像度で作業をしたい、という場合にはどうしても力不足を感じてしまいます。その上、4GB RAMです。つまり、こちらは比較的モバイル、Androidアプリもある程度動くタブレット的な使い方もかなり意識したモデルになっています。
それに対して今回のCM14はパフォーマンス的には近いものの、14インチ、画面解像度もFHDですし、8GB RAMということで複数タブを開きながらの同時並行作業にもより向いています。
でいながらバッテリー持ちもChromebookの平均的な4〜5時間に比べれば充分に持ちます。重さは1.5kg超と確かにありますが、その分充電器等を持ち歩かなくても良いと考えれば、却ってかさばらなくて良い、とも言えます。
そうした点を考えると、従来イメージされていた(低スペックでもサクサク動く、ではなく)「バッテリー持ちも良い」Chromebookのイメージに近いモデルとも言えますし、サイズ的にもスペックバランス的にも価格の妥当感としても、今後の普及価格帯スタンダードモデルの1つの指標になるモデルと言えるかもしれません。
決して派手さはありませんが、その点では分かりやすいモデルだと思います。
ただ、もしペン使用やタブレット的用途を求めないのであれば、価格面(税込49,800円)を考えても、クラムシェルタイプのCM1402Cのほうをオススメしたいかな、と。
ASUS Chromebook CM14 (CM1402CM2A-EK0035)
価格的には妥当、とは書きましたが、まだ一般的にはChromebookのイメージを考えると5万円超えは心理的なハードルも高いと思いますので。
ここ数年で国内でもChromebookを販売するメーカーが増えましたが、一度根付いてしまった「Chromebookは2〜3万円」という印象を拭いきれずに、結果としてメーカーもユーザーも自分たちで首を絞める結果となってしまったのかな、というのがここ最近の私の感覚です。
そして気がつけば文教法人向けモデルは今も精力的に(またこの後のネクストGIGAに向けて学校向けはまた勢いが出てきますが)製品が展開されている中で、個人向け市場は各社ともに今後の展開をどうするのか悩んでいる、というのが現状だと思っています。
そうした中でも、5年前、7年前から変わらず、コンスタントに毎年個人向け市場にも新製品を出し続けているメーカーは実はASUS JAPANだけ、と言っても良いかもしれません。
そこは本当に素晴らしいことだと思っています(別に今回端末貸出を受けたから褒めている訳ではなく)。
最近のChromebookは高くなった、と言われがちですが、実際この7年間を見てみても、7年前とほぼこの辺りのモデルの価格は変わっていないんですね。そこに追加でハイスペックモデルも展開されるようになっただけです。
個人的には今回のCM14辺りのモデルが普通に普及価格帯スタンダードモデルとしてそこそこ個人向け市場でも売れるようになってくれたら良いな、と願っています。