本日のTwitterから。2018年度から共学化がスタートした文化学園大学杉並中学・高等学校ではASUS Chromebook Flip C213NA-BW0045が導入されているようです。
上級生は今日から通常授業が始まりました。
新入生は授業の本格化に備え、一台ずつ持つノートパソコンのセットアップを行いました。 #文杉 #chromebook pic.twitter.com/RwayJn4Ixb— 文化学園大学杉並中学・高等学校 (@bunsugi) April 9, 2018
先日のAppleの教育市場も意識した低価格iPadの発表もあり、日本でもようやくChromebookというものを知ったという方が出てきているようで嬉しいです。Appleさん、本当にありがとう。とともに、こうした教育市場での普及云々に関する記事も増えてきています。
https://news.mynavi.jp/article/20180409-chromebook/
私もこのブログでは今まで教育市場におけるChromebook話なども色々書いてきましたが、今更「iPadとChromebookのどちらが優れているのか」といった無意味な話をしても仕方がありませんので、以前から「その内書く書く」言ってて書けていなかった「私が教育市場への導入で求めているもの」について少し書いてみたいと思います。
あなたは学校教育のおけるPCを活用した授業ってどんなものをイメージしていますか?
先週あたりからTwitterでいつものようにキーワード検索をしていると「#rebuildfm」というタグで突然Chromebookの話題が増えてきていまして、なんだろうなぁ、と思って調べたところ、Rebuildの4月3日の回でiPadとChromebookについて話されていたんですね。その中で出てきた米国の教育市場におけるChromebookの活用のされ方についてのコメントがなかなか印象的でしたので、ちょっとそれについて感想を呟かれていた方のTweetを貼らせて頂きます。
#rebuildfm でChromebookを「一般的なリテラシーとして使っている」と聞いて日本はだいぶ溝を開けられてるなーと感じた。日本だと起動の仕方、操作方法、共有の仕方とかで1年を使ってしまい、目的が「使える事 」になってしまいそう。
— しんす@物欲封印 (@fxxk_authority) April 9, 2018
興味のある方は是非一度聴いてみて欲しいな、と思うのですが、以前から私もTwitterでは事ある毎に長々と呟いてきたことともはまって、とても頷ける内容でした。
さて。あなたは学校教育におけるPCの導入、活用って、どういう授業や教育をイメージされていますか?どんなものを望んでいますか?
全国の学生に横並びで開発や特定のソフトの使い方の授業が必要だと思いますか?
Twitter等で眺めていると「Chromebookだと開発が出来ない」「Officeが使えない時点でダメ」といった意見を多く目にします。ただ、私の中では学校というある種特殊な環境において、正直そうしたものを教える必要性って全く感じておりません。
などと呟くと「お金のない家庭ガー」とか「教育格差ガー」とか怒られちゃいそうですが、じゃあ世の学生みんなが、その「Chromebookでは出来ない」レベルの何かを「敢えて学校の全体学習の場で」平等に教わる必要があるのかな、と。それこそご近所のパソコン教室と同じような授業になっちゃうよ。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2018年3月17日
全国の中学生・高校生に1人1台のPCを配布して一斉に開発の勉強やOfficeの使い方教える必要があるのか、と思っているのです。少し嫌な言い方かもしれませんが、そんなものは興味のある学生はわざわざ横並びで大して知識もない教師から教わる暇があったら、さっさと独学で身につけると思いますし、興味のない学生はその場で従来の学校方式の教育の仕方で教わっても苦痛でしかなく、実際に必要になる頃には忘れてると思うのです。
職業訓練校やPC教室のように本人たちが既に必要性に迫られていて通ってでも身につけざるを得ない、というのであれば別ですが、そうでもなければわざわざその他の授業同様に指定テキストを読み上げながら、その手順通りに一斉に目の前のPCのキーやマウスをクリックしていくような授業、わざわざやらんでも良いと思うのです。あれ、正直苦痛です。それなら自分でテキスト買って自宅で独学したほうが良いです。
実際スマホでもレポートは書ける時代ですし、方法の指導も大事だとは思いますが、もう少し実践的な内容(チームでプレゼンさせるとか)を教えてくれるような環境があるといいんですけどね。
それこそクラウドで作業した方が便利です。
— 音無です。無名かつ無言でひきこもりながらブログとか書いてる人間 (@otoit01) 2018年3月17日
えっ?中にはお金がなくてPCが買えない家庭もたくさんあるんだから、それこそ学校でPCを提供してもらわないと不公平?
バカにしたいわけではなくて、それを学校教育のただでさえ少ない授業時間の中で僅かに組み込んで、身につきますか?それ、すぐに活かせますか?しかもそれで開発に興味を持った、Officeの使い方に興味を持った後、どうするんでしょうか?それだったら、自治体のパソコン教室でも良いですし、方法は幾らでもあるはずです。親がそもそもPC使っていないのであれば、学校に放り投げても同じだと思うんです。
オフィスはいりませんよね。コラボレーション作業だったり、情報収集、なにかしらを造るための授業とおもいますし。仕事をみすえて?ソフトの操作は二の次、こだわる必要はないとおもいます。
— タケイマコト (@pcefancom) 2018年3月17日
学校というのは個人ではなかなか出来ない経験が出来る、特殊で恵まれた環境です。
私としては、学校に導入されるPCがChromebookであろうと、Macbookであろうと、Windows PCであろうと、またタブレットPCであろうと、正直どれでも良いと思っています。ただ、学校にあるそのPCでしか出来ないことを教えるのであれば、正直あまり意味はないかな、と。例えば○○ならこんなアプリが使えて、こんな開発が出来るから良い、と言っても、それを結局その後の人生で活かせなければ意味がないんです。
それよりもは、先程少し触れましたが学校というある種特殊な環境だからこそ出来ることを「教える」のではなく「体験」させて欲しい。その特殊な環境というのが「半強制的にある程度まとまった人数で共同作業を行う」というものです。
ちょっと分かりにくい表現かもしれません。既に社会に出た方は思い浮かべてほしいのですが、これ、個人でそうした環境を作るのってかなり大変なんです。まずそれだけの人数を集められませんし、それだけ集めてもみんなが積極的に参加してくれるとは限らず、またそうした環境を整えるのにもお金がかかります。企業なら出来るかもしれませんが、導入にかなりのハードルがあるのは想像できるかと思います。けれど、学校は基本的にほぼそれが揃っています。やる気の差はあったとしても、授業でやるからには参加せざるを得ません。
その中で出来ること。それは、
特殊な技術や知識がなくても、今はこんなに簡単にみんなと協力して色々なことが出来るんだよ
という経験(体験)です。
漠然とでも感覚として学生の内に経験してみて欲しい。細かいスキルはその後で構わないと思う。
例えば何かの共同研究や発表、制作をしよう、となった時、昔であればなかなか簡単ではありませんでした。でも今なら例えばクラウドで共有して同時に書き込むことも、コメントを加えることも出来る。みんなが必ずしも一つのPCの前に集まる必要がありません。そして、授業中でなくてもそれらの作業が出来ます。それは自宅にPCがなくても良い。(学校にもよるでしょうが)例えば自分の普段何気なく使っている(親から買ってもらった)スマホからでも続きが出来るし、スマホで撮った写真をそのまま共有することも出来る。この辺りの感覚は既にスマホが日常になっている学生であれば、もしかしたら大人以上に馴染んでいるかもしれません(もちろん著作権やリテラシー、ルールと言った知識は必須ですが)。
授業を休んでしまった、授業でやったあの部分が分からない、そうした時にいつでも個別で教師に相談が出来る。時間を問いません。教師の側も個別のフォローがしやすくなります。
私の中では学生全員が細かいスキルを身につける必要はないと思っていて、それよりもむしろ「あぁ、こんなことが出来るんだ」という体験を漠然としたものでも構わないので感覚として感じて欲しいと思っています。
そう考えると、PCという箱物が人数分ないと使えない、よりも、どこでも、どのPCでも、自分のアカウントさえあれば授業も仕事も出来るんだ、という感覚を持てるようになるのって、これから先を考えると大きいと思うんだけどな。で、その代わりアカウントの重要さとセキュリティはしっかり教える。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) 2018年3月13日
「あれ、普段スマホで何気なくやってたこと、って更に広げていくと、もしかしたらもっと色々なことが出来るのかも」と思う学生も出てくるかもしれません。「じゃあ、こういうことをやるのであれば、スマホだと少し不便だから、学校のPC使いたいな、自宅でもPC使いたいな、タブレットでも良いかも」そうした気づきに繋がるかもしれません。
優れたサービスを使うためには前提となる経験が必要で学生時代にそういった経験をしているかどうかでこれから先何を理解し、どう活用出来るのか大きく変わるのって危ういんじゃない?というライトなChromebookオフ会でしたね(* 'ー')ノ
— フ~キ (@riya__m) 2018年3月18日
こちらのTweetはちょうど先月7回目のChromebookオフ会を開催した時に話の流れから盛り上がって「それなら折角だからGoogle Classroom試してみよう!」とその場でクラスを作成して全員で参加してみた後で出た感想です。
正直なところ、PCもスマホも、今後のそうした世界もどんどん進歩していって、学生時代に「具体的な何か一つのアプリや言語」の使用方法を横並びで身につけたところで、あっという間に使い物にならなくなる可能性が高いと思っています。そして、そういう知識的なものは、必要であればその都度自分で身につけていけば良い。ただ、前提となる経験があるかないか、というのは大きく影響してきます。
だからこそ、ある一つのOSやアプリ、環境に左右されてしまうような、また応用が出来ないような知識を掘り下げていくようなことよりも、むしろ「ある程度の人数が半強制的とはいえ集まる」環境の中だからこそ出来る体験の中で、「共同作業」や「クラウド的な考え方」「PCはあくまでそのためのツールの一つ」で「目的を達成するための手段に過ぎない」ことをサックリとで構わないので感覚として知って欲しいな、と思っています。
その過程で、例えば共同作業の中で「情報収集の際の正しい情報の見極め方」「セキュリティ意識やリテラシー、マナー」といったものをその都度実際に経験しながら知っていって欲しいな、と思っています。こうしたツールは大きな武器にもなるけれど、自分や家族、身の回りの人を傷つけるものにもなるんだ、ということを授業の中で体験してほしいのです。
それが出来るのであれば、あとは各学校の「やり方」に合う端末を自由に選べば良いと思っています。正直端末の選定やOSの選定はようやくその時点で検討する段階になるのかな、と思っています。
ということで、もし良かったらGoogleでもAppleでもMicrosoftでも良いので、一度実際にClassroomや教育向けのプログラムを自分でも試してみて欲しいなぁ、と思っています。そうすると気づくことも多いかな、と。何故なら、実際それらを私たち個人が体験するのって文中でも触れましたが結構大変で難しいからです。これが出来るのって教育現場の良さだと思うので(法人の現場だとそこに様々な思惑が絡んでくるので、自由に試す、楽しむ、ということが出来ないと思うので)。