Chromebookは安さが魅力
とよく言われます。それもあってか、「Chromebookは安い」というイメージを持たれている方も多い気がします。さらに言えばそこから「Chromebookは安物。おもちゃ。」という表現をされる方もいます。
ただ、この表現、ちょっと誤解も生みやすい気もしています。
Chromebookが安いわけではありません。
Chromebookだと、安いモデルを使っても、一般的な用途なら比較的快適に使える。
ということです。もちろんこの「一般的」という表現も曖昧なので、中にはあなたの考えている「一般的な用途」だと快適に使えない可能性も十分にあります。ただ、普段からPCを様々な用途に使っている人を除けば、多くの方にとって最も使用頻度が高いのはネットに繋いだ何か(サイト閲覧やYouTube、その他諸々)だと思うのです。
そうした用途においては、Chromebookで使われているOS(Chrome OS)との相性が良いこともあって、同じ価格帯の他OSのPCに比べると快適さを感じやすい。なので、低スペック低価格のモデルを購入しても、同じスペックで同じ価格の他OSのPCを購入した時に比べて快適さを感じやすいよ、ということです。
何を当たり前のことを、と思われるかもしれません。ただ、ネットで眺めていて見かける意見の中には、意外とこの「Chromebookは安い(=安物)」ということを前提としているものも多々あると感じるのです。
そこで今回はネット上で見かける意見の例を挙げつつ、このことについて少し書いてみたいと思います。
Chromebookも他OSもハードウェア自体の価格は大して違いはありません。
「Chromebookは安いって言うけど、自分の欲しいスペックに上げたらWindowsと大して価格は変わらない」
これはネットを眺めているとよく見かける言葉です。
「Chromebookは安いっていうけど、実際そんなに安くないよな。だって結局欲しいスペックまで上げていったら、別に大して安くないんだもん。それだけの金額出すならWindows PC(MacBook)買うし。」
これ、普通に考えてみれば当たり前のことなんです。同じスペック(CPUやメモリ容量、ストレージなど)で、同じように薄さや軽さを求め、上質な液晶やキーボード、ガワを求めれば、同じようにコストはかかります。Chromebookになったから、といって、それが安くなるとしたら、その方が不思議です。
何故なら、それはハードウェア(本体自体)の価格だからです。同じスペック、同じ仕様のPCであれば、Windows PCもChromebookも変わりません。極端な話をすれば、MacBookにChrome OSを入れて販売しても、基本的には価格は(仕様を完全に一緒に出来るわけではないので多少は変わりますが)大差ないはずです。だって、それだけコストかかってるんですから。
同様に、
「Chromebookは安いって言うけど、別に大して安くないじゃん。それだったら同じ価格で普通にWindows PC買える(=からWindows PC買うよ)。」
といった声も見かけますが、理由は同じです。Windows PCだろうがChromebookだろうが、スペックや仕様、作りに合わせて価格が決まります。違いはOSだけです。だから価格も基本的にはそれほど大差ありません。
ただ、それだと、よく考えてみると「サポートもアップデートも無料」だということになります。それ、ちょっと違いますよね。Chromebookに入っているChrome OSは、そのハードウェアプラットフォームのサポートも含めて最適化された状態になっています。古いWindows PCにChromium OS等を入れても一部のハードウェアを認識しなかったり、動作が不安定になることも多々ありますが、それらはあくまで諸々含めての自己責任です。
その違いは伝わってほしいな、と思っています。
ただ、何となく「Chromebookは安い」という言葉と重なってしまって、とにかく安いものなんだ、という印象が付いてしまっているのかな、と感じています。そのため、何故か
同じスペックのWindows PCが例えば5万円で売っているのであれば、Chromebookは安いんだから2〜3万で売らなきゃ誰も買わない(=安いのが魅力なんだから)
といった風に思われがちなんですね。同じスペックのWindows PCが5万円なら、ハードウェア自体同じなんですから、Chromebookだって5万円になるはずなんです。でも何故かOSとして下に見られがちなのか、同じスペックなら安くなければならない、と思われている節があります。
これ、よく考えたら不思議ですし、ちょっと違いますよね?
同じハードウェア、同じコストなのに、なぜChromebookは「安い」と言われているのか。
もちろん、ウィルス対策ソフトが要らない、とかそういった事情もあるかもしれませんが、元々はOSが違うから、なんですね。
OSが違えば、得意とする分野も違う。
そして、Chrome OSの得意とする使い方(用途)が比較的、一般的な方の一般的な使い方とうまくハマった(ハマりやすかった)
というだけのことなんです。それが、冒頭でも触れたような、「ウェブ閲覧」などのネットに接続して使うサービス全般です。(また、Chrome OSの自体はユーザー側から見ると仕組みがシンプルなので、いろいろな作業がシンプルな分、快適さや気楽さを感じやすい、という側面はあると思います。)
全く同一のスペック、仕様のPCが2台あれば、OSが違えば当然得意分野においては一方のOSのほうが快適さを感じやすい。
だから、例えば4万円の同じスペックのWindows PCとChromebookがあれば、
- Chrome OSが得意とする分野はChrome OSのほうが快適。
- Windowsが得意とする分野はWindowsのほうが快適。
になるのは普通のことです。で、多くの方が求めているようなウェブ閲覧などにおいては、同じスペックでもChrome OS(を載せたChromebook)のほうが快適さを感じやすい。となれば、そうした用途においてはより安い価格のPCでも快適に使える、というだけのことなんです。だから、
安い価格帯、控えめのスペックでも快適さを感じやすいので、安いモデルでも実用的に使える=安い
というだけのことなんですね。
もちろんChrome OS(を載せたChromebook)も万能ではありません。ネットを活かした使い方に特化したOSです。アプリを入れることで様々な用途に用いる、といった別の使い方を求めれば、同じ価格、同じスペックのWindows PCには敵いません(そもそもアプリ自体がAndroidアプリなどの一部の例外を除いて入れることを想定していないので、そもそも勝負にならないのですが)。
高価格、ハイスペックのChromebookがあってもまったく不思議ではない理由。
Aという用途においては、同一価格帯(同一スペック)の他OSよりも快適に使える。
それは価格やスペックが上がっても同じです。高価格でハイスペックの他OSを使っている方の場合、同じ価格で同じスペックのChromebookに変えれば、Aという用途においてはより快適に使えます。
これが、ハイスペックのChromebookを愛用されている方、企業がいる理由です。
ただ、このAという用途は一般ユーザーにとってはそこまで使用頻度や馴染みがなかったり、そこまでの快適さを求めない方も多いため、多くの方にとっては敢えて必要はないし、最初から選ぶ必要もありません。
とはいえ、実際にChromebookを使ってみて、自分との相性が良いと感じた方は、意外とこの高価格帯、ハイスペックのモデルへとステップアップしていく傾向もあるようです。自分の用途がしっかりハマっているのであれば、そこにより快適さを求めるのは(CPUなどのスペックだけでなく、薄さや軽さ、液晶の質やキーボードなど)ごく普通のことだと思います。
もちろん価格やスペックが上がったからといって、今まで出来なかった(他OSのほうが相性が良かった)Bという用途が出来るようになる、ということはありません。今まで出来なかった(他OSなら出来る)Bが出来るようになるから高いモデルを選ぶのではなく、あくまでAという用途において更に快適になるから、高いモデルを選んでいる、と思ってください。
ChromebookもWindowsノートPCもMacBookも、基本的には同じノートPCです。です。
いや、ChromebookをPCと呼ぶのは違和感がある、と思われるかもしれません(実際にそうした意見を時々目にします)。
ChromebookはPCというよりもAndroidタブレットの延長のようなもの。タブレットにキーボードが付いたもの。そう考える人もいます。
ただ、基本的な構造(MBがあって、CPUやRAM、ストレージがあって、といった構成するもの)は基本的にはChromebookもWindowsも大して変わりません。何故なら、メーカー側もほぼ同じモデルをWindowsとChrome OSを載せた両モデルで販売することもあるからです。
だから、最新モデルであれば、ハイスペックであったり、多機能、またガワや液晶などの質が上がれば、どれも高価格になります。反対に、スペックを抑えて、ガワや液晶などの質を落とせば(コストを下げれば)どれも低価格になります。
なので、Chromebookは安い、というのであれば、Windows PCでも安いものはあります。
(MacBookは‥今のところスペックを抑えてガワや液晶の質なども下げて、低価格のWindows PC並のモデルというのは販売はしていませんね。)
Chromebookは起動が速い。もちろんそれはWindows PCでもアプリを多く入れず、中身が比較的綺麗な状態で、CPUやRAM、ストレージをSSDにしたり、といった状況であれば、以前ほど差はないでしょう。ただ、同じ価格で同じスペックで比べた時には、OSの特長としてChromebookは速いと感じることが多いでしょう。同じようにChromeブラウザーを使っていても、同一条件で比べた時にはChromebookのほうが快適に感じるかもしれません。
それを低価格でも感じやすいので、低価格のモデルを買っても十分に日常の一般的な用途においては快適に使えるから、
Chromebookは安くてもある程度快適(=価格を安く抑えられる)
ということです。
反対に、低価格だろうが高価格だろうが、Chromebookが苦手としている分野では、低価格のWindows PCには出来るようなことですら、Chromebookでやろうとしたら手間がかかったり、面倒だったり、そもそも出来なかったりします。敢えてやる必要はない、ということも多いでしょう。そういう分野を優先させるのであれば、
Windows PCは安い
と言えると思います。Chromebookで幾ら高いモデルを買っても、安いWindows PCと全く同じ快適さは得られないからです。
今回の文章は、何となく屁理屈のような、また簡単な話を敢えて難しくしているような、そんな印象を持たれるかもしれません。
ただ、意外とこの細かいニュアンスの違いがあまり意識されずに、ただ「Chromebookは安い」「Chromebookは安さが魅力なのに」という言葉で語られていることが多いな、と思っています。そんな細かいニュアンスの違いが意外と「結構違うんだよ」ということを感じていただけたら嬉しいです。