引き続き、「この6年近くChromebookを使ってきた私なりの、このPC、OSについての考え、捉え方」について書いていきたいと思います。
今回は当初別のテーマを考えていたのですが、本日ちょっとTwitterで話題になったテーマがありますので、そちらについて書いてみたいと思います。それが、
ハイエンドChromebookの存在意義が分からない。
というものです。存在意義なんて言うとちょっと小難しい話になってしまうのですが、要は
- Chromebookは低価格低スペックでもサクサク動くのが魅力なのに、高スペックや高価格になったら価値がないんじゃない?
- 高スペック、高価格のモデルが買える予算があるなら、普通にWindows PCやMacBook買うよね?
という話です。ちなみにこの話題は5年以上前から度々出てきていて、未だに答は出ていません。なので、今回の文章でも基本的に答はありませんが、読まれているあなたの話のネタ、楽しみの1つとして楽しんで頂けたら、と思います。
私なりの結論を先に書いておくと、
意味があるかないかなんて、我々ユーザーが考えても仕方ないじゃないですか。
趣味です。単に欲しいから買ってるんです。
ということです。以下お時間のある方はあまり肩肘張らずにお読み頂ければ、と思います。
一般的な話で言えば、現時点では多くの人にとってはあまりメリットを感じにくいとは思う。
前回までの話を読まれた方であれば、私なりのChromebook、Chrome OSの魅力や特長、捉え方については、同意できるか出来ないかは別としても、それなりにご理解いただけたのではないか、と思っています。ただ、その中でも難しいのが今回のテーマです。
これについては、前回迄でも実際に
「現時点でハイスペックモデルの良さを活かしきれるほど現状(の仕事環境やWeb環境)は追いついていない」
と書いています。まだまだあらゆる業種のあらゆる仕事をWeb上のみで完結させることは難しいと思います。それは仕事内容だけでなく、私たち自身の意識もそうですし、何よりWeb上で出来ること、また通信環境を考えても同じです。
多くの方がイメージされる「社会人のお仕事」においてはまだまだMicrosoft Officeは必須でしょうし、クリエイティブ(これについては回を改めて考えます)な仕事をされる方にとっては仕事で求められるレベルでは出来ないことも多いのではないでしょうか。(ちなみに私の以前の仕事ではChromebookで充分でした。)
そうしたことを考えると、ハイスペックを求められる、そうした処理を求められる作業をされる方が他OSを選ぶのは当然です。そういう方にとっては、必要なアプリが動かなければ意味がないからです。
また、今Chromebookで出来ることで、多くの方がイメージされていることって、そこまでハイスペックが求められるものは多くはありません。そうしたことを考えると、現状ではChromebookに興味を持たれた方の多くが求める(想像出来る)用途においては、低スペックのChromebookで充分なんです。
それ程PC自体一般には普及していない日本(世界で比較してもPCの使用率も他国に比べてかなり低いようですね。スマホで充分、と言う方が多いようです)においてそれ以上の用途を求める方にとってはそもそもChromebookでは機能も足りなければ力不足、という訳です。なので、今の日本においては、余計に「ハイスペックモデルを買うくらいなら、その予算があるなら他OSのPCを買った方が良い」と思われる方が多いのだと思います。
まぁそんな一般論的な話は、今回の話に興味を持たれた方であれば、とっくに考えられている事だと思いますので、ここでは私なりに考えるハイスペックモデルの魅力について書いてみたいと思います。
Chromebookを自分の中のどういう位置づけで捉えるか、で評価は分かれると思います。
冒頭でも触れましたが、私の場合、別にハイスペックが求められるような用途はほとんどありません。基本的に仕事の中でもGoogleドキュメントやスプレッドシート、あとはこのブログを更新する、といった用途にしか使っていません。もちろんこれらの用途においても、ハイスペックモデルは一度使うと普通のモデルに戻れなくなるくらいに快適ではあります。
ただ、とりあえず私の感覚で言うなら、
『私、Chromebook自体が好きなんですよ。じゃなきゃ6年も使ってません。もちろんハイスペックのWindowsデスクトップPCもありますし、最近はM1 ProのMacBook Pro 14″も買いました。それぞれに快適でお気に入りです。
これだけ環境が充実していると、一日の中でChromebookで作業している時間も長いんです。それはそれぞれのOSにそれぞれの魅力があるのもありますし、私自身「気分が乗る」って結構重視していて、「Chromebookを使いたい気分」の時や「Windows PC起動するのはちょっと億劫だけど、Chromebookなら使おうかな、という気分」の時もある。
つまり、私の中で、Windows PCもMacBookもChromebookも優劣はありません。どれも仕事道具でもあり、趣味の道具でもある。そして一日でスマホと同じくらい、触っている時間の長いものです。』
であれば、
Chromebookだけ遅くても良いや。液晶がちょっと見にくくても良いや。キーボードが多少打ちづらくても良いや。指紋認証もなくて良いし、別に重くても分厚くても野暮ったくても良いや。
ということは考えられないんですね。私にとってはChromebookは価格の安さがメリットなわけではないからです。
Chromebookは低スペックでもサクサク、と言われがちですが、それはあくまで「同じ価格帯の他OSのPCと比べた場合に、価格の割にはサクサク」という意味です。Chromebookになったからと言って、3万円のChromebookが20万円のWindows PCやMacBookと同じようにサクサク、という意味ではありません(用途によりますが)。
そして先ほどから触れている「快適」「サクサク」というと、多くの方はプロセッサーやメモリ容量、ストレージがeMMCやHDDではなくてSSD、NVMe、GPUが~みたいな分かりやすい部分ばかりを考えてしまいがちですが、3万円のChromebookの液晶と10万円のChromebookの液晶は当然質も違います。また、指紋認証が付いていたり、質感が違ったり、野暮ったくなかったり、何より軽かったり薄かったり、といった数値には表れにくい部分での完成度も違います。そりゃそうです、コストかかってるんですから。
ここは価値観の違いになってしまうので難しいのですが、私にとってはChromebookは、良く言われる
- Chromebookで出来ることは基本的にWindows PCやMacBook等でも出来る。
- Chromebookは出来ることが限られているが、その分低価格低スペックでもサクサク動くのが魅力。
- なので、予算があるなら、また高いモデルを考えるなら、普通にそれらを買った方が良い。
があまり当てはまらないんですね。そういう方にとってはChromebookってそうした他OSより一段下の格付けになっていると思うのですが、私にとっては同列であって、時にはChromebookを使った方が仕事が捗ることもある。となると、そのChromebookだけ敢えて自分にとってはメリットでもなんでもない「低価格低スペック」にして、今挙げたような数字には表れにくい快適さの部分を犠牲にしてまで低価格低スペックのモデルを買う意味がないんです。
また、低価格のChromebookをバカにしているように感じられるかもしれませんが、まったくそんなこともありません。冒頭でも触れましたが、私にとっては趣味でもあるんです。なので、低価格モデルも好きですし使ってます。実際今までにも低価格とか高価格とか関係なく25台以上買ってきてますし、そのどれもが私は好きです。
今回はあくまで「高価格、ハイスペックのモデルの意味」という話なので、こういう比較をしているだけなので、その点はご理解下さい。
趣味なので良いモデルを使いたい。好きなモデル(Chromebook)なので、色々てんこ盛りな豪華なモデルや、何か未来や可能性を感じさせてくれるようなモデルが出たらワクワクする。そして、私にとってはWindows PCもMacBookもChromebookも同列です。機能が、とか用途を考えると、みたいなことはそもそもあまり頭にありません。
なので、MacBookやDellのXPSみたいなChromebookが出たら私は興奮しますし、欲しくなると思います。それは単に、
趣味であり、欲しいからであり、何より自分が常日頃よく使うモノは拘りたい
という単純な理由です。スマホなどガジェット好きな方、カメラや車、バイク、時計など何かしらそうした趣味をお持ちの方なら、この感覚、何となくおわかり頂けるのではないか、と思っています。
ネットで良く見かけるのが「7インチ程度で重さ500~600gくらいのLTE対応のモデルが出たら」といったものや、「指紋認証や顔認証、LTE対応が標準になって欲しい」といったものです。
これもある意味ではハイスペックと近い考え方なのではないか、と思うんです。私とは違った部分での更なる「快適さ」を、その為に更に価格が上がっても求めている、という意味では、これもハイスペックChromebookの範囲に入ってくるのではないか、と思っています
そう考えると、「ハイスペック」「高価格」って定義は難しいし、個々人で捉え方が違うので、今後も答が出ないテーマかもしれませんね。
補足と今回のまとめ:答の出ないテーマだからこそ、つい熱くもなるし、語りたくもなるよね。
ハイスペックのChromebookについての話題はもう5年以上前から出ています。もう何度も繰り返し繰り返し出てくるテーマでして、未だに答は出ませんし、今後も出ないと思います。ただ、こういう「意味があるのか」的な話って、結局はPCにある程度興味と知識があって、一家言お持ちの方にとっての楽しみみたいなものだと思うんですね。
恐らく多くの人にとってはスペック表なんて記号の羅列ですし、それがハイスペックなのかどうなのか、なんてそこまで重視してなくて、それよりもお財布と相談して自分が買えるかどうか、だと思うのです。実際に現在、国内でも恐らく最も話題になって、売れているChromebookは2万円前後のモデルだと思います。Amazonでも売れているのは(PCに詳しいユーザーが幾ら注意を促しても)結局はそうしたモデルなんですね。
ちなみに、
「最近はChromebookは高いモデルばかりが出てきて、以前のような価格面の優位性がなくなった」
と言われる方が結構いるのですが、高いモデルは10年近く前から普通にありましたし、普通に売れていて、この10年変わらず販売されています。そして、先ほど触れましたが、国内においては少なくとも5年前よりも安いモデルが普通に買えるようになりました。だって、普通にAmazonで昨年発売されたモデルが1.5万円で買えるんですよ。
同じく、
「最近はChromebookもハイスペック、高価格化路線に進み始めた。迷走している。」
とChromebookの未来を憂う方々も結構見かけるのですが、この10年、ハイスペック、高価格モデルが散々出てきましたが、低価格モデルは相変わらず普通に多く展開されていますし、むしろそちらの方が多く売れています。つまり、ハイスペック、高価格モデルが出始めたのは最近でもなければ、出たからと言って世の中のChromebookがすべてそうしたモデルになったわけでも、低価格のモデルがなくなった訳でもありません。
なので、ハイスペックのChromebookが理解出来ない方も、将来を心配される必要はありません。これからも標準は(国内では)GIGAスクール構想に則った価格帯のモデルになるでしょうし、ハイスペックのモデルを買わなくても何も困りません。
ハイスペックモデルが生理的に受け付けない、不要だから排除したい、売って欲しくない、と思われる方もいるかもしれませんが、大丈夫です、売れなければメーカーはその内販売しなくなります。
でも嬉しいですよね。Chromebookもそうした「Chromebookの存在意義」や「如何にあるべきか」みたいなことが盛んに話題にされるくらいには、国内でも知名度が上がってきた、ということなので。
Windows PCとかだと何十万だろうが何百万だろうが、用途がイメージ出来なくても「そういうの必要とする世界があるのね」ってなるし、「趣味なんだろうなぁ」って考えてくれる人もいるだろうし、いちいち言われずに放っておいてくれるのに、Chromebookだとそうはならんのが面白いな、とは思うよ。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) January 7, 2022
そして、私はこういう話が好きです。何故なら今回なんども触れたように、私にとってはChromebookは仕事道具でもありますが、それ以前に趣味でもあるからです。だから、そうした「何でだろう?」「意味あるの?」みたいな話題が数年前以上に多くの方と出来る、というのはとても楽しいのです。今回の文章もあくまで私なりの捉え方ですが、この文章をきっかけに、色々な方の色々な考え方が発信されるようになったら嬉しいな、と思っています。