靴磨きに限らず、歯磨きでも風呂でもトイレでも、習慣になっている人にとっては何でもないことが、習慣になっていない人にとっては難しいということがあります。
靴磨きも同じです。靴好きや、慣れちゃった人にとっては息を吸うように日常の一部なのですが、そもそも興味も何もない方は面倒でこれほど無駄なことはない、と思われているかもしれません。
早起きから炊事洗濯まで、習慣化してしまえば本当に楽です。けれどこれを気合いで何とかしようとするから、怠惰で駄目な自分を責めるからいつまで経っても出来ないんです。要は自分を変えるのではなくて、習慣化してしまうような環境を作り上げてしまえば良いんですね。
今回は元靴屋で靴好きの私から観た、靴磨きをしない(できない)人にありがちな、靴磨きを面倒にさせてしまっている理由とポイントを挙げてみたいと思います。簡単で当たり前のことなのですが、意外とやりがちなことばかりです。これに気付いてちょっと変えてみるだけで、劇的に変わる可能性がありますので、「靴磨きなんて人生の無駄だ」「男は(女は)外見より中身だ」とか偉そうなこと言って周りから冷ややかな目で見られる前にちょっとチェックしてみてくださいね。
靴磨きが面倒な理由は面倒だからです。
これが理由です。簡単でしょ。馬鹿にしてると思うでしょ。でも本当に単純です。面倒だからなんです。
そして、少し説得力を持たせる為に、私を例に挙げます。私もこの状態だったら、靴磨きなんてしません。「またでいいや」「その内気が向いたら」にすると思います。実際に少し靴磨きの間隔が開くときにはこういう状態になっていることが多々あります。
では、そのポイントをこれから挙げていきます。
ポイント1:靴磨きセットが大切に保管されている。
分かりづらいですね。私の例を挙げます。今月初めも実家に帰りました。玄関先で気分転換に履いてきた三交製靴ラギッドシューズにブラシをかけていたら、母から言われました。「あ、たまにはお父さんの靴も磨いてあげてよ。」
わが家の父と母は革好き、革製品好きで、そこからの影響をかなり私は受けていると思うのですが、靴に関しては無頓着です(主に父)それなら気付かないうちに綺麗にしておいてあげよう、と思ったのですが、靴磨きの為の道具が見当たりません。母に聞いてもすぐに思い出せません。その内思い出した母が言ったのは「あ、2階のトイレの前の大きな本棚の上にあるよ」
階段を上がり、トイレの前を通り、父の部屋の前のかなり大きな本棚の上(イスか三脚でもないと届かない)場所に、綺麗なタッパーに入れられて、大切そうに保管されていました。
改善点1:とりあえずブラシとネル(布)もしくはグローブだけでも下駄箱に移動させましょう。
家に帰れば靴を脱ぐ私たち日本に住む人間にとっては、靴はあくまで外履きです。外にある表札やポストと同じ。一度家に入ってしまえば靴のことは忘れてしまいます。
大切に部屋の何処かにしまわれているモノを取りに行って、玄関先まで移動して、玄関先の腰にも辛い前屈みの体勢でわざわざ靴磨きをしよう、という気持ちになれるでしょうか。年に一度あるかないか?しかもその程度だと大抵張り切りすぎるので、逆効果になることもあります。
[0474-201412] 靴屋だった私が伝えたい、年末に張り切って靴磨きなんてしなくて良い理由といつもの話。
とりあえずいつものアイテムですが、ブラシとネル(布)もしくはグローブだけでも下駄箱に移動させましょう。
ポイント2:無駄なモノが多い。
さて、早速その靴磨きセットを取り出した私ですが、まぁ靴クリームの好みは人それぞれなので良いのですが、何故か妙に無駄が多いのです。黒の靴クリームが2瓶とチューブの(半分固まってる)靴墨らしきタイプのものが1つ、その上100円ショップでも売っているハンディタイプの艶出しスポンジまでありました。あとクリーナーが2本。うち一本は使い古しの歯磨き粉の様に折り曲げられていました。ブラシが3つ。良く覚えているでしょ。思わず数えちゃいました。それだけでしたから。
それが、私のお手入れ用品一式入れてもまだ余裕が出来るような大きなタッパー(蓋付き)にゴチャゴチャって入っていました。
これで、どうやってお手入れしますか?まずこれを前にして、何から始めようと思いますか?
改善点2:1番良いのは一旦思いきって全て処分してしまうこと。
地球環境ガーとか勿体ないとかいろいろ言いたい気持ちはあると思いますが、恐らくこの状態だと今後も靴磨きはしません。それどころか、忘れたころに新しい靴を買ったときに「そういえば靴墨あったかな」って家に全く使ってないのがあるのに、また同じような黒の靴墨買ってきてしまうんです。だって、把握出来ていませんから。人間把握出来ていないモノは気付かないうちにどんどん増殖していきます。
今回の靴クリーム、ほとんど使われていませんでしたが、一部固まり始めていました。第一靴好きなら別ですが、黒のクリーム4種類も必要ですか?そして、定番のチューブ型クリーナーが入っていました。
[0461-201412] クリームよりもブラシよりも、まずクリーナーが売れる、靴磨きの不思議について改めて考えてみる。
ここで1番良いのはとりあえず思い切って全て処分してしまうんです。勿体ないなんて言って取っておくと、結局どれも使わずに使えなくなります。捨てるのも確かに勿体ないですが、使わず放置してゴチャゴチャと溜まって結局どれも使わず何年も経ってしまうのも勿体ないと思いませんか?
そして、実際それ程大きな箱は必要ないです。普段ほとんど靴磨きをしない人ほど無駄にモノが多い割に必要なモノが入っていなかったりする。
一回全て0にしてしまいましょう。勿体ないと思われる方は、一つ一つ必要か不要かチェックできるのであれば構いませんが、結構それ自体が面倒だと思います。
最近のお手入れ用品って結構お洒落です。玄関先に置いておいても結構サマになります。
以上今回は2つのポイントを挙げてみました。すぐ使える場所にない。無駄なモノが多い割に必要なものが無い。どちらも靴磨きをするまでに、「準備完了」までに一手間も二手間も加えなければ靴の前に向かえない状態を作ってしまっているんですね。
これら二つの要因を取り除いてしまうだけで簡単になります。で、無駄な買い物もなくなり、靴も綺麗になります。
そこで一つの提案です。
玄関先のオブジェの一つとして飾ってみませんか?
買い換え(厳選でも良いですが)がてら、玄関先のオブジェの一つにしてしまいませんか?ブラシとグローブ、それに何となく外見が気に入った靴クリームの瓶などでコンパクトにさりげなく飾ってしまうのです。帰ってきてすぐ手に取れる場所に。
最近の靴のお手入れ用品って結構お洒落なんですよ。さりげなく置いておくだけでも結構サマになります。
ブラシとグローブだけで個人的には充分なのですが、最近の格好いい瓶や缶のクリームがあると、ちょっと靴にも意識向けてる、少し雰囲気も気分も出るかな、と。クリームは今の時点ではまだ実際には使わなくて良いです。大したセンスは要りません。変に格好付けようとしても上手くいきませんので、却って無造作に置いてしまったほうが雰囲気出ると思います。
でも、その時大層な木箱なんかに入れちゃダメですよ。まだ慣れてませんから、開けるの面倒になっちゃいますから。そして、木箱に入るようなセットは初心者には全く不向きです。
[0446-201412] クリスマス直前。贈るならシューケアセットではなく、上等なブラシ一本渡して、ブラシかけとけ、で充分です。
結構効果的なので、是非試してみてください。これであなたが少しでもお手入れに興味を持って下さると嬉しいな、と思っています。どんなお手入れ用品が最低限必要かについては、過去に何度か書いていますので、そちらも合わせてご覧下さい。
[0790-201505] 社会人として2回目の給料日で揃えて欲しい、3,000円で揃う靴のお手入れの基本的なグッズと考え方。