昨夜、Chromebookユーザーにはお馴染みのChrome UnboxedさんからTwitterでDMを頂きました。時々やり取りをさせて頂いているのですが、今回はPixelbookで使われている通信モジュールの件です。
先日Pixelbookを入手した際に底面を開けて中身を確認した話は既に書きましたが、その際には肝心の通信モジュールまでたどり着くことが出来なかったため、Chrome Unboxedさんと相談していたのです。Chrome Unboxedさんの方でも関心を持ってくださり、開腹以外の別の方面から通信モジュールについて(技適マークも含めて)調べてくださる、と言われていたのですが、昨夜数枚の写真が届きました。
ちょっと現時点では頂いた写真の掲載に関しては確認が取れていないのでこちらで載せることは出来ないのですが、どこかの工場のような場所でのMB部分のみの写真でした。通信モジュールが見え、いろいろなマークが印字されていることはなんとか分かるものの画像があまり鮮明ではなかったため、技適マークの有無までは確認できませんでした(通信モジュール名だけでも分かれば、認証済みかどうかの確認は出来るのですが)。ただ、お話させていただく中で、別の見つけてこられた画像のおかげで大体モジュールの位置がわかりましたので、前回断念した黒いフィルム(シート)部分を一部剥がして確認してみようと思いました。
使われている通信モジュールはIntel製のDual Band Wireless-AC “7265D2G”。
今回、搭載されているCPUもIntel製のCore iということもあり、予想通りモジュールもお馴染みのIntel製のDual Band Wireless-AC 7265でした。
こちらは幾つか形式はありますが、一般的な7265D2Wという名称で技適認証済になっています。
ただ、今回Pixelbookに用いられている通信モジュールはこの7265D2Wではなく、7265D2Gという新しいモジュールです。写真でもお分かりの通り、現時点では技適マークが付いておりません。また、上記の総務省のホームページで検索しても、この7265D2Gというモジュールは出てきません。さらに言えば、本家Intel社のサイトで確認しても、同様に7265D2Wは出てきても7265D2Gは出てきません(Google等で検索してもD2Gまで含めると全く出ません)。
ちなみに、先日同様に開腹したSamsung Chromebook Proにおいては、7265D2Wが用いられておりました。
- [かぶ] Samsung Chromebook Proレビュー。3:2の液晶、1kg強という軽さでAndroidアプリが「そこそこ」楽しめる、純正ペン付きCore m3モデル。 | おふぃすかぶ.jp
今回のPixelbookは、Chromebookとしては初めて、第7世代であるCore i5-7Y57プロセッサーが搭載されました。
CPU | Intel Core i5-7Y57 (Intel HD Graphics 615) Octane 2.0 : 30234 / speedometer 1.0 : 111 |
決して最新、というわけではありませんし、既に搭載例もあるとは思うのですが、このあたりの関係でタイミングも重なり、従来の7265D2Wではなく新しい7265D2Gを載せてきたのであれば、間もなく別のモデルで日本で発売される際に一緒に技適認証を通す可能性は十分にあると思います。ひとまず現時点ではこの7265D2Gという形式では技適マークが付いていない、という点だけ触れておきたいと思います。
ここで改めて一般に「技適マーク」と呼ばれているものに関して。
技適マークに関しては様々な解釈があります。通信モジュールに付いていれば問題ない、と考える方から、いや、モジュールを含めたモデル(端末本体)全体で通っていなければダメだ、という方まで様々です。また、例え本体底面などに技適マークがあるからといって、そのモデルが必ずしもモデル(端末本体)全体で通っているとは限らないため(通信モジュール単体で通してある場合も、外側から「分かる」ように通信モジュール単体の技適マークのコピーを外側に印字しても「良い」ということになっているため)、解釈に関してはグレーな部分もあります。
また、多くの方が誤解されている「電源が入っていなければ」「通信さえしなければ」問題ないのか、というとこれも難しいところで、私が関東総合通信局に確認をした限りでは「電源が入っていなくても」「通信をしていなかったとしても」そもそも認証の取れていない通信機器を国内に持ち込んでいる時点でアウトだとのことです。
非常に難しい部分ではありますので、それをどう捉えるのか、また私のように技適マークの無い端末についてブログ等で公に発信することは良いのか、という部分まで意見は分かれると思います。このあたり、私の考えについては過去何度も書いていますが、横断歩道の信号無視などと同じで、もし生理的に受け付けない、という方は読まれないほうがよろしいと思います。ただ、関東総合通信局の方も言われていましたが、「こうしたことをきっかけにきちんとそれぞれが自分の頭で考えることが技適マークの目的の一つであり、とにかく取り締まりたい、ということではないこと」は知って頂けると嬉しいです。
https://office-kabu.jp/shoes/how-to-choose-your-shoes/post-19692
極端な話をすれば、本来は一台一台、その通信を行う機器全体に対して精査して認証をしなければならないんです。でも無理ですよね?では実際に一台一台調べて、取り締まることが良いことなのでしょうか。可能だとしても、それが現実問題として必要ですか?
となると、現時点では利用者一人ひとりの意識を信頼するしかありません。そして、製造業者、メーカーを信頼するしかありません。今後大きな問題が出てくるようであれば、細かい部分を含めてガチガチに固められる必要が出てくるかもしれませんが、今のところそうならずに済んでいるのが現状です。
大切なことはそれを使う一人ひとりが「電波を受発信するというのは本来難しいこと」だということを、きちんと自覚すること。けれど実際そこまで意識して使うのは難しい。であれば、きちんとした基準を設けて、それを通過した機器でのみ通信を許可します。ただ、それでも自由に出来るわけではありませんから、気をつけて使ってくださいね、ということ。それが技適マークの意味かな、と思います。
単に有無だけを論じるのではなく、かといって有耶無耶にするのでもなく。
多くの方が関心を持たれている部分でしたので、今回改めて文章にしてみました。むしろこうした文章を書き、写真を載せ、大々的に公開すること自体が「寝た子を起こす」行為に当たるのかもしれません。このあたりの是非についてはとても難しいな、とも思います。正直、SNSでの犯罪自慢と同じで、黙っていれば良いものをわざわざ騒ぎ立てるから問題を大きくするんだ、というご意見もあると思います。
東京五輪開催に向けて、総務省は「技適マーク基準の見直し」を検討しているようです。
サイバー攻撃を防ぐために技適マークの基準の強化を検討しているそうですが、法律は私たち次第で良い方向にも悪い方向にも働きます。一人ひとりの良識が問われている部分でもあります。これがどう転ぶか分かりません。
毎回Chromebookを海外から購入する度に、この問題については考えていますが、現時点での私の考え、答えとしては、今回も文章にしたように、
「単に有無だけを取り上げる、話題にするのではなく、また有耶無耶にするのでもなく、その都度技適マークについて、自分の考えも含めて発信していく」
ということです。誰もがこれで納得する答えでは無いと思いますが、もしこの文章を読まれて何か感じることがありましたら、ご自身の中でも少し考えてみてほしいな、と思っています。
私は技適マークの付いている無線機しか使わない、そもそも国内販売品しか使ってないから大丈夫、という方。本当にそれだけで良いのでしょうか。確かに技適マークは付いていますが、それで思考停止してしまって良いのでしょうか。
私を含め、多くの方はこの段階で止まってしまっているのかな、と思います。「とりあえず法律だから」と漠然と考えていて、それ以上考えることがない。付いていなければ犯罪。法律違反。
勿論この思考が良い方向に働いて、今のグレーゾーンでそれぞれの良心と自主規制に支えられて日本の現状が保たれているとも言えます。
世の中は多くの良心と暗黙の了解に支えられて保たれています。それが必ずしも良いことばかりとは限りませんが、私はそんな文化が嫌いではありません。そして、日々反社会的な迷惑・妨害行為が起きないように尽力されている方々がいる、ということも忘れてはいけないな、と思います。もし気になる点があれば、素直に聞けば良いし、曖昧な世の中の仕組みも分かった上で、そんな曖昧さの中でなんとか息苦しくないように、けれどきちんと支えている方々を裏切らないような言動を心がけたいな、と思っています。