ASUSのスマートウォッチ、ZenWatch 2の、提供を受けてのレビュー記事の4回目です。今までのレビュー記事はこちらから。今回は時計にとって大切な文字盤部分、要は顔の部分です。
ここまで、スマートウォッチの特徴でもある機能面やスペック面については敢えて触れてきませんでした。それはスマート「ウォッチ」と名乗る以上、あくまで腕時計であり、腕時計であるからには、まずは「これを腕にしてみたい」「この時計素敵だよね」といった外見や印象が大切だと思うからです。どんなに高機能であろうが進歩していようが、顔見てダメなら最初から候補に入れられません。
スマートウォッチを作る人は、自分も腕時計を普段からしていなければ良い物は作れないと思う。
スマートウォッチを作るメーカーも製作者も、自分自身が腕時計が好きだったり、いつも腕時計を愛用している方でなければ良い物は作れないと思っています。幾らAndroidの知識や経験に長けていようと、でなければ単なる腕に巻くAndroid端末に過ぎないからです。
時計って単に針があって、時間が分かれば良いのではなく、ちょっとした針の長さや太さ、インデックスの有無だけでなく、その太さやバランスまで、ほんの僅かにズレるだけで急に野暮ったくも美しくもなります。それは勿論外装も同じで非常に重要ですが、その辺りは今回は置いておいて、今回は文字盤(フェイス部分)で考えてみます。
ZenWatch 2のサイズはWI502Qで幅約37.2mmx高さ約45.2mm。けれど液晶部は1.45インチ。
ちょっと分かりづらいですね。液晶部分は実測で26mmx26mmの正方形です。つまり、楕円形の盤面ですが、表示部分は中央の26mm四方だけであって、それ以外の部分はただの黒い縁です。(仕上げは多少違いますが)
フェイスは自分の好きなものを選べますし、カスタマイズも可能です。ただ、注意して欲しいのは、楕円形全面にデザインできる訳ではなく、あくまで表示部はその中央部の正方形の部分のみです。派手な色を使えば、そこだけ真四角に表示されるだけ、ということです。
この外縁部をどう捉えるかは勿論人それぞれ(「人それぞれ」って思考停止出来る便利な言葉ですが)なのは承知の上で書けば、派手な、一瞬綺麗なフェイスほど、かなり浮きます。外縁部が余計です。
実際この外縁部に情報は一切表示されない(出来ない)んです。ただの黒。この無駄感を禅(Zen)の思想だと言ってしまえば聞こえは良いですが、そのために本体が大きくなってしまっている訳です。
モノクロであったり、地味なフェイスほどシンプルにまとまる。
印象としては、画面上で表示させている時よりも、それ以外の待機時間中にモノクロでシンプルなフェイスになっている時のほうが時計としてはまとまっています。画面を映した途端に、液晶が点灯した途端に、何となく野暮ったくなる場合も多々あります。それがもしかしたら、過去3回のレビューの中で、いまいちフェイスが定まらなかったり、しっくりこなかった理由かな、と思っています。
この外縁部分と大きな楕円形がZenWatchのアイデンティティと言われればそれまでですが。
実際少し離して見てみればそれ程目立ちはしないのですが、それでもこの26mm四方の液晶部と幅約37.2mmx高さ約45.2mmのケースサイズのバランスが絶妙に考えられた結果とは未だに思えずにいます。
勿論技術的に中に機械を埋め込む関係上このサイズが必要だったのかもしれませんが、例えばApple Watchは外縁ギリギリまで液晶を持ってきて小さい方で38mmです。日本人の腕にはせいぜい40mmくらいまでが妥当だと感じます。
この大きさがスマートウォッチらしさかもしれませんが、そろそろ次の一手が欲しい。
勿論今回WI502Qを昨日今日と使ってきて、個人的には通知機能などそれなりに便利ですし、歩数など計測してくれるなど楽しめる部分もあります。ただ、その分スマートウォッチは気に入った時計を着替えるように変えるのではなく、なるべくスマートウォッチのみを使わなければならない方向にあります。ということは、なるべく毎日、いや、片時も腕から外したくない、腕にあるのが鬱陶しくて帰ってきたらすぐ外したくなるようなモノではダメなのです。
今のところZenWatch 2自体は家に帰ってきたら外したくなるほどの異物感、邪魔な感覚はありません。重さもほとんどないですし、大きさの割には存在感を感じません。また、まだ使用数日のワクワク感もあって、なるべく腕にしていたい、という気持ちもあります。
このZenWatch 2をあなたが気にいるかどうか。それは当たり前のことですが、まずはこの顔が気にいるかどうか、だと思います。気に入れば全てが良く見えます。この良く見えると言うのは良い意味で書いています。好きなことが何にも勝ります。
ただ、今後こうしたスマートウォッチを男性も女性も愛用する、と考えると、もう少し何か次の一手が出てきても良い頃なのではないかな、と改めて思いました。
機能的には悪くないと思うんです。でも、そんな機能の魅力に気づくためには、まずは腕にそれなりの期間、してみないと分かりませんよね?