[0931-201507] 丸善マナスルシューズの修理。The Asakusa Cobblerでオールソールをしました。

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[0931-201507] 丸善マナスルシューズの修理。The Asakusa Cobblerでオールソールをしました。

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今回は敢えて三交製靴ラギッドシューズではなく、丸善マナスルシューズ、と書きました。というのも、恐らく今、修理を考えている人の多くは丸善マナスルシューズを履いている人ではないかと思うからです。
このブログでも何度も取り上げましたが、丸善マナスルシューズを作っていた三交製靴が2015年5月20日で廃業となったこともあり、既に三交製靴での修理が出来なくなりました。
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純正品での修理は実質不可能なため、これからはギリギリまで丁寧に履いていって、底がギリギリまですり減った時点で役目を終えさせてあげるか、もしくはどこかの靴修理のお店もしくは職人さんに修理を依頼することになります。
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今までもこれからも三交製靴ラギッドシューズを履き続けていく私としては、なるべく早めに一度、オールソールをするとどんな感じになるのか、というのをこのブログでご報告したいな、と廃業の少し前あたりから思っていました。
純正での修理ではないけれど、信頼できる職人さんが見つけられれば、これからも安心して長く履き続けられますよ、というのを伝えたかった。別に私が伝えてどうなるものでもないのですが、もしかしたらこのブログを読まれている方で、今、どうしようかなぁ、と漠然と考えられている方もいるかな、と思いましたので。
今回タイミングが重なり、ちょうど良い機会でしたので、手元のラギッドシューズの中から一足を敢えてオールソールをお願いすることにしました。そこで選んだのが、5足目で購入した在庫処分品S-4(旧MG63)。スノータイプのプレーントゥです。
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結果として非常に満足できる仕上りでしたので、ご報告します。

とはいえ、底の交換は中途半端なところに出すと履き心地が大きく変わる。


靴は底を交換しながら履き続けることが出来ます。とは言うものの、実際にはなかなか難しい部分もあります。底を交換する、ということは実質一度靴を分解するということ。分解したうえで、再度組み立てる。靴を一から作るのよりもかえって手間もかかれば、思った通りの仕上りにならない可能性もあります。
なぜなら、最初に作る時点では、その靴用の靴型(木型)があり、新しい部材で一から作るので形が崩れるということが比較的ない。けれど、修理はさんざん履いて、その人の履きグセもつき、靴の形もある程度変わった段階で一旦解体し、元々の靴型(木型)はそのメーカーと、メーカーの提携している工場にしかないので、似たような形の木型を使ってもう一度作っていくわけです。
まぁこれは中底も含めての修理の場合なので、そこまでやるにはお金もかかれば出来る職人さんも少ない。単に靴底を替えるのであれば、そこまでの心配は要りませんが、修理って結局そういうことです。
踵の修理程度であれば(それでもいい加減にやれば差は大きいのですが)まだ影響は少ないですが、底全体を張り替えるとなると、それだけにどこに頼むか、というのも重要になってきます。

今回はThe Asakusa Cobbler(浅草コブラー)でお願いしました。

今回オールソールをお願いしたのは、靴好きの間では一部で大変有名な(信頼されている)浅草にあるThe Asakusa Cobbler(浅草コブラー)です。

選んだ理由は、以前1950年代のChurch’sを中底も含めて徹底的に修理していただいた(修理金額は全て合わせて5万円強でした)ことがあり、その時の仕上りに大変満足していたということが一番。そして、三交製靴と同じ浅草の工房であるということがあります。浅草の靴は浅草で修理をしたかった。それだけです。
今回は普段からFacebookページをフォローしていて、ちょうどキャンペーンがあり、創業当時の価格で限定でオールソールが出来るというものをやっていまして、その仕様でお願いしました。発送してから約2ヶ月弱。今日の午前中に手元に戻ってきました。

修理から帰ってきた丸善マナスルシューズ。

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今回、早めにオールソールを一度試してみたかったのは、一つにはこの中敷きのことがありました。中敷きは普段履いていく中で色が変わり、少しずつ馴染むとともに傷んできます。オールソールの際には(マナスルシューズの場合は踵の交換だけでも)中敷きは一旦剥がすことになります。剥がした上で、修理後貼り直す。剥がす際に中敷きがあまりに傷んでいる場合、破れてしまうこともあります。それもあり、三交製靴ではヒール交換時にも中敷きが新品になります。
このMARUZEN銘の中敷きは替えがないので、今回のように必要に迫られてではなかったので、なるべく新しい内に一度交換してみたかったのです。今回は新しかったこともあり、オールソール後も再利用出来たようです。

元々スノータイプの底でしたので、見た目はあまり変わりがありませんが。

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元々在庫処分で購入したこのモデルは雪道用の底になっていましたので、一見あまり変わりがありません。ただ、今回実は大きく変えています。
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革底なんです。今回のキャンペーンが革底で部材指定のものだったこともあるのですが、私としてももし革底にしたらどんな感じになるかな、という興味もありました。実際マナスルシューズ当時も革底のモデルも出していたようですので、マナスルシューズに革底はおかしい、というわけではありません。
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踵部分はお任せにしました。今回はVibramの踵が付いてきました。また、今回のオールソールにあたって、踵部分を積み上げ式のものにしています。この場合、踵交換は踵全体ではなく、最初の層の部分が減り切る前であれば、積み上げた部分のみの交換が出来るようになります。
踵は修理頻度が最も多い箇所でもありますし、単に修理価格が安くなる、というだけでなく、積み上げにすることで踵交換のたびに先ほど挙げた中敷きを剥がす、という作業をしなくて良い分、中敷きの痛みも抑えられます。

ウエルトに目付け(ギザギザ)が入るだけで印象がだいぶ変わる。

今回、修理もほぼ終わりに近づいた頃、浅草コブラーの石郷岡さんから連絡がありました。それが、ウエルトに目付けを入れるかどうか、というものでした。
その時になって気づいたのですが、私の他のラギッドシューズは目付けは特に入っていないんですね。目付けが入るとギザギザな分、立体感が出てきます。これが結構存在感があると感じる人もいるようで、好みが分かれるようなのですが、元々ウエルト周りもそれなりに存在感のあるこの靴ですので、付けてください、とお願いしました。
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手元に来てじっくり見てみると、かなり印象が変わります。個人的にはこれくらいの変化はかえって良かったかな、と気に入っています。

今回オールソールをして改めて気づいた、この靴の履き心地の良さ。

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今回オールソールにあたって、革底になる際に、そのままシングルソールだと底が薄くなってしまって何となく寂しくなってしまうかな、と思いましたので、追加でハーフミッドソールにしています。底の前の部分のみ間に革を一枚加えてダブルソールにしている状態です。
ただ、発送後、修理内容の相談をしている際に石郷岡さんから「現在、ダブルソールになっていますが、中板(革?)は取り除きます。」と言われました。元々頑丈な作りの底の上に、更に中板も入っていたわけで、相当底は厚かったのでしょうね。長く安心して履き続けられ、足元を守ってくれる靴であること。三交製靴の想いがここにも詰まっているわけですが、それであの履き心地の柔らかさは、やはりしっかり丁寧に手縫いで一足一足作られていったこととも無縁ではありません。

今回の修理内容。

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オールソール修理(手縫い・レザーソール・チャネル)
ハーフミッドソール
トップリフト・・・おまかせ
積み上げ・・・革
今回は創業当時価格のキャンペーンということで、金額自体はハーフミッドソールを合わせても1万円強でした。浅草コブラーでスタンダードなオールソールですと、手縫いオールソールAで\16,200-、機械縫いで構わなけれ\14,580-です。これは革底の場合ですが、今までの底と似たようなラバーソールを選ぶ場合には、例えばラバーオールソールIで手縫い\15,120-、機械縫い\12,960-になります。

足に合っているのであれば、靴と同じ値段になっても修理して履き続けて欲しい。

丸善マナスルシューズ当時から価格がほとんど変わらず、三交製靴廃業時点でも2万円程度から購入が出来たため、オールソールとなると余程愛着がない限り「履き捨ててしまおう」となってしまうかもしれません。悲しいですが。
けれど、私は靴一足と同じ値段になってしまっても、是非修理して履き続けて欲しい。それだけしっかりした作りの靴ですし、履き心地の良さというものは、じゃあ新しい靴を買ってすぐに良くなるか、と言われると全く別だからです。
もしご自身の足に合っているのであれば、そして普段意識せずこればかり履いていたのであれば、是非これからも履き続けていって欲しいな、と思います。
最後に浅草コブラーの石郷岡さん、いつも素晴らしい修理をありがとうございます。オールソールなど修理を安心してお願いすることが出来る職人さんと出会えたことは、本当に恵まれたことだなぁ、と改めて感じます。
今後ともよろしくお願いします。
The Asakusa Cobbler 浅草コブラー

とはいえ、底の交換は中途半端なところに出すと履き心地が大きく変わる。

今回はThe Asakusa Cobbler(浅草コブラー)でお願いしました。

修理から帰ってきた丸善マナスルシューズ。

元々スノータイプの底でしたので、見た目はあまり変わりがありませんが。

ウエルトに目付け(ギザギザ)が入るだけで印象がだいぶ変わる。

今回オールソールをして改めて気づいた、この靴の履き心地の良さ。

今回の修理内容。

足に合っているのであれば、靴と同じ値段になっても修理して履き続けて欲しい。

  • とはいえ、底の交換は中途半端なところに出すと履き心地が大きく変わる。
  • 今回はThe Asakusa Cobbler(浅草コブラー)でお願いしました。
  • 修理から帰ってきた丸善マナスルシューズ。
  • 元々スノータイプの底でしたので、見た目はあまり変わりがありませんが。
  • ウエルトに目付け(ギザギザ)が入るだけで印象がだいぶ変わる。
  • 今回オールソールをして改めて気づいた、この靴の履き心地の良さ。
  • 今回の修理内容。
  • 足に合っているのであれば、靴と同じ値段になっても修理して履き続けて欲しい。