今年もこの時期がやってきました。米軍基地のフレンドシップデー(友好祭)と並んで人気の、刑務所文化祭です。昨年の様子はこちらで書いています。
[0428-201412] 11月3日の府中刑務所文化祭でハンドソーン製法の千葉刑務所謹製靴をオーダーする。
一番の目玉、今年の一日刑務所長はなんとあの歌手のMAXさんです。
MAX(マックス)は、日本の音楽グループで、女性4人組のボーカルダンスグループ。メンバー全員が沖縄県出身。所属事務所はライジングプロダクション。所属レコードレーベルはSONIC GROOVE。公式ファンクラブは「J-MAX」である。
今から楽しみですね。
当ブログに来られる方の一番の目的は歌手のMAXさんですが、一応謹製革靴について。
というのも、数カ月前、突然当ブログの昨年の府中刑務所の記事へのアクセスが数日間一気に跳ね上がりまして。昨年の一日刑務所長が女優の篠田麻里子さんだったので、その影響がかなりあったのではないか、と思ったのですが、単に朝日新聞で掲載されたこの記事が原因だったようです。
刑務所発おしゃれな逸品 靴やバッグ…デザイナーも支援:朝日新聞デジタル
もう連日「千葉刑務所」だ「靴」だ「ハンドソーン靴」だ、でたどり着く方の多いこと。篠田麻里子以上です。
今回も開催が近いということで、真っ先に歌手のMAXさんの最新情報を載せるのが筋のような気もしますが、一切無視して靴のオーダー状況について現状をお伝えしたいと思います。
注文殺到で制作が間に合わず、現時点での注文で目安で来年の8月以降の完成。
昨年お世話になったCAPIC(公益財団法人 矯正協会(刑務作業協力事業部))の鈴木さんに、昨日電話をして今のオーダーの状況を訊いてみました。というのも、今年も文化祭で伺おうと思っていたからです。
ところが、どうやら先日の記事の影響が大きかったのか注文が殺到してしまって、現在完成まで約1年待ち。目安として来年の8月以降の仕上がりだそうです。
あまりに増えてしまったのと、最近は革すらもまともに量を買えなくなってしまったこともあり、今度の府中刑務所の文化祭には出展するものの、その後はしばらくストップさせようかと思っているそうです。これ以上注文を受けてしまうと、2年待ちとかなってしまう恐れもあるので、とのことでした。
ということで、もしオーダーをする方は、少しだけ考えてみて。
私自身がオーダーしておいて言うのもなんですが、今回オーダーしようと考えられている方、理由やきっかけは何でしょうか?
もし単に朝日新聞読んで、高い靴が刑務所謹製だから安く作れるから、程度だったら、今頑張って買う必要ないと思います。
そういう人、そもそも1年以上先の完成待てますか?1年経つと、人って余程きちんとした生活でもしてないと、歳とともに足の形は変わってしまいます。オーダー時にジャストだと思っていても、完成時には狭いだキツイだ言い始める心配もあります。
それに何より、靴好きがそうしたことをわかった上で数ある内の一足として頼むならまだわかりますが、一般的には1年待ちになってしまうのであれば、私はほかを薦めます。何故なら48,000円あれば、リーガルでもかなり作りの良い靴が買えます。国内外問わず、5万円あればかなり幅広い選択肢の中から靴を選べます。
以前取り上げた銀座ヨシノヤの年中セールだって、常に商品が追加されていますが、あの履き心地で5万切ってますから。充分に選択肢に安心して入れられます。ヨシノヤなら実際にお店に行ってある程度試着も出来ますし。
[0879-201507] 銀座ヨシノヤのセールが凄いことになっていて、とっても複雑な気持ちです。はい。
革や製法などスペックばかりが持て囃されますが、一番大切なのは履き心地です。
何を今更、と言われるかもしれませんが、私も含めて靴好きはとかくスペックにコロッといきやすい。この靴の革はアノネイの何て革ですか、デュプイの今の革は云々、国産革だからナンタラ。マッケイなんて安い靴の代名詞。履くならハンドソーンでしょ。いや、一生ものでオーダーメードだよね。
靴では、よく縫製法がクローズアップされがちですが、実際のとこ縫う前に殆ど出来が決まっちゃいます。木型、紙型、製甲だったらカッティングと漉きと貼り合わせ、底付けはつりこみ、芯材の設定、叩き。製法など靴の良し悪しには小さなもんです。エライ人にはそれがわからんのですよ
— ZinRyu (@Zin_Ryu) 2015, 7月 1
そんな台詞を口にしている時、それを履く人の足のことはすっかり忘れ去られています。靴だけが独り歩きしてしまっているんですね。自分も含めての反省点です。
もちろん千葉刑務所謹製のこの革靴は良い靴です。私もとても好きな一足です。1年近く待ってまで、他の選択肢を考えずに選ぶ靴ではありません。
世の中には幾らでも自分の足により合う靴があります。革や製法に惑わされないで、また変な序列に混乱せずに、自分にとって本当に合う靴を選んでほしいな、と思います。
今年も当日は妻と行くと思いますので、どこかで見かけたらお気軽にお声をお掛けいただくか、温かい目で見守っていただけると嬉しいです。