革と水の関係。前回同様、ちょっといつもと感じが違いますので、肌に合う方だけお読みいただければ、と思います。
前回、革と水って相性が悪いどころか良いんだよ、ということを書きました。なので、革が濡れては駄目だとばかりに闇雲に水を拒絶しようとするのではなく、却って仲良くさせてあげれば良いのです。ただ、却って相性が良すぎるあまりに、ついつい水が革にちょっかい出してしまうんです。だから変化が起きやすい。それを整えてあげましょう、という話でした。ほら、既にちょっと人によっては受け付けない話でしょ。
[0875-201507] 梅雨時は確かに憂鬱な季節ではあるけれども、靴好きと革靴にとっては贅沢な時間でもあると思う。
仲が良すぎて、却って手が付けられなくなってしまうんです。
水のほうが愛情が強いのか、かまってちゃんなのか、それとも革のほうが何でもいいよいいよで許してしまうからなのか、結構バランスが難しいのが革と水の関係。それが梅雨時には特に大変です。ほら、七夕の時期ですし。
ある程度自制できれば良いのですが、この時期水のほうが強くなっちゃうんです。
水の想いが爆発するといいますか。なので、そのまま放っておきますと、革のほうがグッタリになります。革も水のことは好きだし必要なんですよ。ただ、この時期はバランスが崩れやすい。
先ほどの旅館と女性が違うような気がしますが、別に男が浮気性な訳ではありません。
この時期革は水の愛情攻勢をひたすら受け続けますので。
少し普段よりパワーが必要です。
それが持ち主による、お手入れのようなものだと思って下さい。
でもこの時期、私たちも面倒になっちゃうんです。だって、毎回濡れて汚れて帰ってくるんですよ。その都度いつもよりも念入りにケアしてあげる必要がある。でも革靴の愛情が冷めているわけではないんです。単に水の愛情が強すぎるだけなんです。
あなたの気持ちも分かります。せっかくお手入れして、パワーを注入しても、すぐに翌日にはまた濡れて帰ってくるんでしょ。無意味じゃん、って。
でも、そんなことないんですよ。毎回、ちゃんと革靴は水の愛情を受け止め続けているんです。
この時期を経た二人は成長します。特に革靴は水のおかげで一段と魅力が増すんです。
これは水がなければ出来ないことです。水がいて、愛情を注ぎ続けて、親である私たちも仕方ないなぁ、と思いながらも自分たちの馴れ初めや若かりし頃を思い出しながら温かい目で見守りつつお手入れして支えてあげる。
すると、革靴はとても良い表情になるんです。だって、革に水ってとても大切なんですよ。そして、それがどんな水かによって、どんな革になるかも変わります。だから、温かく見守ってあげましょう、息子、娘の成長を。
ということで、昨夜のお手入れの続きです。
三交製靴ラギッドシューズ2足をこの梅雨時に履き込んでおりますので、昨夜から改めてお手入れをしております。今日は軽くブラシをかけたあと、ちょっと艶が欲しいのでこちらを加えました。
当ブログでは定番。タピールのフレーゲクリームです。
これも幾ら薄く塗ろうとしても、何となく表面灰色っぽく膜が張られたような雰囲気に一瞬変わるので不安になるのですが、これも問題なしです。時が何とかしてくれます。というより、待てるかどうかが大切です。
薄く塗った後は、ごく軽くブラシだけして放置して出てきちゃいました。
何事も付きっきりはよくありません。ついあれこれ口出ししたく(手出ししたく)なっちゃいますから。時には放っておくのが一番です。これが出来るかどうかが大切です。特にタピールは。
帰ったらしっかりブラシと乾拭き(磨き)をしたいと思います。それだけで一気に表情が変わります。タピールはその変化が魅力の一つです。