このブログは最近は(国内でも最近教育現場を中心に話題になり始めている)Chromebookの話題が中心になっていますが(現在750記事くらい)、元々は革靴の選び方やお手入れについての記事が中心でした。現時点で200記事以上あります。
デジタルガジェット等と違って、革靴に関しては(靴の新作モデル等を追うなら別ですが)お手入れの方法などは基本的に大きく変わりません。いや、そうコロコロ基本が変わるような難しかったり面倒なものだったら、そもそも意味がないと思っています。一度基本を覚えてしまえば、長く使えるもの。だからこそ、早めに覚えて、(もちろん時代とともにアップデートはされていくとしても)日々の生活に取り入れていってほしい。そう考えています。
ただ、そうなると悩ましいのが、200近くも記事を書くと、そうそう新しく書くこともない、ということです。それがここ最近、靴関連の文章を書かなかった大きな理由です。(その間も様々な質問は頂いていたので、それらをこちらで取り上げれば良かったのかもしれませんね。これからはそうしたいと思います。)
ということで、意外と久しぶりなこのテーマ。今回初めて触れる方も多くなってきたと思いますので、おさらいも兼ねつつ、ちょっとこんな内容で書いてみたいと思います。それが、
靴のお手入れに本当に必要なものは、すべて100円ショップが教えてくれた
です。
100円ショップでも靴磨きに本当に必要なものはほぼ揃う。それも税込210円(文章作成時点)で。
先日、いつものように妻と駅前のスーパーに行きまして。この建物、3階に書店が入っているので、時々お世話になっているのですが、2階が100円ショップコーナーになっているんです。決して広くはないのですが、意外と品揃えが面白く、この日も妻が寄りたいというので、妻が色々見ている間何気なく店内を見ていたら、靴磨き用品のコーナーがありました。
そうしたら、思っていた以上に充実しているんです。どれも100円(税込110円)です。これ、街の小さな靴屋さんよりももしかしたら品揃え充実しているかもしれません。正直震えました。興奮した。
ただ、100円ショップで靴磨き用品を買う方のニーズに応えた形なのだとは思うのですが、元靴屋店員の視点から見ると、ちょっと余計なものが多すぎます。品揃えが多いのは一見便利なように思えますが、実際は選択肢が増えてしまって、普段興味がない方には、何を選んでよいかわからなくなってしまいがちなんですね。
ただ、それだけだったらスルーして終わりだったのですが、よく眺めてみると、靴マニアでもある私が見ても嬉しいくらい、大切で基本的な部分はしっかり押さえられていました。
ということで、今回は私から見て(専門店に負けず劣らずな)必須なものから、思わず買いがちだけど気をつけて欲しいものまで、とりあえず目についたものを買い込みました。
全14点。税込で1,543円(3円は袋代)のお買い上げです。
でも革靴専門店で、革靴買ったついでにちょっと奮発して、たまには靴磨きでもしちゃうか(でも家に何があったか覚えてない)という多くの方がケア用品を1品か2品買えばこの値段です。そう思うととっても良心的。でいて、このあと紹介しますが、結構しっかりした作りで、靴のお手入れを知るにも、これから始めるにも最適だと思いました。
ちなみに、結論から書くと、今回税込1,543円(3円は袋代)かかりましたが、この内で、
はじめての方も、少し靴に興味のある方でも、本当に必要なものは2点、税込220円で済みます。
興味のある方はぜひこのあとの文章もお読みください。
まずは基本の2つを外さない。「靴ブラシ」と「仕上げ用ミトン」
これらを売り場で見つけたのが今回の文章を書こうと思ったきっかけです。100円ショップでも専門店に劣らない靴のお手入れが出来るんです。そのための必須アイテムがこの2つです。
「靴ブラシ」と「仕上げ用ミトン」
革靴のお手入れの基本は、
毎晩、その日履いた靴の表面のホコリを靴ブラシで払い落とし、仕上げに全体を仕上げ用ミトンで磨き上げる
という2つだけです。基本、と書きましたが、革靴や靴磨きが趣味、という方でなければ、それ以外は基本的には必要ありません。その代わり、毎晩です。だから何十分も時間を掛ける必要はありません(そんなの靴好きの私でも出来ません)。だから両足で1分で十分です。
毎日、その日履いた靴の汚れ(主にホコリ)を落とす。
靴のお手入れってそれだけなんですね。毎日の洗顔や歯磨きと同じです。
クリームもワックスもクリーナーも基本的には要らないんです。
ということで、まだお持ちでない方は、次に100円ショップに行った際にこの2つもついでに買っておきましょう。
基本必要ありませんが、あるといざという時助かるかもしれません。但し容量用法にご注意ください。
前項で「クリームもワックスもクリーナーも基本的には要らないんです。」と書きました。恐らく多くの方が思い浮かべるこれらの商品、革靴や靴磨きが趣味でもない限り、基本的には要りません。
塗れば光るので、何となく気分は良い。靴を磨いた気にもなる。「磨き」なんだから必要でしょ、と思われるかもしれませんが、実は結構難しいんですね。
基本的に塗りすぎてしまうんです。それか、塗りっぱなしになってしまう。そして重ね塗りしすぎてしまう。
ご自身の化粧を思い浮かべてください。
その日にした化粧、そのままにしておきますか?
一度化粧したら、何週間も放置して、またその上から塗り重ねますか?
靴にクリームを塗るって、そういうことなんです。だから、塗った後には念入りに塗りすぎてしまった(基本的に大半の人は意識していても塗りすぎています)クリームをブラシと布(ここでは仕上げ用ミトン)でかなりの時間をかけて落とす必要があります。
その上で生まれるのは、革靴本来の艶ではなく、上に塗られたクリームの一時的な艶なんですね。
「いや、革にも栄養を‥」
とあなたは思われたかもしれませんが、革靴って余程長期間放置されっぱなしだったり、雨や水に濡れたまま放置されでもしない限り、基本的に栄養が足りない、ということはないんです。もちろん適度な量は靴にも補給が必要ですが、その適量って難しい。難しいことは趣味でもなければ長続きしません。なら最初からやらないほうが良いと思います。
また、余分に付着したままのクリームは革の天敵であるホコリを付着させます。ホコリは革が持つ油分や必要な水分を吸い取ってしまいますし、カビなどの原因にもなりやすい。だから余計なクリームは百害あって一利なしです。
そこで先程の毎日の靴ブラシと仕上げ用ミトンなんですね。毎日その日履いた靴だけでもブラシと磨きをしていれば、余計なクリームや汚れはかなり抑えられます。
ちなみにクリーナーで汚れを、と思われるかもしれませんが、クリームを塗るからクリーナーで落とさないといけなくなるんです。なら最初から塗らなければ良い。また、クリーナーで落とさないと落ちないような汚れは基本的には滅多にありません。そういう時には素直にプロに任せましょう。
例えば今日はどうしてももう少し靴に艶がほしい時。大切な商談やイベントの前に、自分の靴の汚れやくすみを見つけてしまった時。
これら(特に写真のツヤピカやSHOE POLISH)は手軽にササッと艶を出してくれます。それで自分の気持ちが変われば、足元の何となくの落ち着かなさが解消されれば、安いものです。
そういった使い方には便利なので、そんな時には使ってみてくださいね。
ただ、これらは床のワックスがけや前述の化粧と同じなので、使用後は放置せずに、なるべく念入りな磨き上げを。厚塗りは厳禁。表面がひび割れてくる可能性もありますので、厚塗しそうになったら、クリーナーも使いましょう。
いや、これもあるとは思わなかった。いや、あるよね。是非使ってほしい、もう一品。
シューケア用品売場となれば、むしろ革靴用というよりもスニーカー用を想定して置かれていたのかもしれませんが、これがあったのは正直嬉しかったです。
靴底用ブラシ
またブラシかよ、と思われるかもしれませんが、ブラシ大切。出来ればこれを、
変なもの踏んだ時ではなく、毎晩靴を脱いだ時に使ってほしい
と思います。そうすると、不思議と変なもの踏まなくなるので。そして、何故か靴も傷みにくくなります。
この辺り書き始めると長くなっちゃうのと、初めてこのブログを訪れた方にとっては鬱陶しいだけだと思うので、今回は触れませんが、もし前述の靴ブラシと仕上げ用ミトンでの靴のお手入れに効果を感じられた方は、是非このブログのその他の革靴関連の文章をお読みいただければ、と思います。
毎日帰ったら、まずは脱いだ靴の靴底をこのブラシで軽く払ってから、前述のブラシでホコリを落としてブラッシング、最後にミトンで磨き上げる。ここまでで1分半。
そのためにもこの3点セットは玄関先、下駄箱の上に常備しておきましょう。
「ウイルスは砂や埃にも付着するとも言われているので、靴底をブラッシングしてしまったら、それらのウイルスを辺りに拡散させてしまって吸い込んでしまうリスクがあるのではないか。」
というものでした。この点に関しては非常に難しいな、と思います。実際に医療従事者の方にも聞いてみたのですが、「確かに可能性は0とは言えない。だから、もし気になるのであれば、
- マスクをしたままで簡単に行う。
- その際には入り口のドアを開けておくなど、風通しを良くしておく。
- もしくは玄関先(家の外など)やベランダなどで行う。
などを考えても良いかもね。」
とのことでした。私もこの時期、慎重に越したことはないと思っています。なので、もし気になるのであれば、またそれがストレスになってしまうようであれば、今の時期はやらなくても構わないかな、と思っています。
ただ、靴底まではやる必要はありませんが、例えば付着する、ということを考えるなら、革靴の表面だけでなく、その日外に着ていった衣類にも付着している可能性は十分にあります。それらを0にすることは出来ませんし、であれば、むしろ部屋まで持ち込まずに玄関先で払い落としてしまうことのほうが良いのかもしれないな、とも思っています。
革靴に限らず、私のお手入れのベースにあるのは「面倒でないこと」「ストレスにならないこと」です。
何事も日々の習慣化、継続化が大切です。その際に面倒だったりストレスになることは結局は一時的に(やる気のあるときは)出来たとしても、続きません。それではほとんど意味がないんです。もちろん毎日過ごしていれば、今日は疲れてしまって何もやる気が起きない、という日も出てきます。そういうときに無理にやる必要はありません。ただ、その翌日、もしくは翌々日など、少し気分が乗ったときに1足1分、3足なら3分で構わないので、なるべく行ってあげてくださいね。
あると便利な乾燥剤。毎日同じ靴を履かざるを得ないあなたへ。もしくは旅先にも1セット。
一日履いた靴は私たちが想像している以上に汗を吸い込んでいます。同じ靴を毎日履いている、という方も多いと思います。となると怖いのが、常に靴の中が汗を多く含んだ状態になってしまうこと。
雨の日に履いて中まで濡れてしまった時だけでなく、普段から積極的に活用しましょう。
足が臭いと悩まれているあなた。体質ももちろんありますが、実は足に合わない大きめのサイズの靴を日々履いているから、というのが意外と大きな原因だったりします。
靴ずれに悩んでいるあなた。靴ずれの原因は小さい靴を履いているからではなく、むしろ靴ズレを恐れるあまり、大きめの靴を履いてしまっていることが原因かもしれません。
それらの原因の多くは汗。
ということで、連日同じ靴を履かなければならないときや、泊りがけの出張など。そんなときにも1セット常備しておくと良いかもしれませんね。
あとは靴を長期保管する際。保管の方法は今回は触れませんが、乾燥剤ひとセット入れておくだけでもだいぶ違います。
あなたの自己流の靴対策、却って足を痛めているかも。買う前に気をつけてほしいこれらの商品。
一般的に多くの方が、適正サイズよりも大きめの靴を履いています。そして、歩きにくいな、と感じた時に、それを中敷き、インソールを買うことで解決しようとします。
でも、これって結構リスクあるんです。
多くの方が靴が脱げたり、歩きにくかったり、靴ずれや足が臭くなるのは、靴のサイズ自体が大きいからなのですが、それを中敷きで調整するのって難しいんです。反対に踵周りが甘くなってしまったり、自己判断で「私は外反母趾だから」と外反母趾対策の中敷きを入れたら益々悪化したり、ということもあります。なので、本当はこういうのは微調整程度に考えてほしい。
少なくとも最初から中敷きを入れる前提で靴のサイズを選ばないように気をつけてくださいね。
そして多くの方がやりがちなのが、
「パンプスで指が前にツッコんじゃうから、つま先に詰め物をすれば解決するんじゃないか」
とつま先クッション入れちゃうこと。これについて書き始めると、益々長くなるのでここでは省きますが、もしどうしても悩まれているのであれば、むしろその右のすべり止めサポートパッドを使ってください。こちらのほうが負担が少なく、結構多くの方がこれで解決します。
最後に。特に中敷きですが、入れっぱなしには気をつけましょう。中敷きと靴の間に汗や汚れ、ホコリが溜まったままになって、カビから変色から、挙げ句中敷き自体が靴に貼り付いちゃって取れなくなったり、といった例も多々見てきています。使ったら時々は外して中を乾燥させてあげる。
そうなんです。何かを加えるって、その分日々の手間が増えてしまう、ということなんですね。
靴べら選ぶならステンレス製は要注意。最近はビジネス用の靴紐もちゃんと売ってるんですね。
携帯用靴べらと靴紐。当然といえば当然ですが、これらも販売しているんですね。
靴べらは革靴を履く方は出来れば携帯用のモノを一つは鞄なりポケットなりに常備しておいてほしいと思います。ただ、その際に見出しでも触れましたが「ステンレス製は要注意」です。使いやすいのですが、私が店頭に立っていたとき、よく見かけたのが、靴べらを靴の中敷き(かかと部分)をえぐるほどに突っ込んで靴を履く癖がついてしまったために、かかと部分がステンレスで抉られて(削られて)しまっている、というものでした。
かかと部分が抉れていれば履き心地にも影響しますし、靴の傷みも早くなります。中敷き自体は交換は出来ますが、ちょっとした日々の意識で済むなら余計なお金をかけないほうが良いですよね。
靴紐も、もしかしたら切れてしまうまで買い換えない、という人も多いと思いますが、実は自分で感じている以上にすぐにくたびれてくる消耗品です。
靴の見栄えを良くする一番簡単な方法は、高い靴を買うことでも、しっかりクリームで磨くことでもなく、実は、
ヨレヨレに草臥れてしまっている靴紐を新品に換える
ことだったりします。これ、実際にされてみると気づく(驚かれる)方が多いのですが、思っていた以上に靴ひも、ボロボロのヨレヨレになっています。特に後述しますが、多くの方は、より靴紐が痛みやすい使い方をしています。なので、効果が抜群です。100円ショップに買い物に来た際に5~10セット、まとめ買いしてストックしておくのがおすすめです(大抵こういう消耗品は「替えようかな」と思ったタイミングで手元にストックがないもの)。
靴紐を緩めずに靴べらで強引に足を入れられる、ということは、そもそもの靴のサイズが合ってない(大きい)んですね。なぜなら、靴紐がきちんと甲を動かないように、脱げないように押さえて固定する、という役割を果たせていないからです。
一日に何十回も脱ぎ履きをしなければならないお仕事の方であれば面倒かもしれませんが、朝と夜、更にせいぜい職場で脱ぎ履きを多少する、くらいの方であれば、1日数回の手間をかけてでも、靴紐を緩めないと脱げず、しっかり結び直す必要があるくらいのフィット感の靴を選ぶように意識を向けてみてください。靴の傷みも変われば、足の疲れも負担も大きく変わってきます。
そしてもう1点。靴紐の視点で見れば、緩めずに靴べらで強引に脱ぎ履きしているような状態だと、靴紐の痛みも激しいんです。何故なら毎回の脱ぎ履きで同じ場所(一点)にものすごい負荷がかかるからです。だから紐がすぐにダメになりやすい。紐は飾りではなく、足をしっかり支えるかなり重要なサポートになりますので、これからは少し意識を向けてあげてみてください。
靴磨き、靴のお手入れに専門知識も経験も技術も必要ありません。毎日の洗顔や歯磨きと同じで、「しないと落ち着かなくなる」状態を作ろう。
ここまでお読み頂きありがとうございます。既に私の文章を散々読んできた方にとっては、何を今更と思われたかもしれませんし、何年経っても同じこと言ってるなぁ、と懐かしく感じるかもしれません。
ただ、冒頭でも触れましたが、靴磨き、というのは私は毎日の洗顔や歯磨きのようなものだと思っています。あとはその日履いた下着を洗濯するようなもの。毎日履いた下着はちゃんと洗濯するのに、毎日、一日中足を入れっぱなしの靴を何ヶ月も、一年以上もお手入れすらしない、って、考えてみると不思議だと思いませんか?
この辺りのことを話し始めると、ここから更に同じくらいの量の文章が続くことになるので、今回はなるべく省いたつもりです。でも8,000字近くなっちゃったけど。結局最低限伝えたい根っこの部分を加えると、こうなっちゃうんですよね。
今回の文章でもし興味を持たれた方は、私が数年前に出した電子書籍もお読みいただけると嬉しいです。
AmazonのKindle版のみですが、Unlimited対象にもなっていますし、Kindle専用端末がなくても、スマホやタブレット端末でも読むことが出来ます。すべてを読もうとすると(ちょっと繰り返しも多いので)パワーが要ると思いますが、気が向いたときに気になった項目から目を通していただけるだけでも、あなたの靴や自分の足への意識が変わるのではないか、と思っています。
また、電子書籍を買うまでではないけれど、もう少しこの辺りのことを知りたい、という方は、当ブログの今までの文章に是非目を通してみてください。
ということで、久しぶりの靴のお手入れの話でしたが、今回久しぶりに書いてみたら、また書きたいことが止まらなく&まとまらなくて戸惑ったので、これからもまた改めて発信していこうと思います。
もし気になることや質問、こんな話題を取り上げてほしい、などあったら、お気軽にお問い合わせフォームなどからご連絡ください。
今回の100円ショップの話も、靴磨き用品コーナー以外にも靴のお手入れに役立つものがありそうな気もしているので、また回を改めて書いてみたいな、と思っています。