東日本大震災から来月で4年。情けないことに今では私は普段はすっかり忘れて日常を過ごしてしまっています。時々メディアで特集が組まれた時だけ神妙になる。今回もそうなってしまうかもしれないのだけれど、それでも取り上げたい内容です。
国土交通省 東北地方整備局が内部資料としてとりまとめた「東日本大震災の実体験に基づく 災害初動期指揮心得」が、今回Amazonの協力によりKindle版で無償ダウンロード出来るようになりました。
また、JICA((独)国際協力機構)により英語版も作成され、危機管理の研修教材として広く使用されているそうです。
普段意識しない仕事が世の中にはたくさんある。
国土交通省の仕事って知ってましたか?私は恥ずかしながらほとんど意識したことがありませんでした。
国土交通省にかぎらずですが、特に中でも災害や事故の対応に携わる仕事というのは割に合わないものです。ありがたがられるのは皆が不幸な時ですから。普段はコロリと忘れているのに。警察官なども同じ。
いつも迷惑がられたり忘れられながら、時に不祥事が起きれば叩かれる。けれど常に「あってほしくない」自体が来た時の為に訓練と準備を怠らない。そんな時だけもてはやされ、時にはその不手際を八つ当りされ。
もちろん仕事は多岐に渡るのですが、こうしたものがしっかりと危機管理の研修教材として使用されているんですね。
最もシビアな決断を迫られる最初の1周間を乗り切るための指針として。
内容は非常に厚いものとなっています。私もまだ読み始めた段階。なかなかパワーの要る(難しいという意味ではなく)内容ではあります。ただ、これだけのものをまとめるのは大変なことだったと思います。
東日本大震災については、すでに多くの記録やノウハウ集がまとめられているが、首都直下や東海・東南海・南海地震の発生が切迫する中、これに直面するであろう地方整備局の各クラスの指揮官の行動規範となる具体の指針を整理しておくことは、過酷な災害対応を実体験した東北地方整備局の義務であると考えた。
(中略)
1.東日本大震災を実体験した者にしかわからない「経験知」を、関係者共通のものとすること。
2.防災計画に沿った復旧・復興が軌道に乗るまでの、シナリオのない、最もシビアな決断を迫られる最初の1周間を乗り切るための指針となること。
3.想定される首都直下や東海・東南海・南海地震などの大規模災害に対して、地方整備局の各クラスの指揮官が心得ておくべき指針としてとりまとめること。
(中略)
なお、本書は、経験知を書き残すことを優先し、今回対応が不十分だった事項や見解の分かれる課題についても記述している。分析の未熟な部分も残っていると考えるが、読者のご意見を賜りたい。公表を前提とせず地方整備局の内部資料としてとりまとめるものである。
備え、しかる後にこれを超越してほしい。
まずは上の「はじめに」そして「おわりに」を読んでから内容に入ってほしいと思います。これを読んですぐ私たちが何か出来るようになる、ということではありませんが、これもひとつの「備え」だと思うのです。そしてそうした備えを常に怠らず黙々と業務を果たしている人たちがいるということを心に留めておきたい。
読んだことと同じことが起こることは稀かもしれませんが、知っているかいないかというのは大きな違いです。知らないことは出来ないんですね。そしてこういう時にどういう活動が行われているのか、みんなが自分と自分の家族のことで頭がいっぱい、精一杯の時に、見えないところではこうした活動をされている方々がいるんです。
何が行われているのか知っているだけでも、今までとは違った向き合い方が出来るかもしれません。
今、振り返ってみて、つくづく思うのは、「備えていたことしか、役には立たなかった」ということです。
(中略)
防災課長の褒められるべきは機転ではなく、災害がなければ誰にも知られることすらなかった、長年にわたる「備え」の努力だと思います。過去の災害を研究し、考案し、訓練したことだけしか、実際の役には立ちませんでした。本書にはそうした具体の教訓が書かれています。
しかしながら、全く矛盾したことを書くことになりますが、全てに備えることなど出来はしません。
(中略)
今回も、「備えていただけでは、十分ではなかった」のです。
備えは大事、教訓は貴重です。本書に書かれた教訓が、今後大災害に直面するであろう各整備局の参考になることを願っています。しかし、本書で紹介した東日本大震災の実相にも、とらわれすぎることは禁物です。過去の教訓に精通した上で、これを超越し、自由自在に「応用」してこそ、将来の大災害に対応できます。
「備え、しかる後にこれを超越してほしい。」これが、東日本大震災を実体験した私たちが伝えたい最後の教訓なのです。教訓を身につけ、これを自在に応用できる指揮官と熟練した整備局職員の存在こそが究極の「備え」であるというのが、私たちの結論です。
時とともに忘れていくということは、時には大切なことでもあるのですが、災害に関してはそれが毎回悲しい出来事を多く生みます。忘れないようにしたいのだけれど、当事者たちの中には早く忘れたい、と思う人もいると思います。
結局繰り返されてしまうのだけれど、そして備えはなかなかいつも万全にはいかなくて、いつも起こってしまってから「あの時・・」と悔やんでしまうのだけれど、それでも時々でも良いので思い出しておきたい。
備えに万全はないのだけれど、もしもの時に出来たことというのは必ずどこかで備えをしていたり、ふとした時に練習していたことしかないんですね。
常にそうした(起きてほしくない)状況に備えて、日々訓練と準備をし続ける人たちがいるということを忘れずに、言いたい放題好き勝手文句や屁理屈をこねて批評家ぶらずに、自分たちでできることはしていきたいですね。
Kindle持ってないから、というあなたへ。
「Kindle持ってないから」と言う友人知人が結構いるので、念のため。Kindle書籍は何も専用端末がなければ読めないわけではなく、今ではWindows版も出たりと、大抵の端末で読めるようになっています。リーダーアプリ自体は無料ですし、今まで電子書籍に躊躇していた方も、こうした機会に試してみるのも良いのではないかと思います。
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もちろん専用端末があると、じっくり読み込めます。目に優しいのと、専用端末には専用端末ならではの魅力ありますので。
[0434-201412] 無性にiPhoneではなくKindle paperwhiteで本を読みたくなる時がある。