昨日書いた文章、というよりも、その前に触れたポストが思ったよりも反応頂いておりまして、
壊すときは大人だって壊すんです。だから大切なのは、まず子どもにとってもPCやタブレットは怖いものや怒られるものではなく、「どう持てばいいか、触れば良いか」、つまり接し方から知ることが出来ること、だと。その視点は大切だな、と思っています。ペットや動物と同じよ。
— おふぃすかぶ.jp (@OfficeKabu) March 15, 2024
ちょっと前回の文章で触れきれなかった部分がありますので、今回追記のような形で触れておきたいと思います。
なお、前回の文章に興味を持たれた方は、合わせてお読みいただくと流れが分かるかと思います。
大人子ども関係なく「扱いが雑になる」要因は大きく2つあると思っています。それが「知らない」「愛着」
前回の文章に関して貴重なご意見をいただきました。それが、
「幼稚園児ならともかく、学齢期の子供が雑に扱うのは自分の懐は痛んでいないし大人が叱らないから。機種を高額なApple製品にして壊したら保護者が弁償にすれば、瞬時に扱いは丁寧になる。」
というものです。これを否定する気は全くありません。確かにそういう方法もなくはない。
子どもからすれば5万でも高いとは思うのですが、それが20万30万のApple製品になれば意識は変わるかもしれない。また、親御さんも壊させるわけにはいかないから怒るし、いい加減な使い方はさせないでしょう。それによって扱い方が変わる可能性は十分にあります。
ただ、反面心配なこともあります。それが前回も触れた、
子どもたちにとって「何か分からない」「難しい」「もしかすると怒られるかもしれない」ものに愛着を持てという方が難しいんです。
そして、愛着を持てなければ、人は意識、無意識関係なく、雑に扱ってしまうんですね。
この部分です。
ちょっとでも触ろうとすると親がすぐ怒る。学校でも先生がすぐ怒る。親も壊させたくないから、自由には触らせない。子どもにとっては「壊してはいけないけれど触らなければならない、すぐ怒られる(でも使い方は分からない)」ものを使わなければならなくなる。
これってストレスじゃないですか?
そして教育上でも、そんな過保護な使い方しか出来ないものは身につきません。
そして前回あまり触れられなかった、もう一つの視点があります。それが、
「子どもに限らず、大人も、自腹だろうが自腹でなかろうが、扱いが雑なのは同じだよね」
という点です。
腕時計店や革靴店で働いてきた私が感じる「お手入れの仕方が分からない」ことと愛着のなさからくる扱いの雑さ
これについて細かく書くと長文になってしまうので、より深く興味を持たれた方は当ブログの革靴のページのコンテンツを流し読みしていただきたいのですが‥。
大人も多くの方は革靴(腕時計)の扱い方ってホント雑なんです。
「履き捨て」「履き潰して買い換えれば良い」と思っている人が多い。靴は消耗品だから、と言ってる人もよく見かけます。これは「自分の懐が痛まない」からではなく、「自腹」で、しかも毎シーズン履き捨てている人も多い。実際は靴はしっかり履けば1年2年と普通に持つのに。
「いや、それは大した金額ではないからだ。高級腕時計、高級革靴なら違う。扱い方も丁寧になる。」
とあなたは思われるかもしれません。でも今度は逆なんです。
同様に「どう接してよいかわからない(お手入れと保管の仕方が分からない)」から「壊れたら困る」「傷が点いたり痛んだら困る」と普段滅多に腕にしない、履かなくなってしまった結果、使う機会がほとんどないまま大切に保管されたままになる。
しかも保管状態が決して良いわけではない(お手入れと保管方法自体知らないわけですから)から、いざ使うときには状態が悪くなっていたり(サビやカビ、革の劣化など)、普段から履いていないから、その間に自分自身の足が劣化、変化していてサイズが合わなくなってしまう。
そうしてほとんど履かれないまま、さらに言えば「保管しているうちに好みも変わってしまって愛着が湧かなくなって」オークションや買取店に並んでいる、ほぼ未使用の高級腕時計、革靴をよく目にします。
これは何故か。
普段から触れていない(使っていない)から、愛着が薄れてしまっているんですね。
普段から使い慣れていないから、そのモノ自体を意識することもなくなってしまい、興味がなくなっているんです。
一度愛着が薄れてしまったもの、そもそも愛着が湧いていないものは、扱いが雑になります。
扱いが雑になると、モノはどんどん劣化していきます。劣化していくモノを見ると、人はますます愛着を失います。
その結果何が起きるのか。「使い捨て」「履き捨て」「消耗品だから」となります。モノの寿命もどんどん縮まっていきます。
あなたは革靴やスニーカーのお手入れの方法、扱い方を知っていますか?
前半でも触れましたが、「扱いが雑になる」のは、何も適齢期の子どもに限った話ではなく、大人も同じです。むしろ大人の方が下手なプライドがある分、自分が知識がないことを認めたくないのもあるのか、タチが悪い(アプデしようとしない)こともあります。
でも、笑ってばかりもいられません。ちなみにあなたは
今履いている革靴やスニーカーのお手入れの方法、正しい扱い方を知っていますか?
多くの方にとっては「お手入れなんて色々手順があって面倒」だと思われています。
でもこのブログでは以前から何度も触れてきているように「毎日片足30秒、両足で1分」で終わります。
これでも面倒だと思われる方のために、その面倒さの元となっている幾つかの要素を取り除くためのアイデアも用意しています。
で、実際にこれで「毎日お手入れするようになった」というだけでなく、「お手入れしないと落ち着かなくなった」「以前より長持ちするようになった」という声をこの8年、多く頂いています。
で、これ、単に「お手入れが簡単になった」というだけでなく、もう一つ大切なことがあるんですね。
それが「そのモノに対しての愛着」です。
先ほども触れたように、人は「そのモノの存在を意識するようになると、また日頃欠かせない日用品になると」普段の行動(そのモノへの接し方、使い方)も変わってきます。
あなたも覚えがありませんか?
自分の本当にお気に入りのモノって雑に投げたりしませんよね?スマホにガラスフィルムを貼る、ケースにいれるのは何故でしょう?Apple製品を大切に使うのは何故でしょう?単に高いから?じゃあ何で高いの買ったんですか?そのモノが「欲しい」「使いたい」といった愛着からですよね?
子どもたちにとっても同じだと思うんです。子どもにしてみればそもそも5万だろうが30万だろうが、興味関心がなければ「親や先生が怒らなければ」雑に扱うものなんです。でも数百円の文房具でも大切に使ってる子もいますよね?その違いは何でしょうか?
子どもにとっては大人以上にPCやタブレットというのは未知の物体です。「どう扱って良いのか分からない」「興味ないけど学校でイヤイヤ使わされている」子どもも多い。何より正しい使い方が分からなければ、そしてそれが面倒で難しいことだと思っていたら、それは雑に扱わざるを得ません。というか、本人にその自覚がなくても雑になってしまいます。
もちろんそれらは「耐衝撃性を上げる」ことで「落としても壊れにくく」することは出来るかもしれません。
また、高くして、更に自腹にさせることで「壊すことの恐怖」を与えさせて、扱いを慎重にさせることは出来るかもしれません。
それらも故障率を減らすうえでは有効な手段の一つでしょう。
でも例えば、前回の「赤ちゃんだっこ」。名前からして馬鹿にされている方もいるかもしれませんが、よく考えてみるとこれって実は結構理にかなった持ち歩き方なんですね。誰かにぶつかられても落としにくい。そして、ここは私見でもあるのですが、
この方法で抱っこしているようなモノを放り投げようと思いますか?
前回の文章で出てきた色々な知識というのは、大人がバカにしがちな基本的なことですが、大人でさえ忘れて(わざわざ知らずに)使っていて、落とした、壊した、といった話が後を絶たない例だったりします。
もちろん正しい使い方を教えれば、故障が0になるわけではありません。ただ、モノに対する正しい知識、それも「面倒なことではないんだ。簡単なんだ。」と知ることで、より緊張せずに気軽に触れることが出来るようになる、というのは、それだけですべての解決にはならないとしても、「おろそかに、軽視しがちだけど本当はきちんと教えなければならないこと」だと思っています。
前回、1年前に伺った話を敢えて今持ち出したのは、この「基本」を疎かにしないことで、「使用頻度が増え」、それが「モノへの愛着」に繋がり、結果として「扱いが丁寧になる」ということを、私自身、この10年以上(ブログで発信する前から)経験上から、また多くのお客さんやこのブログの読者の方々からのメッセージで感じてきているからです。
学校におけるPCやタブレットを使った教育の目的は様々ですが、「より身近なツールとして日々使うことが出来るようになる」ということが「社会に出たときの準備としてWindows PCに慣れさせておく」「プログラミング教育が」といったこと以上に、いや、その前の段階として大切だと思っています。
もし今回の文章で少しでも興味を持たれた方は、試しに今自分が履かれているスニーカーや革靴で、試してみて欲しいと思っています。
「毎日帰宅後に片足30秒、両足で1分。お手入れ用品は2点だけ。玄関に置いておく。」
これだけで、靴も長持ちすれば、歩き方も靴に対する見方も変わってきますから。