今回実家に帰った際、母から相談を受けました。
妹が今回旦那さんの仕事の関係で夏から2年ほどアメリカに行くことになりました。
ちょうど3月で仕事を辞める母は折角だから時間も出来るこの機会に英語を勉強したい、ということでした。
高校卒業以降、まとまった英語の勉強をしてこなかった母ですので、何から始めたらいいかなぁ、ということで考えていました。
ちょうど駅前の大手英会話学校が体験レッスンをしていたので、とりあえず参加したものの、申し込むとなると25万近くかかるそうです。
余程やる気と動機があるのであれば別ですが、いきなりまだイメージもない状態で英会話学校に通うのはどうかなぁ、と思い、息子なりの案を幾つか出して帰ってきました。
改めてどんな学習法が良いか考えてみる。
学校英語の弊害は以前から言われてきていますが、私はそうは思っていません。
少し脱線しますが、以前ご紹介した佐藤優「読書の技法」の中で、基礎の大切さとともに、学校で学んできたことは無駄なのではなくて、きちんと消化できていないことが問題なのだ、と述べられています。
「受験勉強が現実の社会生活の役に立たない」という認識は間違っている。社会人が大学受験のレベルで必要とされる知識を消化できていないため、記憶に定着していないことが問題なのであって、受験勉強の内容は、いずれも社会人になってからも役立つのだ。
特に、私の両親辺りの世代と、私の世代でも全くその知識の厚みが違うな、と感じることがあります。母は大学は行っていませんが、大学出の父と今回帰った時にTVを見ながら、出てきた調味料の話から化学式の話をしていました。
私さっぱり分かりません。すっかり覚えていません。
また私の以前の職場の先輩は私の父や母より10年ほど下の世代ですが、花の名前から日本や世界の地名、歴史まで私より遙かに知っています。
覚えている、と言って良いのかもしれません。そして読んできた本が全く違います。古典名作は大抵通読はしないまでもかじってはいる。
同じように詰め込んできた日本人でも、その詰め込みの絶対量が違うんですね。
そうした点では母は私より余程学校英語はしっかりやってきている(と思いますし)、未だにその部分部分は覚えている。
今から再度一から勉強しようという段階にはいっていないので。
とはいえ、普段使う機会の無い母ですので、さび付いてはいます。また、どうしても学校英語の欠点でもある、話す前に頭の中で考えてしまう、間違えを恐れてしまう癖というのはあります。また、当時の英語で間違った覚え方をしてしまっているものもあるかもしれません。
そうしたものはなかなか抜けにくい。
筆者は、外務省で新入省員(研修生)のロシア語の指導をしたことがある。その時の経験に基づいて述べると、まったくの未熟者よりも大学で第二外国語(もしくは第三外国語)として、中途半端な、場合によっては誤ったロシア語の知識をつけている人の成績が伸び悩んだ。最初に正しくない知識を身につけると、その矯正が必要となるので、まったくの白紙から勉強するよりも手がかかるのだ。
かといって、今から何か英語の仕事に就こう、という強烈な動機があるわけでもない母ですし、本格的に話せるようになりたい訳でもありません。
今からもう一度高校英語から徹底的に「お勉強」をしよう、という気も起きないと思います。
であれば、楽しみながらこれから先の人生にも趣味としても続けられる方法で地味に続けていけるもののほうが良いのでは無いかと思うのです。
そこで思った、多読。
私は10年以上前に、洋書の多読に出会いました。それも優しい子ども向けの本から地道に積み上げていく方法です。既に英語の学習をされている方ならここ最近はだいぶ一般的になってきた方法です。
これ、面白いんですよ。SSS英語学習法と呼ばれるこの方法は、私が始めた10年以上前にはまだまだ試行錯誤の段階でもあったと思うのですが、楽しみながら続けてきている方々のブラッシュアップもあって、どんどん改善され、更に躓いた時の抜け出す方法まで色々出てきています。
といっても、要は優しい子ども向けの英語の絵本から入って、少しずつ難しくしていくわけで、大きな何かがあるわけではありません。
入門書はたくさんありますが、Kindle版があるということで、この本がお薦めです。これで一通り流れを掴んでみて、個別に興味を持てれば、ブックガイドや他の本を読んでみても良いと思います。
実家の近くにはブッククラブもないので。
唯一の弱点は、お金がかかること。
特に最初の頃は、絵本ってすぐ読み終わってしまうのに一冊500円だ800円だかかってしまうんですね。
それを解決するのが、入会することで本が借り放題になる、社会人ブッククラブの存在なのですが、流石に実家のそばにはありません。
まぁ、これも英会話学校25万の予算を考えれば、相当な冊数買えますが。
となると、買うことになる訳ですが、ふと思ったんです。ちょうど孫が出来たことだし、孫と絡めればこのハードルは乗り越えられそうだな、と。
孫は日本人ですが、絵本を一緒に読んでも良いかもしれませんし、将来的には贈るつもりで絵本を買っても良い。
母の誕生日も近いので、幾つかガイドとなる本を挙げてみる。
ちょうど母の誕生日も近づいて来ていますので、さりげなく本を贈る、というのも良いかな、と思っています。
母が興味を持つきっかけ、ということであれば、もうまさにここから入ってもらうのも良いのですが、読んでいる内に飽きちゃったり、モチベーションが維持できないのも悲しいですね。
また、母は今回帰った時に聞いてみると綺麗なイギリス英語に惹かれているようなので、イギリス英語というモチベーションからこの辺りを薦めても良いかな、と思っています。
この二冊私も持っていますし、図書館で借りてガイド代わりに読むくらいでも良いのですが、時々読み直すとモチベーションを維持するのに良いので。
まぁ、まさに対象ピッタリのこの本でも良いんですけどね。ただ、母がこれを素直に読むかどうか。
個人的には、これを機に、最近結構積極的に活用しているパソコンで、Amazonから注文という新しい境地を開拓して欲しいな、という気持ちもあります。好奇心旺盛な母にこそ、こうしたものは向いていると思いますので。
ということで、私もこの10年以上を振り返りながら、こちらのブログでもお薦めの本を振り返ってみたいと思います。